トンガリ帽子の復讐者と小さい竜の迷宮物語 (リメイク開始)   作:ケツアゴ

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ギルガメッシュ出るらしいが 期間限定じゃ宝具レベルアップが難しいからなぁ

第二弾を見てから引くか 海賊姉さんとかエルフ耳奥様さとか自称良妻狐とか朝新先生欲しいし

十日ごとに4こ 週に三個 単純計算で月に六回レアガチャ無料で引ける サービスいいな


再開

 ダンジョン二十階層、まだ中層と呼ばれるその階層を氷の巨人が闊歩していた。まるで柱のように大きく太い足はミノタウロスさえも簡単に踏み潰し、その足の裏にびっしりと生えた細かいトゲで身を磨り潰す。後に残ったのは灰になった残骸で、時折無事残った魔石やドロップアイテムは吸い込まれるように巨人の体内に入っていった。

 

「ザハクー、どれだけ貯まった?」

 

『ざっと地上での換金で七百万って所だな』

 

「じゃあ、リヴェアの街じゃ二百万が良い所かぁ。……食料は買い込んであるし、もう少し潜っていたいから妥協しようか」

 

 地上では怪物祭の準備が着々と行われる中、氷の巨人を創り出して操っているネルガルは氷の中の戦利品を眺めながらグッと背伸びをする。ダンジョンの中では時間が分からないのだが、既に時刻は夕暮れに差し掛かり彼がダンジョンに潜ってから十二時間が経過していた。

 

『おっ! あっちから宝石の匂いがするぞっ!』

 

「ほんとっ!? すぐに採掘しに行かなきゃっ!」

 

 

 

 

 

 

 冒険者が作り出したダンジョン唯一の街リヴェラ、ここに来れる冒険者は大概が上級冒険者に数えられるレベル2以上。食料から武器防具回復薬などダンジョンでは容易に手に入らない物が此処では揃っている。ただし、地上の数倍の値段でだ。

 

 無論、この街にも換金所は有り、通常の数分の一で買い取る。だが余計な荷物を減らしたい冒険者には必要な施設なので渋々利用している。

 

「オジさん、何時も通り換金お願いね」

 

「ガッハッハッハ! スゲェな坊主。じゃあ、全部合わせてサービスで二百五十万だ」

 

 ネルガルが訪れたのはこの街に来てから何度も利用している換金所。それなりに歳をとり長年オラリオに居そうな店主を選んでこの換金所を選んだのだ。どうしてもこの歳でレベル2等余計なやっかみを受ける。だが、レッドライダーの事を知る者なら元眷属という事に同情してまともに相手して貰える。全て計算ずくであった。

 

「しっかしよぉ小僧。おめぇ、そんなに頑張ってどうすんだ?」

 

「だってさ、目的も約束も達成できないと意味無いんだよ? 僕は”達成できなかったけど僕頑張った!” って自分を慰める気も、”上手く行かなかったけど頑張ったね”、って慰めて欲しい訳でもない。実らなかった努力なんて怠惰に過ごしたのと変わらないんだよ」

 

 そう言って店から出て行くネルガルの瞳を見た店主は固まる。その時のネルガルの目は彼が恐怖を抱いたレッドライダーの瞳に酷似していた……。

 

 

 

 それから数日後、地上で起きた怪物祭の騒ぎ等知るよしもない。

 

 

 

 

 とある理由から負った八千万を超える多額の借金は第一級冒険者のアイズでさえ直ぐに支払える額ではなく、ダンジョンで稼ぐべく物資を持って仲間と共に潜る。そんな中、中層に差し掛かった時にフィンがふと漏らした。

 

「……そういえばゴライアスを一人で倒したってレベル2の子なんだけど、ロキが随分と引き抜きたがっていたよ」

 

「……ゴライアスを?」

 

 それだけならアイズにでも可能な範囲。だが、それはあくまで今の時点で。自分がネルガルと同じ年で同じレベルで同じ事が出来ただろうか。それは最近であった兎の様な少年、ベルに関しても同じで最近まで新米そのものだった彼はシルバーバックという上層部では強い部類に入るモンスターを一人で撃破したという。

 

(……気になる、あの子達の成長の秘密が……)

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわっ!?」

 

 それは一瞬の油断だった。脇腹を深く抉られ内蔵まで届いた傷の痛みに動きが止まり、その隙を狙って飛びかかって来たミノタウロスに近距離から氷の矢を放ったせいでローブが血塗れになってしまったのだ。

 

『はっ! なぁ~にやってんだか。油断し過ぎだぜぇ?』

 

「……しょうがないだろ? この傷、結構痛かったんだから」

 

 既に塞がり始めた傷を撫でながらローブに目をやると返り血の他にも土埃や何やらで汚れきっている。一度気にしだすと汚れの他にも匂いも気になり出し、バックパックを見ると既に魔石やドロップアイテムでパンパンになる寸前。

 

「……一旦戻ろうか」

 

 地上ではなく、リヴェアの街にだが。既にネルガルがダンジョンに潜って一週間が経とうとしていた。その間ヘファイストスの所に居たりベルとデートしていたが流石に帰ってきていない事を心配しだしたヘスティアだが、ベルが十八階層から戻ってきた冒険者からギルド職員を通して連絡を得て、また無茶してぇっ!、と怒るにとどまった。

 

 

 

 

「洗濯板と洗剤借りたし、溜まった洗濯物を洗おっか。ついでに水浴びもするけどザハクはどうする?」

 

『俺かぁ? 別に良いって。……にしても、さっき匂ってきた妙なメスの匂いは何だったんだ? 人間ともモンスターとも違ったけどよ』

 

「ふ~ん、新種かな? ゴライアスみたいな巨人型が居るなら人型が居ても変じゃないでしょ。さっ、水浴び水浴び」

 

 帽子とローブを脱ぎ捨てたネルガルは湖に飛び込むと久々に汗を流し始めた。

 

 

 

 

 

 

 ネルガルが水浴びを始めてから一時間が過ぎた頃、十八階層にたどり着いたアイズ達は街がある島を目指していた。木を切り倒して作った簡易な橋に向かっていた時、アイズの足が止まる。その視線の先には木々の隙間から洗濯物を乾かしているネルガルの姿があった。

 

「……リヴェリア、彼処」

 

「むっ、先ほど話題に出したばかりだというのに奇遇だな。……また一人か」

 

「……ちょっと話をしてくるね」

 

「アイズっ!?」

 

 フィオネの制止も聞かずにネルガルの元に向かっていくアイズ。同行している他のメンバーも急いで其の後を追った。だが上半身むき出しのネルガルの所に近付いた時、アイズ達の目の前にザハクが立ち塞がる。小さい竜にも関わらずアイズ達はまるで蛇に睨まれた蛙の様に固まってしまった。

 

 それは本能的な恐怖。オラリオでも有数の実力者の彼らは目の前の竜から途轍もない威圧感を感じていた。

 

『おいおい、今あの阿呆は背中丸出しなんだ。何の用か知らねぇが……何だ、この前のエルフのババアか』

 

「誰がババアだっ!」

 

 リヴェリア、ハイエルフにしてロキ・ファミリアの幹部。年を指摘されるのはあまり好きではない。

 

「あれ? その声はリヴェリアさん? あっ! この前のお礼があるんだ。ダンジョンで見付けたものだから遠慮せずにどうぞ」

 

 声に気付いたのか振り替えたネルガルは手荷物から小さな袋を取り出す。思わず受け取ると中には大粒のガーネットが幾つか入っていた。

 

「いや、流石にこの様な物を受け取る訳にはいかん」

 

「え~? 別に良いのに。……何か用?」

 

 先程から注がれる視線に気付いたのかアイズの方を向くネルガル。するとアイズが口を開いた。

 

「……君、ずっと一人で頑張ってるみたいだけど、どうしてそんなに頑張れるの?」

 

「少しでも早く強くなりたいから、かな? 絶対に叶えたい目的があって力が必要なら、他の何を犠牲にしても力を求めなきゃいけないから頑張ってるんだ」

 

「……何を犠牲にしてでも」

 

 アイズがそう呟いた時、街の方から喧騒が聞こえてきた……。

 




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