トンガリ帽子の復讐者と小さい竜の迷宮物語 (リメイク開始) 作:ケツアゴ
フレンドでぽんぽこライダー入手 今の所単体宝具は呂布と荊軻だけだからなぁ
「ネルガル君っ! 君は何か欲しい物はあるかいっ!?」
「じゃあ、もう少しマトモになって。少なくても三ヶ所から借金してるよね? ヘスティア様って、もう少しお金と向き合う事が必要だと思うよ」
「うぐっ!?」
それは神の宴に出掛ける直前の事である。ネルガルは曇りのない瞳で質問に答えそれがヘスティアの心を大きく抉る。結局、前の仲間が作ってくれた”おはぎ”をまた食べたいので売っている店か作り方を調べる、という所に落ち着いた……。
「皆の者、よく来てくれたっ! 俺がガネーシャである!」
今回の宴の主催者であるガネーシャの口癖的名乗りは出席した神々に無視され、そのまま宴は続く。男神の目的である美の神フレイアは今回出席しないらしく残念がって直ぐに帰る者もいる中、へスティアは料理を貪りながら日持ちがしそうな物をタッパーに詰め込んでいた。
「其処の君っ! 踏み台を持って来てくれたまえ!」
「はい、畏まりました」
給仕を務めるのはファミリアの構成員であり、彼女が呼びかけたのは薄く緑がかった髪と金色の瞳を持つ極東人らしき顔立ちの少女。その可憐さに数人の男神の視線が注がれる中、彼女はヘスティアの元に踏み台を持ってきた。
「あの、所でヘスティア様ですよね? わたくし、ネルガル君とは前のファミリアで一緒だったのですがあの子は元気にしていますか?」
「へぇ、そうなんだ。うん、元気すぎて僕の言うことも聞かずにダンジョンで無理ばっかしてるよ」
「……そうですか。あの竜、無理はさせないって約束でしたのに嘘をついたのですね。ふふふふふっ……」
目を細め笑いながらその場を去っていく彼女の姿にヘスティアが怖気を感じた時、後ろから探していた友神の声がかけられた。
「アンタ、何やってるのよ……」
「ヘファイストスっ! 丁度良かった、君を探してたんだっ!」
「……一体何の用? 言っておくけどお金ならもう貸さないわよ。まぁ、稼げる子が入ったからその心配はないだろうけど。アンタ、あの子はちゃんと見てあげてなきゃ駄目よ?」
「うっ! わ、分かってるさ。それで君にお願いがあるんだけど……僕のもう一人の眷属に武器を作ってあげて欲しいんだ」
冷たいように見えるヘファイストスだが、原因はヘスティアに有る。降臨したばかりのヘスティアはヘファイストスのホームに居候し本を読むか食っちゃ寝しかしない正にニート。生真面目なヘファイストスがいつまでも甘い顔するはずもなく、追い出した後もお金や住処や仕事を世話してきたのだ。
「あのこの稼ぎが有れば直ぐに買えるだけのお金は貯まるでしょ? わざわざ何で頼むのよ」
「ネルガル君の稼いだお金は使えない。僕の意志で決めたことだから、僕が払わなきゃ意味がないんだ!」
ヘスティアが真剣な眼差しを友神に向ける中、彼女と犬猿の仲のロキは何をしているのかというと、
「なんや、遠慮せんともっと食べや。全部ウチの奢りや!」
「・・・・・・ラウルさんだっけ? この神様、何とかならない?」
「無理っす!」
宴に向かう途中で発見したネルガルを半ば拉致して豊穣の女主人に連れ込んで絡んでいた。宴の会場まで馬車を任されていた団員のラウルはネルガルのジト目から目を逸らし、ロキはジョッキ一杯の酒をグビグビ煽る。まさに子供に絡む駄目な酔っぱらいの図である。
「しかしなぁ、ほんまウチに入らへん? リヴェリアから聞いたんやけどかなり出来るんやろ?」
「えっと、ファミリア間の揉め事は……こっちが圧倒的に雑魚だから問題ないし、そもそも起きそうなラボkは直ぐにトンズラこかして貰うけどさ」
「エゲツなっ!? いやぁ、あのドチビに義理とか感じてないん? いや、勧誘したウチが言うのもどうかと思うんやけど」
「会って数日の相手にどうやって感情移入すれば良いの? 僕にとってあの神様は勝手に死んだ生みの親くらいどうでも良いよ。それにさ、神様って下界じゃ死なないし、最悪囮にでもすれば。ベルさんはお人好しだから無駄死にしそうだけどさ」
「……やっぱあの阿呆の眷属はその辺シビアやなぁ。ってか、あいつはどうやって送還されたんや? 神の力封印しててもそれなりに強かったのに」
「あっ、団長と刺し違えた。団長はあの神様に逆らったら奥さんと娘ごと死ぬ呪い掛けられてたんだけど、これから出るであろう犠牲者と天秤に掛けるまでもないってさ」
「ちょちょちょ、ちょっと待つっスよ! さっきから聞いてればどういう神様だったんっすかっ!? 時分、ロキ様の元友神で中が決裂した位しか知らないんっすけど」
先程から黙っていられなかったのか口を挟むラウル。ネルガルの前の神の事をよく知る者は話す事すら嫌がり、それ故に知らない者は殆ど情報を持っていない。ロキも心底嫌そうにしながらその神の名を口にした。
「……戦乱を司る死神、レッドライダーや」
「君は英雄についてどう思う? 僕はね、英雄が嫌いなんだ」
それはまだネルガルが前のファミリアに居た頃の事、団長であるケリィ・エミヤと二人っきりになった時に下会話だ。
「英雄? 僕にとっては関係ない存在かな? そんなのに助けて貰った事ないし、居ても居なくても同じだよ。団長はどうして嫌いなの?」
「簡単な話さ。英雄譚は要するに戦いを美化した話。戦いとは陰惨で無残な物で忌避すべき物なのに、英雄様によって素晴らしく格好いいものと誤認する者が出る。だから戦争に望んでいく者が居なくならず。英雄とはかけ離れた弱者は虐げられるんだ。勇気を持って奮い立つ? はっ、馬鹿馬鹿しい。戦いという手段でしか物事を解決できない奴らにどうやって憧れろって言うんだ」
「じゃあ、レッドライダー様が気に入ってるロキ・ファミリアの団長の事も嫌いなの?」
「ああ、まさに彼の夢は若者を戦いに駆り立てる、そういう物だからね」
何時も何かに絶望したような顔をした団長は寂しそうに呟くとその場から去っていく。ネルガルは話が良く分からなかったのか首を捻っていた……。
「……
「うん、オラリオで年一回開かれるお祭りなんだけどネルガル君も見に行ってみれば?」
何とかロキから逃げ出した翌日、未だ帰っていないヘスティアを特に心配しないネルガルは何時ものようにダンジョンに潜り、その日の帰りに換金しに立ち寄ったギルドでエイナから近日中に開かれるお祭りについて知らされた。
「あっ、お祭りって事は他の冒険者も行くだろうし、獲物独占できるかもっ! おしえてくれて有難うエイナさん。僕、数日の間ダンジョンに潜るねっ! 行くよ、ザハク。食料とか買い込まないと」
『おうともよっ! な~んか嫌な予感するし、都市に居たくねぇんだよなぁ』
張り切ってその場から去っていくネルガルとザハク。エイナはその後ろ姿を呆然と見つめていた。
「いや、なんでそうなるのっ!?」
意見 感想 誤字指摘お待ちしています