トンガリ帽子の復讐者と小さい竜の迷宮物語 (リメイク開始)   作:ケツアゴ

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やっと十連で星4が エミヤとジーク×2だけどマトモな三騎士は初めて

ヘブンズフォールが二枚と優雅ヒゲが一枚でほかは雑魚装備


もうこれでヘブンズ四枚目だよ…

エリちゃんと赤王欲しい

白装束アサシンのクエスト、ボスの王が強かった レベル45の宝具なしギルだもん

むしろ二回目のゴーレム三連の方が強かったけど 会心の一撃連発してくるし硬いしタフだし


神の呪い

 ギルドに登録している冒険者はレベルを申告する義務があり、あるファミリアはそれを誤魔化しているが、大体のファミリアは正直に報告している。そしてギルドは余程の事がない限りレベルアップに繋がった経験を他の冒険者の為に公表しているのだ。

 

「……これは無理ですね」

 

 そしてネルガルがレベルアップした経緯は余程の事に入る部類だった。

 

「六歳の時に傭兵ファミリアに入団し、外のモンスターや他のファミリアの冒険者と戦闘。九歳の時にレベル二一人とレベル一の仲間一人と共にレベル三の冒険者を撃破せよ。……、真似できんし、下手すれば子供を傭兵団に入れる馬鹿が出かねん。それにこの子の前の主神は……」

 

 ネルガルの書類の作成に関わった担当のエイナや彼女の上司は前の主神の名を見て複雑そうな顔をする。その書類に書かれていた名前はかつてオラリオに悪名を轟かせ追放された神の名前だった。

 

「……下界に下りる神は数多く居ると言うのによりにもよってこの方に出会うなんて不幸なものだな。しかし、この竜と見た目。何処かで聞いた気が……」

 

 

 

 

 

 

 此処はダンジョン十六階層。中層と呼ばれレベル二の冒険者がパーティを組んで挑むその階層で無数の大甲虫(マッドビートル)が羽音を鳴らしながら飛び、三匹のミノタウロスが天然武器(ネイチャー)の石斧を構えて唸る。取り囲まれているネルガルとザハクだけだ。

 

 他の冒険者からすれば自殺行為とも言える無茶であり、実際に彼の左手は折れているのか酷く晴れ上がって力なく垂れ下がっている。絶対絶命というべきこの状況において彼の表情は……明るい。

 

 モンスター達が哀れな獲物に一斉に襲いかかろうとしたその時、うす暗い部屋を突如出現した光源が明るく照らす。現れたのは煌々と燃える三メートル程の複数の火球。この場にいるモンスターと同数の火球廃止を持つかのようにネルガルの周囲を回りモンスターを威嚇して近付かせない。

 

「さよなら!」

 

 明るい口調で発せられたネルガルの言葉に答えるかのように火球は収縮し、か細い針のような形状に変貌。火球が消えた事でモンスター達は一斉に殺到し、迎え撃つように針は空中を突き進みマッドビートルの甲殻の隙間や強靭な筋肉を持つミノタウロスの体の僅かに筋肉が薄い部分に突き刺さり内部へと侵入。

 

 そして、一気に先程と同様の大きさとなってモンスター達を内部から焼き尽くした。炎は核である魔石のある部分だけを避けるように燃えており、燃え尽きて炭の様になった死骸からコロリと魔石が転がり落ちる。ネルガルがそれを拾ってバックにしまうと折れた手を繁繁と眺めだした。

 

「あっちゃ~。やっちゃったなぁ」

 

『ケケケケ、耐久を上げたいからってわ~ざとハードアーマードの攻撃を喰らうからだぜ』

 

「仕方ないでしょ? アイツらに復讐するには力がいるんだ。流石に追い詰められれば神の力を解放するだろうし、殺せないにしても苦しめたいしさ」

 

『へいへい、そうだな。まっ、せいぜい頑張りな』

 

 魔石やドロップアイテムを次々と回収していくと持ち込んだバックは一杯になり、ザハクが両足で掴んだ予備のバックもパンパンに膨れていた。懐中時計を見ると既に夜になっており、昼ご飯の途中で顔見知りと会って別れてから既に八時間程が経過していた。

 

 そろそろ帰る頃合だと判断したネルガルは頭に入れた地図を頼りに上階を目指し、途中襲って来るモンスターを魔法で撃破しながら上へと進んでいく。やがて外に出ると当然の様に既に星が輝いており、同じ様にダンジョンから出てきた冒険者達がダンジョンの入り口がある巨大な塔”バベル”の換金所に向かっていた。

 

「じゃあ、ギルドで換金してからホームに帰ろうか。……夕食は何処かに食べに行こうかな?」

 

 ネルガルはバックからはみ出た魔石を傷一つない左手(・・・・・・・)で弄びながらギルドへと向かっていった。

 

 

 

 

 

「ひ、一人で一六階層まで行ったぁっ!? ネルガル君、君は何を考えてるのっ!?」

 

「早くもっと強くなりたい」

 

 ネルガルが換金所に持ち込んだドロップアイテムの中にはミノタウロスの物も有り、エイナに中層にソロで潜った事がバレたネルガルは軽くお説教を食らっていた。その隣では金貨が詰まった袋の上で欠伸を噛み殺すザハクの姿が有り、ネルガルも注意を受けても少しも答えた様子がなく、むしろ何を怒っているのか分からないとでも言いたそうだ。

 

「あのね、いくら君がレベル二でも、ソロだと危ないの。ダンジョンでは何があるか分からないんだからパーティを組んで潜りなさい」

 

「でもさ、ベルさんは僕のと効果が似たスキルを手に入れたけどまだ弱っちいし、だからと言っていくらレベル二でも僕みたいな十歳の子供と組んでくれる人が居るとは思えないよ。強くなるのを待つ気なんかないし、僕にはやりたい事があるんだからさ。……ねぇ、もう行って良い? ご飯まだなんだ」

 

「ちょっと待ちな……」

 

 エイナの言葉の途中でその場を後にするネルガル。其の肩を掴もうと伸ばした手は虚しく空を切った……。

 

 

 

 

 

 

 

『僕はバイトの打ち上げに行ってくる。ベル君は『豊饒の女主人』って店に行くって言ってたよ』

 

 帰ってみれば誰もおらず置き手紙が残されている。昼に行って気に行った店などで自分も合流しようと思ったネルガルも『豊饒の女主人』に向かった。

 

 

 

 

『……おい、彼処に居る連中のエンブレム、ロキ・ファミリアだぜ』

 

「ロキってあの(ひと)が言ってた貧乳を司る碌でなしの神だっけ? まぁ神なんて大体が碌でなしだろうけどさ」

 

 ザハクが帽子の中から指し示したグループは都市最強の一角であるロキ・ファミリア。その中にはベルが惚れている剣姫アイズの姿もあった。少し店内を見渡せば隠れるようにしているベルの姿が有り、そこに向かおうとした時ネルガルの耳にガラの悪い青年の声が聞こえてきた。

 

「傑作だよな。あの新米、トマトみてぇに真っ赤になりやがってよ。なぁ? あれはワザとやったんだろ?」

 

 どうやら彼が話題にしているのはベルの事らしく、同じギルドの者が諌めるも彼の言葉は止まらなかった。

 

「全く情けねぇぜ。泣き叫ぶんだったら最初から冒険者になるんじゃねぇよ。あんなのと俺たちが同じ冒険者なんて反吐が出る」

 

「なぁアイズ。俺とあのトマト野郎、番に選ぶならどっちだ? どっちに滅茶苦茶にされてぇ? 組み伏せられるならどっちだ?」

 

「あんな奴がアイズ・ヴァレンシュタインの傍にいる事なんて許されねぇ! 何よりお前自身がそれを許可しねぇ!」

 

 青年の罵倒は酷くなり、最後の言葉でついに泣きながら店を飛び出していく。横切った時、彼の手の平に血が滲んでおり、強く拳を握り締めていた事が分かった。それを見たネルガルは、

 

 

 

(まぁ正論だよね。雑魚だったり子供だったりなんて言い訳にならないもん)

 

 特に憤る事もなく、平然と空いていた席に座った。

 

「あっ、一応あの人僕と同じファミリアだから僕が払っとくね。中層まで行ってお金あるし、同僚が食い逃げなんて広まったら居心地悪そうだしさ。……あっ、それ考えたら少し腹が立ってきた」

 

 ロキ・ファミリアの方を見れば先程アイズにセクハラ紛いの発言をしベルを罵倒した青年、ベートというらしい彼が仲間から締め上げられそうになっていた。どうもベルを心配して後を追おうとしたアイズがセクハラを気にしたと思っているらしい。

 

 

 

 

 

「お、俺は間違った事は言ってねぇだろっ!?」

 

 必死に足掻くベート。その時、彼の服の裾が引っ張られネルガルが純粋な瞳で見上げていた。

 

「ねぇねぇ、お兄ちゃん。組み伏せるとか滅茶苦茶にされたい、ってどういう意味なの?」

 

「んなっ!?」

 

 忽ち注がれる非難の視線。慌てふためくベートの後ろから団長であるフィンの声が掛けられた。

 

「ベート、子供も居る場所で言う台詞じゃなかったね。アイズの事もあるし……ちょっとお話しようか」

 

 そのまま何処かに引き摺られて行くベート。その姿を見ていたネルガルはボロが出ない内に元の席に戻ろうとしたが、其の肩に手を置かれる。振り返れば不機嫌そうな瞳のロキが立っていた。

 

「……なぁに? 神様が僕に何か用なの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……神にそんな演技が通じる訳ないやろ。あの糞馬鹿の動向は探っとったからお前の事もよぉ知ってるで。なぁ、”竜の悪魔(ブネ)”? アンタの主神はオラリオを追放されたはずやろ。どないして戻って来たんや」

 

「あの馬鹿なら天界に戻ってるよ。他の眷属もバラバラになったし、僕はやりたい事があるから戻って来たんだ」

 

「……まぁ、本当のようやな。もう一つ聞かせてや。坊主。お前は彼奴にどんな呪い掛けられているんや? 眷属全員に呪いを掛けるのが彼奴の趣味やからな」

 

 ロキは冷え切った声でネルガルを見下ろしながら冷たい声で尋ねる。だが、神に威圧されているにも関わらずネルガルは平然としていた。

 

 

 

「僕に掛けてくれた呪い? 簡単だよ。”復讐を遂げるまで恨み忘れるべからず”、だよ」

 

 むしろ感謝しているくらいさ、と笑顔で付け加えながらネルガルは笑みを浮かべた……。

 

 

 

 




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