トンガリ帽子の復讐者と小さい竜の迷宮物語 (リメイク開始) 作:ケツアゴ
不遇キャラって結構いるけど、昔ジャンプでやった直ぐに終わった連載のヒロイン?よりかはマシだと思う
男女の欲望渦巻く歓楽街。今日も男達は女を求め、女達はそんな馬鹿な男から金や心を巻き上げる。そんな歓楽街の殆どを取り仕切るのは美の女神たるイシュタルが主神を務めるイシュタル・ファミリア。そのイシュタル・ファミリアが所有する娼館。和の雰囲気を持つ其の建物の一室で、
「しっかし、同じ酒でも美人に酌して貰うと格段に美味いねー」
「まぁ、お上手ですね。ロビン様」
この男、ロビン・フッドは最近あるファミリアに入ったのだが、それより少し前にオラリオに来ており、こうやって歓楽街でこの娼婦……春姫の元に足繁く通っているのだ。
なお、入ったファミリアの主神とは歓楽街で知り合って意気投合したらしい。
「それで、今日はどのようなお話を?」
「へいへい。春姫ちゃんは、ほんっと英雄譚が好きだねぇ。あの可愛げのねぇ阿呆に見習って欲しいもんだぜ……そーいやお宅の団長でフリュネっていんだろ? この前話した阿呆餓鬼って其奴の義理の叔母さんらしいのよ。……捕まりそうになった時、俺が彼奴の元同僚って知ったら開放してくれたぜ」
「まぁまぁ。助かりましたね」
ロビンと春姫は娼館という場所にも関わらず、この様に話をしながら酒を飲むだけで過ごしていた……。
「へー。あの中途半端イケメン、オラリオに来てたんだ。森で狩人でもしてればいいのに」
『ケケケ。アイツと喧嘩してはケリィに二人揃って半殺しにされたよな。テメェはイリヤが甲斐甲斐しく手当してたけど、あの馬鹿は自分で治療してたっけか?』
「ず、随分と怖い所に居たんだね、君は……」
廃教会の地下室にあるヘスティア・ファミリアのホームにて、ネルガルは元同僚であるロビン・フッドが来ている事を知らされた時、会話の中身とは裏腹にその表情には悪感情は見受けられない。ただ、へスティアは少々引いていた。
「いや、レッドライダー・ファミリアって基本的に戦場に居たからさ。身内同士で争っている馬鹿には其のくらいしないと皆が危ないし」
『清姫や玉藻も何度も殺されかけてたよな。いやいや、懐かしいぜ。……んで、ベル。オメェ、最近他所のファミリアのサポーターと組んでるらしいじゃねぇか』
「うん。犬人でリリっていうんだけど。……其れがどうかしたの?」
『いーや? まっ、何かあっても自己責任で済ませな。俺達は暫くはダンジョン休んで遊んでるからよ』
「リフレッシュ休暇って奴だよ。……ウラノス様に目を付けられたみたいだし、暫くは大人しくしてないとね」
「……うん。今、不吉な事聞いた気がするんだけど……聞かなかった事にしたほうが良いかな?」
「まぁ、木っ端ファミリアの主神でマイナー女神のヘスティア様がどうこう出来る相手じゃないし?」
「……僕はもう寝るよ、明日もバイトがあるしさ」
ヘスティアの今の借金。屋台を事故で吹っ飛ばした際の借金 ???ヴァリス。ベルのナイフ代 二億ヴァリス。ネルガルから借りたドレス代十万ヴァリス。
借金完済の目処……未だ見えず。明日も借金女神ヘスティアはバイトに精を出すのであった。
「……今日はダンジョンに潜らないのですね」
いつもは昼間も其れなりににぎわっている豊穣の女主人だが、この日ばかりはガランとしていた。リューは原因となっているネルガルの元に料理を運びながらジト目を向ける。先程から入ってくる冒険者はネルガルの姿を見るなり逃げ出すように店を出て行き、彼の席の周囲だけ客が居ない空白地帯が出来ていた。
尚、売り上げで給料が変わるので店員達は非常に困っているものの、餓鬼に怯えて出ていく根性無しが悪いというミアの意見もあって何も言えないでいた。
「うん、暫くはお休み。ファミリアは貧乏だけど僕はお金有るし」
「そうですか。……何か嫌な事でも有りましたか? 何処か機嫌が悪そうですが」
『ちょいっと理想主義の糞野郎と合ってな。此奴、そう言う奴嫌いなんだよ』
「叶いもしない理想を語る奴って嫌だよねー。しかも、耳聞こえの良い事だから、共感した人は協力する。乗り込んだのが泥船だと知らずにね。後は引き返せない所で沈むだけさ。……そういう馬鹿は、理想に溺れて死ねるなら幸せなんだろうけどさ」
まるで、そういう馬鹿を知っているかの様な口ぶりで吐き捨てるネルガル。リューが気づかない内にその頭にそっと手を伸ばした時。入り口から騒がしい声が聞こえてきた。
「ミア母ちゃーん! 酒飲ましてーな。チビの所の糞餓鬼せいで暫く贅沢出来へんねん。今日は飲み溜めにって、おったぁぁぁぁぁっ!!」
ロキはネルガルの姿を見るなりチョップを繰り出す。ジャンプと共に放たれた手刀は勢いよく迫り、咄嗟に盾にされたザハクに命中した。ザハクのレベルは九。ロキは神だが今は一般人レベルの体しか持っていない。結果、手を押さえながら悶える貧乳が完成した。
「えっと、お兄さ……お姉さんはロキ様だよね?」
「今お兄さんって言い間違えたやろっ! そんなにウチは男に見えるんかっ!」
「ごめんなさい、凄い貧乳だから男と間違えたんだ」
「そない済まなさそうな顔すんなやぁぁぁぁぁっ!!」
再び放たれるチョップ。無論、又してもザハクが盾にされた。
「ったく……」
「ごめんなさい。今日は僕が奢るから……」
機嫌を悪くしたロキだが、なぜかネルガルの隣の席に座るとメニューを広げ出す。流石に貧乳の事を指摘されたのがショックだったのか少し涙目で、ネルガルは頭にミアの拳骨を落とされて少し痛そうだ。
「なら、一番良い酒を……」
「うん、良いよ。僕、主神が駄目だから頑張ってお金稼がないといけないし、まだ十歳だけど遠慮せずに飲んで」
「出来るかボケぇっ!! それで飲んだら丸っきり悪役やないかいっ!! あっ、今日のおすすめセットと生ビール」
取り合えず値段も手頃なもの(それでも他の店よりは割高)を頼んだロキは既に他の場所で飲んできたのか酒臭い息を吐きかけながらネルガルの頭をグシャグシャと撫で回しだした。
「ったく、お前みたいなガキンチョが随分とやるようないか。アイズたん達から聞いてるで。……ウチのファミリアに来んか?」
「いや、ロキ様ってレッドライダー様の同類でしょ? 天界では随分と悪さしたって聞いたし、殺しと苦しみを見るのが何より好きなあの神様と友達をやってたって神様のファミリアはちょっと。……主神は馬鹿でお人よしの方が利用しやすいし」
「随分と腹黒やなぁ……」
最初から断られると思っていたのか、ロキは直ぐにネルガルから手を離すと運ばれてきたジョッキをグイっと傾ける。グビグビと生ビールが一気に流し込まれ、ジョッキがテーブルに叩きつけられた。既に腹が一杯なのか興味なさそうに大欠伸していたザハクだが、何かに反応したように窓から外に飛び出す。
『……ネルガル。俺は少し散歩してくるぜ』
まるで何かに怯えるかの様に飛び出していくザハク。ロキはその様子に首を傾げながらもネルガルをどう誘うかの方を優先しだし視線を外す。
「ふふふ。つ・か・ま・え・た・ぁ。さあさて、これより逃げた大嘘吐きを焼いてご覧に入れましょう」
その視線を外した一瞬で、少女の細く白い腕がザハクの小さい体を掴み取った。
その漫画、一話の見開きカラーイラストで主役と合わせて三人の少年少女が描かれていたが、少女は一コマすら登場する暇もなく連載終了
ところで清姫さん。焼き殺しそこねたら貴女が嘘つきになりませんか?
あと、ダビデ要らん。今更星3貰っても……
意見 感想 誤字指摘お待ちしています
ところで主人公の父親が行方不明+短期終了=最終回でなんか父親がラスボスっぽいシーン の法則はどうにかならんかね?