堕天使な彼女の恋物語   作:nasigorenn

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今回は視点が違います。
『彼』が主役です。


番外 原作の流れに二人を乗せてみると……
番外その8 彼と彼女の部活風景を見た者の感想


 おっす、俺、兵藤 一誠!

いつも素敵なおっぱい求めて生きている求道者だ。

そんな俺だが、周りは理解してくれる奴が少なく、学園じゃあ『変態三人組』なんて呼ばれいつもゴミを見るような目で見られてる始末。一体俺が何をしたって言うんだ!

ただ素敵なおっぱいを求めて素敵な女子達の秘密の花園を覗いただけじゃないか。だってのに女子達はそれはもうキレまくって、いつも松田と元浜の二人と共に追っかけられる始末。そして捕まって折檻って名のリンチに遭うわけだ。

何故そんな目に俺が遭わなきゃならないのか……理不尽だと思わないか?

ま、まぁ、それはいい。それも今では昔の話だ。

何と今、俺はとある部活に入っているのさ。

 

その名も『オカルト研究部』。

 

そう、この学園でも超有名人が軒を連ねるあのオカルト研究部だ。

あの豊満なおっぱいのリアス・グレモリー先輩。部活に入ってからは部長って呼ぶよう言われてるから部長って呼ぼう。大和撫子なのにおっぱいは三桁という部長すら超える姫島 朱乃先輩。部活では朱乃さんって呼んでる。そして一年の可愛いマスコットこと塔城 小猫ちゃん。そのまんま小猫ちゃんって呼んでる。それに加え学園の癒やし系ことアーシア・アルジェントや一生懸命で一途な美少女レイナーレ・ハイブラウの二人も居るという、まさに学園きっての美少女が集まってるまさに天国。

え、男は居ないのかだって? お生憎、イケメンは敵だって決めてるんでね、数えないことにしてる。強いて言えば二人だ。学園の王子様こと木場 祐斗と、つい最近まで盲目で大変だったけど今は治って普通の生活を送れるようになった蒼崎 湊の二人だ。

二人とも女子からの受けはかなり良くて、特に木場はいつもキャーキャー言われてる。そいつはまさにイケメンって奴で、俺等からすれば敵でしかない。蒼崎に関してはそうじゃないんだけどな。

それで……何でこの部活に入れたのかを言うと、実はこれも蒼崎の御蔭だったりする。何せこの部活は部員の推薦と部長の認可がないと入れないのだから

 

 

 

 事の発端は蒼崎の目が治ってから数日経った頃だった。

その日も俺は元浜と松田の二人と一緒に教室内で夢溢れる『お話』をしていたわけだ。周りの女子達からは白い目で見られたけど、俺達はへこまないからな。夢を語って何が悪い! そう思いながら二人と一緒に『聖書』や『円盤』の交換をしていたわけだったんだが、いきなり蒼崎に話しかけられたんだよ。

 

「ねぇ、兵藤君。ちょっと良いかな」

 

その声に振り向くと、そこには蒼崎とハイブラウさんが立っていた。

いや、立っていたって言うよりも、笑顔で話しかける蒼崎の後ろにくっつくかのように身を寄せて赤い顔で蒼崎の両耳を塞ぐハイブラウさんがいたわけだ。

最初は何の嫌がらせかと思ったね。だって当たり前だろ。この恋人が出来ない悲しい野郎達の前で恋人とくっついているんだから。

だが、蒼崎はそんな俺達と違い純粋な眼差しで俺に声をかけたんだ。

その呼び出しに周りは何事かと騒いだが、ハイブラウさんも一緒ってことでそんな変な話にはならなかった。俺もそっちの気がないって思ってくれたことは嬉しいよ。女子曰く、蒼崎はそういう気の相手に気に入られやすいタイプらしいからなぁ。

それで呼び出されてそのまま連れてこられたのがオカルト研究部。

そこで部長達と会い、お茶を出されて座らされた。

素敵なおっぱいを間近で見られることは幸運だったが、何で呼ばれたのか分からない俺。そんな俺に蒼崎はイマイチ分からないことを言ってきた。

 

「う~ん……どうも兵藤君の中に『何か』感じるんですよ。何って言うのか、こう……別の何かが一緒の器にいるっていう感じで。部長達みたいな悪魔の気配でもレイナーレさんみたいな堕天使の気配でもない、変わった感じの何かを」

 

とのこと。

最初は何言ってるんだと思ったんだが、その後部長に言われた通りにした結果、何故か俺の左腕に変な籠手みたいなものが出てきたんだ。

いや、あの時はマジで驚いたね。何かの手品かと思ったけど、出したのが俺ならそれに種も仕掛けもないってことは分かってる。

それで戸惑っている俺を見て優しく微笑む部長に教えて貰ったんだけど、コレ、『神器』っていうらしい。何でも神様とやらが人間に残した特殊な力なんだとか。

その特別な力を持ってるんでハシャいだ俺だったんだけど、そのまえにどうしてそんなことを部長達が知ってるのかと思って聞いてみたら、予想外の答えが返ってきた。

 

「それはね……私達が悪魔だからよ」

 

そう部長が言うと共に、朱乃さんや小猫ちゃん、木場の三人が黒い蝙蝠みたいな羽を出したんだ。それに最初は信じられなかったけど、その後通常じゃ考えられないようなことを見せられれば流石に信じざる得なかった。何もない所から何本も剣を出したり、火や水や雷とかを出したりされれば誰だって信じるしかないって。

それじゃ蒼崎達もそうなのかと思ったら、違うみたいだ。

蒼崎とアーシアは人間で、ハイブラウさんは堕天使なんだとか。その翼を見せて貰えれば、悪魔との違いってのが良く分かった。

そして部長達から聞かされた悪魔や堕天使、それに天使を交えた3つの大きな勢力の話と現状。それがスケールが大きすぎて俺はついて行けなかったんだけど、最終的にはこうなった。

 

「あなたが神器保有者である以上、選べる道は二つ。一つ、アーシアや蒼崎君が所属している(湊は別にしていない)堕天使陣営の保護を受けること。これであなたは他の勢力やはぐれ悪魔に狙われる可能性は少ないわ。そしてもう一つ」

 

そこで言葉を切った部長は、何やら蠱惑的な笑みを浮かべて俺に告げた。

 

「悪魔に転生し、私の下僕になること。此方は私の管理下に入る代わりに色々な得点があるわ。寿命がかなり延びて人間とは比較にならないくらい長生き出来ること。それと上級悪魔になって主の元から独り立ちしたら、その時はあなたの配下を持てるようになるわ。そうねぇ……あなたの場合だと、『ハーレム』が作れるとか……ね」

「はい、はいはいはい! 俺、悪魔になります!!」

 

即決だった。

だってそうだろう。ハーレムが作れるんだぜ。そりゃなるしかないっしょ!素敵なおっぱいを集めておっぱいの楽園……最高じゃないか! それにそうじゃなくても、こんな素敵なおっぱいの持ち主である部長と一緒に居られるんだから、それこそ逃す手はないだろ!

こうして俺は悪魔に転生し、部長の『兵士』として部活に入ることになったわけさ。

まぁ、その際に何故か兵士の駒8個を全部消費するっていうことがあって、普通じゃ有り得ないってことで期待が大きいわけだが。本当、俺のこの籠手って何なんだ?

それに後から聞いたんだけど、部長達も半信半疑だったらしい。蒼崎がそういうことに感が回るタイプらしくて、それで発覚したんだと。当時は蒼崎様様って感じだったさ。蒼崎が気付いてくれなきゃ今頃俺は元浜達と教室で無為にエロ談義するしかなかったんだから。御蔭で頭が上がらないぜ。 

それは取りあえず、こうして俺はハーレム目指して毎日邁進することにしたんだけど、最近それもどうかと思い始めてきたんだよなぁ。

いや、勿論ハーレムを目指すことに変わりはねぇよ。何だけどなぁ……こう、ああいうのを見せつけられるとどうかと思うわけですよ、俺は……。

 

 

 

 この日も部活動に出向く俺。

最近はすっかり悪魔家業にも慣れ始め、仕事も何とか様になるようになってきた。

御蔭でやる気も漲り、部長と一緒って事で元浜達からのやっかみを受けるも軽く流せる。実に『勝ち組』な気分だ。

そんな気分で浮かれつつも旧校舎に入り、我等がオカルト研究部の部室の扉を開ける。

 

「失礼しま~す」

 

早速部長と朱乃さんの素敵なおっぱいを眺めようと思って入ったんだが、何故か部室には殆ど人がいなかった。

いや、正確には『女子だけが』いなかったんだ。だから部室には木場と蒼崎の二人だけがいた。

 

「あれ、部長達は何処に行ったんだ? 木場、何か聞いてないか?」

「あ、イッセー君。部長達ならまだ来てないんだ。理由は分からないんだけど……蒼崎君は何か知ってるかい?」

「僕も特には聞いていませんから。でもそうですね………少し考えてみると、ちょっとだけですけど分かるかもしれません。レイナーレさんが何か楽しみに待っているよう僕に言いましたし」

 

そして考え始める蒼崎。

こいつ、見た目は保護欲をそそられるイケメンって売りだけど、結構鋭いことを言うからなぁ。俺の神器もコイツが見つけたようなもんだし。

そして何か閃いたらしく、俺と木場に答えようとしたが、どうやらその答えは答える必要が無かったようだ。

 

「遅くなってごめんなさい」

「すみません、遅くなってしまって」

「遅れました」

「す、すみません~。遅れちゃいました~」

 

部長や朱乃さん、小猫ちゃんやアーシアは少しだけ慌てた感じで部室内に入ってきた。

 

「ごめん湊君、待った?」

 

そして最後にハイブラウさんが部室に入るなり、速攻で蒼崎の元に駆け寄る。

それは待ち遠しい相手と会ったと行った感じだ。そんな彼女に蒼崎はいつもより優しい笑みを浮かべて答える。

 

「そんなに待ってないですよ。レイナーレさんは絶対に来てくれるって分かってますから。だから何時間だって待てます」

「湊君………」

 

蒼崎の言葉に頬を桜色に染めつつ蒼崎を見つめるハイブラウさん。その表情はもう、あれだ。恋する乙女そのまんまだよ。

そしてそんな彼女が持っている物に今更ながら気が付いた。

その手に持っているのは、何やらラッピングされた小さな袋だ。そしてそれは部長や朱乃さん、小猫ちゃんにアーシアも持っている。

何で同じようなものを持っているのかと思ったら、そこで部長から答えが出てきた。

何でも、女子は皆、特別な授業を受けていたんだとか。部長が言うには女子対象の調理実習なんだとか。それも全校女子対象の。ただし、一遍に受けるのは部屋の問題もあって無理なので、学年に別れ、更にクラス別で行われたんだとか。

元女子校の名残らしいけど、俺には良く分からないよ。

ただ、分かってるのは………。

 

「はい、イッセー、ユート。せっかく作ったのだから、あなた達にも食べてもらいたいわ」

「どうぞ、お二人共。今それに合うお茶を淹れますわね」

「………祐斗先輩にならあげます」

「ど、どうぞ! 美味しく出来てると思いますので!」

 

部長達から手作りのお菓子を貰えるってことだ! イヤッホゥー!

そして差し出された袋を開けると、中に入っていたのはクッキーだ。部長達のような美少女が作ったと思うと、絶対に美味い気がする。勿論、不味くたって笑顔で食い切れる自信があるね。

そしてそのクッキーを摘まんで口に入れれば、そいつは幸せの味がするわけさ。

 

「う、美味い~~~~~! 美味過ぎる! これだったらポリ袋満帆だって食べきれますよ!」

「もう、イッセーったら大げさねぇ」

 

感動にむせび泣く俺、まさに勝ち組だろ。

そう思ったんだけどさ……上には上が居るんだよなぁ。

 

「湊君、今日の授業で一生懸命作ったの。た、食べて……」

 

顔を真っ赤にしつつ一生懸命にそう言うハイブラウ……面倒だからもうレイナーレさんでいいか。レイナーレさんが見惚れるような顔で蒼崎にクッキーを差しだした。

それを見て蒼崎は嬉しそうに微笑む。

 

「えぇ、勿論いただきます」

 

そして蒼崎はレイナーレさんから袋を受け取ろうとするんだけど、何故かその手は空を切る。その答えはレイナーレさんが蒼崎の手を避けたから。何でだ?

そう思ったんだけど、その答えは直ぐに出た。

レイナーレさんは袋から一つクッキーを摘まむと、それを蒼崎の口元に差しだした。

そして顔をトマトのように真っ赤にさせつつ傍から見てもドキッとするような可愛い顔で蒼崎に話しかけた。

 

「湊君、はい、あ~~~ん♡」

 

俗に言うはい、あーんって奴。まさかここでリア充の秘技を見るとは思わなかった。

それに対し、蒼崎は少し困ったような顔をする。

 

「レイナーレさん、もう僕は見えるんですからそうしなくても」

 

遠慮しているし、本心から言ってることも分かる。でも敢えて言いたい。

ケッ、このリア充がッ!

するとそう言われたレイナーレさんは少し瞳を潤ませ、蒼崎を見つめ始めた。

 

「だ、駄目?」

 

何、その滅茶苦茶可愛くて甘い声!?

まるで直に言われたわけでもないのに脳がとろけそうな感じを受ける俺。

それは当然蒼崎にも影響があるわけで、蒼崎も顔を真っ赤にしつつレイナーレさんを見つめながら答える。

 

「いえ、その…………駄目じゃないです」

 

むかつくけど仕方ない。あんなお願いされたら男は聞くしかないってのは良く分かる。それでも聞かない奴はただのホモだ。それぐらいさっきの『お願い』は威力が凄まじかった。

そしてレイナーレさんは笑顔になると、改めて蒼崎にクッキーを差し出す。

 

「はい、あ~~~ん♡」

「あ、あーん」

 

そしてクッキーを食べる蒼崎。良く味わうと、レイナーレさんの手を軽く握って返事を返した。

 

「とっても美味しいです。レイナーレさんはお料理もお菓子も上手ですね」

「そ、そんなことないって。でも、湊君にそう言ってもらえるのは嬉しい。だって……湊君に美味しいって言って貰いたいから頑張れるんだもの」

 

さっきから続く殺し文句の数々に外野である俺はかなりライフを削られる。

何、このカップル。見てて妙に落ち着かなくなるんですけど。

しかもそれは俺だけじゃない。部長も朱乃さんも小猫ちゃんもアーシアもみんな二人のことを見入ってるんだけど。それも皆顔が真っ赤だ。木場は何やら蒼崎や俺のケツを見ていたような気がする……気のせいだよな、きっと。

しかし、そんな周りの事など気にしていないのか、二人の進撃は止まらない。

気が付けば二人で近くのソファに座り込んでいたんだが、その距離が近い! だって身を寄せ合うってくらい近いんだぜ。そりゃあくまでも近いだけであってくっついてるわけじゃないんだけどさ。

そして蒼崎は幸せそうな笑みを浮かべつつ、レイナーレさんの持っていた袋からクッキーを摘まむと、今度はレイナーレさんに差しだした。

 

「とっても美味しいですよ。ですからどうぞ。はい、あ~ん」

 

差し出されたクッキーを見入るレイナーレさん。その顔は桜色に染まり、目が少し潤む。そして恥ずかしそうに口を開いた。

 

「み、湊君、これは湊君のために作ったんだから……」

 

しかし蒼崎は動かない。差し出されたクッキーを少しだけ動かし、はい、あーんを敢行する。

それに折れたのか、レイナーレさんは小さく口を開けて可愛らしく声を出した。

 

「あ、あ~~~ん………」

 

そしてクッキーを食べるレイナーレさん。口元を手で押さえつつ、何かをしっかりと味わってからゆっくりと嚥下した。

 

「ね、美味しいですよね」

「う、うん………湊君の御蔭でもっと美味しくなったかも……うふふふふ」

 

何、アレ? どこのお花畑?

 

「それは僕もですよ。だってこのクッキーから凄く伝わって来ますから。レイナーレさんの気持ちが。それをレイナーレさんが僕を想って食べさせてくれたんです。凄く嬉しいですよ」

「あぅ……湊君はそういうことをさらっと言うんだから……でも、嬉しい……」

 

あぁ~、何だ? 俺は今なにを食べてるんだっけ。あぁ、そうそう、クッキーだったな。いつの間にか角砂糖を口一杯に頬ばってるのかと思ったよ。

正直羨ましい限りで一杯だ。

だから俺は部長に少しでもこの気持ちを和らげるべく、お願いする。

 

「ね、ねぇ、部長! 俺にも食べさせて下さい」

「どうしたのよ、イッセー? でも、可愛い僕にそうお願いされたのなら、答えるのが主の勤めね」

 

部長はそう言いつつ、クッキーを一つ摘まんで俺に差しだしてくれた。

 

「はい、イッセー。あーーーん」

「あ~~~~~ん」

 

そして食べるのだが………。

可笑しいな、何か違う。部長みたいな凄いおっぱいの持ち主にそうして貰えるなんて幸せなはずなのに、何でか蒼崎とは違うんだよなぁ。

まるで俺のは小鳥とかに餌を与えるような、そんな感じ。

同じ行為なのにこうも違いが出るとは………。

 

やっぱり恋人ってのは凄い。俺も彼女が欲しい!

 

そう思うと、どうにもハーレムが正しいのか、最近疑問になってきたよ。

 

あぁ、俺もあんな風にイチャつきたい………。

 


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