堕天使な彼女の恋物語   作:nasigorenn

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今更ながらこの作品のレイナーレ。

『デレナーレ』、『エロナーレ』って感じがしたりしますね。タグに加えようかな(笑)


第70話 彼女は部下に吹き込まれる

 久々というには少し短い時だがレイナーレは部下の3人と道端で会い、世間話に華を咲かせたわけだが、どういうわけか今は3人に連行され近くのファミレスに連れてこられていた。

 

「さぁ、レイナーレ様、その青臭い青春を思いっきり吐くっすよ~」

「出来れば色々と聞いておきたいですね。恋人が出来た時の感想やら何やらを色々と」

「レイナーレ様が好いていた小僧がどのような男なのか、この際聞かせて貰いましょうか」

 

実に愉快そうにハシャぐミッテルトに興味津々と言った感じのカラワーナ。そしてドーナシークは自分の上司が好くのに値するのかどうかを見定めるかのようだ。

そんな3人に言い寄られ、レイナーレはは少し顔をひくつかせながら後ろへと退く。

この状態からは逃げられないことは既に分かりきっている。何せ奥の座席でその上3人にきっちりと逃げ場をふさがれているのだから。

それに何だかんだと言いつつも自分と湊とのことをサポートしてもらった(ほぼカラワーナ)のだから、それに答えるのもある意味当然のことなのかも知れない。

もう逃げられないのだし、それを話すことは致し方ない。

だが、それでもまず最初にしなければならないことがあることを彼女は忘れていない。

 

「わ、わかったわ。話すから、その前に少し連絡させて」

「それはいいっすけど、この場でお願いしますよ。レイナーレ様、妙にヘタレてるところがあるから席から離れたら逃げ出しそうだし」

 

ミッテルトにそう釘を刺され、残る二人も言葉にはしないが同意らしくレイナーレを見つめる。レイナーレはそんな部下3人に内心で溜息を吐きつつとある所に連絡すべく、携帯電話を掛けた。

そして待つこと少し、彼女の携帯は繋がった。

 

「もしもし、湊君」

『あ、レイナーレさんですか。どうかしましたか?』

 

レイナーレが電話を掛けた先、それは湊の部屋に置いてある室内電話だ。

いくら目が見えない湊でも電話は必要だ。かけてくる人物が少なくても連絡手段は必要だし、メールなどは出来ない湊でも通話は出来るのだから。

レイナーレは少し緊張しつつも、電話越しに聞こえる湊の声にドキドキする。

思えば彼と電話越しで話すのはこれが初めてかも知れない。そのせいか、彼女の胸は少し高鳴った。

 

「ごめんなさい、湊君。その、買い物帰りに部下達に会って、それで少し話してたらもう少し話さないかって誘われて」

『それってミッテルトさんとかですか?』

「うん、そうなの。だからその……もう少し御夕飯は待ってくれないかな。あ、あと15分で終わらせるから」

『そんな急がなくていいですよ。久しぶりにミッテルトさんや他の部下の方々と会ったのなら、積もる話もあるでしょう。もっとゆっくりしても大丈夫ですから』

 

その言葉にレイナーレは深い感謝を湊にする。

彼はお腹が空いているだろうというのに、それよりも自分のことを慮ってくれることに、彼女は感謝の念が絶えない。何より、レイナーレのことを優先してくれたことが彼女は嬉しくて笑みを浮かべてしまう。

 

「本当にごめんね、湊君…」

『寧ろ僕はいつも美味しいご飯を作って貰ってばかりなんですから、僕の方こそすみません。だから僕はいつまでも待ちますから、今は部下の人達との時間を大切にしてあげて下さい』

「うん、ありがとう、湊君。家に帰ったら、もっと頑張ってご飯作るから。その……湊君……大好き♡」

 

そして顔を赤らめながら電話を切るレイナーレ。最後辺りは小さい声だったが、それでも電話先にいる者には確実に伝わっただろう。

その顔は自分で言ったことに恥じらいつつも、どこか嬉しそうだ。

と、そんな様子を見ていたミッテルト達は実に面白そうなものを見た顔をしていた。

 

「いや~、レイナーレ様、すっかり若奥様気分っすね~。見ていて身悶えるくらいハズいっすよ」

「その……レイナーレ様は実に成長成されたと思いますよ」

「女の都合を考えてのフォロー……悪く無い選択ですな」

 

そんな部下の感想を聞き、レイナーレの顔は再び真っ赤になる。

 

「そ、そんなわけないじゃない! わ、私はその、まだお嫁さんだなんて、その早いけど嬉しいって言うか、湊君が旦那様って言うのは凄く嬉しくて、そのっ~~~~~~~~~~!」

 

部下に今の電話を聞かれて恥ずかしいという気持ちと今の自分の様子が部下から見てもそう見えると言うことに嬉しさを感じるためか、思考が滅茶苦茶になり最後は身悶えるレイナーレ。

そんな彼女を見てミッテルト達は実に満足そうに笑った。

 そして始めるレイナーレから部下への報告会。

 

「まず最初に、おにーさんとはその後どうなってるんっすか? カラワーナから恋人同士になったとは聞いてるッすけど」

「出来れば今後の経験のためにも、教えていただけると有り難いです」

「その男がどのような主義なのか知りたいものですね。もし素養があるのなら、私自らその道に誘いましょう」

「それは絶対に駄目!」

 

ドーナシークの言葉に突っ込みを入れつつ、レイナーレは改めて答える。

 

「その、恋人同士になったけど、だからってそこから先はどうかって聞かれると……」

 

少しもじもじとしつつ歯切れ悪くそう答えるレイナーレ。別に湊との仲は現在も進んでいるし、互いに想い合っているのだから幸せ一直線だ。だからこそ、ミッテルトの問の意味がイマイチ分からない。

そんなレイナーレに対し、ミッテルトはニヤニヤと悪どい笑みを浮かべながら言う。

 

「もう、焦れったいっすね~。本当に堕天使なのか疑いたくなるくらい純真なんっすから。そ・れ・で……どこまでいったんすか? A、B、C?」

「? 何で英単語が出るの?」

 

ミッテルトの問いに首を傾げるレイナーレ。流石に言い方が古かったのかもしれないと思い、ミッテルトは恋愛におけるABCを改めて彼女に説明し始めた。

 

「いいっすか、レイナーレ様。恋愛におけるABC、それはAがキスでBが……で、Cが………」

「ひぁ~~~~~~~~~」

 

それを聞いて顔を沸騰するかの如く真っ赤にするレイナーレ。どうやら彼女にはこの手の話題は早いらしい。恥ずかしさのあまり頬に両手を添えてもじもじしていた。

 

「それで、実際のところどうなんっすか? Aはもう当たり前っすよね。寧ろ告白とともにCなら盛り上がって良い感じかもしれないっす」

「わ、私、そんなはしたない真似できるわけないじゃない! そ、その……キスなら、その……」

「なっ、まだキスっすか!? 初心のねんねじゃないんですし、最初っからCくらい決めないと」

「そんな、いきなりそんな恥ずかしい事出来るわけないじゃないの! そ、それに私、まだその…そういうことはしたことないし、そういうのはもっとムードがある所で……」

 

そう言われてレイナーレは真っ赤になりつついやんいやんと否定する。

未経験の女性にこの話題は刺激が強すぎるらしい。

そんな様子のレイナーレにミッテルトは顔をずいっと近づけると艶やかな笑みを浮かべながら語り始めた。

 

「いいっすか、レイナーレ様。男っていうのは、結局のところ性欲は常に滾らせてるもんなんっすよ。だからこそ、ここはレイナーレ様が筆頭になっておにーさんをリードしないと。おにーさんは目が見えないんすから、その分レイナーレ様が頑張らないと。寧ろ目が見えないのなら、それはそれでいくらでもやりようがあるっす。まずは耳を………」

「キャーーーー! キャーーーーー! キャーーーーーー!」

 

幼い部下の口から出る実に卑猥な内容にレイナーレは顔を夕陽のように真っ赤にしながら耳を押さえて声を出し聞こえないとアピールする。しかし、ちゃかり指に隙間を空けているあたり、彼女も興味はあるようだ。

そしてミッテルトによる『男の悦ばせ方』を聞き終えた頃にはレイナーレの顔は茹で蛸のように茹で上がっていた。

 

「と、そんな感じっす。おにーさんはもの静かな感じっすけど、きっと心のどこかではレイナーレ様にあ~んなことやそ~んなことをしたがってるはずっすから、そこからはレイナーレ様の頑張り次第っすよ」

「み、湊君はそんなエッチなこと、しないもん………(で、でも、そう思ってたら、それはそれで……嬉しいかも……な、なぁんて……いや、そんな、湊君………えへへへへへ……)」

 

 他の2名の話を聞く前に、まずレイナーレは頭を冷やすべきだと思い、頼んだジュースを一気飲みした。

 

 

 そんな風にレイナーレが顔を赤くして恥じらっている頃、湊は………。

 

「レイナーレさん、ちょっとお茶目が過ぎますよ……どうしよう、まだ胸がドキドキしてる。その………僕もレイナーレさんのこと、大好きだって返したかったなぁ」

 

こっちもこっちでドキドキしているようだった。


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