深夜のテンションで書いてるから可笑しいかも知れません、色々と。
リアス達からの祝福を受けて赤面しつつも幸せを感じる湊とレイナーレ。
そんな熱々カップルっぷりを周りに見せつつ、彼等は数日を共に過ごしていく。
朝、愛しい彼の寝顔を見ながら微笑むレイナーレ。そんな彼女と一緒に朝食を囲めることに幸せを感じる湊。
そして一緒に手を繋いで登校する度に互いを意識して頬を染めつつも嬉しくて笑みを浮かべ合う二人。
お昼には共に昼食を取り、レイナーレの作ったお弁当を美味しいと言って喜ぶ湊。そんな湊に顔を赤らめつつも嬉しいと微笑むレイナーレ。湊もまた、そんな愛しい彼女の想いの籠もった料理を食べて、その想いに幸せを感じる。
そして放課後には二人でオカルト研究部がある旧校舎に行き、リアス達と楽しく語らう。レイナーレは恋愛に興味があるリアスや朱乃とのガールズトークに華を咲かせては弄くられ、湊は祐斗と共に世間話をする。
部活が終われば湊斗レイナーレは共に下校し、一緒に手と繋ぎながら夕飯の買い出しなどを行う。その際に軽く店の店員からからかわれては赤面する二人だが、双方とも満更ではないようだ。
そんな風に実にバカップル……もとい、仲睦まじい様子な二人は今日も又、実に幸せそうであった。
学校から帰り、室内で共に過ごす湊とレイナーレ。
夕陽が室内を照らし始め、少しすれば夜の帳が降りるだろう。そんな外の様子を彼女は見つつ、台所で料理を始めていた。
この時間にやるのだから、当然夕飯である。レイナーレは嬉しそうに笑いながら上機嫌に鼻歌を口ずさみ、まな板の上に乗せた食材を切っていた。
これもよく少女漫画であるネタだが、どういう訳か女性というのは上機嫌な時は鼻歌を口ずさみ台所に立つ。漫画で知った当初はどうなのだろうと思ったレイナーレだが、今では充分に理解していた。
(今日も湊君、美味しいって言ってくれるかな……えへへへへ)
大好きな彼の喜んだ顔が見たくて、そしてそんな彼に褒めて貰いたくて、彼を幸せにしたくて……そんな彼を見て幸せを感じたくて……。
そんな想いがあるからこそ、レイナーレは今日も湊を想いながら料理をしていく。湊に褒めて貰えることを思い浮かべるだけで心がキュンとする。それが嬉しいからこそ、こんな風に鼻歌を口ずさんでしまうのだろう。
そんなレイナーレに対し、湊もまたそわそわとした様子を見せつつ床に座っていた。
彼も又、年相応の男の子だということだろう。
愛おしい恋人が自分のために料理を作ってくれる。自分のすぐ近くで、嬉しそうに上機嫌に鼻歌を口ずさむその姿を見ることは出来ないことは残念だが、それでも湊はそんな彼女の様子を思い浮かべては可愛いと笑う。
要は恋人の料理している様子を感じとって胸をドキドキとときめかせているわけだ。
そんな二人の様子は傍から見たら、誰がどう見たって新婚夫婦にしか見えないだろう。若い幼妻が夫のために料理をつくり、夫はそんな妻の様子を見ては可愛くて胸をときめかせる……そんな感じだ。
本当なら共に手伝いたい湊ではあるが、目が見えない彼では手伝いようがない。故にこうして大人しく待つことしか出来ない。だが、レイナーレにとってそれが良いらしく、寧ろ可愛らしい声で湊にこうお願いするのだ。
「湊君、待ってて。私、湊君が喜んでくれるように精一杯頑張って美味しいご飯を作るから。その……湊君が大好きって気持ちを一杯込めるから……ね……」
「レイナーレさん………」
そんな殺し文句を言われては黙るしかないだろう。
当然湊はその言葉を聞いて顔をトマトのように真っ赤にしてぶんぶんと頷いた。そんな様子の湊を見てレイナーレは可愛いと頬を赤らめていた。
と、そんなわけで、湊は新婚の夫のように愛おしいレイナーレの料理が出来るまで暇を潰すのみ。
当然こんな二人がいる室内はドピンクな雰囲気で満たされる。もし此処に第三者が居たのなら、まず間違いなく『甘ッ!?』と反応するだろう。
そんな雰囲気が漂いレイナーレの鼻歌と小気味良い包丁の音が響く中、それは唐突にやってきた。
『ピーンポーン!』
それはこの部屋に来客を知らせるインターホンの音。
それを聞いて、レイナーレは一端手を止める。
「あれ、お客様? 新聞か何かの勧誘かな。だったら断らないと」
実に所帯じみた感想を洩らすレイナーレは玄関に行こうと思い手を洗おうとする。
しかし、そんな彼女に湊は待ったをかけた。
「レイナーレさん、僕が行きますよ」
「そんな、湊君が行かなくても私が行けば…」
湊を煩わせてはいけないとレイナーレはそう言うが、湊はそれに軽く首を横に振る。そして笑顔でレイナーレに答えた。
「そんなことないですよ。寧ろ、一生懸命にレイナーレさんがご飯を作ってくれてるのに、何もしないなんてやっぱり申し訳無いですから。これぐらいやらせてださい。その……ここは僕の住んでいる部屋ですし、レイナーレさんの家でもあるんですから、これぐらいは手伝わないと……」
「そ、それなら、お願いします……(キャーーーー! 何か、こう……新婚夫婦みたいで…いいかも……)」
実に甘酸っぱいやり取りをして、湊はレイナーレに戻るように言うと玄関へと向かう。そして室内のマイクで外にいる人物に声をかけた。
「あの、どちら様ですか?」
『あぁ、お前さんが来たのか。まぁいい、開けてくれ。あの時の非常勤講師だよ』
湊は聞き覚えのある声を聞いて思い出し、その人物に挨拶をする。
「あぁ、あの時の先生でしたか。今日はどのような用件で? また他の先生方が忙しかったんですか?」
『覚えていてくれて助かる。お前さんの予想通りってところだよ。家庭訪問ってやつだ。まぁ、実質はホームステイが上手く行ってるのか様子を見に来たってところだけどよ』
湊は見えないが、室内モニターに映る『黄色と黒の二色の髪をした中年の少しワルそうな男』がニヤリと笑った。
湊は教師が来たと判断し、その扉を開ける。
「そうでしたか……では、どうぞ。狭い所で申し訳無いです」
「気にすんな。一人暮らしなんてのはそれぐらいが丁度良いんだよ」
そして湊はその男を室内に招き入れた。
そのまま二人は狭い廊下を歩き、先に湊はレイナーレに声をかける。
「レイナーレさん、お客さんが来たので申し訳無いですが、一端料理の手を止めて此方に来てもらえませんか?」
「わかったわ。今行くから」
そしてレイナーレはお気に入りのエプロンを掛けたままコンロの火を止めると、湊がいる方へと歩き出した。
そして彼女は扉を開けた途端、その可愛らしい顔は凍り付いた。
レイナーレの目に入ったのは愛しい湊と、そして……ずっと昔から知っている人物のニヤニヤとした笑い顔であった。
「なっ、なっ、何で、此処に………」
「レイナーレさん?」
レイナーレの様子に不思議そうに首を傾げる湊。
そんな彼女に男はニヤリと笑いながら声をかけた。
「よぉ、元気そうにしてるじゃねぇか。上手くいってるようで何よりだ」
男からそう言葉を掛けられた途端、レイナーレは叫んだ。
「何で『アザゼルおじ様』がここにいるのよ!」
その心の底からの叫びに、男……堕天使の長たる総督『アザゼル』はしたやったりと言わんばかりに笑い、湊は何で先生とレイナーレが見知った仲なのか不思議そうにしていた。
「『アザゼルおじ様』? レイナーレさん、先生の知り合いなんですか?」
「先生? おじ様、どういうことなんですか!」
湊の言葉を聞いてレイナーレはアザゼルに問い詰める。その顔は驚きのあまり真っ赤になっていた。
そんなレイナーレが面白かったのか、アザゼルは笑いながら答える。
「いや、一応サーゼクスに頼んでなぁ、そういう肩書きも持ってるんだよ。決して嘘じゃないぜ。それでこうして俺が来たのはなぁ……」
実に愉快そうにアザゼルは笑いながら一端言葉を切ると、それまで誰も気付かなかったが持っていた包みをレイナーレの目の前に差しだしながら答えた。
「お前さんの恋愛成就のお祝いってことで来たんだよ。ほれ、赤飯。この国じゃめでたいことがあった時に作るんだろ? だからよ、持ってきてやったよ」
それを聞いて、レイナーレは恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にして俯いてしまった。