アタランテが咬ませ犬的ポジジョンなのが納得がいかない!というよりペロペロしたい   作:天城黒猫

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プロットを改めて確認したら、最終的に「原作? なにそれ知らねぇよ!」レベルではっちゃけていまして……タグに原作無視とでも入れましょうかねぇ? それとも、もう一回見直して原作通りに進めるか……とりあえず、自分が面白い方向に行くので、後になって叩かないでくれるとありがたいです……(チキンなりの予防線)








作家への提案

「──(アグニ)よ」

 

 その声とともに、檻の如く“赤”のアーチャーを囲む杭が、激しく噴出する高温の炎によって取り払われる。それを機とした“赤”のアーチャーは、正面から迫り来る“黒”のセイバーの宝具による光線から逃れるためにスキルを最大限使用し、さらに自慢の脚力も発揮して逃れる。

 

「“赤”のランサーか」

 

 と、“赤”のアーチャーは先ほどの炎の主を見定めて呟く。

 

「その通りだ」

 

 と、“赤”のランサーは言う。その身にまとう黄金の鎧は、夜だというのにさながら太陽の様に光り輝いており、彼の周囲を照らす。

 

「だが、オレが助けなくてもお前ならば脱出出来ただろう。余計な世話だったか?」

「いや、そうでもない。おかげで余計な体力を使わずに済んだ」

「そうか」

 

 と、“赤”のランサーは頷く。

 

「いつの間に、一体どこから現れた? まぁその様な些細な事よ。“赤”のランサーよ。お前もまた我が領地を荒らす無粋な蛮族の内の一つに過ぎん。我が杭の前に果てるが良いわ!」

 

 と、“黒”のランサーは猛禽類が如く鋭い目つきで言う。

 そして彼が手を振るうと、一度“赤”のランサーの足元より杭が生える。それを“赤”のランサーは跳躍して回避する。

 

「さて」と、地面に着地した“赤”のランサーは言う。「“赤”のアーチャーよ。助太刀させてもらおう。お前はオレの後ろから矢を射ってくれ」

「良いだろう。“赤”のランサーよ。ならば汝はあの二人を引き止めていろ」

 

 と、二人の英雄は前方が“赤”のランサー、後方が“赤”のアーチャーという陣形を一瞬にして取る。

 迫り来る“赤”のランサーの槍を“黒”のセイバーは漆黒の大剣で迎え撃つ。

 

「……“赤”のランサーよ」と、“黒”のセイバーは言う「まさかこうして再び刃を交わせるとはな。嬉しく思うぞ。本来ならば一騎打ちと行きたいところだが、今回はそうはいかないだろう。元より是れは聖杯大戦、一人の兵士としてお前の首を取らせてもらおう!」

 

 と、“黒”のセイバーは“赤”のランサーが振るう槍と撃ち合いながら言う。激しい両者の打ち合いは、お互いの武器が触れるだけで大地が抉れ、空が悲鳴を挙げる。その最中で、“黒”のランサーもまた、“赤”のランサーに己の槍を持ち、杭を生やしながら襲いかかる。“赤”のアーチャーもまた、時折大地より生える杭から逃れながら、“黒”のセイバーとランサーの二騎に、正確無比な射撃を行う。

 そういった混戦の中で、誰しもが最善の判断を行い、最善の行動を行う。戦況は拮抗していた。

 

「なるほど」と、“黒”のランサーは言う。「このままでは最初に“赤”のランサーと“黒”のセイバーの両者が戦った時のように、また夜明けになるまで戦い続けてしまいそうだな。それは余が望むような展開ではない。というわけで、ここらで御終いとしようか!」

 

 “黒”のランサーは己の宝具を発動する。その瞬間、“赤”のランサーの肉体が、激しい痛みに襲われる。さしもの“赤”のランサーといえど、その痛みに呻き声を漏らす。

 

「我が槍による一撃を喰らった時点で、貴様の肉体は我が領地と化した。それが意味することとは、即ち串刺しの刑罰なり!」

 

 そして、“赤”のランサーの肉体を押しのけ、或いは削り取りながら、彼の肉体の内部より無数の杭が外側に向かって発生する。こうして“赤”のランサーの肉体に()()()()()()杭の先端には、彼の肉片乃至鮮血が付着していた。

 

「さらばだ! “赤”のランサーよ!」

 

 こうして出来上がった一瞬の隙を付き、“黒”のセイバーとランサーの両者は“赤”のランサーに止めを刺そうと襲いかかる。だが、その瞬間に、“黒”のサーヴァント両者の肩或いは足を“赤”のアーチャーの放った矢が貫く。

 

「やはり、獲物を仕留めるときは、たとえどのような大英雄でろうと、無防備である事は変わらんな。さぁ、汝等が吾々を串刺しにせんとするのならば、私も汝らを串刺しにしようではないか。──訴状の矢文(ポイボス・カタストロフェ)!」

 

 “赤”のアーチャーの宝具により、天上から無数の矢が大地に向かって雨のごとく降り注ぐ。

 

(アグニ)よ、杭を燃やし尽くせ!」

 

 と、“赤”のランサーは炎を纏い、己の肉体に突き刺さった杭を燃やし、溶かしていく。そして眼前の2騎に槍を振るう。その槍を受けるは“黒”のランサーだ。だが、“赤”のランサーは同時にセイバーまでもを相手し、二人をその場に引き留める。

 

「大人しく“赤”のアーチャーの宝具をくらってもらおう」

 

 そしてとうとう、矢は彼ら3騎の元へと降り注いだ。傘のごとく矢を防ごうと生える杭は、すぐさま“赤”のランサーによって粉々に粉砕される。

 

「ヴラドⅢ世に、ジークフリート。両者とも名を馳せた大英雄だ。これだけで仕留め切れるとは思っておらん。よって、念入りに攻撃させてもらおうではないか!」

 

 と、“赤”のアーチャーは降り注ぐ矢が3人に接するかどうかの中で、更に己の弓に矢を番えて放つ。これを連続して放たれた矢は、無数に降り注ぐ矢と交差して、さながら“黒”のサーヴァントの二騎の墓標とでも言うように、十字を描いていた。

 そして、矢は“黒”のランサーの肉体に次々と突き刺さる。一方、“黒”のセイバーは背を庇いながら、尚且つ“赤”のランサーの攻撃を捌きながら、降り注ぐ矢を対処していく。それでも流石のジークフリートといえども無理があった。とりわけ強く引き絞って放たれた“赤”のアーチャーの矢に鎧を砕かれ、“赤”のランサーの凄まじい、無数の攻撃に傷を負わされ続ける。

 

 

 

 音速にも等しい速度で、空を走る戦車の上で“赤”のライダーは次々と飛来してくる矢を、手に持った馬上槍で捌いていた。

 

「畜生! 中々近づけねぇ!」と、“赤”のライダーは愚痴をこぼす。「だが、それでこそだ! “黒”のアーチャーよ! そうでなければ詰まらん! 英雄の戦いとは、難解なものであり、激しいものであり、厳しいものだ!」

 

 と、“赤”のライダーは暗闇の向こうから現れる矢を振り払いながら、手綱を手にして馬の足を加速させる。

 それを暗闇の中でも鋭く見定めた“黒”のアーチャーは、ますます矢を放つ速度を加速させてゆく。

 

「“赤”のライダーよ」と、“黒”のアーチャーは相手に聞こえずとも言う。「前にも言ったが、例え弟子とは言えど手加減はせん!」

 

 と、“黒”のアーチャーは言う。そして放つ矢に魔力を込め、速度の緩急をつけたり、機動を曲げたり、ライダーに触れたら爆発させたりさせる。それに“赤”のライダーは驚きながらも、全てを捌いていく。

 そして、とうとう“赤”のライダーは戦車を空から地へと降下させ、大地の上を走らせる。高速で回転する戦車のタイヤは地面の表面を抉り、石を粉々に砕く。大地を蹴る3頭の馬の蹄は、大地に穴を作りながら、戦車を牽引する。

 

「さぁ!」と、“赤”のライダーは眼前に見える“黒”のアーチャーに言う。「勝負だ! “黒”のアーチャー(ケイローン)よ!」

「良いだろう、“赤”のライダーよ! ただし、これは聖杯大戦だという事を忘れるな!」

 

 突如、“赤”のライダーが騎乗する戦車に衝撃が走った。“赤”のライダーはやおら後ろを振り向く。そこには、純白の花嫁衣裳に身を包んだ“黒”のバーサーカーがいた。彼女は跳躍して戦車に飛び乗ったのだ。

 

「ヴァ゛ァ゛ァァァァアアヴヴヴゥゥゥゥ────!」

 

 “黒”のバーサーカーは、耳にした者全ての気を狂わせるほどに、おぞましい絶叫をあげる。それを至近距離で耳にした“赤”のライダーは一瞬怯む。そうして出来上がった隙に、“黒”のバーサーカーは手に持った巨大な戦鎚(メイス)を振るう。だが、“赤”のライダーはすぐに思考力を取り戻して、それを捌く。だが、“黒”のバーサーカーは、なおも戦鎚(メイス)を槍の様に振るい、“赤”のライダーに攻撃を加える。

 そのわずかな攻防の中で、“赤”のライダーは違和感を覚える。

 

「お前、バーサーカーにしては随分と技が冴えていやがる! というよりは、この技の型には覚えがあるぞ。そう、嫌というほどに知っている! さては、“黒”のアーチャーに何か仕込まれたな?」

「ええ」と、“黒”のアーチャーは言う。「その通りですよ。“黒”のライダー。彼女には私の技術を授けました。それにより、彼女はバーサーカーらしかぬ歴戦の戦士の如く、技量を持って武器を振るいます。……ですが、それよりも、これは聖杯大戦だと言ったぞ? “赤”のライダーよ。相手は彼女だけではない! それを忘れたか?」

 

 “赤”のライダーは“黒”のバーサーカーの攻防の中で視線を背後に向ける。そこには、“黒”のアーチャーが至近距離まで接近し、弓に矢を番えていた。

 だが、“赤”のライダーは何ら驚いた様子も見せずに言う。

 

「いいや! 忘れる訳がないだろう? もしも俺がお前の事を忘れていると思うのならば、それこそ聖杯大戦だという事を忘れているのは、“黒”のアーチャーよ、貴様だ! この“赤”のライダーの真名はアキレウス! 最強無敵であり、様々な試練を乗り越える勇者が召喚されているのだぞ!」

 

 と、“赤”のライダーはその見事な槍さばきで、“黒”のバーサーカーの攻撃をあしらいながら、“黒”のアーチャーが放った矢を弾く。

 

「そうですね。確かに貴方は様々な試練を乗り越える勇者、アキレウスだ。アキレウスそのものだ! ですが、私とて様々な戦いを経験しており、様々の敵を仕留めてきたのだ! そして、最後には毒矢を受けて死を遂げた。だが、私の物語はそれで終わりではいぞ!」

 

 と、“黒”のアーチャーが言った瞬間、“赤”のライダーの背中に一本の矢が深々と突き刺さった。その矢の矢尻は、彼の胸から僅かに露出していた。

 

「馬鹿な!」と、“赤”のライダーは驚愕しながら言う。「正面に居るのに、後ろから矢が放たれるだと? 流石のお前とて、そこまでの曲射は不可能のはずだ!」

「いえ、それは違いますよ、“赤”のライダー」と、ケイローンは星空を指さしながら言う。「私は既に天にて矢を構えている! 後は放つだけだという訳だ!」

 

 

 

「やぁ、今晩は!」

 

 と、泉は地面に降り立ったシロウ・コトミネに笑いかける。

 

「ええ、今晩は。“赤”のアーチャーのマスター、川雪泉さん」

 

 と、シロウ・コトミネも神父特有の、人々を安心させるような微笑みで言う。

 

「で、早速で悪いんだけど、あの城で聖杯を奪うつもりなの?」

「何故それを知っているかは置いておきましょう。その通りです。アレはアサシンの宝具です。彼女が城にいる限り、彼女は神代の魔術師としての力を得ることができます。そして、城の力も手伝い、ユグドミレニア一族の城にある大聖杯を奪還する、という計画ですよ」

「へぇ、それは随分と大掛かりだね。というか、あの城自体、用意するのにかなりの準備が掛かっているでしょう? あれだけ巨大な宝具ともなると、外部で用意しなきゃならないし。運送料とか、一体どれだけのお金をかけたのらや。……ま、そこはどうでもいいや。僕にとって重要なのはね」

 

 と、泉はシロウ・コトミネの背後を見やる。そこには、誰もおらずただ後ろに木々が立ち並んでいるだけだ。

 

「いるんでしょう? “赤”のキャスター」と、泉は言う。「実体化してくれないかな? 少し、君とお話したいんだ」

「ほほう!」と、“赤”のキャスターは、興味津々といった様子で顎鬚を撫でながら言う。「私にお話ですか? それはそれは。確かに何時か私から伺いたいと思っておりましたが、『計ったように時間ぴったりにやって来たな』! ですが、今回は取材とはいかないようですな?」

「取材は後で受けてあげるよ」と、泉は口の端を釣り上げ、不敵に笑いながら言う。「──少し、提案があるんだ。稀代の天才作家、ウィリアム・シェイクスピア」

 

 

 




アタランテのアレは、ケインチを読んでいたら思いつきました。


次回と次々回
なんかもう、色々とカオスになります。

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