ものすごくエロい人間だからこそわかることもあるのかもしれない 作:佐渡カラ君
火曜日、少しみんなから遅れて学校についた岳は、いつもよりすごい賑わい(というか騒ぎ)に違和感を覚えた。
「どうかしたのか?」
岳は、隣の席の七海に聞いてみた。
「ああ、なんかね、このクラスの転校生来るんだって。」
「え?まじで?二学期始まったばっかなのに。」
「ね。それみんな言ってる。」
「え、それってさ、女子?」
「はぁ・・・岳はそうやっていつもいつも・・・知らないけど、Dカップの超美少女だといいですねー」
「うん!だといいな!」
「気持ち悪い・・・」
その時、先生が教室に入ってきた。
「えーっとぉ、聞いてる人もいると思うんだけど、今日、このクラスに転入生が来たので紹介したいと思いま~す。」
軽い先生に手招きされて1人の女子が入ってきた。女子だ!女子だ!女だ!思わず顔がにやける。
・・・胸は、、、まな板に等しい気もするが、さすがにAはあるだろう。
「えーっと、水布江です。水布江美奈です。よろしくおねがいします。」
おとなしい性格なのか、それしか最初はしゃべらなかった。その女子は、なぜか岳の、斜め後ろ、つまり七海の後ろの席になった。
一応、声をかけてみることにした。
「あの、筑波岳です、よろしく。」
「よ、よろしくおねがいします、、、」
なんか、照れてるところがめっちゃ可愛いんですけど。・・・っていうか、顔が神。
休み時間、彼女のもとにはたくさんの女子がたかった。
「わたし、七海っていうの。美奈ちゃんだよね?よろしくね!」
「はい・・・よろしくおねがいします、」
「敬語使わなくて大丈夫だよ~!仲良くしようね!」
独占して彼女と話していた七海だが、みんなも話したがっていたのでさすがに空気を読んでその場から離れた。
帰る時も七海は積極的に話しかけた。
「ね、美奈ちゃん、今日、この後空いてない?一緒にいろいろしよ!」
「別に・・・いい・・・よ」
「やった!美奈ちゃんの家ってどこなの?」
自然に話しながら学校を出る。
「坂下の、ステンデーズ・・・の、となりのマンション・・・」
「あ、そこ知ってるよ!あの、隣の班にさ、江川玲奈ちゃん、っていたのわかる?」
「あの、、、可愛い子?」
「そうそう!そのこがね、ステンデーズの向かいの家に住んでるんだよ!」
「へぇ・・・」
「あ、今日、この後さ、美奈ちゃんの家行って、、、あ、そっか、まだ片付けとか済んでないよね。あ、じゃあ、一緒の班だった岳って人わかる?その岳の家行こう!」
おとなしい人と一緒に入ると、より七海のおしゃべり度が際立つ。
「筑波君?」
「そう。わたし、家帰ってちょっとしたら美奈ちゃんの家行くから、待っててもらっていい?」
「うん。305号室だよ。何か持ってくものある・・?」
「ううん、まだきたばっかで忙しいんだから、大丈夫だよ。」
「わかった、じゃあ、待ってるね。」
「じゃね、ばいば~い!」
美奈は七海に小さく手を振ってマンションに入っていった。
家に着いた七海は私服に着替えていろいろ準備をして、まず玲奈の家に向かった。
「な~に~?」
「今からさ、美奈ちゃんと岳んち行こうと思うんだけど、玲奈ちゃんも来ない?」
「あぁ、行く!ちょっと待っててね、あがってて。」
「お邪魔しまーす。うわぁきれいだねー玲奈ちゃんち。」
「そうかな?あ、でも、お母さんが潔癖症だからね。」
「おそうじアドバイザーだもんね」
玲奈の母親の江川清子は、ちょくちょく雑誌やテレビに出るおそうじアドバイザーをやっている。美人なので人気だが、玲奈は母親がそういう仕事をしているのをあまり気に行っていないのか、親が江川清子だということは七海と学校の先生ぐらいしか知らない。
「うん。・・・そういえばさ、七海ちゃん最近田島君とはどうなの?」
「うーん、特に何もないかなぁ。最近学校でしか会ってないし、学校でも全然話してないし・・・接しにくいんだよね、まあそういう関係だっていうのもあるのかもしれないけど、岳と違ってもともとちょっと放しにくい人だから…」
「そっかぁ、、、なんかもったいないね。」
「そうだね、、、でも、まだ好きなんだよ!あっちかどうかはしらないけど・・・」
玲奈の家を出てからも、話は続いた。
「玲奈ちゃんはまだ岳のこと好きなんだよね?」
「うん、そうね。ぁ、あの、蒸し返すようで悪いけど、この前は本当にごめんね。友達なのに。私、七海ちゃんが一番のお友達だと思ってるから。」
「もう大丈夫だって。わたしも玲奈ちゃんが一番の友達だと思ってるから、これからも仲よくしよ!ね!」
「うん!ありがとう。」
「ここだよ!美奈ちゃんの家。」(というかマンション)
「あ、すぐ近くだったのね(笑)」
「そだね。」
美奈はすでにマンションのホールで待っていた。
「美奈ちゃん!来たよ~、玲奈ちゃんもいるけど大丈夫だよね?」
「もちろん。」
「じゃあ、行こう!」
「ここだよー!岳の家。」
そういって、七海はインターホンを鳴らした。
「はーい」
「あ、岳~?」
「え、、、なんで七海・・・」
「何その反応!いれてー!」
「わーわかったから、誰かと一緒?」
「えっとね、玲奈ちゃんと、美奈ちゃんと一緒。」
「美奈ちゃん?」
「ほら、水布江さん。」
「あ、水布江さんか。今鍵開けるから待ってて。」
3人は岳の家に入った。
「おじゃましまーす」
「あ、やっぱいい匂い。」
「・・・」
なぜかわからないけど、美奈はきょどっている。
「何しに来たん?」
「え?うーん、遊びたかったから?」
「小学生かよ。」
「は!?」
「ああ、ごめんごめん、幼稚園生だったね。」
岳は七海の髪をぐしゃぐしゃと雑に扱う。
「俺のタオル、使っていいから、手あらってね。」
「・・・・・・ぅぅ、、、」
何か言いたげな七海だったが、美奈がいたからかあきらめた。
「手を洗っている途中に、七海は皆にどこから来たのか聞いた。
「東京から来たの。」
「東京?」
「東京。」
「すごっ」
「・・・」
「兄弟は誰かいるの?」
「お兄ちゃんがいる。えっとね、高校三年生。大川さんは?」
「わたしは一人っ子なの。」
「そっか。」
いつの間にか美奈が自分から話すようになってきていた。
「岳、人生ゲームやりたい!」
岳の部屋に入った七海は、何を思ったのかいきなり叫ぶように言った。
「人生ゲーム?」
「あったでしょ?」
「あるけど、それマジで言ってんの?受験生だよ?」
「息抜きだよ息抜き!」
「ん、、、じゃあ、一回だけね。」
「やったー!」
「やっぱりお前幼稚園児だな。」
岳はため息交じりにいった。
「車何色がいい?」
「赤!」
「水色」
「じゃあ、オレンジ・・・」
「んじゃ俺黒。七海、お前がやりたいって言ったんだから銀行やれよ。」
「わかってるよ~!」
人生ゲームをやりながら、岳がエロいだの、あの先生は話が長いだの、いろんな話をした。
「おじゃましました!」
「おじゃましました~!」
「おじゃましました…」
「おう。じゃあな。」
「うんじゃーねー!」
「なんかいきなり誘ってくだらないことしちゃってごめんね。」
「ううん全然!楽しかったよ!」
「うん・・・わたしも楽しかった。今日はありがとう。」
「そっか!よかった!」
何のために来たのか分からなくなった美奈だが、なんとなく楽しかったし、これからが楽しみになった。
美奈はこの3人とすぐに仲良くなった。
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