どうもどうもどうも〜!短いので連日で投稿してきましたが、おそらくもうダメだと思います、シベリアです。
さてさて今回のお話はより"その後"に繋がるものだと思います!どういうところがそうなのかは自分の目で確かめてみてください!
──4月。
誰もが新生活を迎える中、ナオキは自室で1人机に向かって何やら本を広げていた。
次期ラブライブ!運営委員会の会長、つまりはそのトップに任命されているナオキは晋三から「正式に就任するまでに経済学とか勉強しておけ」と言われて現在絶賛勉強中だ。時々会社にも出向いて晋三の仕事を見学している。
「ちょっと休憩するか」
ナオキは椅子にもたれて体を伸ばして自身の労を自分でねぎらった。絵里と亜里沙はそれぞれ学校に行っていてこの家にはナオキ1人なので、現在は直接誰も労をねぎらってはくれない。
とりあえずお腹もすいたので昼ご飯を食べようとナオキはリビングへと向かった。
「ん、おじさんからだ」
ご飯中、ナオキはスマホの画面に表示されたおじである晋三の名を見て、口の中のものを飲み込んでからその電話に出た。
「もしもし?」
『もしもし?今大丈夫か?』
「うん、大丈夫だよ。どうかしたの?」
『いや、ちょっと話したいことがあってだな』
「話したいこと……?」
『そうだ、実はな───』
その内容を聞いたナオキは驚きを隠せず、電話を終えたあともそのことばかり考えてしまっていた。とても勉強にも集中できなかった。
───夕方。
絵里が帰ってきてナオキはそのことを話そうとリビングの机で向かい合って座った。絵里はなんのことか見当もつかず、少しドキドキしながらナオキの顔を見つめる。
「──実は、おじさんから電話があって、おれ達に
「えっ……!?そんな、まだ早いわよ……!」
「それでその結婚祝いなんだけど……」
「もう決めてくれてるのね、なんて言ってたの?」
期待に胸を膨らませる絵里はその内容にワクワクしていたが、ナオキは少し戸惑いの表情を残しながらその正体を話した。
「それが、どうやら
「そう、家……」
「それでそのことを絵里と相談して決めてくれって、いつから暮らすとかどんな家にするのか、色々───」
「───えぇ〜!?い、家って、あの家!?」
「妥当な反応だな。そうだあの家だ。ホームだ。ハウスだ」
絵里はまさかの結婚祝いに戸惑いを隠せずにあたふたとしていた。ナオキは自分と同じような反応を冷静に受け止めて共感していた。
「そ、そんなの本当にいいのかしら?」
「まぁ、折角だしな。それで住みはじめる日なんだけど……」
「普通なら1年ちょっとよね。だったら来年にでも───」
それから2人はその『家』についてのことに期待に胸を膨らませながら話していた。
その時、練習から帰ってきた亜里沙は2人の話し声を耳にしてリビングのドアのドアノブを動かす手を止めた。
「───亜里沙も暮らすとなると少し大きめがいいか?」
「そうね。長い間暮らした
「そうだな……でも亜里沙は納得してくれるかな?」
「でも亜里沙を1人でここに置いておくのは心配だし、一緒に新しい家で暮らす方がいいと思うわ」
「そうか……お義父さん達にはおれが説明するから、亜里沙には絵里が頼む」
「わかったわ。それじゃあご飯の支度するわね」
「あぁ、お願いするよ」
「───ここを離れる?一緒に新しい家で暮らす?それって……」
亜里沙は会話の内容を聞いて現在の状況を整理した。しかしまた姉の絵里が説明してくれるからと思い、何事もなかったようにリビングのドアを開けて元気よく「ただいま」と言った。
──翌日。
「あ〜やっぱりだ〜!」
亜里沙は1人っきりの部室で机に突っ伏してため息混じりに言葉を吐いた。他のみんなは買い出しで出掛けていて、新入生が来る場合に備えて亜里沙が部室に待機しているのだ。
昨日、あれから晩ご飯の時に絵里から説明を受けた。ナオキのおじである晋三から2人への結婚祝いに新居をプレゼントしてくれること。自分を1人で元の家に置いていくのは心配なのでしばらくはそこで一緒に暮らそうと考えていること。そしてもしどうしても元の家がいいのなら新居で暮らし始める日を伸ばすか辞めるかすると絵里とナオキは言っていた。
亜里沙自身、今の家がいい気持ちがあるがそうすると絵里達の新たな生活を邪魔することになってしまう。日本に来た時からずっと暮らしているあそこを離れるのは嫌だが、同じぐらいに2人の幸せが壊れるのが嫌だ。
「どうしよう……」
亜里沙が大いに迷っている中、みんなの話し声が聞こえてきて姿勢を正した。
「たっだいま〜!亜里沙、ジュース買ってきたよ!」
「お留守番してくれた報酬よ」
「童子先生は職員室?」
「えぇ、そうよ」
「「「───え?」」」
亜里沙の明らかにいつもと違う雰囲気にみんなは少し寒気を感じて戸惑いの声を出した。亜里沙の表情は至って冷静だった。しかしその冷静がいつも通りではないのだ。そんなことを思う3人をよそに亜里沙は言葉を続ける。
「ジュースもありがとう、いただくわ。私、先生を呼んでくるわね。その間にみんな準備をして待っててね」
亜里沙はそう言い残すとゆっくりと歩いて職員室に向かって行った。その背中を見つめながら3人は固唾を飲み込んだ。
「……ねぇ、亜里沙変じゃない?」
「うん、あれはまるで……そう、絵里先輩みたい」
「どこか頭でも打ったのかな?」
「これは調査する必要があるわね……」
「亜里沙……?」
雪穂、真癒美、瑞希はそんな亜里沙のことを不思議に思いながらとりあえず練習着に着替えた。そして長年付き合っている雪穂は誰よりも1番心配していた。
───練習後。
「なぁ、亜里沙ちゃん今日変やない?」
「はい。私達が買い出しから帰ってきてからずっとあんな感じでした」
「なんかうち、絢瀬さんを見てるようで……」
「ははは……そうなんですよね」
「しかも職員室に来た時もあんなんやろ?先生方も『なにかあったんですか?』ってびっくりしてはったわ」
童子は真癒美・瑞希と今日の亜里沙のことを話しながら屋上の階段を降りていた。亜里沙は先に部室の鍵を開けに行っており、雪穂は雪穂で亜里沙のことで頭がいっぱいだった。
「ちょっと私、帰り道で聞いてみます」
「うん、頼んどくわな」
「雪穂になら何か話すかもしれないし」
「そうね。なんたって雪穂は亜里沙の大親友だもんね〜」
「うん、任せて」
雪穂は亜里沙に事の真実を聞こうと固く決意をした。
「ねぇ、亜里沙。何かあったの?」
「……な、なんのこと?」
帰り道、有言実行して亜里沙の今の状態についての質問を投げかけると明らかにギクっとしていた。これは何かあると確信した瞬間だった。
「だって今日の亜里沙変だったもん。ミスが多かったし、ミスしても『ごめんなさい。次は気をつけるわ』って喋り方も変だったもん!」
「そ、そうかしら……?」
「ほら今も!」
雪穂に指摘された亜里沙は口をパッと押さえて雪穂に視線だけを向けた。その表情は疑い・心配といえるものだった。
「……雪穂、怒ってる?」
「亜里沙がちゃんと話してくれたら怒らない」
「………わかった、話すよ」
それから2人は近くの公園のベンチに腰掛けて、自動販売機で買った飲み物を飲みながらゆっくりと落ち着いて亜里沙の悩み、昨日絵里とナオキから聞いたことについて赤裸々に話した。
全てを聞き終わると雪穂は難しそうな顔をして唸り声を出した。
「亜里沙はあの場所がいいんだね」
「うん、わがままなのはわかってる。でも私はまだあそこから離れたくないの……!」
雪穂はそう言う亜里沙の真剣な眼差しに胸がグッと締め付けられ、親友だからこそできる決断をした。それには亜里沙の今の思いみたいに迷いもなかった。
「ねぇ、もし亜里沙が良ければなんだけど……」
「ん?」
その雪穂の言葉を聞いて亜里沙は戸惑っていたが、自分の中の嬉しいという気持ちにも嘘はつけなかった。
ナオキと絵里はいつもなら帰ってくるはずの亜里沙がまだ帰ってこないことを少し心配していた。もしかしたら練習が長引いているかもしれないと思い、亜里沙へ「早めに帰ってくるんだぞ」とメッセージを送った。
しかしそれからしばらくすると玄関の開く音がして、ナオキは絵里の代わりに亜里沙を迎えようと立ち上がってリビングの扉を開けた。
するとそこには亜里沙だけではなく雪穂がいて、雪穂はナオキの姿を確認すると一礼をした。
「雪穂……?どうしてここに?」
「ちょっとナオキくんと絵里さんに話があって」
「話?まぁ、とりあえず上がってくれ」
「お邪魔します」
ナオキと絵里は何の話か想像もつかず不思議そうな表情をしつつも、亜里沙と雪穂と向かい合って机を挟んで椅子に座った。
「それで、話って?」
絵里に出してもらったお茶をひと飲みすると、落ち着いた様子で雪穂は淡々と言葉を連ねた。
「あの、ナオキくんと絵里さんの新しいお家のことなんですけど……」
「「えっ!?」」
2人はまさかそのことを雪穂が知っていて、尚且つそのことを話題に出されるとは思わず頰を赤らめて驚きの声を上げた。
「あぁ、実は亜里沙から聞いたんです。それでお話したいのは亜里沙も一緒にそっちで暮らすってことなんですけど……亜里沙」
「うん、あのね……」
「……遠慮なく言っていいわよ。亜里沙のことだったらこれは
絵里は言うのを
「あのね、わがままだけど私……ここから離れたくないの。お姉ちゃん達と別のところに暮らすのも嫌だけどこの家も大事だから」
「それなら私達も──」
「──それはダメ!お義兄ちゃんとお姉ちゃんの暮らしを邪魔したくないの!」
「「亜里沙……」」
「それでね、これは2人が許してくれるかなんだけど、私…………ここで雪穂と暮らしたい!」
「あの、私からもお願いします!亜里沙がここにいたいって気持ちがある間でいいんです!」
亜里沙と雪穂は2人に懇願の意味を込めて頭を下げた。亜里沙からの提案は雪穂とここで暮らすということ。2人は顔を見合わせると雪穂と亜里沙の思ったよりも早く返事をした。
「いいわよ」
「うん、亜里沙がそうしたいならそうすればいい」
「「えっ……!?」」
「雪穂ちゃんのところのご両親はなんて?」
「あ、はい。絵里さん達が許すなら大丈夫だと。条件付きですが」
「そうか。なら大家さんに今から話してくる」
「うん、いってらっしゃい」
すると話は怖いほどトントン拍子で進んでいき、ナオキは2人が戸惑っている間に大家さんのところへ出掛けていった。状況への理解が追いつかない亜里沙と雪穂は唖然として扉の方を向いていた。
「え〜っと……」
「雪穂ちゃん、ご飯食べて行く?」
「あ、はい。いただきます……」
「お姉ちゃん、反対しないの?」
「なに?もしかして反対して欲しかった?」
「そ、そうじゃなくて……」
絵里はいたずらに微笑んでからその理由を2人に説明した。それはいたってシンプルなことだった。
「それはね、ナオキと亜里沙がそう言い出したら許そうって話してたからよ。それに、私もここから離れるのは少し嫌だったから……」
「お姉ちゃん……!」
「でも雪穂ちゃんが一緒だから安心だわ。亜里沙1人だったら心配だもの」
「ははは……ありがとうございます」
「あ、さっき言ったことはナオキには内緒だからね?」
「「は〜い」」
女子達の笑い声がリビングに響く中、ナオキは大家さんの部屋に向かって歩きながら晋三に電話を掛けていた。
「おじさん、あの件お願いしても大丈夫?」
『あぁ、もちろんさ。絵里さんの妹さんの……えっと……』
「亜里沙だよ」
『あ〜そうそう。亜里沙ちゃんとは話がついたということだな』
「そういうこと。亜里沙は穂乃果の妹と一緒に暮らすらしいから」
『そうか……そうしたらこっちで準備は進めておくから。また何か聞くかもしれないが』
「わかった。じゃあ、お願いします」
電話が切れるとスマホをポケットにしまってもう暗くなってきていた空を見つめて、これからの将来に期待を胸を膨らませた。
「さ、お腹もすいたし早く済ませるか」
ナオキは1人でそう呟くと少し急ぎ足で歩いていった。それは今日の晩ご飯はもちろんのこと、
────残り3話。
ありがとうございました!
ナオキくんと絵里が新居、愛の巣で暮らすことが決まりました!めでたいですね!
それに雪穂と亜里沙の同棲ですか。くそっ……じれってーな。俺ちょっとやらしい雰囲気にして来ます!
ってことでAfter wayの予定はこれにて終わりなんですけど、次回は超久しぶりで最後の「Another way」を投稿する予定です!
残り3話となりましたが最後までどうぞお付き合いください!感想や評価、ツイッターのフォローもお願いします!ばいなら!