みなさんお久しぶりです!そしてお待たせ致しました!
いよいよ今回はラブライブ!の本戦決勝です!そして久しぶりにあの人達も登場……?それではどうぞー!
───夢の舞台へ駆け上がれ!
───秋葉ドーム。
ついにやってきたラブライブ!本戦決勝の舞台、秋葉ドーム。東京ドームという名がポピュラーだったが、スクールアイドル界隈では秋葉ドームと呼ばれる事が多くなった。
現在となっては伝説と呼ばれているスクールアイドルμ’s、そしてそれを合わせた三大スクールアイドルと呼ばれるA-RISE・ナニワオトメを中心とした当時のスクールアイドル達の活動の結果、それから毎回本戦決勝はこの場所で行われている。スクールアイドルをするもの、目指すものにとってこの場所は最大の聖地。そしてひとつの目標になっている。
その夢の舞台をいよいよ明日に控えた選手達は、一足先にリハーサルのためにこの場を訪れていた。
横に広がる本ステージ、観客席の方にある円形ステージと2つのステージを結ぶ短い通路。ステージ後方にはハート型を中心にして星型、数々の放物線風のオブジェが施されていた。さらにスクリーンはステージ中央と両端の後方に1つずつ設置してあり、円形ステージの真上にはぶら下がるように計8つのスクリーンがダイヤモンド型に設置してあった。
前回のラブライブ!とは違って、全体的にドーム開催にふさわしい、
「ハ、ハラショー……!」
「これが、決勝の舞台……!」
「緊張するね……」
「えぇ……」
1年生達は初めての決勝の舞台に感動と緊張の思いを感じ、噛み締めていた。
2.3年生は一度立ったこのステージにまた別の思いで立つことになる。そのステージを眺めながら"あの時"のことを思い出す。
それは自分達にとって大切な時間。μ’sとして最後のステージに臨んだあの時間のことは一生忘れない思い出だ。しかし、今回はラブライブ!の挑戦者として、いち選手としてこの舞台に立つ。
「さっ、リハーサルもあるし早く行くぞ」
『はい!』
今日は全出場グループが集められてリハーサルがあり、さらに夕方にはメディアも入れて決勝の順番決める抽選会も行われる。現在もリハーサルが行われていて、中々見る事ができない他道府県のスクールアイドルに花陽は目を輝かせていた。
「かよちん、行くよ〜!」
「えぇ〜!?あとちょっとだけぇ〜!」
そんな花陽を凛が引っ張ってみんなの後を追った。筋金入りのスクールアイドル好きな花陽の姿に誰しも呆れるのではなく、逆に関心を覚えていた。
──リハーサル終了後。
ついに始まる運命の抽選会。アリーナ席に選手達が、1階席にはメディアの人達が入っていて、抽選会が始まるのを今か今かと待っていた。その模様はテレビやネットで中継もされている。
『ではただいまより、ラブライブ!本戦決勝の抽選を行います!司会は私達、ユニバーサル所属のA-RISEがお送りします!』
ステージにラブライブ!本戦決勝の司会に抜擢された三大スクールアイドルと呼ばれるひとグループで、現在は有名アイドル事務所ユニバーサル所属のA-RISEの3人が立つと大きな歓声があがり、メディアのものであろうシャッター音が響いた。真ん中にはリーダーの
3人は巧みにその場にいる人達を盛り上げ、抽選が始まる時には場の空気は完全にあったまっていた。
『では最初に抽選するのは前回王者、大坂学園スクールアイドル、ナニワオトメ!』
『今回の優勝候補のひとグループのナニワオトメ。今回はシード権での参加となりました』
『代表者は……リーダーの香川マチコ。たった1人の2年生ながらその実力は3年生にも劣らない。今からステージが楽しみだ』
『それではマチコさん、どうぞ!』
アリーナ席からステージへと登ったマチコは3人の解説に恥ずかしさを見せながらもステージ中央にある抽選箱の方に向かった。誰しも前回王者の順番が気になり、そのマチコの姿をジッと見つめる。
箱の中に手を入れてガサゴソとあさり、中の数字が書いてあるボールをひとつ掴んで勢いよく引き抜く。
そこに書いてあった数字は────
『───1番!ナニワオトメ、トップバッターを引き当てた!!!』
マチコの引いた番号を受けてスクリーンの順番表の「1番」の空欄にナニワオトメの名が入った。前回王者がトップバッターということは、これ以降に披露するグループにとっては大きなプレッシャーとなる。その状況に参加グループの人達はどよめきを隠せない。
抽選を終えたマチコはステージを降りてメンバー達と喜び合っている。
『さぁ、どんどん行きますよ!続いては───』
しかし時間はそんな不安になっている人達を待ちはしない。無情にもひとグループ、またひとグループとどんどん名前が呼ばれ、スクリーンに映っている順番表は埋まっていく。
それはShooting Starsももちろん一緒だ。今回引くのはリーダーである凛だ。そんな凛の表情は不安一色ではなく、どこか余裕のあるものをしていた。
「……緊張、しないの?」
「もちろんしてるよ?でもどの順番を引いても私達らしいステージをすればいいんだよ!」
そんな凛を見た真癒美は質問を投げかけたが凛の答えは即答だった。その答えに2.3年生は頷くが、1年生達には衝撃が走っていた。
『続いては音ノ木坂学院スクールアイドル、Shooting Stars!』
「行ってくるにゃ!」
『Shooting Starsとしては初出場。でもその中にはμ’sで活躍したメンバーも参加しているわ』
『代表者は、そのμ’sの一員でもあった星空凛だ』
ステージへと歩いていく凛をみんなエールと共に送り出した。
1年生達はその凛の背中を頼もしく、そして大きくも感じていた。ダンスや歌のパフォーマンスだけではない、精神面でも先輩達と自分達の差は大きく開いている、そう確信した瞬間でもあった。
『では凛さん、どうぞ!』
「これにゃ!」
『早っ!?』
凛のくじを引いた早さに司会のA-RISEだけではなくそれを見ていた誰しもが驚いた。しかし、元μ’sのメンバーは「凛らしい」と思いながらスクリーンに目を移した。
「引いた!2番にゃ!」
凛が引いたのはまさかのナニワオトメの次の番の2番だった。その驚きの結果に誰しもが歓声をあげ、他のスクールアイドル達の不安は一層強くなってしまった。
すると凛はツバサにマイクを渡すようにゼスチャーで促していて、仕方ないという表情でツバサは凛にマイクを渡した。その光景にはナオキも呆れるしかなかった、がこの場においてはそれが最善だろうとも察していた。
『みんな、聞いて欲しいにゃ!』
凛が突然マイクを通して呼びかけると、会場の人達はびっくりしたように視線を凛の方に向けた。凛はみんなの視線が自分の方に向くことを待たずに言葉を続けた。
『披露する順番なんて関係ない!みんなは、自分達の最高のライブをすればいいんだよ!凛達も、ナニワオトメのみんなも同じ気持ちのはずにゃ!順番程度自分達らしいライブが出来ないスクールアイドルはこの場にいないはずにゃ!凛は、そう信じてるから!』
凛がそう言うと会場は一瞬静まり返った。しかし、その空気は誰かの一言で大きく変わった。
「……そうだよ。私達はできる」
「私達は勝つためにここまで勝ち上がってきたんだ」
その一言は会場全体に伝染していき、それは出場グループの人達の中で一気にやる気が満ち溢れるようだった。
「凛ちゃん……!」
「もう何言ってるのよ。これじゃあ挑発してるみたいじゃない」
「あはははは……」
「でも本当のことだよ?いいぞ〜凛ちゃ〜ん!」
「ちょっと穂乃果……!」
凛の言葉に対する2.3年生達の反応はいつもと変わらないものだった。そのことに1年生達は驚きを隠せなかったが、同時にそんな先輩達の背中がとても大きいように感じていた。
───抽選会終了後
テレビのニュース番組やスクールアイドルの特番をしている番組では抽選会の様子が放映されていた。特にナニワオトメとShooting Starsの順番、そして凛がステージ上から放った言葉に関しての注目度が高かった。各番組では出場しているスクールアイドルのインタビューも放送され、今回のラブライブ!は様々なところから注目されているのだというのことがわかる。
Shooting Starsの面々は抽選会の帰りに神田明神でお祈りを済ませた後各自宅に帰宅した。
2年生組は仲良く真姫の家にお泊りをしていて、明日に控えた本番を前にゆったりと体を休めた。
1年生組はそれぞれの自宅で明日への不安、緊張と直面してダンスのフォーメーションや歌詞を懸命に復習していた。そのうち雪穂はいつもと変わらぬ姉、穂乃果を見て微笑みながら溜息をついた。
3年生組にとっては最後のラブライブ!だ。決して悔いを残さないように気分を落ち着かせて敢えていつも通りの時間を過ごした。
ナオキも前までならギリギリまで照明のタイミングなどをチェックしていたが、今回はどこか落ち着いた様子を見せながらμ'sの思い出が詰まっている"モーメントリング"を眺めていた。
───そして、決戦の日は訪れる。
───ラブライブ!本戦決勝当日。
ついにこの日がやってきた。開場と同時にドッと観客が秋葉ドームに入場していった。
その中にはもちろん音ノ木坂学院の生徒達の姿もあった。自分達の歓声でShooting Starsを元気付けようと優勝を信じて誰もいないステージを見つめる。
「ひ、人がいっぱいですわぁ……」
「ほらダイヤ、はぐれないようにね。ルビィちゃんも」
「は、はいっ!」
「
沢山の人の中には夏にナオキ達と出会ったダイヤ、ルビィ、そしてダイヤの幼馴染である青髪のポニーテールが特徴的な
「でも、本当に私で良かったの?」
「私はルビィと一緒で良かったですわよ。
「それに、ルビィちゃんも来たがってたでしょ?ラブライブ!」
「ピイッ……!う、うゆ!」
ルビィは来れなかった姉達の幼馴染、
余談ではあるが、沼津から東京までの移動費は鞠莉が両親に頼んで出して貰っていた。
ダイヤとルビィは根っからのスクールアイドル好きだが、果南はそこまでスクールアイドルのことに詳しくない。ダイヤから耳が痛くなるほどそのことについては聞かさせれていたがイマイチその素晴らしさについてはわからずにいた。しかし、この人の多さとラブライブ!の世間からの注目度からその凄さを自身の肌で感じていた。
「さぁ、行きますわよ!」
「うゆ!」
「さっきまでと全然違うし……」
ダイヤには人混みでの疲れはなく(吹っ飛び)、3人はドームの中に足を踏み入れていった。
「
「姉様、そんなに急がなくてもまだ時間は……!」
理亞と呼ばれた紫髪ツインテールが特徴的なその少女は、黒に近い紫髪のサイドテールが特徴的な姉に腕を引っ張られながら会場に入っていった。
この2人の名は
出場するスクールアイドルは大きな控え室に集められていて、そこで自分達の出番を待つことになる。1番手のナニワオトメはもうすでに舞台袖に待機している。
今回のラブライブ!から各スクールアイドルが披露するのは2曲となっている。それは第2回ラブライブ!の時のμ'sのアンコールが影響しているようだ。
確かにアンコールは素晴らしいステージを披露した者に贈られるものである。しかしそれは逆に他のスクールアイドルのアピールとの質や曲数の差を生むことになり、全スクールアイドルの活躍の場を奪うことになる危険がある。ラブライブ!は全スクールアイドルのためにあるもので、アンコールが起こる可能性があるのなら出場グループには2曲披露してもらいアンコールは禁止するべきだ。
そういう一部からの意見があり慎重に検討された結果、今回のラブライブ!からアンコールが禁止され、その代わり各スクールアイドルは2曲披露することになった。さらに曲と曲との間では所属する学校の宣伝PVを流すことができ、その間に衣装を替えることも許可されていて、ラブライブ!はスクールアイドルのためだけではなく本格的に学校自体の宣伝の機会にもなろうとしている。
そしてあっという間に開演時間を迎えた。
開演時間となると同時に照明が暗くなり、それは観客達にラブライブ!本戦決勝の開始を告げるようだった。そしてしばらくしてある一点にライトが照らされると歓声があがり、そのライトのもとにはA-RISEの3人が背中合わせに立っていた。
そして開幕を告げるかのようにA-RISEはある曲を披露した。それは第2回ラブライブ!の本戦決勝に向けて制作が進められていた曲、『Our Justice』だった。3人がラップ調に歌う部分が特徴的でサビ以外は殆どそれで構成されていた。そのパフォーマンスを観た誰しもがスクールアイドルA-RISEとプロアイドルA-RISEの違いに驚いていた。そう、A-RISEはあれからさらに成長していた。μ'sに敗北してからもライブや練習を辞めることなく積み重ねていた。その成果が実ってユニバーサルというアイドル会社からスカウトされ、現在もスクールアイドル出身のプロアイドルとして活動している。
A-RISEのパフォーマンスが終わると始まった時よりも大きな歓声が会場に響いて、3人は横一列に並んで会場全体を見回した。
『ありがとうございます!私達、今回のラブライブ!の司会進行を務める、綺羅ツバサと』
『優木あんじゅと』
『統堂英玲奈の』
『A-RISEがお届けします!』
「ワァ───!!」
『ついにこの、第4回ラブライブ!本戦決勝の日がやって来ました』
『オープニングは私達のプロデビュー曲。みんなどうだった〜?』
「うぉぉぉ───!」
「よかった〜!」
「さいこぉ〜!」
『ありがと〜!』
『さぁ、1組目のパフォーマンスの前にまずはルール説明だ。これから各出場グループが2曲ずつ曲を披露していく』
『その中で1番良かったと思うグループに、ネットやテレビでご覧のみなさんはラブライブ!公式サイトの投票ページから投票してください!』
『会場にいる人は入場前に配った専用端末から投票してくれ』
『但し、投票出来るのは全グループのパフォーマンスが終わってから。会場のみなさんは携帯電話、スマートフォンの電源は切っておいてくださいね』
『もし、気分が悪くなったりしたらすぐにお近くのスタッフまで知らせてください』
『ふっ、スクールアイドルの熱気に倒れるんじゃないぞ?』
『それでは!早速1組目、トップバッターの出番よ!』
『大阪からやってきた関西の王者。その実力はスクールアイドルでもトップクラス。
前回ラブライブ!王者でシード権出場……"ナニワオトメ"!』
「オォ───!!」
英玲奈の紹介が終わってステージを照らすライトが消えると会場全体がそのトップバッターのグループ名に震えた。そしてステージ後方にあるスクリーン、上からぶら下げられているスクリーンにナニワオトメの名が映し出された。
A-RISEがステージから離れるとステージ中央にある星型オブジェの後ろからナニワオトメがステージに現れてダンスの体型に並んだ。そしてイントロが流れ出し、ナニワオトメのパフォーマンスが始まった。
────ついに、ラブライブ!が開幕した。
最初から前回王者のパフォーマンスとあって会場のボルテージは初めから最高潮に達していた。そのパフォーマンスを他の参加者達は控え室にあるテレビから流れている中継映像をジッと無言で見つめていた。
「音ノ木坂学院、Shooting Starsさん!準備をお願いします!」
『はい!』
ナニワオトメの一曲目が終わり、大坂学園のPVが流れ出すと控え室にスタッフが次の出番であるShooting Starsを呼びに来た。返事をしたメンバーは控え室を出て待機場所へと向かった。
ナニワオトメが2曲目を披露している中、待機場所ではナオキと童子を合わせた全員が本番を前にいつも通りの円陣を組んでいた。
「いつも通りのパフォーマンスをすれば絶対勝てる!」
「その通りや。客席からみんなのこと見てるからな」
「みんな、全力で輝いてこい!」
『はい!』
リーダーである凛、顧問である童子、そしてみんなを支えるナオキの言葉はメンバーの気持ちを鼓舞した。
みんなお互いの顔を見ながらやる気に満ちた顔で頷き合い、全員が凛の顔を見つめて準備万端と合図を送った。
「……じゃあ、行くよ!いち!」
「に!」
「さん!」
「よん!」
「ご!」
「ろく!」
「なな!」
「はち!」
「きゅう!」
「じゅう!」
凛から花陽、真姫、穂乃果、ことり、海未、雪穂、亜里沙、真癒美、瑞希が順番に番号を言ったが、その次の番号のマシュはこの場にはいない。しかしそこをどうするかはもう決めてある。
「……じゅうに!」
この場にはいなくとも、どんなに離れていてもマシュはShooting Starsのメンバーで、この夢の舞台を共に目指した仲間だ。だからその証でもある「11」という番号は誰も言わず、次の番号であるナオキはマシュが番号を言えるぐらいの時間を空けてから自分の番号を言った。
「じゅうさん!」
『Shooting Stars!ミュージック……スタートー!』
そして最後に童子が番号を言うと、全員が声を揃えてピースの形にしていた手を振り上げた。
───カナダではマシュがスマートフォンでラブライブ!の中継を流しながらピースした手を空に向かってかざしていた。
ナニワオトメの2曲目のパフォーマンスも終わり、ついにShooting Starsの出番が近づいてきた。
ナオキも機材席に座ってステージを見つめ、手に汗を握りながら自分達の開始時間を待った。童子は音ノ木坂学院の生徒達と共にみんなに声援を送ろうとペンライトを持って出番は今か今かと楽しみにしていた。
『伝説を受け継いで再び決勝の舞台に立つ。初出場ながら激戦の東京地区、そのひと枠という狭き門を通過したのは必然なのか!
東京地区代表……"Shooting Stars"!』
「オォォ────!!!」
ツバサがShooting Starsの出番を告げると、その出番を待ちわびたかのような大きな歓声がドームに響いた。
1年生達はその歓声の大きさに体を震わせたが、先輩達の頼もしい存在や表情に少し安心感を覚えた。
「───行こう!」
『はい!(うん!)』
ツバサがステージから離れ、凛のひと言と共にShooting Starsはドームのステージに飛び出していった。素早く配置について曲が始まるのを待った。
(───時間だ)
照明が付くのと同時に1曲目のイントロが流れ出した。
───ナオキのパソコンの中に保存してある『楽曲フォルダ』は3種類あった。μ’sの曲のフォルダ、Shooting Starsの曲のフォルダ、そしてまだアイデア段階の曲のフォルダだ。
アイデア段階の曲のフォルダにはナオキが暇つぶしに考えた曲が入っていて、μ’sの最後を伝えるライブ、『Moment Shine』の時にはここに入っていた曲をしっかりと作り直したものを披露した。
そして今回のラブライブ!で披露する曲はその中からほぼ完成に近かったものだ。ナオキがスクールアイドルのために曲を作るのは最後になるだろうと、海未や真姫も加わって3人でアレンジをした。言うなれば、今回のラブライブ!はμ’sの時から曲を作ってきた3人が作る曲の最後の披露の場となる。
1曲目に披露したのは『ENDLESS PARADE』。
衣装はそれぞれのイメージカラーの色をしたシンプルなものだった。下は短いスカートの中から長いスカートが出ている二重のもの。お腹を出して肩を出して袖が単体であるもの、肩も隠している袖も引っ付いているものの2パターンがあり、袖も長いもの短いものがあった。
パレードの始まりのようなイントロはShooting Starsの出番の始まりを告げるようなものだった。ステージのライトに照らされたメンバーを観客達は大きな歓声を上げて迎えた。曲のテンポは早くも遅くもなくゆったりとしたものだったが、どこかノリやすい雰囲気もあった。
「この時間を終わらせたくない」をテーマに作られた曲なだけあって、歌詞にもその思いが込められている。歌詞はサビは全員で、それ以外を1人ずつパートを分けて歌われた。
みんなとても楽しそうに歌い、踊っていて、見ている人達の体も思わず踊るように動いていた。
そんな楽しい雰囲気の1曲目が終わり、一旦暗転するとスクリーンに全校生徒と協力して作った音ノ木坂学院の紹介PVが流れ始めた。それと同時にShooting Starsはステージ近くに用意された更衣室に駆け込んだ。
ゆっくり着替えている暇がないため、2曲目の衣装はとても簡単なものにした。1曲目の衣装も脱ぎやすく作られている。スカートは音ノ木坂学院の制服のもので、上は黒いシャツ。シャツには次の曲名が金色の文字で書かれていた。さらにそれぞれシャツのどこかしらに星型の缶バッチを付けていて、自由度が高めの衣装になっている。
学校紹介のPVも終盤に差し掛かり、みんなは次の曲に備えてステージ裏に待機していた。
『───以上、音ノ木坂学院からでした!』
PVが終わると観客達がした拍手の音が会場に響き、それと同時に照明が暗くなった。そしてそのタイミングを見計らって再びステージに飛び出した。
───夢へ向かって突き進め。
そんな思いがこの曲には込められている。それはこの曲を聞く人にはもちろん、スクールアイドルや目指す人、なによりこの曲を歌う自分達に向けてのメッセージだ。
その曲名は『Dreamin' Go!Go!!』。
曲のイントロが始まると共に照明がステージを照らし、そこにはポーズを取っているShooting Starsの姿があった。ファンファーレのようなイントロに合わせて2種のポーズを取り、イントロが盛り上がっていくとセンターの穂乃果と凛を中心にみんな2人1組で間隔を空けながら広がっていった。穂乃果と凛以外のペアは、海未と真姫、ことりと花陽、雪穂と亜里沙、真癒美と瑞希となっていた。
歌詞は2人ずつ歌って、歌っていないメンバーは飛び跳ねながら腕を頭上で回していた。しばらくすると観客達も真似をしてペンライトを頭上で回し始めた。
(───よし、ここは狙い通りだ。あとはあそこで乗ってくれるかどうか……)
ナオキはその光景を見てひと安心した。観客がステージで踊っているみんなにつられてペンライトを回すこの光景は、みんなの観客の人達も一緒に盛り上がりたいという思いから考えられたもので、これもまたこの曲のダンスの一部だ。しかし、観客と共に盛り上がるタイミングはこれだけではない。ナオキはその部分に近づくにつれ不安になっていたが、ステージで踊るみんなを見て「必ず成功する」と確信した。
「せーのっ!」
───そしてその時は訪れた。
凛の掛け声の後サビに入り、穂乃果・海未・ことり・凛・真姫・花陽が『Go!』と声を上げた後すぐに続いて、雪穂・亜里沙・真癒美・瑞希が『Go!』とジャンプしながら右サイドの人は右の、左サイドの人は左の拳を突き上げて元気よく叫んだ。1年生達のそれは観客達を誘うようなものだった。
最初の1回目は観客の誰もが困惑していたが、2回目は所々で1年生達に合わせて叫ぶ人が現れた。そして3回目、4回目と回数を重ねるにつれてどんどんその人数は多くなっていった。
サビが終わった後、ギターソロの間奏が始まった。その間、『はい!はい!───』と観客を煽りながら腕を上下に動かしていた。観客達もそれに応えるように同じように声を張り上げながらペンライトを振った。
間奏が終わりついに曲はラスサビに差し掛かった。今度の掛け声は観客のほぼ全てと言ってもいいほど大きかった。そんな声にみんなは感動を覚えつつも最後まで歌い切るという決意を揺らがせず、元気よく笑顔で歌った。
最後にイントロと同じようなメロディが流れ、ゆっくりと中央に全員が集まってポーズを決めて曲が終わった。
曲が終わると、ひと際大きな歓声がドーム全体に広がった。メンバーは息を切らし、汗を流し、手を繋いで横1列に並んでその歓声を味わった。
「せーのっ!」
『ありがとうございましたー!』
そして凛の掛け声と共に全員でそのまま礼をすると、さらに大きな歓声と共に拍手が鳴り響いた。童子とナオキも立ち上がってみんなに拍手を送った。
それからみんなはステージから走って舞台袖に下がっていった。みんなが下がると共にナオキもスタッフに一礼してから、童子も目から流れた水滴を拭き取って出番を終えたみんなの元に向かった。
「さぁ、どんどん行くわよ。続いては───」
Shooting Starsがステージからいなくなるとあんじゅがステージに現れ、次の出番のスクールアイドルの紹介をはじめた。
そう、まだラブライブ!は始まったばかり。ナニワオトメとShooting Starsの勢いに乗って、他のスクールアイドル達も自分達のパフォーマンスを全力で披露した。その光景を見ている誰しもが「今回のラブライブ!はどのグループが優勝してもおかしくない」と思っていた。
───控え室前。
他のスクールアイドルの出番が続いていく中、衣装から着替えたShooting Starsはナオキと童子を加えてステージの成功を喜んだ。
「みんなお疲れ様!今までで1番良かったパフォーマンスだったぞ!」
「うんうん。うちも涙が出てくるぐらい感動したわ。ほんまに良かったよ〜」
『ありがとう!(ありがとうございます!)』
ナオキと童子の労いの言葉にある者は照れ、ある者は喜んだ。
3年生・2年生達の目は表情とは裏腹に若干うるうるとしていた。
1年生達は未だにドームのステージで踊ったことが信じられず、どこか上の空の状態だった。
「ねぇ、これ夢じゃないわよね?」
「うん、多分……」
「夢なら覚めて欲しくないな……」
真癒美・雪穂・瑞希はぼーっとしながらそんなことを話していると、亜里沙は雪穂の頬をつねって離した。
「……痛い?」
「うん、痛い。夢じゃ、ないんだね」
雪穂がそう言うとやっと1年生達の顔に笑顔が現れ、お互いの顔を見て微笑みあった。
夢のような時間はすぐに終わってしまう。しかし、その限られた時間の中でShooting Starsは夜空にキラリと輝く流れ星のように、このラブライブ!のステージを、ドームのステージを1番の輝きを放って駆け抜けた。
「でも喜ぶのはまだ早いぞ?結果発表がまだだからな」
「ナオキくんの言う通りや。結果が出るまでは安心できひんよ」
その2人の言葉にみんなは頷いたが、1年生達は心の中でどこか安堵していた。それは、「先輩達がいるから優勝しただろう」という気持ちから来るものだった。
──そして結果発表の時は訪れた。
『みんな投票ありがとう!』
『では、第4回ラブライブ!本戦決勝の順位を発表します!』
英玲奈とあんじゅが堂々と宣言をすると壮大なBGMと共にスクリーンに『結果発表』という文字が大きく映し出され、観客達は待ちわびたように大きな歓声を上げた。
『どのスクールアイドルも本当に素晴らしい演技だった。どのグループが優勝してもおかしくない』
『では、まずは29位から20位を一気に発表するぞ』
『ではお願いします!』
それから29位から順番にスクールアイドルの名前がスクリーンの順位表に表示されていった。本人達は祈って控え室からその画面を見つめていた。早く名前が呼ばれたら静かに落ち込んだり、泣いたりする人もいた。しかしこの29位以内に入るだけでもとても凄いことなのだ。
その後も順位発表は続いていき、ついに10位から4位までの入賞グループが発表されていった。そして結果発表もついにトップ3を残すところとなった。
『さぁ、残すはトップ3!』
『ここでまだ結果が発表されていない3グループに登場してもらおう!』
『大洗ドリームス!Shooting Stars!そして、ナニワオトメ!』
ツバサがグループ名を言い終わると、舞台袖からそのグループのメンバーが出てきた。そのグループの人達を観客は歓声と拍手で迎えた。
(───あとは祈るだけか……)
ナオキは応援に来ている音ノ木坂学院のみんなや童子と共に客席からみんなを見つめ、Shooting Starsの優勝を祈った。
『ではみなさん!画面にご注目!』
ツバサがそう言うとドームにいるみんなの視線がスクリーンに集まった。
3色のグラフがゆっくりと伸びる。その下には3組のグループ名が書いてあった。
すると『大洗シスターズ』と書かれたグラフの上昇が止まり、その瞬間3位が確定した。そのグループのメンバーの1人、リーダーと思われる人がうずくまり、それを他のメンバーが抱きしめた。
『これは……!』
『ナニワオトメとShooting Starsの一騎打ちになったな!』
『さぁ、優勝はどっちだ……!?』
そして未だに並んで上昇を続ける『ナニワオトメ』と『Shooting Stars』のグラフ。メンバー達は特にそれを固唾を呑んで見守った。
「そのまま伸びろ」と両グループのメンバーとその関係者は強く祈った。
果たして優勝はShooting Starsか。それとも、ナニワオトメか。
───次回へ続く。
ありがとうございました!!
一体優勝はどっちなんだぁー!?気になるーー!!ですが今回はここまで!結果は気になりますが次回をお待ちくださいませ!今回Shooting Starsが披露した曲ですが、2曲ともμ’sのライブの主題歌?的なやつなのでみなさんよかったら聞いてみてください!
というか、結果は次回に後回しは自分の家芸みたいになってますね。でも自分はこういうの好きなんです。次回一体どうなる!?みたいな終わり方。
最近本当にゆっくりと更新しておりますが、気長にお待ちいただけると幸いです。それではまた次回をお楽しみに!さようなら〜!