ラブライブ!〜1人の男の歩む道〜   作:シベ・リア

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ブンブンハローハーメルン、シベリアで〜す。
さて今回はですね、前にした振り返りからあとの『ラブライブ!〜1人の男の歩む道〜』の振り返りをしたいと思います。最新話までは少し長いと思いますので、全2回に分けたいと思います。記念すべき第1回は………映画編です!映画編は全4章でお送りしておりましたが、今回はそれをギュッと、ギュギュギュッと1話で紹介しようと思います。もちろん、ざっくりとしたものになりますので流れを掴むには最適かもしれませんが、細かいところまで読みたい!知りたい!という方は是非是非本編を読んでください!
それではナオキくんに、バトンタッチ!




Another way「これまでのラブライブ!〜1人の男の歩む道〜映画編」

みなさんどうも、主人公の香川ナオキです。今回は振り返りということで、自分が紹介したいと思います。

 

 

───The school idol movie〜NEW STAGE〜

 

 

この新たな物語の始まりは、卒業式が終わってみんなで学校を出ようとした時に突然やってきた。

花陽が突然叫び出して部室まで走って行ったので、みんなでそれを追いかけた。実はおれの所にもおじさんでラブライブ!運営委員会会長の伊藤晋三からメールが来ていた。

その内容は、第3回ラブライブ!のドーム開催を検討しているということ。さらにそれに加えて、このドーム開催を叶えるためにアメリカへ行ってライブをすることが告げられた。

これだけでも目玉が飛び出そうなぐらいびっくりしたのに、運営委員会に行ったおれはおじさんからさらに驚くことを聞かされた。それはアメリカでのライブの成功、そしてラブライブ!のドーム開催を実現させれば、おれを次期ラブライブ!運営委員会会長として任命するということだった。ラブライブ!運営委員会の会長というのは、世間で言うところの社長だ。そんな重役、というかトップにおれが任命されるなんて……考えただけでも胃が痛くなりそうだ。

 

それに、ビッグイベントはもうひとつあった。絵里の家には絵里のご両親が来ていて、おれは絵里にプロポーズしたこと、そしてその婚約を認めて欲しいとお願いをした。

答えはOKだった。曰く、おれがもし絵里と婚約すればすぐに認めるつもりだったらしい。さらに、おれと絵里、そして亜里沙の3人で一緒に暮らすことになった。おれと絵里との生活も婚約したことで変化したんだ。

 

兎にも角にも、おれ達は全員でアメリカ行きの準備を始めた。パンフレットを作ったり、もちろん披露する曲を準備したり、衣装を準備したり、あとは日用品とかの準備。飛行機の席やホテルは、おれ達を紹介してくれるテレビ会社、『Angel TV』が用意してくれていた。しかもそこの社長は、ラブライブ!の頂点を共に競い合った目黒学園の元生徒会長アリスさんの父親だった。

 

そしておれ達μ'sは飛行機に乗り込んで、ラブライブ!のドーム開催、それにおれのラブライブ!運営委員会会長就任を叶えるためにアメリカへ飛び立った。

確かに心境は複雑だった。1度はラブライブ!が終わったらμ'sを解散すると宣言したおれ達だったが、それでも最後にもう1度だけアメリカでのライブを成功させて、これから先、スクールアイドルの未来のために頑張ろうと決意した。

 

───みんなで叶える物語……おれ達はもう1度みんなで夢を叶える。

 

 

 

 

 

 

────The school idol movie第2章〜アメリカで舞う女神たち〜

 

 

 

アメリカに着いたおれ達は一旦分かれてそれぞれの目的地に向かった。おれは『Angel TV』本社に、他のみんなは『Sun Rising Hotel』というホテルに向かった。

『Angel TV』では、社長の(あゆむ)さんとスクールアイドルのことを説明して、ライブのことについて話し合った。そこで言われたのが、ライブをする場所をおれ達に決めて欲しいという事だった。そこで人が集まる所を聞いてみると、ブロードウェイを紹介された。おれはまずそこに寄ってからホテルに向かうことにした。

ブロードウェイの様子をスマホに納めていると、突然絵里から電話が掛かってきた。電話によると、海未、ことり、凛が穂乃果のミスにより『Sun rising Hotel』ではなく、『Sun rise Hotel』にいるらしい。おれはそこからすぐにそのホテルへ向かおうとした。

その時再会したのは、沖縄で"誓いの石"をくれたおっちゃんだった。けどおれは急いでいたのであまり話さなかった。

『Sun rise Hotel』で3人と合流し、拗ねている海未をおぶっておれ達が泊まるホテルに向かった。

 

『Sun rising Hotel』にやっと着いて、やっとゆっくり出来る時間が出来た。

希の好意により、おれと絵里の部屋はウェディング仕様になっていた。それから晩御飯も食べておれ達はそれぞれの部屋でアメリカで初めての夜を過ごし、長旅の疲れを癒した。

そしておれは絵里に"あの曲"の存在が知られてしまった。それがみんなに知られることになるのはもう少し先になる。

 

朝御飯を食べてからおれ達は朝練をするためにホテルから近いセントラルパークに足を運んだ。ラブライブ!決勝に向けての練習がμ'sにとって最後の練習と思っていたから、内心もう1度練習出来てとても嬉しかった。

セントラルパークにあったステージで練習している時に知らない人に話しかけられたり、練習を見られたりしながらもその日の朝練を終えた。このあと、おれ達はライブの場所を決めるためにアメリカの街に繰り出すことになっていた。

タイムズスクエア、自由の女神があるリバティ島、ニューヨークのメインストリート、そして高いビルにも行った。

その高いビルの屋上展望台からみんなは景色を楽しんでいたが、おれは高いところが苦手だ。だからエレベーター近くでずっといたんだ。すると凛はニューヨークがアキバに似ていると言い出し、みんな納得の声をあげていった。もちろんおれもそう思う。だから色んなところをまわっも「どこでもライブをしても良さそう」と感じたんだ。

 

それから晩御飯を食べるためにレストラン、そして日本料理屋さんに行ってからホテルに帰るために地下鉄に乗り込んだ。でもその電車には穂乃果の姿はなく、それは向かいの反対方向に行く電車の中にあった。

おれ達はもしかしたら遅れてホテルに帰ってくるかもとホテルの入口で穂乃果を待った。おれがブロードウェイの方に行こうとした時、穂乃果がこちらへゆっくりと歩いてきた。何はともあれこれでひと安心した。でもこの時の穂乃果は誰かに案内されて来たらしいが、歩いてきたのは穂乃果1人だった。変なこともあるもんだ。

 

そしてついにアメリカライブ当日。

おれ達はメインステージとなるブロードウェイに到着した。準備が着々と進んでいき、おれ達の緊張は高まっていっていた。このアメリカでのライブがおれ達にとって最後のステージになる、だから尚更緊張していたんだ。

披露したのは絵里がセンターの新曲、『Angelic Angel』。ブロードウェイがメインステージだったが、みんなのCGをセントラルパークで映し出し、さらにみんなが持っている扇子を照明に反射させてその軌道が見えるようにした。

今までの集大成の最高のライブだった。これでみんなにスクールアイドルの、μ'sの凄さがわかってもらえただろう。

 

だが、ライブを終えたおれ達を待ち構えていたのはさっきのライブで興奮した人達だった。このままではおれ達が無事に帰れないので、歩さんの計らいでリムジンとボディーガードを用意してもらってホテル、そして次の日も空港まで向かった。ボディーガードに囲まれるなんてもう2度と体験しないんだろうな。

そしておれ達は久しぶりに日本に帰った。

 

───でも、おれ達を待ち構えていたのは予想にもしなかった事態だった。

 

 

 

 

────The school idol movie第3章〜歩むべき道は〜

 

 

おれ達は無事、アメリカから日本に帰って来ることができた。空港に着いて早くバスに乗って帰ろうとしたその時、妙に周りがざわざわしていることにみんなは不信感を覚えた。

でもその後、すぐにμ'sのファンと名乗る女の子達がサインを求めてきた。その結果、空港では行列が出来てしまってミニサイン会が行われた。

そして、サインを求めるファンをさばききったおれ達は空港のスクリーンに映し出されているμ'sのアメリカライブの映像を見て衝撃を受けた。アキバの街に出てみるとグッズが並んでいたりポスターが貼ってあったりしていた。その後もファンに追われながら路地裏に避難して、隙を見て穂乃果の家まで逃げ込んだ。

 

翌日、ラブライブ!運営委員会に行ったおれはおじさんからあることを伝えられる。それは前々からうっすら予想していたものだった。

 

「μ'sにはやり残したことがある」

 

音ノ木で待ってるみんなも理事長から「μ'sを続けて欲しい」と言われたみたいで頭を抱えていた。しかし、みんなの中では「最後を伝える最後のライブ」が必要だとほぼほぼ固まっていたようだった。

そして部室に入ったおれは絵里にも背中を押され、自分の考えていることを、これから待ち受けるμ'sが"やり残したこと"を話した。

6月に行われる第3回ラブライブ!での閉会ライブ。スクールアイドルμ'sとしてではなく、あくまで前大会優勝者μ'sとしてするライブだ。でもそれは"あの時"の宣言を、みんなで決めた決断を曲げるものだ。

「第2回ラブライブ!が終わったらμ'sは解散にする」

 

そんなおれの言葉ににこは怒りをあらわにして胸ぐらを掴んでおれをタンスに押し付けた。

 

 

「ふざけんじゃないわよ!!あんた……あの時の決断を変えるつもり!?あんたも『大会が終わったらμ'sはおしまいにする』って言ったんじゃないの!?

それに6月……?スクールアイドルでいられるのは3月の終わりまでよ!ふざけんじゃないわよ!!!!あのときの決断を簡単には変えられない!ナオキもわかってるはずよ!

『最後を伝えるライブ』は3月にできるわ……でも『第3回ラブライブ!閉会ライブ』は違う!!確かに、ドームの舞台に立てるのはとても嬉しいわ………

 

でも……でもっ!!!

 

"私たち10人が決めたこと"を変えるのは嫌なのよ!!!!!!!!!!!

 

あんたもわかってるでしょ!?次期ラブライブ!運営委員会会長だかなんだか知らないけど………

 

その前にあんたは………

 

ナオキはμ'sのメンバーの1人でしょうが!!!!」

 

にこは全力でおれにぶつかってきた。

 

そして、おれも………

 

「わかってる………わかってるよそんなの!!!おれだって嫌なんだよ!!!

おれだってな……おれだってあのときの決断を変えるのは嫌なんだよ!!!!当たり前じゃないか!!!」

 

「それならなんでもっと早く言わなかったのよ!!!前々からわかっていれば……!」

 

「おれだってわからなかったんだよ!!ツバサさんから聞いた時は今回だけかと思っていた………でも違った!!おじさんに決勝の日の夜に聞いたんだ……『第3回ラブライブ!があったとしたら、μ'sにもA-RISEみたいにライブをしてもらうことになるかもな』って……

それで第3回ラブライブ!の開催が検討されていると公表された……それと同時に思ったよ……『μ'sはその日まで続けなきゃいけない』って……」

 

「それなら……それなら………なんで話さなかったのよ!!!」

 

「話せなかったんだよ!!!

アメリカライブもあって……みんなの気持ちをバラバラにしたくはなかった!!!それに、今回のライブは成功させたかった!!ドーム大会開催のため……スクールアイドルのために!!!」

 

にこの怒りは収まらずおれを押し付ける力は強くなる。続けておれが「最後のライブ」も必要だと言うと空気が変わった。

そしておれはにこの腕を掴んで自分の胸ぐらから離して服装を正し、みんなに明後日考えを聞くことを伝えてその場を去った。

いや、逃げたっていう方が正しいか。

 

 

そこから、みんながどんなに悩んでいたかなんとなく想像がつく。だっておれも1人で悩み続けたからだ。夜に一旦家に帰って着替えてからまた夜のアキバに出ていったが、絵里とも顔を合わせることも出来なかった。あんな出て行き方をして、どんな顔をしてみんなに会えばいいのかわからなかった。

全国大会の切符をかけて全力で戦ったA‐RISEもライバルであるμ'sが続いて欲しいと思っているみたいだ。A‐RISEは"ユニバーサル"というアイドル事務所にプロデュースしてもらうらしいし。

どのぐらい時間が過ぎたのか、どのぐらい歩いたのかもわからず、ただただ悩み続けた。そんな時再会したのは沖縄で"誓いの石"を貰い、アメリカでも会った関西に住んでいるというおっちゃんだった。名前は、忍川(おしかわ)ナナというらしい。行き先も決まっていなかったおれは、忍川さんの家にお邪魔することになった。

忍川さんにはおれが悩んでいたということはお見通しだった。そこで初めて気がついたのは、"関西弁が抜けていた"こと。それからおれは不思議とすらすら悩みを全て打ち明けていた。忍川さんはそんなおれをその家の屋上へと案内した。そこにテントを立ててその日は休むことにした。忍川さんはすぐに寝付いていたけど、おれは寝付けずにテントの天井を見上げて思考をめぐらせていた。そしていつの間にかおれの意識は薄れていった。

朝、おれは雨の音で目が覚めた。忍川さんはこの空を「おれの心みたい」だと例えた。そして忍川さんが指を鳴らすと強い風が吹いて、おれはその勢いで目を腕で塞いでしまった。

目を開けるとさっきまで見ていた景色はなく、真っ黒な空間だけが広がっていた。忍川さん曰く、そこはおれの心の中らしい。

おれはみんなとの日々を思い出しながら前へ進む。その中でおれは"気付き"を得た。

────μ'sはスクールアイドルだからこそ、限られた時間の中で輝けるからこそこんなにいい思い出ができた。

スクールアイドルという存在が、その"輝き"が自分の運命を変えてくれた。

この輝きを失わないためには、閉会ライブはやるべきである。

"限られた時間の中で精一杯輝こうとするスクールアイドル"をみんなに知ってもらう!

そして最高のカタチでμ'sを終わらせる。

この限られた時間の最後の時間(とき)に!

────おれの答えは固まった。

そして判明する忍川ナナという存在の正体。卒業式の日に生徒会室で話した"あいつ"と同一人物で、沖縄でも誓いの石をおれに渡し、今回もおれを助けてくれた不思議な人。その正体は、未来のおれの記憶を持ったおれの中に存在する"もう1人のおれ"だった。それが見た目を忍川ナナという姿に変えておれの前に何度も現れた。そんな"おれ"ともお別れだ。

 

「ありがとう。そして……さようなら」

 

おれは、おれの歩むべき道へ1歩踏み出した。

そして気付くとおれは家の玄関にいた。

リビングで寝てしまっていた絵里に謝った。でも絵里が起きてしまっておれを見るやいなや抱きついてきた。そして久しぶりの絵里の手料理を食べて、明日に備えて眠りについた。

 

 

 

 

次の日、おれは屋上のドアの手前で躊躇してしまった。やはりみんなに顔を合わせ辛い気持ちが大きかった。でも絵里はそんなおれの背中を押してくれて、おれは"1歩"を踏み出せた。

みんなの答えを確認して、おれ達は『最後を伝えるライブ』そして『最後のライブ(ラストライブ)』をすることになった。さらにおれはその場で、『スクールアイドルの素晴らしさを伝える最高のライブ』をすることを宣言した!スクールアイドルみんなで1つの曲を歌う……絶対に最高のライブになる!

ライバルであるA‐RISEの協力も得ることが出来て、ラブライブ!運営委員会にも許可を貰った。あとは参加してくれる人達を集めるだけだ!

 

 

参加するスクールアイドルを集めながら、おれ達は曲の準備にも取り掛かる。

海未が考えた曲のテーマは「スクールアイドル(その輝き)は太陽のような眩しい輝き」。そのテーマのもと真姫は作曲をして、ことりは衣装作りをしていた。

 

 

さらに、おれはおじさんからライブの場所は秋葉原全域と知らされた。早くみんなに知らせたくて、みんなの待つ音ノ木に急いで帰った。そしてそんなおれに校門で声を掛けてきたのはA‐RISEの3人だった。A‐RISEも曲や衣装作りを手伝ってくれるみたいだ。

A‐RISEと一緒に作業していた時、おれは予想外の"あいつ"からの連絡に驚いて、慌てて外に飛び出した。その人物とは少し前までは会いたくもなかった人物、ミツヒデ。そしてイズミに英吉、さらに第2回ラブライブ!の決勝で優勝をかけて争ったナニワオトメのみんなだった。

μ's、A‐RISE、ナニワオトメの三大スクールアイドルが揃ったという情報はすぐに知れ渡り、参加者は続々と集まっていった!

 

 

そしてこの『最高のライブ』の名前が『スクールアイドルフェスティバル』に決まり、みんなのやる気はさらに上がっていった。

参加者は合計で90組を超え、音ノ木に集まったのはそのうちの20組ほど。しかし世間の注目はまだスクールアイドル全体に向いてはいなかった。そこでおれ達は音ノ木でライブをすることにした。今集まっているみんなで1つの曲を歌って『スクールアイドルフェスティバル』の開幕を盛り上げる!そしたらきっと世間の注目もスクールアイドルという存在そのものに向くはずだ。

披露したのは『Happy maker!』、おれが前から作っていた曲だ。ダンスは盛り上がることを重視して振り付けは簡単で踊りやすく、さらにアレンジも自由にしていたから、みんな思い思いのダンスをした。

ここに、スクールアイドルフェスティバルが開幕された!

 

 

そして翌日、会場となるアキバでスクールアイドルみんなで協力して着々と準備を進めた。屋台もいくつか出ていて通行人の人達も足を止めて屋台に寄ったり、準備が進んでいつもの姿から変わっていくアキバを眺めていた。

その日の夜、いよいよ次の日まで迫ったスクールアイドルフェスティバル、略してスクフェスの最終日に控えたおれは昔のことを思い出していた。

それは、後にμ'sと呼ばれることになるみんなと出会った時にどこからか聞こえてきた歌声のことを思い出していた。その歌声が歌っていたのは明日おれ達が披露する"あの曲"だった。なんで、そしてどこから聞こえてきていたのか今となっては知る由もない。だけど、その歌声がおれとみんなの道を繋いでくれたということはわかった。

さらにその歌はおれ達10人だけではなく、こうして全国のスクールアイドルとも繋げてくれた。おれはこの歌をスクールアイドルみんなで披露出来ることをとても楽しみにして眠り、ついにその当日を迎えた。

 

 

 

穂乃果、ことり、海未、花陽、凛、真姫、絵里、希、にこ、そしておれ。10人で集まり、この10人だけで集合場所であるUTXに向かった。絵里が競走するって言い出したから走って行くことになったけどな。

メインステージがある通りでそんなおれ達を待っていたのは……

────おれ達の呼び掛けの声を聞いてアキバに集まってくれた5、60組ほどのスクールアイドルだった。

おれ達は予想以上に集まってくれたスクールアイドルを見て感動を覚えた。スクールアイドルという名の"輝き"を伝えるために集まってくれた人達がこんなに沢山いる。そして、こんなに沢山のスクールアイドルと1つの曲を披露できるとわかって、心の底から嬉しくなっていた。

今回の衣装はおれ達サポートにまわる人にも作られていて、真の意味の"みんな"でこの曲を作り上げることになる。踊るみんなからしたら、おれやミツヒデ達みたいなスクールアイドルをサポートする人もスクールアイドルらしい。

衣装に着替えたおれ達μ'sはメインステージのある通りに再び立った。そしておれ達はスクールアイドル達が作ったメインステージまでの"道"を歩んだ。いよいよ本番だ……そう思うと普段のライブより緊張してしまう。

おれ達はメインステージに立つといつも通りの点呼をしようと手をピースにしてみんなで星を作った。

───でも、今回は違った。

点呼しようとした時、おれの肩にミツヒデ、イズミ、英吉が手を置いた。他のみんなの肩にもスクールアイドル達が手を置いていた。

そう、これはμ'sのライブではない、スクールアイドルのライブなんだ。

そしていつも通り穂乃果に掛け声をお願いしようとしたが、みんなの顔はおれを見つめていた。その目はまるでおれの掛け声を待っているようだった。……実際そうだったけど。みんな曰く、今のおれはスクールアイドルのリーダーらしい。それにみんなおれが"次期ラブライブ!運営委員会会長"になることを知ってたみたいだし。

────そうと決まれば……!!

 

「よし、みんな!スクールアイドルの素晴らしさをおれたちのこのライブで伝えよう!このスクールアイドルフェスティバルを最高のライブにするぞ!!」

 

10人だけじゃない、スクールアイドルみんなで作った円陣はとても大きな星だった。

 

 

「いくぞ〜!!スクールアイド〜ル…………」

 

 

『ミュージック……スタート〜!!』

 

 

そしてみんなで下げた手を振り上げて、ついに、スクールアイドルによる最高のライブ、『スクールアイドルフェスティバル』が始まる。

みんなで披露する曲は『SUNNY DAY SONG』、スクールアイドルみんなで作った歌だ。しかもこの曲はメイン会場であるアキバだけではない、日本全国、世界中に中継が繋がっていて、各地でアキバからの中継に合わせて同じ歌を歌っている。でも盛り上がっていのはおれ達スクールアイドルだけじゃない、アキバをはじめ一般の人達もつられて踊ったりしていた。

その日のあのたった1度の光景は、おれは一生忘れないだろう。この思い出はこの先ずっとおれの中に残り続ける。秋葉原(そこ)に"青春という名の限られた時間の中で輝く星"があったのだと。

曲が終わるとみんなライブの成功を喜んだ。

裏方のおれ達もみんなと同じように喜んだ。

そしてリコねぇが記念撮影をしようとおれ達に向かってカメラを構えた。するとみんなはすぐにおれを、おれ達μ'sを中心にして集まった。

おれ達は最高の笑顔で手をLのカタチにしてカメラに向かって出しながら声を揃えた。

その揃えて言った一言は、おれ達スクールアイドルを繋げる言葉だ。

 

「行っくぞ〜!せ〜の!」

 

 

『ラブライブ!』

 

 

 

 

 

────The school idol movie完結編〜そして最後のページには〜

 

 

 

大成功に終わったスクールアイドルフェスティバルの翌日、ラブライブ!運営委員会本部の大広間ではその成功を祝うパーティーが行われていた。そこには参加したスクールアイドルだけではなくマスコミの姿もあった。そこでおれの次期ラブライブ!運営委員会会長が正式に決まったことが公となった。

そして3月31日に『μ's〜Moment Shine〜』を開催すること、さらに"第3回ラブライブ!"が東京ドームで開催されることを発表した。

パーティーが終わり、おれ達は『最後を伝えるライブ』に向けての練習に励んだ。

 

 

後日、みんなでライブのセトリを考え、さらにおれが作った新しいユニットの曲をみんなに渡した。それに、真姫が作っていたと言っていたあの曲も披露することになり、その曲の作詞を海未がすることになった。

そしてみんなの推薦でおれが6月にある最後のライブの曲と衣装を作ることになった。

おれはこの曲を絶対最高の曲にするためにパソコンに向かい曲作りを始めた。みんなとの思い出を、μ'sへの思いをそのまま歌詞にした。

 

 

海未の書いてきた詩はとても良かった。それに案が絞れなく詩は2つ用意されていたけど、その2つとも使うことになった。

そしてみんなでおれが作った6月に披露する曲を聞いてみることになり、練習や衣装チェックで離れているみんなも部室に集まった。パソコンの中に入っていた曲を聞いたみんなの反応はとても良く、みんなでこの曲の練習を頑張ろうと気合いを入れた。

しかし、おれは油断していて、そのままアメリカに行く前から作っていた曲が流れてしまった。おれは急いで止めようとしたが呆気なく希に阻止されてしまった。そのおかげでおれがアメリカに行く前に曲を作っていたことが認知されてしまった。

それから練習の日々が続き、リハーサルも終え、ついに『μ's〜Moment Shine〜』の日がやってきた!

 

 

 

当日、いよいよライブ始まる。場所は"第2回ラブライブ!"が行われた会場だ。

おれは急いで舞台裏にいるみんなの元に向かうおれに不思議なことが起こった。

 

『なんでおればっかり……

人なんて……所詮は……

誰も信じられない……

どうせ信じたところでおれのことを裏切るんだ……』

 

聞こえてきたのは辛い過去を抱えていたおれの声だった。

ただただ真っ黒な道を進んでいたおれに、スクールアイドルは、みんなは……μ'sは、そんな道に光を、輝きを与えてくれた。おれにはみんながいた。だからこそおれはここまで歩むことが出来た。そしてこれからもおれはこの道を歩み続けることができる。

 

「ナオキ、遅いわよ」

「いつまで待たせる気なん?」

「そうよ、こんな大事なライブに遅れるなんて許されないんだから」

「ファンのみんなが待ってるんだよ!」

「そうよ。ファンのみんなを待たせるわけにはいかないわ」

「真姫ちゃんの言う通りにゃ!」

「ふふっ、だからはやくしてください」

「みんなずっと待ってたんだよ!」

「さ、やろう!」

 

 

────おれが第2回ラブライブ!の前に倒れて意識を失った時、目覚める前に見たのはこの光景だ。

そして、ついに最後を伝えるライブが開幕する……!

 

 

「μ's!!」

 

『ミュージックーーー…………

スタートーーーー!!!』

 

 

────これがおれ達μ'sの、"スクールアイドルとして"最後のライブになる。

 

開幕曲はアメリカで披露した『Angelic Angel』。それから前の曲の衣装が和風ということで『輝夜の城で踊りたい』と『だってだって噫無情』を披露した。

みんながそれぞれコールアンドレスポンスをして、前の曲にセリフがあったのでセリフがある『嵐のなかの恋だから』、ハロウィンに披露した『Dancing stars on me!』、移動の手間を省くための『るてしキスキしてる』を披露して、一旦みんなは着替えのために楽屋に戻った。

その時間稼ぎにA‐RISEに『Shocking Party』を披露してもらった。

 

そしてここからはユニット曲。

まずはPrintempsの『ぷわぷわーお!』、そして新曲の『MUSEUMでどうしたい?』と『NO EXIT ORION』を披露した。かわいい曲だったのが最後にはかっこいい曲を披露したことで、観客はそれに大盛り上がりだった。

次にlily white。『微熱からMystery』と新曲の『乙姫心で恋宮殿』と『春情ロマンティック』を披露。非常にノリの良い曲ばかりで、楽しく踊る3人に観客達もつられていた。

ユニットのトリはBiBi。『Trouble Busters』でいきなりボルテージを上げ、新曲の『最低で最高のparadiso』と『PSYCHIC FIRE』の「BiBiコール」でそのボルテージをさらに上げた。

 

ユニットの次は学年順。

まずは2年生。『Future Style』を3人で披露して、まずは穂乃果がソロで『きっと青春が聞こえる』とアメリカで聞いたという『As Time Goes By』。英語の発音は特訓したもののまだ完璧とは言えない。だけど観客の人達はその頑張りを認め大きな拍手を送った。

次にことりが『COLORFUL VOICE』と『スピカテリブル』を披露。かわいい歌声から一転、切なそうな歌声が観客の感動を誘った。

最後は海未。『Anemone heart』と『私たちは未来の花』を披露した。2曲通してかっこいい歌声にみんな魅了されたことだろう。

 

次に1年生。3人で『Hello,星を数えて』を披露して、まずは凛がファッションショーでセンターを務めた『Love wing bell』、そして『くるりんMIRACLE』で観客と盛り上がった。

その次に真姫が不思議な夢の中で聞いた『Music S.T.A.R.T!!』、そして「ドンウォーリドンウォーリ 今から超戦車」とファンの間でネタにされている『Daring!!』を披露した。ネタにされているからか、かなり盛り上がっていた。

最後に花陽が『好きですが好きですか?』でことりに負けないぐらいのかわいい歌声で観客を魅了し、『なわとび』で綺麗な歌声を披露して感動を呼んだ。

 

そして最後は3年生。3人で『?←HEARTBEAT』を披露して、まずはにこが

『乙女式れんあい塾』と『にこぷり♡女子道』で会場をにこ色に染めた。にこは夢である最高のアイドルだ。少なくともおれはそう思う。

次に希が『友情ノーチェンジ』、そしてバラード風の『もしもからきっと』を披露した。どちらも希がμ'sと出会ったことへの感謝とかそんな気持ちがこもっている選曲だった。

最後には絵里が『soldier game』、『冬がくれた予感』を披露した。とても透き通って綺麗な歌声にきっと観客は魅了されただろう。

 

しかし、それで曲が終わることがなく、絵里のソロ曲である『ありふれた悲しみの果て』のイントロが流れ出し、絵里が歌うものだとみんな思ってだろう。でも歌ったのは絵里ではなく……おれだ。観客の人達の驚いた声は今でも思い出せる。サビでは絵里とのデュエット。さらにそこからデュエット曲が続く。

『Storm in Lover』、『硝子の花園』、『WILD STARS』。おれはこの時、ステージで歌うことの楽しさがわかった。

正直、最初は歌うことに抵抗はあった。おれはμ'sの一員だが、あくまで裏方でみんなを輝かせるのが仕事だと思っていた。でも、みんなが「やってみたらいい」と言ってくれたし、それに「もうこれで最後だからやってやろう」という気持ちもあった。

 

そのあとA‐RISEがMCで観客を盛り上げてくれてる間に衣装チェンジを済ませ、『LOVELESS WORLD』を再登場曲として披露した。観客はMCで若干休憩できたのか、最初みたいな盛り上がりを見せていた。

そしてラストスパートに、地区予選で披露した『ユメノトビラ』、予選決勝披露した『Snow halation』、そしてこの場所で行われた決勝で披露した『KiRa-KiRa Sensation!』の3曲を選んだ。あの時の思い、興奮を思い出した。

 

曲が終わって舞台裏に下がると、観客からアンコールの声が聞こえてきた。あの決勝の時と同じだと思いつつ、μ'sは再びステージに現れる。曲はもちろん、『僕らは今のなかで』。そして続けて『それは僕たちの奇跡』も披露した。

次に披露したのは"始まり"の曲だ。

μ'sの始まりの『START:DASH!!』。

9人の女神の始まりの『僕らのLIVE 君とのLIFE』。

10人のμ'sの始まりの『No brand girls』。

そしてスクールアイドルみんなの曲の『SUNNY DAY SONG』。

まるでμ'sの歩んだ道を辿るような時間だった。そして今日、その道は終着点を迎える。

 

「私たちμ'sは……今日をもって活動を終了することにしました」

 

穂乃果から唐突に発せられた言葉に観客達は驚きを隠せない様子だった。

 

「スクールアイドルは、限られた時間のなかで精一杯輝く存在……」

 

「私たちは限られた時間のなかで精一杯輝こうとするスクールアイドルが大好きなんです」

 

「μ'sはその気持ちを大切にしたい……10人で話し合ってそう決めました」

 

「確かに続けて欲しいという気持ちもわかります。ラブライブ!のために、スクールアイドルのために力をかせるようになったことも嬉しかった……」

 

「μ'sはスクールアイドルであってこそ、そして10人でいるこそのμ'sなんです……だれか1人でも欠けたらμ'sではないんです!」

 

「これは本戦を前に私たちで相談して決めたことで、その答えは変わりませんでした」

 

「ウチらはもう、μ'sを続けることは……ありません」

 

「私たちはやっぱり、スクールアイドルであることにこだわりたい!だって私たちはスクールアイドルが好き……」

 

「そう、学校のために歌って、みんなのために歌って、同じ学生が、この10人が集まり、競い合って手を取り合っていくスクールアイドルが好きなんです。

だからスクールアイドルじゃないμ'sはμ'sではないんです。

でも、スクールアイドルフェスティバルでみなさんわかってくれたはずです。スクールアイドルの、その輝きの素晴らしさを!

ラブライブ!は……スクールアイドルはこれからも大きく広がっていく!」

 

みんなの思いをしっかりと観客達に伝えて、おれ達はμ'sの最後を伝えた。

 

『今日この日をもって、μ'sは……おしまいにします!』

 

観客からもμ'sの終わりを悲しむ声、しかしそれを認めお礼を告げる声、様々な反応を聞いたおれ達は涙を止めることは出来なかった。

そんなおれ達は最後にスクールアイドル、μ'sへの感謝を込めた曲、『そして最後のページには』を披露した。

だが、この曲が終わって舞台裏に下がっても歓声は止むことがなかった。そしてこの日、2度目のアンコールの声が会場全体に広がり始めた。

────その歌は始まりの『僕らのLIVE 君とのLIFE』の衣装で

────みんなの人差し指にはめている10色の指輪と同じ色の名前の

 

『MOMENT RING』

 

 

そうして、最後を伝えるライブが終わった。

 

しかし、まだおれ達のライブは終わっていない。

東京ドームで開催された第3回ラブライブ!

その閉会ライブが、おれ達の本当の最後のライブだ。

 

 

「いち!」

 

穂乃果……

 

「に!」

 

ことり……

 

「さん!」

 

海未……

 

「よん!」

 

凛……

 

「ご!」

 

真姫……

 

「ろく!」

 

花陽……

 

「なな!」

 

にこ……

 

「はち!」

 

希……

 

「きゅう!」

 

そして絵里……

 

「じゅう!」

 

さぁ行こう。これがおれ達の、μ'sの、最後のライブ(ラストライブ)だ……!

最後の円陣は、みんなで肩を組んで……

 

 

 

『μ's!!!!!!!!!!ラストミュージック…………スタートー!!!!!!!!!!』

 

 

 

 

μ'sコールが反響するドームに現れた大きな蓮の花のオブジェクト。

曲のイントロが流れるとその花は開いて、その中で9人の女神達が最高に輝いていた。

曲名は……『僕たちはひとつの光』。

 

 

 

───終わった。

曲が終わってみんなで涙を流した。

しかし、そんなおれ達の元に届いたのは……

 

 

『もう1回!もう1回!もう1回!もう1回!もう1回!もう1回!もう1回!もう1回!もう1回!もう1回!…………』

 

 

その声を聞いたおれ達は、9人の、いや、10人の最後の曲を披露した。

真姫の伴奏で、さらにおれも歌った、正真正銘の"10人の最後の曲"。

 

 

『これから』

 

 

曲が終わり、拍手と共にμ'sコールが聞こえてきた。

お客さんの前では泣かない、と決めていたおれ達だったが、1番最初に涙を流したのはμ'sの発起人である穂乃果だった。今までの思い出、苦労とかが込み上げて来たんだろう、穂乃果はその場で泣き崩れてしまった。そんな穂乃果を見て、みんなも続いて声をあげながら涙を流した。

そしておれ達は大きな歓声や拍手に包まれながら肩を組んで涙声になりながらも言葉を出した。

 

「みんなっ……ありがとうっ……!」

 

『こちらこそっ……!』

 

 

 

 

 

──それで、μ'sの活動は完全に終わった。

後悔はしていない。

ぶつかったこともあった、笑いあったときもあった、泣きあったときだって………

でも本当に最高の日々だった。

『いまが最高!』

ほかのスクールアイドルにも、こう言えるような活動をしてくれると嬉しく思う。

おれは部室にあるμ'sの活動日誌の最後のページに、最後を伝えるライブ、最後のライブのそれぞれで撮った集合写真を貼った。

 

 

───そして、おれと9人の女神の物語は終わった。

 

 

 

さ〜て、次回の『ラブライブ!〜1人の男の歩む道〜』は……

 

ナオキです。

春は出会いの季節や別れの季節と言いますね。春夏秋冬色んな特色がありますが、人にも色んな物語があるものです。

さて次回は、「これまでラブライブ!〜1人の男の歩む道〜」で『最後の一年のはじまり』編から『ゴールまでの一歩』編の振り返りをお送りします。

 

それでは次回もお楽しみに!

ピカピカぴかりん、じゃんけんポン!

 

 




はい、ありがとうございました!
思ったより書いちゃってました。今まで読まれてた方は懐かしかったんじゃないでしょうか?実は自分も書きながら「懐かしいな〜」「昔はこんな書き方やったんか〜」と思っていました。
さてさて次回も総集編となりますので、最終章はもう少々お待ちくださいね。それでは次回もお楽しみに!

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