みなさんお久しぶりです!更新遅くなってしまってごめんなさい!
さて、実は更新してない間に色々イベントがありましたね。8月4日には、この小説を公開して3年が経ち、自分の作家人生4年目に突入しました。それに9月16日で21歳になりました。
さてさて、今回は章末回!早いような気がしますがこの章もおしまいです!そして最後に重要な発表、お知らせがありますので是非最後までご覧下さい!今回はあの子達が登場……?
それでは、第154話をお楽しみください。
ナオキと絵里が大阪から東京に帰ってきて数日後、家で休んでいるナオキの元にある1本の電話が掛かってきた。
「もしもし?」
『もしもし?いやぁ、急にすまないね』
「大丈夫、ちょうど暇だったし。それで、なにか用事?」
『あぁ、実は頼みがあってな……』
「頼み?」
電話の相手はおじの晋三だった。
晋三からの用事が頼み事だと聞いたナオキは相手には伝わらないが首を傾げた。
『そうだ。もうすぐ有名企業の社長などが呼ばれるパーティーがあるんだが、それに同行して欲しいんだ。お前と絵里さんに』
「絵里も!?」
『あぁ、良ければだが』
「ちょっと待ってくれ……なぁ、絵里」
「どうしたの?」
「おじさんが出席するパーティーにおれと絵里に同行して欲しいって言ってるんだけど、どうする?」
ナオキはそのパーティーに絵里も出席するか確認するためスマホを耳から一旦離して隣に座っていた絵里に確認を取った。
「うーん、そうねぇ……ナオキは行くの?」
「あぁ、そのつもりだけど」
「なら私も行くわ」
「了解。おじさん、絵里も行くって」
『わかった。それじゃあ詳しいことはメッセージで送るからそれを見てくれ』
「わかった。じゃあまた……」
ナオキは電話が切れたことを確認するとスマホを机の上に置いた。が、その直後に晋三からのメッセージが来たので少しビクッと肩を上に動かした。
そのメッセージにはパーティーの日時と場所、そしてその日の夕方に晋三の家に来るようにと付け足されていた。
「服装はどうなの?」
「服装は……スーツとドレスらしいけどおじさんとおばさんが貸してくれるみたいだ。どうする?」
「私、ドレスは持っていないから借りようかしら?」
「おれは制服でいいんだろうけど……折角なら借りようかな。じゃあ返信しとくわ」
ナオキは服を借りる旨を晋三に伝えて、視線をまたテレビに向けた。
ナオキ達は今、スクールアイドルの特集番組を見ていた。最近では新しいスクールアイドルがどんどん結成されているらしい。亜里沙は目をキラキラさせながらテレビに張り付いていた。
「亜里沙〜、テレビに近づきすぎよ。離れなさい」
「は〜い」
テレビ近くに正座して観ていた亜里沙だったが、絵里に注意されると素直に離れてソファーに座っているナオキの隣に座った。
ナオキ達はその番組を観て、現在の日本のスクールアイドルの数、レベルの高さを知った。
今までは自分達の学校が残る為にと無我夢中で駆け抜けた。その結果、μ'sは全国の頂点に立つことが出来た。そして今はその時感じた「輝き」を目指して活動している。それが音ノ木坂学院アイドル研究部の特徴と言えるだろう。
だが再び全国に目を向けると様々なスクールアイドルがいて、その数だけの夢、希望、目標が存在した。さらにそのスクールアイドルの波は世界にまで広がっていた。数はまだ日本ほどではないが、それはとても喜ばしいことだった。いずれは各国のスクールアイドルの踊りもみてみたいと興味も湧いてきて、様々な想像が膨らんでくる。
「スクールアイドルって少し前まではそんなに有名じゃなかったのに、最近はメジャーになってきたな」
「これもきっとμ'sが凄かったからだよ!」
「ふふっ、ありがとう。でも私達だけじゃないわ。A‐RISEもナニワオトメだってここまでスクールアイドルを大きくしたのに貢献していたもの」
「もちろん、スクールアイドルフェスティバルの時に集まってくれた全国のスクールアイドルのみんなもな」
「うん!」
番組でもμ's、A‐RISE、ナニワオトメ、俗に言う"三大スクールアイドル"の存在、そしてその3組が中心となって全国のスクールアイドルと行った『スクールアイドルフェスティバル』も現在のスクールアイドルの波に大きく貢献したと取り上げられていた。
それにスクールアイドルの波は高校生だけではなかった。中学生以下で「高校生になったらスクールアイドルになりたい」と夢見ている"スクールアイドルの卵"も少なくはないらしい。
「………楽しみだな」
ナオキがそう呟くと、絵里と亜里沙はナオキに同感する意味で頷いた。
────同時刻。
ナオキ達と同じ番組をみて興奮する女の子達がいた。
憧れ、自分もやってみたいと思う女の子達。
これはうるさく語られるんだろうなと呆れる女の子達。
「───、───、明日は早くから出発するんだから早く寝なさい」
「「……はい」」
そして、明日からの予定も忘れて興奮して母親から叱られて眠りにつく女の子達。
───数日後。都内、某ホテル。
「では会長、私は車をまわしてきます」
「あぁ、頼んだよ」
晋三達を車から降ろすと、その運転手は駐車場に車を停めるために車を発車させた。
「ハラショー………」
「これが高級ホテルか……」
絵里とナオキは今回のパーティーの会場になっているホテルを見上げた。アメリカに行った時に泊まったところも高級であったが、それに負けないぐらいの豪華さであった。
「さぁ、行くわよ」
「驚くのはまだ早いと思うぞ、次期会長とそのご婦人」
「おじさん……!」
「はははははっ!」
まるでこの豪華な雰囲気に慣れているかのように歩いていくナオミ、晋三の後をナオキと絵里は頬を赤く染めて歩いてホテルの中に足を進めた。
「伊藤会長、ご無沙汰しております!」
「
「いえいえ。御社も中々のご活躍をなさっているようで」
「いやいや、そちらにはかないませんよ」
晋三が早速挨拶を交わしているのは大きなプロアイドル会社、ジャスティスプロダクション、略してJプロの社長だ。何人ものプロアイドルを輩出し、業界でも一二を争う会社だ。その社長と自分のおじが仲良く話しているのを見たナオキは呆気に取られていた。
「あらナオミさん、この間はどうも〜」
「
「でしたらまた新商品が開発されましたら"試験"をお願い致します」
「はい、喜んで」
そしてナオミは近所の人と話すように会話しているのは大手化粧品メーカー、東海化粧品の女社長だ。この話し方から察するに、2人は長い付き合いなのだろう。化粧品好きなナオミにとってはこの女社長はいい存在なのだろう。
ナオキのおば、いや、会長の婦人となればこのような有名な社長とも仲良くなれるのかと絵里も呆気に取られていた。
「おや、もしやμ'sの……?」
「あ、はい!」
「やっぱり!私あなた達のファンだったのよ」
「あ、ありがとうございます」
そう呆気に取られていると絵里はどこかで見たことある女性と握手を交わした。なんとか絞り出そうとするが中々出てこない。
「申し遅れました。私、弥生ゼミナールの取締役を務めさせていただいております、
「あ、どうも……弥生ゼミナールってあの……?」
「はい、恐らくご想像されているものがそうです」
絵里はその弥生という人物から名刺を受け取って初めて思い出した。
弥生ゼミナール、全国に広がる有名塾だ。生徒数は幼稚園児から高校生まで合わせても全国の塾の中でもトップで、多くの生徒が数々の有名学校への進学を成している。しかもその売り上げの一部を海外の勉強できない子供たちに向けての募金に使用して、学問においては世界的にも活躍していると言っても過言ではない。
「……有名な会社の人ばかりでなんだか気負いするなぁ」
ナオキはスーツのネクタイを必要でもないのに締めながらそんなことを呟いて話している人達の顔を見回した。
「すみません、もしかして香川ナオキさんですか?」
「え、あ……はい」
そしてナオキは1人の男に話しかけられてその人の顔を見た。
その人物はJプロと同等のアイドルの輩出している、ひふみプロの社長だ。その愛嬌さからバラエティー番組にも時々出ているちょっと変わった社長だ。
「やっぱり!いやぁ、次期ラブライブ!運営委員会の会長さんだなんて、若いのに凄いですねぇ」
「い、いえ、自分なんてそんな」
「いやはや、しかしあの活躍があれば当然でしょう。これから御社ともごひいきにお願いします」
「は、はい……」
ナオキはまだ若干戸惑いながらも握手を交わした。そして車の中で、「こういう機会は大切にしないといけないから勉強するといい」と晋三から言われたことを思い出し、気持ちを正してその人の顔と名前を頭に刻んだ。
「伊藤会長、本当にまだあんなに若い子に会長の席を譲っても大丈夫なのですか?」
「えぇ、ナオキは必ずいい会長になります。もちろん、最初のうちは私もサポートはしますがね」
「でも18歳にその責任は重いのでは?」
「だが結局はいつか背負わなければいけないんだ。それがちょっと早まっただけですよ」
中井と伊藤はひふみプロに続いて続々とナオキと挨拶を交わしていく光景を見ながら話していた。伊藤は若干笑顔を浮かべながら見ていたが、中井は伊藤の言葉が僅かに信じられずに苦い顔を浮かべていた。
「つ、疲れたぁ……」
「お疲れ様。はい、お水」
「ありがとう」
ナオキと絵里は会場の外にある椅子に腰掛けて休憩していた。2人に取っては今まで体験したことがない事で一気に疲れが出たのだ。ナオキは特に。
「でも凄いのね、ラブライブ!運営委員会って」
「そうだな、おれも予想外だよ」
そして2人は晋三が会長を務め、ナオキが引き継ぐラブライブ!運営委員会の凄さを改めてこのパーティーで感じた。
ラブライブ!運営委員会とは、ラブライブ!の運営に関わる会社、というか団体に近いと思っていた。周りの有名企業に比べればそこまでだろうという予想を上回り、有名なアイドル会社や他企業からも一目置かれる存在だった。そのトップに今はナオキのおじの晋三が立っている。スクールアイドルが大きな注目を浴びている今、その全国大会を主催している運営委員会は評価されているのだろう。
「ぴぎゃっ……!」
「「ぴぎゃっ……?」」
すると聞いたことの無い言葉を聞いたナオキと絵里はその声のした方に視線を向けた。
そこにはピンク色のかわいいドレスを着た女の子がうつ伏せに倒れていた。
「おいおい、大丈夫か?」
「うぅ……お姉ちゃん……」
「お姉ちゃんと来てるのか……とりあえず涙を拭いて」
「あ、ありがとう……ございます……」
ナオキはその今にも泣きそうで聞き取りにくい小さな声の女の子にハンカチを手渡してから、その子が言う「お姉ちゃん」らしき人を探すために周りを見渡した。
顔を上げた女の子は赤い髪のツインテールをしていた。
「……もしかして、あの子か?」
すると廊下の曲がり角の方から慌てて走ってくる女の子が見えたので、ナオキは走ってくる女の子がこの子が言う「お姉ちゃん」であろうと予測した。
その「お姉ちゃん」は、赤く花の模様がついている着物に身を包んでいて、その着物に似合う綺麗な黒髪を伸ばしていた。
「ルビィ、大丈夫ですの!?」
「うゆ……」
「"ルビィ"……それが君の名前?」
「は、はい……」
「へぇ、珍しい名前ね」
ナオキと絵里は先程転んだ女の子の名前が珍しく少し興味を示した。
「妹を助けて下さり、ありがとうございます。
そしてルビィの「お姉ちゃん」は深く礼をして顔を上げ、ナオキと絵里の顔を見るなり動きが動画が一時停止ボタンを押されて停止するように止まってしまった。ナオキと絵里は急に動きを止めた女の子を不思議がり、首を傾げて頭の上にはてなマークを浮かべた。
「お、お姉ちゃん……?」
それはルビィも同じだった。何故自分の姉が固まっているのかわからずに無垢な目を「お姉ちゃん」に向けていた。そしてハッとした「お姉ちゃん」はルビィに耳打ちをした。
「ルビィ、分からないの!?あの2人は────」
「…………ピギィ!?ほ、本当だ……」
「お姉ちゃん」に耳打ちされたルビィは急に肩をすぼめてナオキと絵里を見つめていた。2人は動揺を隠せなかった。
そして背中にルビィが張り付いたままの「お姉ちゃん」がジリジリと2人に近づいて大きく息を吸った。
「わ、わわわわ私っ!くくくく黒澤、ダ、ダイヤ、と申しますっ!!こ、こちらは、妹の、ル、ルビィです!」
「く、黒澤、ル、ルビィ……です……」
ダイヤと名乗った「お姉ちゃん」は力が入っている声で自己紹介をして、妹のルビィは聞き取りにくい小さな声で改めて自己紹介をした。ダイヤは小刻みに体を震わせて顔を硬直させながらナオキと絵里の顔を見ないように視線を上にあげていた。ルビィはそんなダイヤに隠れて顔を見られないようにしていた。
「えっと、おれは────」
「────は、はい!存じておりますわ!みゅ、みゅ……μ'sの、か、香川ナオキさんと、あ、絢瀬、エリー……絵里さん、でございますよね?!」
「あ、知っててくれたんだ」
「嬉しいわ!ありがとう!」
「い、いえ!私こそ、お会いできて光栄でございますわ!」
ダイヤはやっと力を抜いて話ができるようになったのか、緊張している目から一転、その名前の通りダイヤモンドの輝きのようにキラキラと目を輝かせて絵里を見つめていた。
「もしかしてルビィちゃんも知っててくれたのかな?」
「…………うゆ」
「そうか、ありがとうね」
ナオキがしゃがんでダイヤの後ろに隠れているルビィに話しかけると、ルビィはひょこっと顔を覗かせて頷いた。
「流石ナオキさんですわ!ルビィは男の人が苦手なのです。そんなルビィがこうもあっさり男の人の目を見て話すなんて……ナオキさんだから出来たことですわ!」
「あ、ははははは……」
ダイヤはナオキにも憧れの視線を向け、ナオキは若干その視線に戸惑うように立ち上がり、右の頬を右人差し指で笑い声を漏らしながら搔いた。
これはナオキが照れた時の癖で、それを知っているのはこの近くでは絵里だけ。絵里はクスッと笑ってそのことを言わずにナオキに横目を向けた。ナオキはその視線の意味に気付いて、絵里に頼むようにその頬を搔いていた人差し指を口の前に付けた。
「そう言えば、あなたのお家はどこかの社長さんなの?」
絵里が話題を変えるとナオキは内心ほっとした。
「いえ、私の家は静岡県の沼津市というところの旧網元で、地元一の名家です。偶にこのような場にも呼んでいただける程には名が知られています」
「へ〜、網元って?」
「
「よくご存知で!私の家は昔はそのような家だったのです」
「へぇ〜、凄いな。このパーティーはそんな人も呼ぶんだな」
「はい。私達以外にも数名の旧網元の名家の方が呼ばれております」
旧網元の家は黒澤家みたく現在も地域に根付き「名家」と呼ばれている家があるらしい。
中には現在も昔のような権力、財力を持っている家もあり、そのほとんどが地域の町内、あるいは市内にがいい意味で影響を与えている。
「そうなのね。またご挨拶しないと」
「だな。さて、そろそろ戻るか。2人のご両親も心配してるだろ?」
「あ、あのっ……ひとつ、聞いていただきたいことがあるのですが……」
ダイヤの振り絞って出した声が会場へ戻ろうとしたナオキと絵里の動きを止めた。2人はなにも言葉を発さずにダイヤの言葉を待った。
「あのっ、よかったらサインくだしゃい!」
「あっ、ルビィ!?わ、私もお願い致しますわ!」
「………いいよ、どこにしようか?」
ルビィとダイヤからのお願いをナオキと絵里は顔を見合わせてから快く受け入れた。
「い、いいんですか!?」
「そ、それではここに!」
「……色紙、持ってたのね」
ダイヤは返事を聞くと嬉しそうにカバンから色紙を4つ、マジックを2つ取り出した。
ダイヤとルビィは東京に行くことが決まり、もしかしたらμ'sの誰かと会えるかもしれないと色紙とマジックを持ってきていたのだ。
ナオキと絵里は2人に1枚ずつサインを書いた。こうして直接サインを求められる機会はスクールアイドルを卒業した絵里にとってはなんだか嬉しく、そして少し懐かしい気分になっていた。
「はい、どうぞ」
「あ、ありがとうございます!これは我が家の家宝に致しますわ!」
「ははは、大袈裟だな〜」
「いえ!そんなことありませんわ!このサインはまさに超高校級!国宝級ですわ!」
「前者は違う気がする」
2人からサインをもらったダイヤはとても大喜びで興奮していた。ルビィも目をキラキラとさせて色紙を顔に近づけて見つめている。
「ふふっ、喜んでくれて嬉しいわ」
「はい!私、ずっとμ'sに、スクールアイドルに憧れてて、その、大変恐れ多いのですが……」
ダイヤは色紙で目から下を隠してチラチラと2人の方を見ながらもじもじしていて、その様子から何かを言おうとしていることはわかる。
「お姉ちゃん、高校生になったらスクールアイドルになりたいんだよね!」
「ル、ルビィ!?」
「うっ、ご、ごめんなしゃい……」
ルビィがダイヤの言いたいことを暴露してしまうと、ダイヤは顔を真っ赤にして色紙で完全に顔を隠してしまった。ナオキと絵里がルビィの暴露を聞いてから何も話さないのでどこか怖くも感じていた。
でも気になってチラッと色紙から目を出して2人の様子を伺うと、2人はポカーンとダイヤを見つめていた。
「───スクールアイドルに、なりたいの?」
「ピギィ!?は、はい……」
「ナオキ……」
絵里の言葉にさらにダイヤは緊張感を走らせる。まるで心臓が耳元にあるように音が大きく聞こえる。
「───凄いじゃないか!スクールアイドルになりたいだって!」
「ハラショー!嬉しいわ!」
ナオキと絵里が大喜びしている様子を見たダイヤは少しホッとしたが、喜ばれたことが逆に恥ずかしくも思ってむず痒く感じた。
「よ、喜んで頂けて光栄ですわ……!」
「応援してるわね、頑張って!」
「そそそそそんな!応援してくださるなんて……私には勿体ないですわ!」
「そんなことないわよ。私ね、こうしてスクールアイドルに憧れてなってくれる人は応援したいと思ってるの。だからダイヤちゃんのことも応援するわよ!」
「あ、ああああありがとうございます!!私、μ'sみたいなスクールアイドルになってみせますわ!」
「ふふっ、大きく出たわね〜」
ダイヤの目標、それは限られた時間の中で精一杯輝いてそれをやり遂げだμ'sのようなスクールアイドルになることだ。
しかし、そんな目標を持つのはダイヤだけではない。全国に目を向けるとスクールアイドルを、μ'sを目指す人は数え切れないほどいる。
────そしてナオキの中である思いが湧き上がってきた。
「───ダイヤちゃん」
「は、はいっ……!」
ダイヤはナオキに急に名前を呼ばれたことで緊張して肩の力が入り、身体を固めてナオキの顔を見つめた。
「───
「しょ、承知の上ですわ!」
「そうか……」
「………!?」
ナオキはダイヤの答えを聞いて笑みを浮かべて右手をダイヤに差し出した。
「────なら、限られた時間で必死に輝いてみろ。それはきっと君にとって良い体験になると思う。おれ達が経験した『輝き』を手に入れてみろ」
「はい!望むところですわ!」
ダイヤはナオキの言葉に触発されてやる気に満ちた表情でナオキの右手を自分の右手でゆっくりと握った。
憧れた人のその手は力強くも優しい感触で、ダイヤはきっとその感触を思い出す度に今日という日を、この日に湧き上がってきた感情を思い出すだろう。
「お姉ちゃん、お母さんが早く帰ってきなさいって……」
「わかりましたわ。ではナオキさん、絵里さん、またどこかでお会い致しましょう。ありがとうございました」
「こちらこそありがとう」
「頑張ってね」
ダイヤとルビィは2人にお辞儀をすると会場の方へ帰っていった。ナオキと絵里はそんな2人の背中を見守るように見つめていた。
ダイヤとルビィは喜びながら足を進め、2人に聞こえる程度の話し声でその喜びを語っていた。
「やりましたわねルビィ、あの御二方からサインを貰えましたわ!しかも握手まで……!」
「来てよかったね、お姉ちゃん!」
「私、絶対にスクールアイドルになって輝いてみせますわ!」
「うん!頑張ってね、お姉ちゃん!」
「ルビィも一緒に、ですわ!」
「えぇ!?私にもできるのかなぁ……?」
「できますわよ、ルビィなら」
───帰りの車内。
ナオキは窓から流れゆく景色を眺めながらダイヤ達との出会いを思い返していた。絵里は疲れからか、ナオキの肩にもたれながら寝息をたてて眠っていた。
「なにかいいことがあったのか?」
晋三がどこか嬉しそうな顔をしているナオキを見て話しかけると、ナオキは視線を外の景色から晋三へと変えた。
「うん、ちょっとね」
「そうか、それは良かった」
「なぁ、おじさん……」
「なんだ?」
ナオキは晋三に自分の今日思いついた"夢"を語った……絶対に叶えるという気持ちを添えて。
「────おれ、運営委員会の会長になったら、日本全国のスクールアイドルを見に行きたい」
「………いい夢だ」
晋三はナオキが夢を持ってくれたことに嬉しさを覚えた。
"自分の都合"でナオキにいきなり大仕事を任せる手前、少し申し訳なさも感じていて、ナオキが嫌々引き受けたんじゃないのかと思っていた。しかし、こうして自分が会長になった後の"夢"を持ってくれた。それはそんな不安を取り払うものであった。
そしていつの間にかナオキも目を瞑り眠ってしまっていた。そんな寝顔を見てそっとしてあげようと思う晋三であった。
───次章へ続く……
お読みいただきありがとうございました!
さて、章末回恒例?の次章タイトルの発表ですが……重要な発表とともにそのタイトルを発表したいと思います。
次章のタイトルは…………
『最終章〜みんなで歩いた道、これから歩く道〜』
です!
そうです、"最終章"です。つまり、3年ほど長々と続けて来ましたこの作品、ついに最終章に突入です!!!
しつこく言いますが、映画編の最終章とはまた違います。これは、この物語の最終章です。
私は何作も作品を書いているわけですが、実は短編を除くとひとつも完結していません。そろそろなんか完結させたらよくね?と思って、この決断をさせて頂きました。
恐らく次の更新も時間がかかるかと思いますので、この機会に読み返してみてはいかがでしょうか?自分も読み返すつもりです。
あと、春にTwitterのアカウントを変えたので良かったらフォローしてください。もしかしたら小説関連のことなど呟くかもしれません。IDは「@siberia711」です。
それではこの作品の終了まで後少し!よろしくお願いしまーーーーーす!!(投稿ボタンポチー)