ラブライブ!〜1人の男の歩む道〜   作:シベ・リア

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みなさんどうも、お久しぶりでございます!
そういえばこの前はバレンタインでししたね。え、貰えたかって?さぁ、どうでしょう?
さて、前回は梨子と絵里、亜里沙との絡みを書きましたが、今回はついにナオキくんと亜里沙が帰ってきますよ!
それでは、どうぞ!!



第139話「仲が良いのか悪いのか」

「………暇だ」

ナオキは電車の窓から外を見つめてそう言った。となりの亜里沙はナオキにもたれて寝てしまっている。雪穂も眠たいのか目を細めてコクコクと首を振っていた。

「雪穂も眠たかったら寝ればいいのに……」

「ね、眠たくないよ!お姉ちゃんと一緒にしないで欲しいな!」

「それは言えてるな」

そう、雪穂の言う通り。雪穂の姉である穂乃果は気持ちよさそうにいびきをかいて眠っていた。

「でも眠たかったら遠慮せんとウチにもたれて寝てもええんやよ?」

「そ、そんなことできませんよ!それに私は寝ません!」

「それならええんやけどな〜」

童子はそう言ってからスマホをまたいじり始めた。

ナオキはさっき窓からの景色を写真で撮ってメッセージアプリで絵里に送り、それから会話を続けている。

それから少し経つと雪穂は眠ってしまい、童子にもたれた。童子とナオキはそれを見て笑顔を浮かべた。

真姫は笑みを浮かべるナオキを見つめていた。そしてその視線はどんどんナオキの唇に向いていき、真姫は頬を少し赤く染めて顔を窓の方に逸らした。

「…………………………」

真姫は無言のまま自分の唇に指を当てて、()()()()のことを思い出した。

 

 

 

 

 

数日前、ナオキが海に沈められたとき、ナオキはその沈めた張本人である海未によって引き上げられた。

「ナオキ、すみません!だから起きてください!」

海未は少し泣きそうになりながらナオキの体を揺すった。

「海未、どいて!」

すると真姫が海未を跳ね除けてナオキの胸のところに耳を当て、心臓マッサージを行なうというのを繰り返した。

「ん〜〜〜!もう!」

真姫は吹っ切れたようにナオキの唇に自分の唇を重ねて息を吹き込んだ。

「はっ………!!!」

海未は真姫のとった行動を見て顔を赤く染めた。

「……ゲホッ、ゴホッ、はあっ………」

「っ……ナオキ!」

「これでもう安心ね……」

ナオキが咳き込みそのまま眠ってしまうと、2人は安堵の表情を浮かべた。

「ま、真姫……い、今のは……!」

「っ………誰にも言わないでよね!」

「は、はい!」

真姫は海未に先程の行為のことを聞かれると顔を真っ赤に染めて声を荒らげた。

そしてナオキはベッドに運ばれ、朝を迎えることになったのである。

 

 

 

 

 

「っ………!」

真姫はそのことを思い出してか、先程より顔を赤くした。

そして真姫は恥ずかしがりながらも、自分しか聞こえないような声で呟いた。

 

 

「初めて……なのよね……」

 

 

 

そしてアイドル研究部の一行は東京駅に到着し、各々解散したのであった。

 

 

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜♡〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

「いやぁ〜久しぶりに帰れるな」

「そうだね〜」

ナオキと亜里沙は絵里と梨子が待つ自宅に向けて足を進めながら話していた。

「帰ったら絵里と梨子ちゃんに思い出話を聞かせないとな」

「うん!合宿とっても楽しかったからいっぱい話したいことあるんだ〜!」

「それはよかった」

そんなこんな話しているとマンションの自分達の部屋のドアの前に着いていた。

そしてドアを開けて2人は声を合わせて元気よく言った。

「「ただいま〜!」」

「ナオキ〜!」

「おっと……!」

すると玄関付近にいた絵里がナオキに飛びついた。ナオキはそんな絵里を受け止めてギュッと抱きしめた。

「ふふっ、おかえりなさい!」

「……あぁ、ただいま」

絵里がニコッとナオキを見上げて言うと、ナオキはそんな絵里の頭を撫でて優しい声でそう言った。

「うぅ〜暑いから早く入ろう!」

「ふふっ、そうね。外暑かったでしょ?」

「あぁ、アイスが食べたくなったよ」

「私も食べた〜い!」

「はいはい、それじゃあみんなで食べましょう」

「やった〜!」

亜里沙はアイスが食べられると喜んでリビングに向かって走っていった。

「私達も行きましょ?」

絵里も亜里沙に続いてリビングに向かおうとした。だが、ナオキが離さないのでそれができなかった。

「ナオキ……?」

絵里はそれを不思議に思ってナオキの顔を見ると、ナオキはジッと自分の顔を見つめていた。絵里はきゅっと胸が締め付けられる感覚に襲われ、ナオキの顔を瞳を揺らして見つめた。その感覚はナオキも同じであった。

そして絵里はナオキの意図がわかったのか、ニヤリとしてナオキの顔を見た。

「な、なんだよ……」

「ナオキったら、そうして欲しいならちゃんと言えばいいのに……」

「……………悪いか?」

「ふふっ、べっつに〜」

すると絵里は少しだけ背伸びをしてナオキの唇にキスをした。

「ん……久しぶりだな」

「ふふっ、そうね……ほら、早く行きましょう」

「あぁ!」

そして絵里とキスをするとナオキは元気になったようで、嬉しそうにリビングに向かった。

「ほんと、子供みたい……ふふっ」

絵里はそう呟いてからリビングに向かった。

本当に、()()()()()()()()()()()()()()キスを欲しがるなんて、ナオキくんも子供ですね。

 

 

 

 

 

 

〜〜〜ラブライブ!〜〜〜

 

 

 

 

 

 

 

「それでね、お義兄(にい)ちゃんにダンス褒められたんだよ!」

「そうなの?」

「あぁ、流石は前から雪穂と2人で練習してただけはあるよ」

亜里沙とナオキは、絵里と梨子にクーラーの効いているリビングでアイスを食べながら夏合宿のことを話していた。

「そういえばナオにぃ、亜里沙さんの呼び方とか変わってない?」

すると梨子がナオキの亜里沙への呼び方が『亜里沙ちゃん』から『亜里沙』に変わっていることに疑問を覚えたようで、質問を投げつけた。

「あぁ、実はアイドル研究部には"先輩禁止"っていうのがあってな、それで亜里沙がおれにそう呼んでほしいからって言ってきたから変えたんだよ」

「へ〜……そんなルールがあるんだね〜」

「実はね、それは私発案なのよ」

「「お〜〜!」」

絵里が胸を張って"先輩禁止"の発案を自慢すると、亜里沙と梨子は目をキラキラさせて声をあげた。

「ふわぁ〜………」

するとナオキが大きな欠伸(あくび)をして、他の3人は不思議そうにナオキを見つめた。

「ナオキ、眠たいの?」

「そうなのかもしれない……ふわぁ〜………」

絵里がナオキに尋ねると、ナオキはまた大きな欠伸をした。

「ふふっ、別に寝てもいいのよ?きっと疲れたんでしょ?」

「そうだな……それじゃあお言葉に甘えて……」

ナオキはそう言うとソファーに寝転んで目を瞑った。

「(あぁ、きもち〜な〜……ここに寝転ぶのも久しぶりだしな〜……あぁ、おやすみ……)……すぅ……すぅ…………」

「………寝るのはやっ!?」

「余程眠たかったのね〜」

「お義兄ちゃん、ずっと電車の中で起きてたから眠たかったんだよ」

「「なるほど……」」

ナオキが寝た後、女子3人はナオキを起こさないように小声で話し始めた。

 

 

 

 

 

〜〜〜〜〜♡〜〜〜〜〜

 

 

 

 

 

 

「ん……あ……今何時だ……?」

「もうすぐ7時よ。そろそろ起きなさい」

ナオキは意識がまだはっきりしない中絵里に言われて、唸りながら体を起こした。

「結構寝てたな……ん〜〜〜!」

「ふふっ、もうすぐご飯できるから座って待ってて」

「は〜い」

ナオキはゆっくりと椅子に向かって歩いて座ってご飯の時間を待った。

 

その後亜里沙と梨子も揃い、ナオキと亜里沙にとっては久しぶりの絵里の手料理を食す時間となった。

 

「ん〜!やっぱり絵里の料理が一番だ!」

「うんうん!」

「も、もう!」

絵里はナオキと亜里沙に褒められて照れたのか頬を赤く染めた。

「ねぇねぇナオにぃ!他にも合宿の話聞かせて!」

「おっ、聞きたいのか?それならどこから話そうか……」

「それならマシュちゃんを支えて助けた時のことを話せばいいと思うよ!」

亜里沙がそう言った瞬間、部屋の空気が張り詰めた。ナオキも梨子は、絵里がその一言に疑問を持ったことを悟ったのだ。

「……亜里沙、詳しく」

「うん!あのね、マシュちゃんが足をくじいてね、お義兄ちゃんがすぐに泳いでマシュちゃんのところに向かって、そのままマシュちゃんの肩を持って助けたんだよ!」

「へ、へぇ〜!ナオにぃかっこいいね〜!」

「…………そうね」

「あははは……(こ、怖ぇ〜〜〜!!ちょっと待って、これ完全に機嫌悪いよな!?どうしたらいいんだよ〜!?)」

梨子が空気を良くしようと試みたが、その努力も虚しく絵里の機嫌は良くはならず、逆にとても悪くなっていた。

ナオキはそんな絵里を見て身の危険を感じていた。

「亜里沙、他に合宿中のナオキの"みんなとの"エピソードはないかしら?」

ナオキは絵里の『みんなとの』というところに恐怖を覚えて体を震わせた。そんなナオキは亜里沙の話すことが絵里の機嫌をさらに悪くしないようにと祈るしかなかった。

亜里沙はナオキのそんな不安なんて知る由もなく、ぺらぺらと夏合宿のことを絵里に話していた。

 

(よし、その調子だ………これなら絵里の機嫌も少しぐらいは良くなるはず……!)

 

ナオキは亜里沙が話している内容を聞いて希望を持ち、絵里の顔の方に目を向けた。絵里は明るく笑っていて、ナオキは助かったかに見えた。

だが、ナオキにはわかる。この絵里の笑顔はどんどん怒っている表情であることが。

 

「あとね、バレーボールが当たって真姫ちゃんのお腹にダイブしちゃったの!」

「ふふっ、亜里沙はドジね〜」

「お姉ちゃん何言ってるの?ダイブしたのはお義兄ちゃんだよ?」

「ブホッ!」

だがついに亜里沙は爆弾を投下したのである。絵里の表情は完全に黒くなり、動きも固まった。これはつまり、ナオキの終わりを示している。

「ナオにぃ、それはないよ……ごちそうさまでした」

「り、梨子ちゃん……!?」

梨子はナオキを見捨てたのか、食器を片付けてリビングを去っていった。ナオキはいとこにも見捨てられ、汗がたらたらと流れるように出てきた。

「………亜里沙、お風呂に入ってきたら?疲れたでしょ?」

「うん、わかった!」

そう言うと亜里沙はスタスタとお風呂場に向かった。

リビングには、ナオキと絵里の二人っきり………明らかにまずい状況である。

「………さて、おれも…「あら、どこに行くのかしら?」…い、いや、疲れたから寝ようかな〜って……」

ナオキはこの部屋の空気に耐えられなくなったのか、リビングから立ち去ろうと立ち上がったが、そううまく物事は進まず、絵里に止められてしまった。

「ちょっと座ってくれる?話したいことがあるから………ね?」

「う、ういっす……」

ナオキは絵里の怖い笑顔と威圧感によりそれに従わざるをえず、椅子に座った。

「………それで、真姫のお腹はどうだった?」

「違うんだ、誤解なんだ!あれはバレーボールが顔面に回転しながら当たって、その勢いでダイブしちゃっただけなんだよ!決してしたいからしたわけじゃないんだ!!」

「ダイブしたのには変わりないじゃない?」

「そ、それは……そうだけど……」

ナオキはそう言うと、返す言葉がないというふうに下を向いて目を瞑った。

「……もう知らない」

「え、絵里ぃ〜………」

絵里が怒って立ち上がって食器を片付け始めると、ナオキは子犬のような目で今にも泣きそうな声で言った。

だが絵里はそんなナオキには目もくれずに食器洗いを始めた。

ナオキはそんな絵里を見てシュンと落ち込んでしまい、顔を両手で塞ぎながらソファーにもたれた。その状態はまさにありふれた悲しみの果てである。

 

 

だが絵里はナオキを全く見ていない訳ではなかったのである。さっきからずっとナオキのことをチラチラと気にしながら皿洗いをしている。

そしてそんな絵里は心の中では

 

(あああああ、ちょっとやりすぎたかしら?嫉妬しちゃったのは認めるけど……あそこまで落ち込んじゃうなんて思わなかったわ……もう許してあげた方がいいのかしら?)

 

なんて自分の先程の態度を後悔していた。それから絵里は心が落ち着かないまま皿洗いを終え、濡れた手をタオルで拭いてまだ落ち込んでいるナオキの方を見た。

一方ナオキは水の流れる音が聞こえなくなり、ついに絵里からお説教をくらわされるのだと危機感を感じていた。

ナオキを気にかけてゆっくりと歩いてくる絵里の優しそうな足音は、逆にナオキの恐怖を煽ってしまっていた。

 

(絶対怒られる絶対怒られる絶対怒られる…………)

 

そして絵里はナオキから少し離れたところに腰掛けて、チラチラとナオキの方を見ていた。

「ナ、ナオキ……」

「は、はいっ……!」

ナオキは絵里に名前を呼ばれ、ついに怒られるのかと思い少しビビったように返事をした。

「なにか言うことはある?」

「ごめん!!」

「はやっ!?」

絵里はナオキの謝るスピードが早いため驚いて体を後ろに逸らした。ずっとナオキは両手を重ね、それを上に挙げて頭を下げていた。

「ん……その……ちゃんと反省してるみたいだし……今日のところは許してあげてもいいわよ?」

絵里は恥ずかしがっているのか頬を赤く染めて視線をナオキから逸らして言った。最早ツンデレである。

「ほ、ほんとに!?」

「えぇ……その……仕方なくなんだからね!」

もうツンデレとしか言いようがない台詞である。絵里はそう言ってから片目を開けて驚き、喜んでいるナオキの表情を見た。そんなナオキを見て絵里はキュンキュンしてしまったようでさらに頬を赤く染めた。

「でもやっぱり、絵里とこうして話したりするの楽しいわ」

「……ふふっ、私もよ」

それから2人は笑いを零して、小さな声で見つめ合って笑った。

 

梨子はリビングのドアからそんな2人を覗いていて、今まで通りに仲良くしているのを確認するとホッと胸を撫で下ろした。

 

「……ナオキ、お詫びと言っちゃなんだけど…………いいわよ?」

絵里は笑いを止めると、少し照れながら自分の太もものあたりをポンポンと叩いて、膝枕をしてあげてもいいと意思表示をした。

「おぉ、なんか久しぶりだな。それじゃ、失礼して……」

そしてナオキは迷うことなく絵里の脚に自分の頭を乗せた。

絵里は少し驚いたが、すぐに笑みを浮かべてそんなナオキの頭を優しく撫でた。

そんなナオキと絵里の表情は嬉しそうなものであった。

 

 

 

 

 

そして、そんな2人を見ていた梨子は顔を俯けて部屋へと戻っていった。

それから部屋の布団に寝転び、枕に顔を埋めた。

 

 

 

「ナオ絵里……尊い………」

 

 

なにやら嬉しそうな声であった。

 

 

 

 

次回に続く……

 




〜妄想ラジオ!〜

ナ「さて、今回もやってまいりました!今回は絵里と亜里沙と一緒にお送りします!」
絵「なんだか久しぶりね〜」
亜「うん、そうだね!本編では合宿からも帰ってきたし!」
ナ「あぁ、久しぶりに絵里と会えたから嬉しいよ」
絵「本編では1週間ぶりかしらね」
亜「亜里沙も寂しかった〜。でも楽しかったよ!」
絵「そう、それはよかったわ」
ナ「まぁ、今回は久しぶりの絵里との会話シーン多めだったから作者も書くのが楽しかったみたいだな」
亜「そういえば作者さんはもう春休みなんだよね!」
ナ「ほう……」
絵「あ〜確かに今の時期大学は春休みのところが多いわね」
ナ「絵里もそういや夏休みは9月の後半までだっけ?」
亜「え〜〜!?お姉ちゃんいいな〜〜!」
絵「ふふっ、期間的にはあまり変わらないでしょ?」
ナ「まぁ、亜里沙の気持ちもわからんでもない。そういうもんなんだよ」
絵「そうなのね〜。さ、そろそろ終わりにしましょうか」
亜「うん!それでは、新しくお気に入りしてくださったみなさん、ありがとうございます!」
ナ「感想などどんどんお待ちしてますのでよろしくお願いします!それじゃあ……」
ナ・絵・亜「「「ばいば〜い!」」」

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