ラブライブ!〜1人の男の歩む道〜   作:シベ・リア

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みなさんどうも!
さて今回は、この作品とシベリアの2016年ラストの投稿です!やっぱり今年ラストはこの作品じゃなくっちゃ!
ではでは、今回は夏合宿の夜!みなさんが考えているサービスシーンはおそらくありませんよ?
それでは、どうぞ!



第135話「First Night Umi」

 

合宿一日目の夜、女子メンバーがお風呂に入っている間に、ナオキはチョコレートの隠し味を入れたカレーを作っていた。

あの後にナオキは徒歩30分のところにあるスーパーに"1人で"行き、食材を買ってきていた。

「よし、あとはゆっくり煮込むだけだな」

ナオキはお玉でカレーをかき混ぜながらみんながお風呂から上がってくるのを待った。

そんなナオキの頬には、赤く手の形がついていた。

 

 

「ん〜おいし〜!」

「それはなによりだ」

お風呂から上がりの穂乃果が頬を押さえてそう言うと、ナオキは安心したようにカレーライスを1口、口の中に入れた。

「これ、隠し味になにか使ってるの?」

「あぁ、チョコレートをな」

瑞希は隠し味の正体を知ると、納得したように頷いてからまた食べ始めた。

そしてナオキはふと真姫に目を向けると、まだ不機嫌そうな表情をしていた。ナオキはそれを見て難しそうな顔をして頬をかいた。

「ナオキ、もう先にお風呂に入ってきてはどうですか?」

「ん、そうだな……」

ナオキはそう言って最後の一口を食べ、食器を片付け、着替えやバスタオルなどを持ってお風呂場に向かった。

 

 

「ふぅ……」

ナオキは湯船に浸かって、その気持ちよさに息をはいた。

「いやぁ〜こんなにでかい温泉を独り占めなんて……なんか悪いな〜。はははははっ」

ナオキは露天風呂から見える星が広がる夏の夜空を見上げて言った。

周りを見回しても誰もいない。もちろん男子はナオキだけなので当たり前である。だが、それによって少し寂しい気分をナオキは感じていた。

学校でも男性の教員は少なく、やはり寂しい。だからこそナオキはこれから入ってくるであろう男子がよりよい高校生活をおくれるように、共学に向けての活動や、校則の改善案を考えたりしているのである。

だが現実は現実。ナオキは話す相手もおらず、のんびりと寂しくそのひとときを過ごした。

 

 

「あぁ……ちょっとのぼせたか?」

ナオキはいつもと比べて長風呂をしてしまい、タオルを顔に被せながら頭を押さえ、脱衣場の扇風機の前の椅子に座り込んでいた。

しばらくして少しはマシになったのか、自分の着替えなどを入れてあるカゴがある場所まで歩き、バスタオルで体を拭いてから着替え始めた。

そしてふとナオキが隣にあるカゴに目を向けると、そこにはなにかが入っていた。ナオキは気になってカゴを取り出した。

「…………………」

ナオキは絶句して、そのカゴをそっと元あったところに入れた。

「おれは、見てはいけないものを見てしまったのかもしれない……」

ナオキはそう言いながらカタカタと体を震わせた。そう、ナオキが見たものとは……女性用のパンツであった。

ナオキは、みんなに言うべきかと考えた。だが、堂々と「誰か脱衣場にパンツ忘れてたぞ」とか言ってしまうと、みんなから引かれて距離を取られてしまう確率の方が高い。

逆に黙っておけばなにも言われず、また後で誰かが見つけてくれるはずである。

「よし、帰ろう」

ナオキは決心して荷物をまとめて脱衣場の出口に向かい、暖簾(のれん)を払ってそこを出た。

「ん、真姫?」

「ヴぇえ……!?」

ナオキが壁にもたれていた真姫に声をかけると、真姫はびっくりしたようで数歩ナオキとは逆の方に下がった。

「どうかしたのか?はっ、まさかおれの裸を……!?」

「覗かないわよそんなの!!」

ナオキが腕で体をおおってそう言うと、真姫は顔を赤くして否定した。

「じゃあ、なんでまた?」

「………別になにもないわよ。早く行きなさいよ」

「ふーん……わかった」

ナオキは少し怪しがりながらも深く追求はせずにリビングへと戻っていった。

「……ふぅ………」

真姫はナオキの姿が見えなくなると、息をはいて脱衣場に入っていった。

「……あった」

そして忘れてきてしまった使用済みのパンツを自分の脱衣時に使ったカゴから取り出し、安心して胸をホッとなでおろした。真姫はそれをポケットに入れてリビングに向かった。

 

 

「いい湯だっダッ!」

ナオキはリビングに戻るなり早速顔面に枕が当たった。

「あ……ご、ごめん、ナオキくん……」

投げた張本人である穂乃果は、まずいという表情をして一応謝った。

「あのさ……昼間はバレーボールぶつけられた挙句真姫にビンタされて、その次は枕か……ハハハハハハハ……」

「ナ、ナオキくん……?」

ナオキはゆっくりと腕を動かして枕を掴み、黒いオーラを放った。穂乃果は後ろに下がり、危機感を覚える。

「………眠れ」

「ぐはっ!」

「ホノカチャン!?」

ナオキから放たれた超音速枕は見事に穂乃果の顔面に命中し、穂乃果は敷かれていた布団に倒れて眠りについた。

「みんなも遊ぶのはいいけどほどほどにな。明日も練習なんだから」

「「「「「「「「「は、はい……」」」」」」」」」

ナオキがニコッとしてそう言うと、その場にいたみんなはその笑顔に恐怖を覚えたのか、少し怖がりながら返事をした。

「じゃあ、おれは部屋に行かせてもらうわ。また明日〜」

ナオキはそう言い残して階段を登って、自分の寝る部屋へと向かった。

 

 

 

 

 

 

〜〜♡〜〜

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、もしもし絵里?」

『ナオキ、どうかしたの?』

ナオキは部屋に戻ってからベッドに座って絵里に電話をかけた。絵里もお風呂から上がって部屋でゆっくりしていたのであった。

「いや、絵里がおれの声聞きたがってるのかな〜って思ってさ」

『ふふっ、ナオキもでしょ?』

「あははは……バレバレか」

どうやらナオキも絵里もお互いに愛する人の声を聞きたがっていたようだ。

『で、今日はなにをしたの?』

「今日はずっとぼーっとしてたよ」

『海に行ったのに?』

「あぁ、他には飯を作ったぐらいだな」

『もう、私と行くときはそんなのなしだからね』

「へ〜い……」

『ふふっ、ナオキの声が聞けてよかったわ』

「あぁ、おれもだよ」

『………それじゃ、またね』

「あぁ……愛してるよ」

『うん……私もよ』

2人はそう言って電話をきった。

ナオキは名残惜しそうに、待ち受けの絵里とのツーショット写真を見つめた。ナオキが大きなため息を吐くと、部屋のドアがノックされた。

「ん、どうぞ」

「…………………」

「なんだ真姫か……どうしたんだ?」

すると、真姫が少し不安気な表情でゆっくりとドアを開けて部屋を覗いてきた。

「え、えっと……その……勉強を教えて欲しくて」

真姫が何か言うのをためらう様子を見せて言った。

「なんだよそんなことか。ま、そこに座ってくれ」

「あ、ありがとう」

ナオキが椅子の方に手を向けると、真姫は礼を言って椅子に座った。

「別に遠慮なんかしなくていいよ。でもいいのか?せっかくの合宿なのに」

「えぇ。少しの時間ももったいないのよ」

「その言葉、穂乃果達にも聞かせてやりたいよ」

ナオキがそんなことを言っている間に、真姫は机に参考書とノートを広げた。

「それで、ここなんだけど」

「えっと……あぁ、これはだな………」

 

 

 

 

 

 

ナオキは真姫が問題を解いている間、ベッドに座りながら本を読んだり、スケジュールを考えたりしていた。

「真姫〜、調子はどうだ……ってあれ?」

ナオキはふと視線を真姫に向けると、真姫が机に突っ伏しているのを見て驚いた表情をした。そしてナオキは立ち上がってそんな真姫に近寄った。

「すぅ……すぅ………」

「寝てるし……」

真姫は寝息をたてて寝てしまっていたので、ナオキは呆れた様子を見せた。

それからナオキは真姫の座っている椅子をずらし、脚を先にもって真姫を抱きかかえた。いわゆるお姫様抱っこである。そして寝てしまった真姫をベッドに寝かせて布団をかぶせて一息はいた。

「さて……」

ナオキはそれから尿意を感じて部屋を出てトイレに向かった。

 

「真姫ちゃ……」

そのナオキが去った部屋を覗いた花陽はナオキが寝るはずのベッドに寝ている真姫を見て固まった。そして何を考えたのか、顔を真っ赤にして頭から湯気を出した。

「花陽、どうかしたのですか?」

花陽についてきた海未はそんな花陽の反応に不思議そうな表情をした。そして部屋を覗くと、花陽と同じく顔を真っ赤にしてしまった。

「お前ら、どうしたんだ?」

そこにナオキが戻ってきて、顔を真っ赤にして部屋を覗く2人を不思議そうに見つめた。そんなナオキに海未はゆっくりと顔を向けた。

「ナオキ……」

「は、はい……?」

「……………破廉恥です!!」

「ぐほっ!」

すると、急にナオキの腹に海未のパンチがクリーンヒットして、ナオキはそのまま意識を失ってしまった。

 

 

 

 

 

意識を取り戻したナオキは重たい目をゆっくりと開けた。

「っ……ここは!?」

その場所は、みんなが遊んでいた砂浜であった。しかも誰かが自分のことを引っ張っていた。そして前に別荘が見えたので、向かっているのは海であった。

「目が覚めましたか?」

「う、海未!?」

ナオキは後ろ、引っ張られている方向から掛けられた声に驚いた。

「おまっ、なにを……!」

「何って、決まってるじゃないですか……」

海未はナオキを引っ張りながら不敵な笑みを浮かべてその理由を答えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「破廉恥な()()()を海に沈めるんですよ」

 

「…………は、浮気者?」

ナオキは海未がなにを言っているのかわからなかった。

「とぼけても無駄ですよ。真姫があなたのベッドで寝ていたのですから」

「いやいや待て待て!おれはただあいつに勉強を教えてただけで、途中で真姫が寝ちゃったから……」

「べ、べべべ、勉強(意味深)なんて、破廉恥です!」

「誤解だーーーーーーー!!」

ナオキは海未からとんでもない誤解を受けていた。海未はどうやら受験に向けての勉強を、()()()()勉強と勘違いしているようだ。

「もう言い訳は聞きません、沈んでください!」

「やだーーーーー!!」

そしてナオキは体に()()()()()()()違和感に気が付いた。

あ、今のは『真姫』と『"巻き"ついている』をかけていて……

「あれ、海未さん……おれの体に巻きついているのはなんですか?」

「鎖ですが?」

「『鎖ですが?』じゃねーよ!まじで殺す気か!!」

「そんな、殺すだなんて物騒な。私はナオキを一旦沈めて、あとはナオキが陸まで上がってくればいい話ではないのですか?」

「お前は馬鹿か!そんなん死ぬに決まってるだろ!!」

「馬鹿とはなんですか馬鹿とは!早く沈めます!」

「やめろ!やめてください!ごめんなさい!何でもしますから!」

「ん、今何でもって言いましたか?」

「はい、言いました!なんでもします!」

ナオキがそう言うと、海未は海の手前で立ち止まった。ナオキは助かったと思って安心したのか体の力を抜いた。

「なら………"沈んでください"」

 

「…………へ?」

 

そしてナオキは海未に海に向かって思いっきり投げられた。ナオキは力を抜いていた為、海未は軽々と投げることができたのだ。

 

(終わった…………)

 

ナオキは涙を一滴流して、ついに海に沈んでしまった。

 

 

 

 

「さて、ナオキは上がってくるでしょうか?」

海未はそう言ってナオキを投げた方向を見た。

「海未ーーー!」

「あ、真姫……大丈夫です、安心してください。ナオキはちゃんと沈めましたから」

海未は真姫の両肩を掴んでそう言った。

「いやいや、そうじゃなくて!なんで沈めてるのよ!」

「え、だってナオキは浮気を……」

「そ、そんなわけないでしょ!私はナオキに、()()()()()勉強を教えて貰ってたのよ!?」

その真姫の一言に、海未は固まってしまい、目をパチパチとさせて真姫の顔を見つめた。

 

「…………………しまったっ!」

「海未ーーーー!!」

 

海未はそう言って振り返って海に飛び込んだ。

 

 

 

その後、ナオキくんはしっかりと救出されました。

 

 

 

 

 

 

次回に続く……





〜妄想ラジオ〜

ナ「あのさ……なんで今年最後の本編でおれがこんな目にあってんの?」
絵「さ、さぁ?ま、生きてたからいいんじゃない?」
ナ「おれ、これまでで一番酷い仕打ちを受けたぞ」
絵「はははは……さ、早く始めましょ?」
ナ「そうだな……さて、今回の妄想ラジオは2016年最後の妄想ラジオとなりましたので、絵里と一緒にお送りします!!」
絵「いえーーい!」
ナ「いやぁ〜、ついに2016年も終わりか〜」
絵「そうね。今年は色んなことがあったから面白かったわね」
ナ「あぁ……今年はこの作品にとっては大事な年になっただろうな」
絵「一周年を迎えたり、ランキングにも載ったり、お気に入りもたくさん増えたわね」
ナ「そうだな。それと同時に作者のおれの扱いもだんだんひどくなってるけどな」
絵「あ、あれよ!それはきっと作者の愛なのよ!」
ナ「本当かよ……」
絵「ナオキは私の言うことが信じられないの……?」
ナ「いや、それは作者からの愛だ。最初からわかってたさ」
絵「そうよね!ナオキの作者と歩んだ道は長いものね!」
ナ「あぁ……でも、絵里との歩む道の方が、おれは楽しみだよ」
絵「ナオキ……私もよ!」
ナ「おっと、まだほんぺん中だからゆっくり抱きつくのはまたあとな?」
絵「うん」
ナ「でもさ、今回の話はぶっ飛んでたよな……色々」
絵「そうね、所々ぶっ飛んでたところがあったわね。ナオキは頑張ったわよ」
ナ「結構頑張った……」
絵「でもナオキ、よく海未に海に沈められて生きてたわね」
ナ「ま、そのことも次回判明するんだけどな。あとUmiがSeaじゃないのはわざとだってさ」
絵「そうなのね。でも楽しみね……来年が」
ナ「ま、今年最後の投稿が間に合ってよかったな」
絵「でも去年は大晦日とお正月には記念回があったわよね?」
ナ「あぁ、そうだったな。あのときが懐かしい……」
絵「ふふっ、そうね」
ナ「じゃ、読者さんもゆっくり大晦日を過ごしたいと思うし終わろうか」
絵「えぇ、紅〇歌合〇とかガキ〇とか観てるかもしれないものね」
ナ「だな。それでは、新しくお気に入りしてくださったみなさん、ありがとうございます!」
絵「そして、今年評価、お気に入り、感想をくださったみなさん、ありがとうございます!これからもたくさんの感想をお待ちしてます!」
ナ「みなさん、今年一年『ラブライブ!〜1人の男の歩む道〜』の応援ありがとうございました!来年もよろしくお願いします!」
絵「それではみなさん……」
ナ・絵「良いお年を!」

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