仮面ライダーハイセ   作:黒兎可

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※原作よりカネキの行動が甘いので、情報が結構残ってしまってます


#047 胸中/肉薄/観察

 

 

 

 

 

 ――嘉納が所持する不動産。

 既に俺やアキラたちでいくつか当たっていたが、その中で見覚えのある名義のものを俺は手に取った。

 

 この名前は……、政道やアキラよりも後輩にあたるものだな。

 

 だが、記憶に残っている彼女たちは、やはり優秀なものだったように思う。

 

 感傷を振り払い、俺は資料室を出て会議室へ向かった。

 

 

 先日、篠原さんの言った「大食い」に関する進展。

 

 ラビットの捜査と平行して、俺たちはそちらにも協力をしていた。

 しかし、嘉納という男は調べれば調べるほど、不可解な点が多い。実質的な勤続年数はおおよそ四年。だが退職理由は特に無記入。父親の病院を継いでから、患者からの評判も厚いが……。

 だが、そもそも嘉納が退職する言われも少ない。

 資料が正しければ、例の「喰種の臓器を人間に移植する」研究が中断されてからも、数年間はそれまで通りだったようだ。それ以降、新しい研究課題を見つけたと証言もとれている。

 

 それが、何故突然離れたのか。

 ……派閥争いの類ではないだろう、おそらくは。

 

 だが、優秀な研究者の情熱が殺がれるだけの何かが、CCGに居た時に起こったことは間違いないだろう。

 

 そう考えながら扉を開けると、アキラと永近が会話をしていた。どうやら、俺と似たようなことを考えていたらしい。

 

「……なにか、『見たくない』ものでも見たんじゃないのか?」

「才能あふれる研究員の情熱を殺すようなものって、一体なんなんですかね?」

「何だろうな、イメージもつかん。

 ……なにせ彼が退局した頃、私は花の女子高生だ」

「アキラさん、なんか制服ビシっとしてそうですよね」

「馬鹿言え、私ほど愛らしくアレを着こなしていた女子高生もいなかったぞ」

 

 ……何を無駄話をしているんだ。

 

 思わずツッコミを入れると、アキラが屁理屈で釈明しようとする。流石にもうなれてきた、それを流して俺は発見した不動産の資料を置いた。

 

「チェックした分が全てじゃなかったのか?」

「他人の名義で購入していたようだ」

「どこにそんな資金……って、医者ッスか」

「しかし何だこの構造……? 地下室まであるぞ」

「ただの別荘じゃないッスね」

 

 永近が言うとおり、この物件は明らかに他のものとは違っていた。一人で住むには広大で、避暑地として用いるだけの土地でもない。

 言うなれば、隠れられる場所がいくらだって存在してるといえる。

 

「これで出なかったら無駄足になっちゃいそうッスけどね」

「無駄ではない。可能性をつぶしていくことに意味があるんだ」

「例の”カネキ ケン”しかり、だな」

「……」

 

 アキラの言葉に、永近は驚いたように黙った。 

 

「あの……、何でカネキの名前が出て来たんですか?」

「?」

「……カネキは、俺の親友です」

 

 その言葉に、さしものアキラも言葉が続かなかった。

 俺も、驚いた。何だこの、作為のあるような配置は。

 

「……済まない。その話は後にしよう」

「……ありがとうございます」

 

 俺の一言に、永近はしかしきちんと切り替えた。 

 この背景にも、何かまだありそうだ。だが、その正体にまで俺は気づくことは出来なかった。

 

 ”ラビット”と”大食い”に関して、どちらも現在は活動が見られない喰種となっている。ラビットはあの”黒”ラビット次第で変わるかもしれないが、それでも20区において大食いに対して裂かれている人数は多い。

 すなわち大食いに関して解決できれば、20区において大きな進展となる。

 

 ――もし篠原さんの読みが当たっていれば、鉄骨事故で圧死した少女が「大食い」。

 その臓器移植を受けたのが”金木 研”。

 

 執刀を行ったのが嘉納だとして……、やはりそれは実験か?

 

 人間に、喰種の力を組み込めないかという。

 

 ということは――果たして、移植を受けた人間は一体”どう”なるのだ。

 

 馬鹿みたいな話だ。だが、むしろ逆に「何もない」と断定することが、俺には出来ない。出来るだけの情報も何もない。可能性だけが、そこに存在し続ける。

 

 ……しかし仮にそうであったとすれば。

 我々はどう扱えば良い。金木研という名の、悲劇の少年を――。

 

 

 ――人間で、喰種で……、仮面ライダーです。

 

 

 不意に、脳裏をよぎる眼帯(ハイセ)の言葉。

 まさか。だが、その可能性だけは存在し続ける。

 

 身体的特徴、この身長と、なにより黒髪のこの顔がどこか、最初期に会った眼帯を想起させてしまうことも――。

 

 

 ――追うべきは白ウサギだ。だが、真に探すべきはアリスだ。

  

 

 仮にウサギがラビットだとすれば、アリスは嘉納か、あるいはハイセ?

 

 

 ……いかん、先入観に囚われすぎているのかもしれない。今は、目の前の資料に集中しろ。頭を振り、俺は手元の物件の資料に目を落とす。

 

 例え相手が何であろうと、悪鬼の芽ならば摘むだけだ。

 

 

 だが……、どうしても思ってしまう。

 

 仮にそうであった場合、永近。お前は一体どうするつもりなんだ――?

 

 

 

 

 

   ※ 

 

 

 

 

 

 がしゃん、と聞きなれた音。皿が割れる音は……、ロマだった。

 

「ロマ、アンタこれ何枚目よ……。

 高い皿だってあんのよ? 一枚千円だったら、一万円は店長に返さないと」

「ごめんなさいぃぃぃい~」

「ふむ、”一枚千円”か……」

 

 と、店長が私とロマとの話しに乱入してきた。

 何かを考えるような仕草だけど、私は知ってる。あれは、大体ジョーク飛ばしたり変なことを言うときのそれだ。

 

 そして案の定。

 

「もしそうなら、トーカちゃんはこれまでの合計、六万四千円返してね」

「……!!!」

「……(あー)」

 

 ロマに顔を向けられなかった。

 

「……あ、テーブルの片付け行って来ます」

「うん。行ってらっしゃ――」

 

 そして、お客さんが帰った後のテーブルの上を一つ片付けようとしたタイミングで。

 

 からからと扉が開き――アタッシュケースを持った、二人の男が現れた。

 一人は長身で、変なヒゲと髪形。

 もう一人は白髪で、私と同じくらいか少し下っぽい。

 

「いやぁ、シックでステキじゃないか”あんていく”」

「イイ匂いです~」

「ここだね、金木研くんが働いてるお店」

 

 その放たれた言葉に、私は思わず「ぎょ」っとした顔をしたロマの口をふさいだ。

 

 

 

   ※

 

 

 

『――昨年、大量の捕食被害を出したとされる”喰種”。

 20区に住まう最大の怪異、消えた”ビッグイーター”の謎。

 彼らは見た目こそヒトと同じ。しかしその食性は人間の死肉。捕食量も個体差があると言われてますが……、ビッグイーターに関しては判明しているだけで、月に二人以上が殺されていました。

 解説の小倉さん、どうぞ』

『――このビッグイーター。あ、これ私がそう呼んでるんだけどね。CCGの方でも採用してくれたらしくて、ちょっと嬉しかったかな。

 ともあれ、彼らは多くが慎重だし、月に死体はそう多く必要ないはずなんだよ。

 だから逆に考えて、太っちょか成長期の喰種というのが妥当なんじゃないかと、私は思う――』

 

 

「これ、大食いのことですよね?」

「まね。こっちでもたまーに使うよねぇビッグイーター。

 ……”大食い”は食欲の強さから、十代後半から二十代前半の喰種だとこっちは断定している。

 んでもって、『女子』」

「……? なんで女の子です?」

「被害者のほとんどが、線の細いイケメンくんばっかなんだよ。

 要するに、面食いなんだろうねぇ」

「オカマさんかもしれないですよ」

「おっと、そいつは一本とられたな。

 でもこの職20年になるけど、今のところオカマさんのとは遭遇したことないんだよなぁ。中には居るかもしれないけど」

 

 怯えるロマを上がらせて、私はメインで接客を張っていた。今日は古間さんもカヤさんも珍しく居ない。

 店長の「悪いね」に、私は首を振った。

 

「あ、すみません。アイス珈琲お代わり」

「ココアくださいです~」

「あと、このミックスサンドを……」

「あ、はーい」

 

 呼ばれたのでそちらに行き、注文表に商品名を記入。繰り返して確認してから、店長の方にオーダーを言った。

 そしてカウンター側に戻ろうとしたとき、案の定呼び止められる。

 

「店員さん、ちょっと聞きたいんだけど……」

「……何でしょうか?」

「いやぁね、ここで男の子バイトしてない? 金木くんっていう、大学生の」

 

 ちらりと店長の方を見る。店長は、わずかに頷いた。

 

「……はい、働いてます」

「そう、その彼のことなんだけど……、連絡つかない?」

「付くかどうかって……」

「あー、めんごめんご。ちょっと調べモノでね」

 

 取り出された喰種捜査官の手帳に、とりあえず驚いておく。

 

「どうも固定電話がないみたいで、大学の方から実家に連絡してもらっても反応ないし。何とかアポイントとれれば良いって感じなんだけどなぁ」

「嗚呼、実家……」

「何か知ってるのかい?」

「あ、いえいえ……」

「金木くんはいつからここでバイトを?」

「去年の十月……? くらいからだと思います」

「何か変わった様子は?」

「特には……? 元々、ちょっとした常連だったんですけど、それ以前のことはあんまり」

「なるほどね……。ん?」

 

 と、捜査官は私を何故か観察するように見る。

 そして向かいの小さいのが、私に言った。

 

「体調悪いですか?」

「へ?」

「何か、吐いた匂いするです」

 

 ……!

 

 光の灯ってない目がこちらを見てくる。

 私は、一瞬動けなくなる。

 

 それに追い討ちをかけるように、捜査官が口を開いた。

 

「……君さ、どこかで会った事ないか?」

「……わかりません」

 

 二人分の視線にさらされ、私は動けず。それでも、内心を隠しながら、出来る限りじっと相手を見つめ返し――。

 

 

 カラン、と店の扉が開かれた。

 

 

「お疲れ様です……?」

「!?」

 

 カネキだ。いつもみたいにカツラをつけて、眼帯も装備してる。

 

 捜査官が「あ、彼か」と言ったのに、私は妙な焦燥を感じた。一瞬、その時のカネキの顔に、お父さんの顔がダブって――。

 

 

「へ? あ、トーカちゃん!?」

「――ッ」

 

 

 なんとなくカネキを庇うように、猛然と走って抱きついた。

 

 

 

   ※

 

 

 

 お店に入ったら、トーカちゃんが走って抱き付いてきた。

 何なんだ、この状況……。カツラは落ちないくらいの勢いだったけど、ちょっと足元がおぼつかない。

 

 そしてお店のお客さんの視線が痛い。

 

「と、トーカちゃん……」

「……! あ、ご、ごめん」

 

 何故かトーカちゃん本人も、よく分からないって反応をしていた。

 

 とりあえず引き離すと、店の奥に居た、ちょっと変わった髪形をしたヒトが、唖然としたようにこちらを見ていた。

 

「……あれ? あはは。まあ良いや。

 什造、しばらく店で待ってろよ」

「あ、はいです」

「……?」

 

 あれ、更にその奥の男の子は、なんかどっかで見覚えがあるような、ないような……?

 

 と、トーカちゃんが耳に口を近づける。

 

「(捜査官。なんか、アンタに用があるって言ってる)」

「(! うん、わかった)」

 

 言われてみると、確かに彼らは捜査官のようだ。少年の方はわからないけど、男性はバッジも付けている。

 トーカちゃんと一緒に店内に入ると、大男の方が立って、こっちに歩いてきた。

 

 CCGの手帳を見せながら、彼は微笑む。

 

「金木、研くんだよね。少し時間、貰えるかな」

「……えっと、荷物置いたり、店長に確認するくらいさせてください」

 

 一応シフトなので、と言うと、それくらいならと応じてくれた。

 

 男性は先に店の外に出る。

 

「あの、芳村さん――」

「カネキくん。制服に着替えて出なさい」

「? わかりました」

 

 言われたとおりに「あんていく」の制服を着用。

 外に出る途中、さっき男性と一緒に座っていた少年が「どもです」と挨拶して頭を下げてきた。

 

 ……やっぱり見覚えがあるけど、はて、どこでだったっけ。

 

「お待たせしました」

「うん。じゃあまず自己紹介。

 俺は篠原幸紀。CCGの上等捜査官だ」

「僕は……、言わないでも大丈夫ですかね?」

「ま、多少は調べてきたからね。金木研。上井大学二年生。成績は比較的良好と」

「あ、あはは……」

「眼帯、なんで付けてるの?」

「去年、ちょっとものもらいしちゃって。そこから落ち着かなくて、なんとなく……。必要があれば外しますけど」

「あ、いや別に良いよ」

 

 どれくらい何を調べられているのか、ちょっと心配だ。割と最近、いやここ半年は色々と動きがあるので、尾行とかされてないよな……? 一応されてても気づく事はできるから、たぶん大丈夫だろうけど。

 

「んー、にしても彼女居るってのは初耳だったかな?」

「彼女?」

「さっきの子。ほら、いきなり熱烈に抱き付いてたし――」

「いえ、あの一応違うんですが……」

「え、違うの? 彼女でもない女の子に抱きつかれてたの?」

「いや、僕の方がちょっと困惑してるというか……。友達とか、アルバイト仲間とかならわかるんですけど、そういうつもりではないですし」

「色男だねぇ。結構、女の子泣かせてるんじゃない?」

 

 ……流石にないだろう、それは。

 

 少なくとも、僕の好みのタイプはリゼさんみたいな感じなので、トーカちゃんは色々な意味で外れてる。

 もし仮に、トーカちゃんの方が……、いや、自意識過剰だろうか。自分でも悩むところだ。リオくんからも明らかに距離感が近いとは言われたけど、それが好意に端を発したものなのか、依存心から端を発したものなのかまではわからない。

 

 それに、もし本当だったとしても――。

 

「職業柄、喫茶店に寄ることも多いんだ。後で君の淹れたのも飲んでみたいね」

「あ、ありがとうございます」

「そう。……あ、これ什造、さっき一緒に居た奴のなんだけど、一つ食べるかい?」

 

 そう言って彼が取り出したのは、袋に入ったマシュマロだった。

 

「あー、えっと……、一応、お昼後なんで」

「いやいや、せっかくだから一つ」

「……頂きます」

 

 しかし何というか、もう大分「こっち」には慣れたけれど。どんなに不味くとも、人間の食事をこの「混じった」身体は吸収できるらしい。味覚上の問題はともかくだ。

 そう考えると、マシュマロは……、味のないガムみたいな、この何とも言えない感じ。パッサパッサに感じるそれは、舌の水分をとっていくような感じがする。そして広がるこの不快感だ。

 本来ならそれこそ、最近感じた「甘さ」を感じてしかるべきなんだろうけど……。

 

 普通に食べている僕を、篠原というらしい捜査官は意外そうな目で見ていた。

 

「すみません、もらっちゃって」

「……? いやいや、後で怒られるの俺だし。『僕のお菓子何あげちゃってるですかー!』って」

「なんだか、子供みたいですね……」

「まぁね。俺としちゃ、救われてるところもあんだけど……」

 

 少し遠い目をして、彼は言った。

 

「――娘が、食い殺されたんだ。昔」

 

 僕は、言葉が続けられなかった。

 

「まだまだ小さい頃でね。当時警察官だったんだけど……、もうそれから、一気に転職を決意したね。

 気が付けば現在の地位だ。がむしゃらに粘るくらいしか取り得はないんだけどな」

 

 だから、ああいう子供を見てると、なんでか助けてやりたくなんのよ。

 笑ってその話をする彼は、酷く痛ましいものに見えた。

 

 強いんですね、と返すと、強がってるだけさ、と彼は肩をすくめた。

 

「いやぁ、湿っぽい話をしちゃったね。じゃあ、確認の続きだけど……。

 去年の十月、鉄骨落下の事故に巻き込まれ、ニュースになった臓器移植者は君だね?」

 

 ……彼に対してどれくらい情報を隠すべきか、僕はまだ判断できていない。ただ、まるで自分の肌に刃が肉薄するような、そんな危機感を感じてはいた。

 それを表面上に出すことはできないものの。

 

 首肯すると、彼は質問を続けた。

 

「その臓器移植の後だけどさ――何か、変わったことはない? 例えば『食べ物を受け付けなくなった』とかさ」

「――っ」

 

 だが、流石にそれには思わず反応をしてしまった。

 このヒトは、何を探ろうとしているのだ。

 

 事故の起こった時のことを聞こうとしている訳ではないだろう。ならばリゼさん? いや、だったら僕個人について、こんなピンポイントで質問してくることは――。

 

『――研くん。気を付けなさい。このヒト(先生)は、かなり鋭いから』

 

 どちらにしても反応してしまった以上、そのまま無反応で誤魔化すことは出来ないだろう。この場合、僕が「喰種」と混じってしまったと断定されない程度に、情報を押さえられれば良い。

 最悪の場合、僕があんていくから離れれば良いだけの話だ。

 

「……一応は、食べられます」

「一応?」

「……味覚も、嗅覚も、なんか前に比べて鋭くなったと言いますか……。以前は感じなかったようなものまで感じてしまって、味が変な風になってると言いますか」

「例えばどんなのだい?」

「牛乳なら、こう、膜? 脂肪? とかの部分が強烈に感じちゃって、一瞬うぇっとなると言いますか」

「ふむ……。ちなみにさっきのマシュマロなんかは?」

「まぁ、似たような感じです。

 ……あの、ナイショにしておいてくださいね? 出来れば。皆に心配かけるといけないんで。これでも結構、頑張って気づかれないようしてるんで」

「…………なるほど。ふむ。

 病院からの薬はどうしてるんだい?」

「ちゃんと飲んでます」

 

 その後、多少雑談をして、「呼び出して悪かったね」と彼は笑った。

 でも最後に。

 

「その時の先生って、今連絡とれる?」

「病院に行けば薬はもらえるんですけど、最近先生はめっきりで……」

 

 その確認をとられたことが、酷く引っかかりを覚えた。

 

 

 店内に戻れば、少年の方が捜査官が頼んだらしいサンドウィッチを食べていて、軽く怒られていた。そのやりとりが酷く親子じみていて、見ていてなんとなく胸を締め付けられる。

 その後宣言どおり、僕の淹れた一杯を捜査官は飲んだ。

 

「ん、美味しい」

「……店長の腕が良いんですよ」

 

 去り際、店長に「また来ます」と言っていたのにも、何か引っかかりを覚える。

 

 店を後にした二人の背中を見つつ――僕は、何か「先を越される」ような焦燥感に駆られ。

 

「……?」

 

 不意に何故か、トーカちゃんが僕の頬を片方引っ張った。

 

 

 

 

 

 


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