仮面ライダーハイセ   作:黒兎可

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今回のお品書

No.3 喰種開業医・笛口アサキ 第1患者、第2患者
No.2 リゼの部屋 第三回、第四回

※キャラ崩壊注意(特に笛口アサキに対する過剰な風評被害)
※設定違い注意(特にリゼ)
※絶許マン注意


ネット版外編 第4回分配信

『3.ジっくり視ましょう!』

 

 

 

 暗転した場所で、丸椅子の上に座る男性。背中をこちらに向けて、黒い白衣を身にまとっている。髪は長いというより、切るのを面倒がっているのか適当に束ねている。

 そんな彼が、ちらりとこちらに身体を向けた。人の良さそうな顔をしているが、少し疲れている印象である。ひげはうっすらと生えており、メガネに、首には聴診器を巻いていた。

 

「――やぁ。理性と本能の狭間に囚われた皆さん。

 私は笛口アサキ。喰種の赫子に目がないドクターです」

 

 特に妻の赫子の形状の美しさといったら、と何かを語ろうとした瞬間、口から涎が垂れかけ、じゅるりと袖で拭った。

 

 

 

 

 

<――喰種開業医・笛口アサキ 第1患者――>

 

 

 

 

 

「――次の方、どうぞ」

 

 今は使われなくなった、とあるコンテナハウス。空き地の管理も行き届いて折らず、一見して廃墟のそれだ。そんな場所に看板も立てず、ひっそりと経営しているのが笛口アサキの診療所だ。

 喰種の医者として、今日もやってくる患者たちを、食糧と引き買えに診ているのだ。

 

 さて。アサキの言葉を受けて病室の扉が開く。

 

「おお、アヤトくんですか。まま、ささっと掛けて下さい」

「嗚呼。……痛ッ」

 

 年齢は10代前半ほどの少年が、肩を押さえながら椅子に座った。目つきは酷く悪く、将来が楽しみな整った容姿もいくらか台無しだ。

 そして、アサキはそんな攻撃的な雰囲気のアヤトを、実の子でも見るような温かな目で見ていた。

 

 もっとも、表面上はであるが。

 

「無茶をしてはいけないよ? お姉さんを守るというつもりでも」

「うっせ。オッサン黙っと――ッ!!」

「はいはい、患者は患者らしくしてなさい。そうだね、念のため上着を脱いでくれ。他にも何か問題がないか、確認しよう」

 

 言われるがままに上着を脱ぐアヤト。左肩から腕にかけて走る傷痕に、さっと取り出した消毒液を宛てるアサキ。少し涙ぐみながらも、アヤトは拳を握って力いっぱい堪えた。

 

「今日は誰と戦ったんだい?」

「……なんか、変な言葉しゃべる変態」

「変態?」

「姉ちゃんと俺の臭い嗅いだりしてきやがった。キモかった」

「それはそれは。で、これはお姉さんをかばって出来たものと」

「!?」

「なんで気付いたか、という感じだけど、そこはオジサンも大人だからねぇ。人生経験豊富さ」

 

 驚いた表情のアヤトに微笑みながら、傷口を洗浄するアサキ。だが、その視線はアヤトの、ひとえに左肩に注がれていた。

 

 

(霧嶋アヤトくん。肩の裂傷は「甲赫」による回転攻撃でしょうねぇ。でも腕が千切れてないということは、赫子がそれを防ぎ切ったということでしょう。羽赫は相性的に甲赫とは酷く悪いはずなのに、それが可能ということは、ひょっとすると近親者に甲赫が居るのかもしれませんねぇ。

 そして何より、アヤトくんの赫子は遠近の区分がない! 羽赫はどうしても遠距離が得意という風になってしまうところですが、喧嘩殺法のごとく我武者羅に当って鍛えているだけだって、戦闘パターンを固定しないようにしているのでしょう。加えて一撃の出力の高さから言えば、人間が使うショットガンのごとし。

 ひとえに努力の賜物でしょうか。将来が楽しみな赫子ですが――いささか拍子抜けですねぇ。これなら、家の娘の方が期待値が高いところでしょう。なんてったって、赫胞2種同時保有ですからッ!)

 

 

 内心のそんな謎のたぎりを一切表面に出さず、アサキはアヤトに包帯を巻いた。

 

「それで、大丈夫なのかい? 下手に相手の喰種に執着されても、危険なんじゃないのかい?」

「一応あっちも半殺ししたから大丈夫だろ。あー……、なんか、じーさんが持ってた写真のだけど、見るか?」

 

 そう言ってアヤトが取り出した写真を見て、アサキに電流走る。

 

「――なんという美しさだ……ッ! 洗練されている!」

「……お、オッサン?」

 

 突如訳の分からないことを口走り出したアサキに、アヤトは一歩引く。

 

 アサキは立ち上がり、手にした写真に写る青年――腕にドリル状に巻きつく赫子を構えてポーズを取る喰種の、赫子を、目を食いしばるように見て笑っていた。

 ちょっと目がうっとりしていて、怪しいというか危ない感じである。

 

「並の食事やトレーニングではここまでの色艶は出ない。イメージが赫子の形を作る以上、本人のメンタル的な要素も捨ててはいけないが、画素の荒い写真ごしにさえ分かるこのきらめきッ! 全ての要素が結合した、正にパーフェクトハーモニィッ!

 アヤトくん、一体彼とはどこに行けば会え――るのか、い?」

 

 その場でくるくる回転したりして、テンションの上がりようを表現していたアサキだったが。

 振り返れば、先ほどまでアヤトが居た場所には、肉のパック一つだけが置かれ、扉が開かれていた。

 

 

 診療室に少しだけ冷え込んだ風と、「あなた、また……」という妻の声だけが響いた。

 

 

 

 

 

 

   ※

 

 

 

 

 

<――喰種開業医・笛口アサキ 第2患者――>

 

 

 

 

 

 今は使われなくなった、とあるコンテナハウス。空き地の管理も行き届いて折らず、一見して廃墟のそれだ。そんな場所に看板も立てず、ひっそりと経営しているのが笛口アサキの診療所だ。

 喰種の医者として、今日もやってくる患者たちを、食糧と引き買えに診ているのだ。

 

 さて。目の前の患者に対して、アサキは微笑みながらアドバイス。

 

「カズオさん。貴方の場合生活サイクルも栄養バランスも完璧ですから、そうなるとやはり精神的な所が原因かと。赫子の調子にも影響がありますから、何か発散するところを考えては?」

「やはり、もっと踊るしかないのか俺は……」

 

 赫子を仕舞い、ありがとうございます、と頭を下げて立ち上がった男。髪はちょっとおかっぱっぽい、スマートな男性だ。冴えない容姿と優しげな声が印象的である。扉を開けて外に出ると、アサキの愛娘に優しげな声で手を振るようなやりとりが聞こえてきた。

 

 それにほっこりしながら扉を閉め、アサキは少しだけ暗い表情を浮かべた。

 カルテを付けながら、アサキは少しだけため息。

 

「毎日毎日、平和で結構ですが……。ここの区の感じにも慣れてきて、赫子も見慣れて来てるんですよねぇ。ここらで一発、何か私をときめかせてくれるような赫子は来ないものですかねぇ……。

 次の方、どう――」

 

 ぞ、とアサキが言った瞬間、診察室の扉が勢い良くぶっ飛ばされた。

 

 扉と共に部屋の中にぶっ飛ばされてきたのは、長身の男性である。少々濃い顔つきながら、何故か妙にしなを作っている。診察室の机の上に倒れたと同時に、彼は「あぁん、ヤモリったら大・胆♡」と恍惚な声を上げた。

 

「あ、あな、たは――ヤモリさん?」

「やあ久しぶり。先生?」

 

 ふっと微笑み、倒れこんだ男性を適当に地面に転がして椅子に座ったのは、大柄な白いスーツの男性だ。ネクタイは鱗のような模様が描かれており、顔形は中々にいかつい。

 

 ぱきり、と指を慣らす彼に、アサキは思わず一歩下がった。

 

(13区のジェイソンこと、ヤモリ。共食いを繰り返して既にその身は赫者へと至ろうとしている。

 何よりその特性は共食いというよりも、その趣味趣向であるところの被虐、拷問のごとき行為に裏づけされた残虐性。一度目にした赫子は、何とも荒々しい鱗赫だった……。

 しかし、何も退屈を紛らわしたいと思った矢先に何故彼なんだッ!?)

 

 奥で震えているだろう娘と妻の方に注意を向けながら、アサキはヤモリに聞いた。

 

「よ、用件を伺いましょうか?」

「嗚呼。道具の調子を見て欲しいんだよ。ほら、僕、沢山使ってるから自分だけじゃ手入れが間に合わなくってさ」

 

 そう言いながら取り出したのはペンチだ。だが一見した通りの只のペンチにあらず。押さえつければ喰種の身体さえねじ切る類の道具となっているそれは、元はと言えばアサキの医療器具の技術をベースとしたものだった。

 

 力の強弱関係に開きがある喰種の診療も行うアサキだったが、ヤモリは勝手が完全に違った。彼はそもそも医療を必要としない前提で動いており、一定数の喰種が彼を「先生」と扱うのに対して、ヤモリは彼に支配的な態度をとる。家族を人質に取られているような状況が続いており、アサキは彼の言う事には逆らえなかった。

 

 ヤモリもヤモリで手加減の度合いを弁えているのか、アサキに対して依頼する範囲は、さほど多くはない。娘の誕生日には服を送ってくることもあるくらいだが、もっとも基本的には相手の気分次第というところだった。

 

 一度バラバラに分解して各パーツを磨き、一度彼に手渡す。

 ばきん、ばきんと調子を確認した後、ヤモリは躊躇なく、一緒に連れてきた男の鼻をニッパーで摘み、もいだ。

 

「――ああああん、痛いじゃないのヤモリ!」

「お前を紹介するつもりもなかったのに、付いてきたんだから使用点検くらい付き合えよ」

 

 顔面を押さえながら抗議する男。診療所に血が飛沫する。

 ヤモリは楽しそうに笑い「また来るよ。娘さんも元気でね」とだけ言い残し、二人そろってコンテナハウスを出て行った。

 

 深く、深く息を吐くアサキ。彼等の足音が聞こえなくなってから、すぐさま急ぎ足で扉を開け、ベッドで震えていた妻子に走る。

 

「お父さん――」「あなた……ッ!」

「ヒナミ、リョーコ!」

 

 涙を浮かべながら、ひしと抱きしめ合う。

 

(嗚呼、退屈で結構じゃないか。平和で結構じゃないか。私には家族がいるのです。この平和さえ守る事ができるのでしたら――)

 

「リョーコ、その蝶のような赫子で私を包みこんでくれ! 癒してください!」

「あなた、ヒナミの前でマニアックなプレイを要求するの止めなさい」

 

 首をかしげる娘の前で、抱擁しながらも母親は父親の頭に軽くチョップを入れた。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――

 

  

 

 

 

 

『2.オ遊びは程々に?』

 

 

 

<――リゼの部屋 第3回――>

 

 

(本棚が沢山並ぶセット。テーブルの上には赤い液体の入ったグラスが二つ。リゼが身体を斜めにして微笑む。手元には本が一冊)

 

リゼ(以下リ)

「こんにちは。喰種界一の魔性のオンナ。美女が野獣、神代リゼです。

 第3回目のゲストはこちら――あらどうしたの? バンジョーくん。真っ白になっちゃって」

 

(カメラ、左の方に振れる)

(バンジョー、真っ白に燃え尽きてる(目も白目))

 

バンジョー(以下バ)

「・・・バンジョー、カズイチデス」

 

リ「あらあら重症ねぇ。ちょっと遊んでただけじゃない」

 

(外野から野次「カネキ喰おうとしといて遊びじゃねーだろ!」)

 

リ「あら、霧嶋さんだって結構ウマとか言ってたの、カネキくんに聞かれてるわよ? くすくす。まぁそれはおいて置いて。いや毎回思うけど、バンジョーくん地味よねぇ。私にリーダー任されたって張り切っても、ねぇ」

 

バ「ふぐぅ」

 

リ「さて、そんなバンジョーくんだけど最近どうなの? 11区奪われて、アオギリで下っ端とかしてたけれど。自慢の肉体、やっぱり役には立たないっていうか――」

 

月山(以下月)

「バンジョイくん! 落ち込む事はない、君はカネキくんの盾なのだからッ! 攻撃は僕に任せれば良いのさ!」

 

(月山、突如ジョジョ立ちでテーブルの上に現れる)

 

バ「つ、月山!?」

 

リ「あら月山くん、行儀悪いわよ? っていうより貴方4回目のゲストのはずでしょう?」

 

月「そう今来たところさ!

  だが君のバンジョイくんへの煽りを聞いていて、流石に可愛そうになったっ!」

 

リ「あら、でも事実じゃなくって? ねぇバンジョーくん」

 

バ「り、リゼさん、俺は・・・」

 

月「辛いならば僕が代わろうかい? レディにもジェントルにも、友愛を持ち優しげに接するのが僕のスタンスさ」

 

バ「い、いや、別にいい」

 

リ「全然信用されてないじゃない、月山くん」

 

月「ワッツッ!? ん、んん。それはともかく、神代さん――」

 

リ「っていうかいい加減テーブルから下りて。カネキくんからもらった本が汚れるじゃない」

 

(ぴょん! と跳ねてバンジョーの隣に座る月山)

(バンジョー、ソファの端に逃げる)

 

(ぱしゃり、というどこからともないフラッシュに笑顔でポージングを決める月山)

 

月「さって、神代さん。常々僕は聞きたがっていたことがあったのだが」

 

リ「何かしら」

 

月「君は僕に、味に拘るとは人間のようで滑稽だと過去に言ったことがあったね。ハイソぶっていると(コミックス4巻#36参照)」

 

リ「そんなこともあったわねぇ」

 

月「だが君ィ! 君がカネキくんを見かけてから、実際に彼と話をするまでのソーロングタイムは、僕の下ごしらえと何が違うのかな? ん?」

 

リ「あれは・・・、一応、目的あってのことだし」

 

月「目的とは何かね? ん! わざわざメガネまでかけて」

 

リ「変装的な意味合いもあったし、それは・・・って。嗚呼なるほど、結構根に持ってるのね・・・(研くん関係のハナシをしても意味なさそうだし、煙にまこう)」

 

(リゼ、カメラ外のスタッフ? に何か指示を出す)

 

リ「ところで月山くん。貴方、最近カネキくんに協力して色々なんかやってるらしいじゃない」

 

月「そうれが、どうかしたかい?」

 

リ「詳細は後の方になるから省くけど・・・、ちょっと、こちらの映像をどうぞ」

 

(リゼ、リモコンを取り出してボタンを押す)

(月山、バンジョー、そちらを見る)

 

 

(映像:ビルとビルの谷間、バンダナを巻いた青年と整った顔の少女と小さい少女が月山に追い詰められている)

(映像:突如空中から、黒いシルエットが降って来た)

(映像:カネキ、変身状態)

 

月『か、カネキくん!? 何故君が・・・』

 

カネキ(以下カ)

カ『チエさんから以前、コンタクトがありました。正直、別件で動いてたところだったんですけど・・・って、イクマさん?』

 

(イクマ「ひ、久しぶりやな」と驚いた様子で手を挙げる)

 

カ『久しぶりです。で、今回その借りを返してもらいたいということで・・・。なんでも言ってください、出来る範囲のことなら』

 

(ホリチエ、何故か顔面と音声にモザイク)

 

ホリチエ(以下ホ)

『んー、大したことじゃないんだけどさ。今後、私から情報が欲しい時は、月山くんを通して!』

 

カ『月山さんを通じて?』

 

ホ『あ、もちろん私が使えそうだって思ったらで良いんだけど』

 

カ『その言い方だと、人間性とか無視してるみたいで何か嫌ですね・・・。もちろん力を貸してもらえるなら、ありがたいんですけど、何故?』

 

ホ『そっちの方が沢山写真がとれるから』

 

 

(映像切れる)

 

 

リ「良い友達持ったじゃない。(懐柔されてるけど)」

 

月「リトルマウスは、僕とは違う道の求道者さ」

 

(月山、テーブルの上に乗っていた赤い液体を飲む)

 

リ「で、そんな彼女からこんな写真が――」

 

月「Shiiiiiiiiiiiiiiiiiiitッ!!!!!?」

 

(リゼ、月山の変顔の写真をさっと取り出す)

(月山、絶叫して液体を噴き出しながら、リゼから取り上げようとする)

 

バ「つ、月山どうし―ーぶッ!」

 

月「バンジョイくん、押さえたまえ! これは違うんだ!」

 

リ「くすくすくす。事前に貰っておいて正解だったわ。で、この写真を後でカネキくんに送付しようかと思ってるんだけど――」

 

月「神代さん、何が目的だねッ!?」

 

リ「目的なんて大それたものないわよー。ただ単に、仲良くなって欲しいってだけじゃない?」

 

月「違うんだ、僕とカネキくんとはもっとこう・・・、エレガンス! な、こう、洗練された関係でありた――」

 

リ「捕食対象として見てるくせに何言ってるんだか」

 

月「そのことに関しては君に言われたくはないゾッ!」

 

リ「前提が間違ってるもの。私、本性出してからカネキくんの扱いは変わってないし。むしろカネキくんの方が好意的じゃないかしら? うふふ」

 

(リゼ、ドヤ顔)

(月山、ぐぬぬ)

 

リ「貴方もせめて、さっきのイクマ? くんくらい好意的な視線を向けられるようになればだけど・・・、ご愁傷様ね?」

 

月「表に出たまえ! 美食家の本分たる、洗練された力を見せてあげようッ!」

 

リ「あらあら、そんなの戦いにならないと出せないものなの? とんだお笑い種ねぇ」

 

月「な、なんだと!?」

 

バ「お、おい月山、止めておけって――」

 

(リゼ、リモコンを操作)

(映像:リゼ、カネキに齧りつく捕食シーン)

 

 

月「僕のだぞッッ ッ!」

 

リ「バンジョーくん、後お願いね~♪」

 

バ「へ? あ、リゼさん!? ちょっと、ちょっとちょっと――!?」

 

月「今日という今日は雌雄を決しようじゃないか! 質と量の全面対決だ! さあやろうじゃないか! こら、逃げるな! なんか待ちたまえ!――」

 

 

(月山、バンジョーに破壊締めにされながら絶叫。ちょっと顔が赤い)

 

 

(リゼ、その場を離れながら笑う)

 

リ「月山くん、血酒結構弱いのねぇ。くすくす」

 

 

 

バ「ちょっと、誰か助けてくれ! アヤトの姉ちゃん、カネキ呼んできてくれ、いやちょっと、リゼさああああんッ!!?」

 

 

(画面外からぱしゃり、と一枚。月山の変顔が撮れる)

 

 

 

 

 

   ※

 

 

 

 

 

<――リゼの部屋 第4回――>

 

 

(本棚が沢山並ぶセット。テーブルの上には赤い液体の入ったグラスが二つ。リゼが身体を斜めにして微笑む。手元には本が一冊)

 

リゼ(以下リ)

「こんにちは。願いは一つ、:reでの大活躍を。最近目処が立ったようで良かった、神代リゼです。私が鉄骨に潰されてから色々起こってるみたいだけど・・・、関わったって良いじゃないッ! ゲストを呼んで、色々弄っていきたいと思います。

 第4回目のゲストは――本当なら美食家、月山習さんだったんだけど、本人が前倒ししてしまった結果ね。こちらのお方です」

 

(カメラの振れた先、額に幽霊のつけてる三角巾を装備したヤモリ)

 

ヤモリ(以下ヤ)

「大守八雲です。初めての方は初めまして。お久しぶりの方はお久しぶりです」

 

(外野から「アニキーッ!」という声が入る)

 

リ「ぶッ」

 

(良い笑顔を浮かべて挨拶するヤモリ。リゼ、何故か爆笑)

 

ヤ「・・・何が可笑しいのか? リゼ」

 

リ「あはっはは、アタシと貴方の接点なって、だって本編前の、高田アクアビルディングくらいしかないじゃない? 貴方が私が食べているところに乱入してぇ、ペンチ取り上げられてぇ。返せ、返せぇ! って。

 しかもそれだって元々、喰種開業医のところから無理やりかっぱらって来たものでしょ? 自分で作りなさいよ、あっはははははははは――!」

 

(ヤモリ、笑顔のまま青筋が立つ)

 

リ「あの時の台詞覚えてる? 指の一本、腕のニ三本、足の五六本ですって。赫者とかの姿とかで相対したらいざしらず、目の前に普通の体で居る相手にそりゃないでしょ、数を数えられないわけぇ? あっはっはっはははは――」

 

ヤ「・・・やれやれ、これだから野蛮人は。レトリックの一つも解さない」

 

リ「少なくとも貴方よりは読書家だと思うわよ? 白秋だって読むしぃ」

 

(リゼ、リモコン操作)

(映像:ヤモリがリゼの耳元で囁く)

 

ヤ『俺に――奪わせろ』

 

 

リ「うwwばwwわwwせwwろww」

 

(ヤモリ、更に青筋が立つ)

 

リ「おままごともここまで行くといっそ清清しいわねぇ。暴虐なんて、恐怖を煽らないから暴虐なのにぃ。弱いものいじめして自分は強いんだーって自己主張して。真理? 単に一人ぼっちの価値観が嫌なだけでしょう。それで他人を自分みたいにして初めて『仲間』ですって? 可愛いわねぇ、ちっぽけで♪」

 

ヤ「リゼエエエエエエエエエエエエエ――ッ!」

 

(ヤモリ、立ち上がり赫子を出す)

(リゼ、爆笑)

 

リ「だーから言ってるじゃない。貴方とは遊ばないって」

 

ヤ「ビッグイーター絶対に許さねぇ!!!」

 

(外野から「アニキ、やっちまえー!」というテンションの高い声)

 

ヤ「有馬コロス有馬コロス有馬――」

 

リ「なんか混じってないかしら? まあ私もなんか、原作の方で彼に目を付けられてしまったみたいなんだけど・・・」

 

ヤ「セイハー!」

 

リ「って、脈絡なく飛び蹴りとか止めなさいよ」

 

(ヤモリ、突然キック。リゼが交わしたのでセット破壊)

 

ヤ「まあ私としても? カネキくんを散々いじめたっぽい貴方に思うところはあるしぃ。なんか彼の中で、ある種父親的な扱いと言えなくもないのかもしれないけどぉ? とすると私、お母さんになっちゃうし、それもそれで嫌なのよね・・・」

 

(リゼ、背部より赫子展開)

 

リ「というわけで、遊びはしないけど――サンドバッグくらいにはなりなさいよね?」

 

ヤ「はああああああああああッ!」

 

(ヤモリ、上半身と腕に赫子を纏いはじめる)

(リゼ、下半身に赫子を纏いはじめる)

 

(リゼ、頭部から角が生えはじめる)

 

 

 

(リゼ、ヤモリ、衝突)

 

 

(衝撃でセットがぶっとぶ)

(飛んできた椅子でカメラにヒビが入る)

 

(ピエロマスクのスタッフ(以下ソ)「誰か! あの二人止めて! 収集付かない!」)

(ピエロマスクのスタッフ(以下ニ)「あんら、無理じゃないの? 美食家ちゃんは?」)

(スタッフ ソ「MMさんさっきお引取り願ったし! というかスタジオ的に・・・ウタさーん! 助けてー!」)

 

 

 

  

 




本日二回目の更新なんで、そこのころご注意

次回配信で一応ネット版外編は終了予定

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