仮面ライダーハイセ   作:黒兎可

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  おまビアン ライナーノーツ

 

 仮面ライダーハイセ、お読み頂きありがとうございます。

 引き続き番外編、次の中間編(章タイトルはまだ明かせない)、RE編とお楽しみいただければ幸いです。

 

 さて、一旦無印が終了したので、あとがきではないですが、簡単な本作のライナーノーツ的なのを打ってみようかと思います。主にこういう意図で展開したんだよー、とか、後はちょっとした小ネタとか元ネタとか、色々打っていこうかなーと。まだ終わらないのであとがきにはならないのですが、とりあえず一つの区切りということで。

 

 当然ですが原作、本作、ライダー周り一部のネタバレオンパレードなので、要注意です。

 

 前置きはこれくらいにして、では内容どうぞ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1.全体

 

 コンセプトとしては言わずもがな、あらすじの注意書きにあるように「喰種の設定をライダーっぽくしたら」というのがスタートです。本編を読んでいた時、種族間で悩んでいた初期の部分やら、あるいはそもそも「改造手術」で「怪人(喰種)と同じ力を得た」とか、亜門さんの変身が決定打として、そういう部分で脳裏に最初に浮かんだフレーズが、

 

「仮面ライダー=金木研は人造喰種である。 彼を改造したアオギリの樹は、世界制覇を企む悪の秘密結社である。 仮面ライダーは人間と喰種の共存のために、アオギリと闘うのだ!」

 

 というものでした。きっと当時の私は疲れてるのよ、モルダー。

 まぁ:re始まったりやっていくうちに、色々そのフレーズがおかしかったりすることに気づいて行ったわけですが・・・。ともあれ、その勢いで書き上げたのが本作でいう#001だったりします(なのでこのあたり、微妙にドライバー周りの設定とかが雑です)。

 

 続編を書けるかな? 程度の状態でとどめていた#001でしたが、アニメの√A終了に合わせ、自分の中で色々膨らんでいったものがありました。アニメラストカットのトーカちゃんです。あの瞬間、カネキの姿を確認できていなかった、その事実が、どうしてかクウガの桜子さんが青空を見上げるシーン→五代が微妙に曇った笑顔で子供たちに笑顔を与える、の流れを想起させ・・・。

 当時(クウガ放映当時)の自分は、五代雄介が帰って来ないことに一定の納得があったのですが、でも桜子さんたちに顔を出して欲しいという部分も残ってたのだろうかと、今更ながらにちょっと驚いた感じでした。

  

 その時点の動機をもとに、なんとなく、本当にゆるく#002以降もやってみようかと、そういう発想が出てきた感じでした(当時「死神教室」も複線周りの整理と再編集に手間取っていたので、軽い気分転換のつもりでした)。ここで決めた事は三つ。

 

 カネキがトーカ達の元に帰ってくること。

 世界観から極端に逸脱しない程度に設定を考えること。

 そして、亜門さんに面と向かって「金木研」と呼ばせることです。

 

 少なくとも無印をやるにあたって、この三つは絶対に外さないようにして作ろうと。ならばどうしたものかと考えた結果、行きついた答えの一つがカネトーでした(決して「私の趣味だ!」のみにあらず)。

 

 

 

2.カネトー 

 

 何故にこれが必要になったのかと言えば、まぁ半分は確かに「私の趣味だ! いいだろう?」もあるのですが、第一条件として「カネキがあんてくを去る」ことが、原作の一つのターニングポイントであるがゆえにです。

 

 あの時、トーカが欲していたものは「以前の日常」であり「優しいカネキ」であった。それに対して、カネキは「トーカを一人にしないように、居場所を守る」「そうすることで、本質的には自己満足を満たす」といったものでした。結果的にそれが最後の最後まで尾を引いていたのではないか。もっと早い時点で殴られずとも気づくことが出来れば、別な方法があったのではないかと。

 

 だからこそ、同じエゴ的な発想であっても、天秤にかける感情のウェイトを重くしてあげられれば、ひょっとしたらカネキが残留できるんではないかと。ならば何だろうとカネキのキャラクターを読み返せば、つまるところ「愛される」ことが必要なんだろうと。どうでもいい話ですが「心つなぐ愛」名曲ですよね。歌いやすいのは「誰かが君を愛してる」ですが。

 まぁともかく、実際彼の行動原理は、必要とされること、愛されたいという欲求が根底にあるのではないかというのが、一つの目安でした。そして同時に、カネキ自身が自分が一番だからこそ、欲しがって叫んでるだけになってるのだろうとも考えました。

 

 だったらば、あんていくを去る時点の天秤さえ傾けば、言うなればあんていくに残れれば、違ったルートが展開できるだろうと。そうするためには「愛される」ことが必要で、なおかつあの時点でカネキを引き止めうる人物として成立しえるのは誰か、と考えれば、そう多くはありませんでした。

 ヒナミちゃんだと、当時は何だかんだ相手に着いて行っちゃうタイプな気がするし・・・。カヤさんは古間さんとの因縁もあるから論外、バンジョー組も言わずもがな、メインに関わるオリキャラはルール2つ目に違反するので出す気はなく、そうなるとトーカちゃんしか当然残らず、これも何かの思し召しだろうと直感した次第であります。

 

 トーカがカネキの思考に対してめちゃめちゃ大きなブレーキになりえれば、と考えると、さてどうしたものかと。#001の時点で店長がライダーなことは確定でしたが、店長以前にライダーが居たかどうかについては未設定だったし・・・。

 とすれば、そこにアラタを捻じ込めるのではと考え、そして閃いたのが、両者の過去に関係を作ることでした。

 大きく関係を変えてしまわない程度に、しかしカネキとトーカが出あっていた事と、カネキとアラタが出会っていれば――ほんの少しでもカネキの思考が変化していれば。そしてトーカに対してのウェイトを重くする切っ掛けがあれば。

 そこを起点に#003以降のカネトーの流れをふんわり決め(下地が出来たので後はとんとん拍子でした)、あんていくを去らずという状態に出来るのではと考えました。

 

 そしてこれが、自分の中で色々カネトーが引き返せなくなる原因でもありましたが・・・(引き返すつもりもなかったけど)。

 

 

 

3.無印前半

 

 ライダーにすると決めた時点で、いくつかやりたいシーンがありました。前述のトーカちゃん周りのシーンは勿論ですが、アヤトくんに対して「人間で、喰種で、仮面ライダーだ」(エターナルリスペクト)と言うところだったり、ヒデと三晃さんがお互い正体をしっかり認識するところだったり、カネキが正気の時点でヒデが激励するところだったり、亜門とカネキが語り合ったり対面しながら「変身!」(紘汰さん戒斗さんリスペクト)だったり・・・。

 まぁ列挙するとキリがないんで止めますが、ともあれそういった部分を捻じ込むのはさほど難しくはないだろうとはぼんやりと考えていました。亜門さんの口から仮面ライダーというフレーズを出すのも、まぁギリギリのラインでセーフかな? とも考えて採用。

 リゼ周りの設定は、以前自分でも考えた部分を使い、無印後半でほぼ完全回収のつもりでした。

 

 ストーリーの流れとしては、無印前半の時点ではカネトーを原作よりすすめる事を中心に、無印後半はカネキが死なないように調整していこうと考えてました。ハイセ、というタイトルになったのは、無論叶クンのあれが理由でした。

 結果的にプロットとしても、前半はおおむね予定通りすすめることが出来ました。ただ後半に行く前に問題が少々発生。そう、あれを見るまでは・・・。

 

 

4.JAIL ~運命は一人、生贄が欲しい~

 

 丁度時期的に、JAILのシナリオブックが出るタイミングだったので、それを劇場版エピソードとして組み入れられないか(ライダー的にも一回そういう特別編があっても良いだろう)と考えて、空白期間でリオくん周りのコトを解決しようとぼんやり考えていました。

 実際シナリオブックの流れを見て、カネキに回収させたい部分やリオ周りで描写したいシーンも浮かび上がり、更には「彼」が本編でサイコちゃんをモグモグしてたりしたのを見て、「あ、これブレインギア首領や」と筆者に電流走る。ディレクターズカット版までの流れを含めて、ノブナガの欲望を下地に魔改造していきました(よく見ると名残はあります。サゴーゾインパクトとか)。

 

 ただ、本編と解説で巨大なひっかかりを覚えました。

 JAILにおけるトゥルーエンドである「リオがカネキの代わりになって、カネキが皆の元に返る」こと。

 

 どうあがいても、カネキの代わりになる誰かがいないと最終的にカネキはカネキのままで生き残ることが出来ないという、その事実。

 

 リオは・・・、後々の「彼」のことを考えれば、どうあがいても最終部分まであんていくに残留することは出来ない。なれば代役を立てる必要があると。

 後半の展開も、極端に変更せざるを得ませんでした。西尾パイセンやらトーカの戦闘場面がガリガリ削られる削られる・・・。リゼ周りも無印内で決着できないことが決定。

 

 Uc"J"においても、エト経由で「お前はカネキの代わりになれなかった、失敗した。でも心配はしなくていい」という旨のことをメッセージでメタ的に知らせたりもしましたが、このままだとさてどうしたものかと――いうところで、白羽の矢が立ったのがクロナでした。

 

 

5.√B ~Black、Block、あるいはBack to :re~

 

 たぶんクロナが本編に再登場するときは、それはそれは酷い状態になってるんだろうという予想がこの時点で立っていました。まぁあのタイミングの彼女の状況を見て明るい未来は想像できなかったですし・・・。

 だったらば、リオの代わりになりえるのなら、それなりに理由が必要だろうと。メタ的に自由に動かせるセンセー(センセー自身の目的も、原作の連載に合わせて段々と確定させられました)を使っても限度があるし、だったらどうすれば良いのか。

 

 クロナを正気に戻せれば、正気に戻した時点でカネキのためにという風になれれば、本来ならリオが受け持てる部分も踏襲できるのではないかと。

 

 そして・・・クロナの行動原理を見ても、根底にはやっぱり愛があるわけで。

 

 だったらフラグを立てねばと使命感にかられ、Uc"J"の時点でフラグを立てる流れに。それと同時に無印後半が√Bとすることが、自分の中で決定。

 

「クロナがカネキを守り、カネキがみんなの元に帰る」という風に、後半の主軸が確定しました。

 

 無論、クロナを投入するからにはきっちり正気にしてあげたいなと(クロナもクロナでお気に入りだったので)。まぁ彼女周りのフラグの立て方は何度見返しても雑なのですが(当初からその予定なら無印の時点で組み込んでますし)、流れとして好意と温情、そして同情となげやりな自分という部分を構成できれば、おそらくは上手い事進められるのではないかと。

 

 古間さんカヤさん周りの最期はシナリオブックを読んだ時点でほぼ現在の流れに決定していたので、そうなると終盤も大きく崩せない。崩せない状態でクロナを乱入させるなら、となり結果あの時点での乱入になりました。

 

 

 そして・・・。いよいよカネトー周りが引き返せない流れに。

 

 

 

6.カネトー過多→カネトー無限進化

 

 カネトーを決めた時点で、当初から「カネキとトーカが意識しはじめる」無印前半、「カネキとトーカがきっちり恋愛する」無印後半という流れで決めていたのですが、クロナが単なる恋愛感情だけで彼を助けないため、結果としてお祭りの時点でお互い告白と言う流れに。

 当初は帰ってきた時点で言わせる予定だったんだけどなぁ・・・。そしてそれはつまり、帰ってきた時点でまた一つステージがすすむという流れに。

 

 結果的に割を食ったのがヒナミちゃんでした。:reに残留できなくなってしまった・・・。元々カネトーの時点で割を食っていたというのに・・・。内心で土下座しつつ感想返信などで度々出ていたのは、主にここら辺が原因ですね;

 

 もっともカネトーが一段回進んだところで、RE時点での予定に支障がないのが救いなのかそうではないのか・・・。

 

 

7.今後のハイセについて

 

 番外編をあと何回か更新した後、予定ではUc"J"のごとく間に中間編が入ります。イメージとしてはVシネ的な扱いですね(亜門さんの番外編が映像特典だとすれば)。

 主役はカネキではありません。亜門さんでもありません。でも√Bで張った一部の複線回収にはなる予定ですので、お楽しみに・・・?(ヒントはオリジナルエピソード部分)

 REはそれが終わってからの予定となります。こちらも色々と・・・というか琲久愛がいる時点で大きく異なってますが、√B以上に外れていく予定ですので、こちらもお待ちください。

 

 

 

 

 それではまた、to be continued.

 

 

 

  


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