マイ「艦これ」「みほちん」(第1部)   作:しろっこ

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乗車中の列車が敵に襲われた。セーラー服の女の子を助けようとした私は敵機に襲われる。



第3話(改2.5)<空襲と救出>

 

「えっと、女の子は何処だ?」

 

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マイ「艦これ」(みほちん)

:第3話(改2.5)<空襲と救出>

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 ドンドンという音と共に空には高射砲の弾幕が張られる。しかし敵に通常の対空砲火は、あまり効果がない。

 

「ムダだぞ陸軍」

私は空を見て呟く。

 

車掌に聞いた。

「列車の状況は?」

 

彼は軽く敬礼した。

「はっ、ほとんど自力で(防空)壕へ逃げましたが……まだ年配者が」

 

戦闘機が弾幕をくぐり抜けこちらへ近づく。

 

「直ぐ誘導する」

「はい!」

私たちは列車の傍で右往左往する年配者に駆け寄る。

 

「大丈夫ですか? 避難しましょう」

「……」

彼らの手を引く。多くが赤子のような純粋な笑顔でニコニコしてついてくる。

 

(ちょっと認知っぽい人たちだな)

私は思った。

 

 防空壕は線路脇の畑にあった。この戦時下、各自治体や部落では壕の設置が義務付けられている。

 

乗客は、ほとんど退避した。年配者もギリギリ間に合った。

 

「やれやれ」

壕の中で制帽を取った私はホッとした。

 

 私は豪内の雰囲気が変わるのを感じた。それまで軍服の私を敬遠していたらしい。年配者の手を引く私の印象が大きかったのか。

 

子連れの婦人が話しかけてきた。

「海軍さん」

 

「ん?」

振り向く彼女は小さな女の子を連れていた。

 

(河崎口の駅で『絵描き』と入れ替わって乗り込んできた人だな)

そんな事を一瞬考えた。

 

婦人は少女の手を握りながら言った。

「あの、女学生が居たはずですが」

 

その言葉で私は例の少女を思い出した。

「居ないのか?」

 

「はい」

婦人は頷く。確かに壕の中には居ないようだ。

 

すると別の男性が言った。

「さっきチラッと見たけど壕と反対の方向へ駆けて行ったで」

「え? まずいな」

 

「……」

年配者は暗がりでも相変わらずニコニコしていた。その笑顔が逆に緊張感を増した。

 

「車掌、この場を頼む」

「はっ」

その場を車掌に託し私は再び壕の外へ出た。

 

「えっと、女の子は何処だ?」

そう言いつつ辺りを見渡す。すると小高い丘の向こうを紺色のセーラー服の少女が走っていた。

 

「なに考えていンだ? 逆に目立っとる」

彼女は防空壕とは反対方向へ、どんどん逃げている。

 

呆れた。

「あの子、状況が分かって無いンか?」

 

今、学校で避難訓練は必修科目のはずだ。だがあの子は訓練を受けてないのか? 

 

「登校拒否? まさか」

今の時代に、それは有り得ない。

 

敵が近づく。時間がない。

私は『危ない』少女を救出する決意をした。

 

「まだ行けるか?」

目算で距離を読みつつ線路から草地へ向かう。

 

だが海上と陸上じゃ感覚が狂う。

「ヤバい、間に合わン」

 

制帽を脱いだ。

「えい、ダッシュ!」

 

起伏のない平地に列車が停車していれば敵からは格好の目標だ。案の定、奴らは列車に狙いを定めた。

 

「来る!」

機体の一部が何か光ったと思った次の瞬間、激しい轟音が響く。

私も咄嗟(とっさ)に身をかがめる。

 

地響きと同時に火花を散らして先頭車両は粉々に砕け散った。

派手に白煙が上がって煙幕のように周囲を蔽(おお)う。パラパラと細かい破片が落下してくる。

 

その煙のお陰で逃げている少女は、しばらく安全だろう。私は直ぐに駆け出して少女に追いつこうとした。

 

「あれ?」

異変が起きた。足が竦(すく)んだのだ。

 

「まさか……」

それは軍人としてあり得ないことだ。別に最近、戦場で危険な目に遭ったわけでもないのに……焦った。鼓動がどんどん早くなる。そして気分が悪くなってきた。

 

「これは毒ガスの類ではない」

呼吸を整えた私は努めて冷静に状況を分析した。その間にも地響きが続く。敵は、まだ列車を攻撃することに夢中だ。

 

「1に敵。2は、私や少女に敵は気付いてない」

敢えて自分に言い聞かせるよう数えながら呟く。すると不意に足が軽くなった。

 

「今だ!」

弾かれたように少女目掛けて走り出す。

 

「おーい君、大丈夫か?」

少女は振り返る。少しビックリしたようだが私の問い掛けに小さく頷いた。

 

彼女が立ち止まったので何とか追いつく。

(やれやれホッとした)

 

相手は女学生だからな。軍人に声をかけられて警戒されるかと思った。

近頃は内勤が多くて体が鈍ってる。この炎天下で数百メートルも全力疾走して息が切れた。

 

だが私と同じ条件下で疲れているハズの彼女が意外に息も切れてない。

「……」

 

(タフな子だな。何か運動でもしてるのか?)

平然としている彼女を見て私は、そう思った。

 

……改めてみると不思議な子だ。大きな瞳が印象的で、まるで人形のように可愛らしいのだが気配が無い。

(この子、もしや……)

 

 その時、地響きと共に爆発音が連続した。見ると列車や線路が次々と敵によって破壊されている。

 

「考えてる暇ァ無いな」

時おり黒煙で太陽が陰る。ここは戦場なのだ。私は素早く状況を確認。既に列車と私たちは、かなり離れていた。

 

 相変わらず無数の破片がバラバラ降り注ぐ。幸い私は軍服、少女も長袖のセーラー服だから、さほど痛みは感じない。

 

 敵は数機で列車周辺の地面にまで次々と攻撃を加えて破壊を続けている。乗客は既に避難しているから連中は拍子抜けだろう。逃げ惑う人間が一人もいないのだから。

 

 彼らは列車の上空で何か探すような仕草をする。直感的にまずいと感じた。

 

女の子は紺色のセーラー服。よく見るとリボンだけが赤い。オマケに私は海軍の制服で白……こりゃ目立つ。

 

直ぐ私たちが発見された。

敵機は先頭機体が少し向きを変えただけで即、編隊ごと向かって来る。

 

 光の閃光が私たちをかすめる。瞬く間に近くの地面が地響きと共に抉(えぐ)られる。

 

「おりゃアア」

雄叫びを上げつつ少女抱き抱いて反対側へ身を反らす。無我夢中だ。

 

小柄な少女は私の腕の中で子犬のように大人しくなった。

 

(抵抗しないのか)

そう思った直後、右に左と一面の土砂や草木が舞い上がる。土埃(ぼこり)以外は何も見えない。

 

「あっ痛!」

一瞬、肩のあたりを銃弾がかすめた。

 

(機銃か? 当たったかも)

……まだ体は動く。

 

「ンがぁ」

奇声を発しつつ逃げまくる。

 

「……」

少女は自然体というか、ほのかに緊張感を維持して……まるで発射直前の兵器が待機するような感覚だ。

 

(不思議な子だ)

一瞬、艦娘かと思った。

 

この非常時に、ほんのり感じる体温。そして香水じゃない女子っぽい香り。

(この身体の柔らかさは女の子だなぁ……嗚呼、不謹慎)

 

自戒しつつ周りを見た。

反転する敵機。

 

 舞い上がった土煙(つちけむり)が収まると同時に再び光筋が私たちを狙う。

「このままじゃアブねぇ」

 

私は思いっ切り近くの窪地へとジャンプした。

「あり?」

 

……予想外にも、そこは用水路だった。

 

 

 

 

以下魔除け

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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほちん」とは
「美保鎮守府:第一部」の略称です。


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