七丈島艦隊は出撃しない   作:浜栲なだめ

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前回のあらすじ
綾波戦決着
しかし、龍田に異変が。



第八十四話「ありがとう、最高の誉め言葉だ!」

 

 島中に響き渡った空気を震わせる1発の砲撃音。

 それは、港で戦いを繰り広げていた武蔵とあきつ丸の耳にも届き、両者の動きを同時に止めた。

 

「……砲撃音、でありますか」

「はてさて、一体誰の砲撃だろうな? ちなみに横須賀に島の中で砲撃をするような浅慮な艦娘はいない」

「現段階で、蜻蛉隊の中で砲撃が行えるのは海上警備を任せた第1班の5名と艤装を付けている私のみ。そしてその全員が今この港に集まっているであります」

 

 ならば、この砲撃音は横須賀でも蜻蛉隊のものでもないということになる。

 この時点で、あきつ丸の中では七丈島艦隊、もしくは、DW-1のものかという2択に限られる。どちらだとしても重要な情報源には違いない。

 一方、武蔵は七丈島艦隊の面々もまた、誰一人として艤装を装備していない事実を知っている。よって、彼女の中ではこの砲撃はDW-1のものと既に確定している。

 故に、今は早急にこの場を離れて音源に向かわなければならない。それが、あきつ丸、武蔵両者の1発の砲撃音から導き出された結論であった。

 

「さて、どうする? 一時休戦とするか?」

「……蜻蛉隊、全隊員に通達。2班、3班、4班は今すぐに砲撃音の音源へ向かうであります。1班は鶴屋のみここに残り、私の援護を。他4名は島周囲の索敵を厳となさい。尚、DW-1を発見したならば直ちに殺せ。以上」

 

武蔵は無線に告げたその内容に目を丸くしていた。

 一つは、この状況でもあきつ丸は依然武蔵の撃退を優先したということ。

 もう一つは、DW-1を殺せ、と命じたこと。

 

「意外だな、まだ遊んでくれるのか?」

「当然であります。あなたを音源へ向かわせないという事実はそれだけで戦略的に大きなアドバンテージであります」

 

 ははは、と乾いた笑い声をあげた武蔵はあきつ丸に再び尋ねた。

 

「お前達は、DW-1を鹵獲するのではなかったか?」

「ああ、御上からは確かにそのように命令を受けておりますな。第一に鹵獲を優先し、最悪の場合は撃沈、と。しかし、私には知ったことではないでありますな」

「成程、上の命令に従順な犬という訳でもないのだな」

「私は最初からDW-1を殺すためにここに来ている。御上の事情は二の次、三の次でありますよ」

「……何故、殺す。お前の正義とはなんだ?」

 

 一瞬、武蔵の質問に虚を突かれたような表情を見せるあきつ丸。

 しかし、すぐに天真爛漫な笑みと共に彼女は答えた。

 

「悪を滅ぼす。それのみが、唯一にして絶対の正義であります」

 

 今度は武蔵が虚を突かれる番だった。

 

「馬鹿な、救うことは正義ではないと?」

「救うことでは悪は消えないであります」

 

 あきつ丸ははっきりと言い切った。

 

「悪を赦さず、贖罪を認めず、改心を信じず、免罪を嫌悪し、断罪を尊ぶ。善性の繁栄ではなく悪性の根絶をもって己が正義を示す。故にDW-1は必ず殺さねばならない。どんな手を使ってでも、どれだけ時間がかかってでも」

 

 その言葉に纏わりつく覇気に、否が応でも信念を貫くという一点の曇りもないあまりにも純粋な狂気に、武蔵は僅かに悪寒を覚えた。

 

「一体、何がお前をそこまでさせたのか、興味が絶えないな」

「決まっているであります」

 

 あきつ丸は地面を蹴り、拳を振りかぶりながら言った。

 

「悪への憎悪と怒り。それだけでありますよッ!」

 

 

「随分と、『らしく』なってきたじゃないですか、DW-1さん?」

 

 目の前で自分を睨む龍田に対し、神通は笑ってそう言った。

 一方の龍田は自分の腕にまるで張り付くように装備されている黒い岩石にも似た連装砲を見て、ため息をついた。

 

「艤装の召喚、まさに深海棲艦のそれですね」

「…………」

 

 深海棲艦に艤装という概念はない。装備は、何もない所から召喚される。体から生えてくるように召喚する者もいれば、空気中から突然砲塔が現れる者まで、バリエーションは様々ではあるが、基本、深海棲艦に武器の装備という概念はない。

 兵装は常に自分と共にあり、艦娘のように取り外しをして保管するものではないのだ。

 

「ようやく、本性を現した、と言った所なのでしょうか?」

「…………」

 

 龍田は何も言わない。虚ろな眼で空中を見ている。

 一見無防備にも見えるが、しかし、その砲口は今なお、綾波の頭部に向けられており、神通といえど迂闊に動くことは許されない。

 

「ねぇ、神通さん?」

「……なんですか?」

「綾波ちゃんと天龍ちゃん、まだ死んでないわ。そう、今から七丈島鎮守府に走って入渠させれば命は助かるわ」

 

 龍田はそう言うと、神通に背を向けてどこかへ歩き出す。

 

「どこへ行くつもりですか?」

「…………」

 

 龍田は何も答えず、その場から逃げ出すように走り出し、すぐにその姿は見えなくなった。

 神通も、走り出す彼女を追うことはなく、綾波と天龍の治療を優先すべきと判断し、腰の刀から手を離し、二人の元へ駆け寄った。

 その直後、誰かが走ってくる足音が響いたかと思うと、二人の艦娘が姿を現した。

 

「神通さん!?」

「おわ!? 天龍!? それと……綾波!? なんで二人とも満身創痍!?」

「大和さんに、プリンツさん、丁度良い所に。綾波さんと天龍さんを急いで入渠させなければなりません。お手伝い願えませんか?」

「あの、龍田さんは一緒にいませんでしたか……?」

「……それについては後で全てお話します。今は早くこの場を離れましょう」

「うん、お姉さま、ここに長居するのは私も良くない気がする」

「じゃあ、とりあえず急いで鎮守府に帰りましょう!」

 

 多くの人間の気配、おそらくは蜻蛉隊の隊員がここに向かってきているのがわかる。急いで移動しなければ面倒なことになりそうだと、神通は綾波を、大和は天龍を背負い、その場から走り去った。

 

 

「む、あれは……DW-1!?」

 

 砲撃音の聞こえた二原山の方へと走っていた蜻蛉隊の隊員三名は前方からゆっくりとふらつくように歩いてくる人影に足を止めた。

 それは見まごうことなくDW-1、龍田の姿であり、一方で彼女は下を向いているせいか

 隊員達には気が付いていないようだった。

 

「どうする?」

「どうするもこうするもない。隊長からの指示通り、やるぞ」

「了解」

 

 三人はそれぞれ肩に掛けてあった小銃や、腰の軍刀を手に取る。

 すると、それに反応したのか龍田の動きがぴたりと止まり、その顔がゆっくりと持ち上がり、武器を構える隊員達をその目に捉えた。

 

「おい、気が付いたぞ」

「構うものか、撃て!」

「覚悟!」

 

 連続して乾いた銃声が響き渡る。

 銃弾は龍田に命中したようで、その体が3、4回大きくのけぞったのが確認できた。

 しかし、決してそれで倒れることはなく、むしろその攻撃が引き金になったのか、さっきまでの朧げない足取りが嘘のように変わり、50メートル程あった両者の間合いがあっという間に詰められた。

 

「なっ!」

「下がれ! 俺がやる!」

 

 軍刀を抜いた隊員が迎え撃つように前へ飛び出す。その瞬間、龍田の右腕から黒い煙のようなものが放出されたかと思うと、それは一瞬で薙刀の形に変化した。

 

「なっ!? 武器が、空中から!?」

 

 慌てて軍刀を抜いた隊員は距離を取ろうとブレーキをかける。軍刀と薙刀では薙刀の間合いの方が広いため、一直線に向かっていけば返り討ちにされると踏んでの判断だった。

 しかし、それがいけなかった。

 ここでは、むしろ飛び込んでいくべきだった。下手に間合いを取るよりも、いっそ薙刀の間合いの内側に入ろうとする方がまだ光明はあった。

 

「ぐ、あ……!?」

「坂本おおおおおおおッ!」

 

 中途半端に踏み込み、止まってしまったせいで距離を取る間もなく、薙刀の刃が坂本と呼ばれた隊員の腹部を切り裂いた。

 軍刀が地面に落ち、その数秒後に後を追うように彼の身体も血の池を作りながら地面に倒れた。

 

「くそ! 撃て! 撃て!」

 

 再び小銃が龍田に向けて火を噴く。

 しかし、龍田は無数の弾丸が飛び交う中、薙刀を回転させながら、まるで舞うように銃弾を弾いてみせる。

 

「化物めッ!」

 

 小銃の音と隊員の怒声が止むまでには数秒とかからなかった。

 自らの血の中に沈む三人を見回すと、薙刀は再び煙のように霧散した。

 銃弾の命中した部位に目をやれば、その部分には黒鉄のような黒い塊が覆われていた。おそらくはこの鉄の皮膜のようなものが銃弾から身体を守ったのだろうとすぐに理解できた。

 

「……私、これじゃ本当に化物ね」

 

 龍田は無感情な声でぽつりと呟き、また歩き始めた。

 

 

「烈風拳――ッ!」

「ぐ、ぬう……!」

 

 腕を上げて頭部のガードを固める武蔵に対し、あきつ丸の拳が次々と叩き込まれる。

 

(成程、確かにただの浸透勁ではないようだ。何か別の技術も混ぜているな?)

「これだけ、打ち込んで……血反吐を吐かせるので手一杯とは、情けない限りでありますな」

 

 息が切れ、拳が止まる。

 その瞬間、武蔵が拳を動かすのと、あきつ丸が後ろに飛ぶのがほぼ同時であった。

 豪快な空振り。しかし、その武蔵の拳は空気すら弾き飛ばし、あきつ丸の顔面に向けて空気の塊をぶつける。

 

「っ!」

 

 反射的に目を閉じる。

 0.1秒程度のほんの刹那の視界の暗転、それがこの戦いでは致命的となる。

 次に視界が戻ってきた時には既にあきつ丸の視界に武蔵の姿はなく、直後、真横から武蔵の腕が伸び、彼女の腕を掴んだ。

 

「取ったッ!」

「鶴屋、撃て!」

「むっ!?」

 

 武蔵があきつ丸の腕を掴んだ瞬間、その眉間に強い衝撃を受け、手が離れる。

 それは一発の銃弾。銃弾は、眉間を数ミリ抉り、出血させるだけに留まったが、武蔵は即座に射線を予測し、海上に警戒の視線を向けた。

 

「味な真似を。腕のいい狙撃手がいるようだな」

 

 1 kmほど離れた海上から自分の方へ視線を向ける武蔵を双眼鏡越しに見て、老齢の狙撃手、鶴屋は冷や汗を流していた。

 

「おいおいおい、マジかよ。12.7 mm徹甲弾眉間に食らって何でそんな傷で済んでんだよ?」

『鶴屋、やれそうでありますか?』

「勘弁してくれ、隊長。人間撃ってる気がしねえ」

 

 鶴屋は白い顎髭を撫でながら半笑いで無線に返答する。

 そして、胸ポケットから煙草を取り出して火を付けると、再びスコープに右目を近づけ、ボルトハンドルを引く。

 その目は獲物を狙う狩人のような鋭く冷たい目をしていた。

 

「ただ、1つだけアテはある。爺の浅知恵で良けりゃ任せてください」

『期待しているであります』

 

 その鶴屋の言葉を聞きながら、あきつ丸は息を吐いた。

 武蔵の戦力に絶望しているわけではない。そんな段階は当の昔に通り越している。

 むしろ、そんな相手だからこそ、自分の烈風拳の有効性を確認できたことに、滾っていた。

 

(浸透勁なればこそ、徹甲弾すら通らぬ鎧を超えて、武蔵にダメージを与えられる。武蔵が相手に限り、私の拳はどんな兵器よりも強力無比な武器となる)

 

 狙いは決まっている。

 烈風拳が通じた。ならば、考えるのは武蔵の内臓のどこを殴るか、だ。

 肝臓や胃、十二指腸ではダメージは与えられるものの、やはり想定外の筋肉のせいか衝撃の伝導が想定していたよりもずっと鈍い。

 これではダメージにはなっても決め手にはならない。

 だから、狙うのは一つ。筋肉がなく、かつ、人体における最重要臓器。

 

(武蔵の脳を揺らす……ッ!)

 

「さぁ、第2ラウンドの始まりといったところか!」

「ええ、そして、KOで終了であります」

 

 あきつ丸が拳を構える。

 しかし、その右拳は顎のあたりに、そして、左拳は極端に下に構えられ、ほとんどガードというものがなかった。

 

「これは……」

 

 瞬間、地面を踏み込む音が3度鳴った。

 中国拳法、古武術の縮地法、柔術の滑り足を混成した足運びは、武蔵が、いつの間にか互いの間合いが必殺の範囲にまで縮まっていることに気付くのをワンテンポ遅らせた。

 

「烈風拳ッ!」

 

 あきつ丸の左手が動く。脱力しきった左腕はまるで鞭のようにしなる。

 その速度は人の反応速度を超え、さらにその拳は斜め下から上に上昇するように打ち込まれる。

 つまりは、視野の外側。死角から打ち込まれる音速の拳。

 完璧に決まったそれを見てから回避する術はない。

 それは、ボクシングに見られる『フリッカー・ジャブ』と呼ばれる技に酷似していた。

 

「――――」

 

 避けられない。

 武蔵の顎をあきつ丸の拳が下から上へ跳ね上げた。

 

(勝った)

 

 頭部には、背中や腹部、腕部、脚部に比べ、極端に筋肉や脂肪が少ない。

 肉が少ない、ということはすなわち衝撃の吸収材が少ないという意味であり、つまり、頭部においての、また、人においての最重要機関、脳に対しても衝撃が容易く伝わるということである。

 

(このフリッカー・ジャブ混成の烈風拳は、速度は無類ではあるが、どうしても浸透勁が弱くなる。しかし、脳にまで衝撃が通りやすい顎を打てば、むしろこれ以上の必殺の攻撃はない)

 

「そのまま崩れ落ちろ、武蔵」

 

 武蔵の身体がよろめく。既に脳に衝撃が伝わり、平衡感覚、視覚は重大な異常をきたしているのだろう。

 ふらつきながら、やがてあきつ丸の方へよろめいた彼女の手が、支えを求めるようにあきつ丸の腕を掴んだ。

 

「――成程、面白いな」

「なにッ!?」

 

 離れない。

 掴まれた腕を振り払おうとするが、腕がびくとも動かない。

 見れば、武蔵があきつ丸の方を見つめ、笑っていた。

 

「烈風拳、か。様々な武術、格闘技の技術を混ぜ、調和させているだけではない。状況に応じて混成された技術の比率を変えることで技の性質を変化させている。さしずめ今の烈風拳は速度特化といったところか。その分、勁力が弱くなるようだが」

「馬鹿な……確かに脳を揺らした筈……」

「ああ、視界が歪んで全身の感覚が極端に鈍く、地面に立っている感覚がほとんどない。意識が朦朧として気持ちが悪い。だが――――」

 

 武蔵は恍惚の笑みを浮かべて言った。

 

「この苦痛も、私の守備範囲内だ」

「慣れているからどうという問題ではないはずであります!」

「言っただろう? 人は成長する生き物だと。例え、脳を揺らされても、私は戦闘不能には陥らなくなった。正確には、脳がそのダメージから復帰するのが極端に早くなった」

「あり得ないでありますッ! 常識外れすぎる!」

 

 あきつ丸の台詞に、初めて武蔵は嘲笑を向けた。

 

「あり得ない? 常識外れ? あきつ丸、誰に言っている?」

「ぐ、ぐうう!」

「私は『超越者』の武蔵。『あり得ない』と『常識外れ』は私の恒常だ」

「――――っ!」

 

 あきつ丸が俯いて膝をつき、決着はついた。

 かに見えた――――

 

「なぁんて、ね――――鶴屋ぁ! この位置で良いでありますなッ!?」

「ああ、文句なしだぜ、隊長」

 

 スコープ越しにこちらを向いて叫ぶあきつ丸に鶴屋はニカッと笑みを浮かべた。

 

「行くぜ、超越者さんよ。ここ弾かれちゃ、もうお手上げだ。頼むから、弾丸くらい通してくれよ?」

 

 そのスコープの照準の中心に位置していたのは、驚愕に大きく見開かれた武蔵の右目。

 狙いは、眼球。

 

「――ファイア」

 

 銃口が火を噴き、その銃弾は真っすぐと武蔵の右目の眼球に飛んでいく。避けようがある筈もない。

 普通ならば。

 

「ふんッ!」

「な…………」

「は…………?」

 

 しかし、その銃弾は、武蔵の目ではなく、額に命中して粉々に砕け散った。

 正確には、まるで銃弾が見えているかのように、彼女は銃弾に頭突きをかまし、粉砕してみせたのだ。

 

「眼球か、良い狙いだ。流石の私もここは人並。だから、悪いが別の所で受けさせてもらったぞ。さぁ、これで終わりか?」

 

 この時のあきつ丸の表情にはありとあらゆる負の感情が溢れかえっていた。

 

「この――――」

「はは、こいつは駄目だ、隊長。俺らじゃ勝てねぇわ」

「この、変態がああああああああッ!」

「ありがとう、最高の誉め言葉だ!」

 

 武蔵の腕が持ち上がり、同時にあきつ丸の身体が宙に浮く。

 そのまま腕全体をしならせるようにして海に向かって振り下ろされた右腕はその手に掴んでいたあきつ丸を数百メートル彼方の海面へと投げ飛ばした。

 

「実に楽しかったぞ、あきつ丸。また遊ぼう」

 

 オレンジ色の夕日が水平線から勝者を讃えるように武蔵を照らしていた。

 

 

「天龍、ちゃん……」

 

 夕暮れの七丈島。

 人気のない道を一人歩く虚ろな瞳の龍田の前に3人の人影が現れた

 

「やぁ、美しいお嬢さん。お一人かな?」

「…………」

 

 キザっぽく笑顔でお辞儀をする外国人の青年は、しかし、龍田を言葉通り『美しいお嬢さん』と見ている訳ではないようで、節々に警戒の色が見て取れた。

 それに、両隣に控える金髪と銀髪の少女は艦娘なのか、砲塔を向け、既に戦闘態勢をとって龍田の様子を観察している。

 

「もう日も暮れる。女の子が一人では危ないかと思ってね。良ければ、僕達に君をエスコートさせて欲しいのだけれど、どうかな?」

「……結構よ」

「はっはっは、それは困ったな」

 

 笑いながらも青年は鋭い視線を龍田に送る。

 

「それじゃあ、女の子としてエスコートじゃなくて、DW-1として捕縛するしかないじゃないか」

 

 龍田は瞬時に薙刀を右手に構える。

 

「自己紹介がまだだったね。僕はエドモンド・ロッソ。イタリア情報・軍事保安庁のエージェントだ。君を迎えに来た」

 

 彼がそう言って右手を上に挙げた瞬間、両隣の少女の砲塔が火を噴いた。

 

 




イタリア組がシリアスに……!


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