調べてみるとたしかに……!! 私も知らなかった……!!
こちらのSS内では、八幡の料理素人さを出すため、あえて残しとこうと思います。
フリーサイトには大きな炊事場とは別に、いくつかポツポツと、独立して単体で作られた「かまど」があった。グループで固まってBBQやる時には使いやすそうだ。
そのうちの、テント近くの
かまどは三方をレンガで囲われ、丈夫そうな金網が二段になって設けられていた。
灰や炭の付き具合から、下段の金網の上で
今回は単なる火入れ式だし、モノもちっちゃいので、扱いやすいように、上段の金網にステンレス製蒸し器、もといマイ焚き火台を乗せて、羽を少し広げた。
で、と…。
その焚き火台の横に、さっき
多少面倒な作業だったが、どうも、動画やブログを見ると、こうやって並べた方が、後々効率がいいらしい。そんなもんなのか…。
とりあえずここからは、ネットで見てきたとおりにやるわけだが…なんせ初めてだし、火を使うしで、ちょっと緊張した。
いちおう、ペットボトルの水を、いつでもぶっかけて消火できるように自分の脇に置いておく。
バックパックから、ポケットティッシュと着火ライターを取り出した。着火ライターってのは、あれな。いわゆる「チャッ○マン(登録商標)」型のライターな。俺のは百円ショップのだけど。
ポケットティッシュは街中で配ってるやつだ。俺はあまりもらえた記憶はないが、小町がよくもらってくるので、家には結構な量がある。なんか手触りがポソポソしてるので、家族もあんまり使わないんだが。
そのティッシュを三枚くらい抜き出し、軽くわしゃわしゃと
このティッシュを「
そして、一番細い枝の束、二番目に細い枝の束くらいまでを、ティッシュの上に乗せていった。あまりみっちり乗せ過ぎないように、上から見た感じが「#」(いげた)の形に見えるように意識しながら。
そして…着火ライターで、一番下のティッシュに火をつける…、と。
おそるおそる、ティッシュに着火してみた。
数秒くらい火で
炎の際が、上に乗せていた枝の真下へ入り込んでいくと、白い煙が少しずつ出てきた。
… … …、
… … …。
ちょっとの間待っていたが、もわもわと、白い煙ばかりが出続けている。
…も、もうちょっとティッシュ入れとくか…?
と思った矢先、パチッと小さな音がして、枝から小さな火がのぼるのを目にした。
よし!!よおぉぉ───し!!!
思わず小さくガッツポーツする。
様子を見ていると、火は少しずつ大きくなってきた。
消えるなよ、消えるんじゃないぞ!!と気が
すると、再び白い煙がもうもうと出始めたかと思うと、やがて焚き火台の上30センチを優に超える高さまで炎が上がるようになった。
しかもなんか…薪からシュ───って音が聞こえ始めたし!!
うぉ──いやり過ぎた──!怖ぇ──!なに!?何か吹き出してるの!?怒ってるの!?
想像してたより火の手が激しかったので俺は若干
…おそらく、焚き火台に無数の穴が空いてるので、空気がどんどん入って燃え
火の粉が飛んで他に燃え移るとかしないでくれよ…と、ジリジリしながら火を凝視していた。ある程度、枝が焼けて黒くなったくらいの頃、ようやく火はおとなしくなった。
… …あ─、びっくりした…!!
焚き火台を
手をかざしてみる。先程は立ち上がった炎のせいで、ろくに近づけもしなかったが、今は炭のだいぶ近くまで手を近づけてはじめて、ジリっとした熱を感じた。
いわゆる、「
BBQをやり終えた後、しばらく炭が炎を出さずじんわり燃えてる、あの状態と同じだ。
焚き火のやり方を勉強しようと、ネットでいろいろ調べて初めて知ったのだが、今までは、「なかなか消えなくて
熾火。こんな名前があったんだな。
焚き火好きの人のブログを見たときだったか。
「大きな炎よりもたっぷりの熾を蓄えること」と、たしか書いてあった。
そのときは「ふーん」としか思ってなかった。
今も実際、目の前の熾火を見ていて、「…この状態が、そんなにいいわけ…?」という気分だ。
しばらく、その熾火を眺めていた。
わりと太い枝も何本か突っ込んでいたのだが、その黒く炭化した枝の中で、熾火がうごめいているのを見ていた。
… … やっぱ地味すぎてあんまり面白くないな。薪をちょっと足して景気良く燃やそう。
枝を適当にぶち込んで、ふーふーと息を
すると、意外に早く薪に火が移り、立ち上る炎が復活した。
… …あ。
そういうことなのか?
うん…多分、そういうことだ。
×××
しばらくの間、俺は焚き火台に
おかげでなんとなく、焚き火の火力調整の仕方を掴んだ感じがした。
熾火を蓄える意味が分かった。多分、分かったと思う。
言葉にしようとすると難しいが…。ある意味、薪を大切に使うためだ。
焚き火は単に燃え上がる炎を
そう考えると、使う薪(燃料)の量をできるだけ抑え、必要なときに効率よく炎を発生させるように行うのが、スマートな焚き火のやり方と言えるのではないか。
薪を山から拾ってくるのも大変だろうしな。
熾火は派手に燃えない代わりに、炭の中で長時間、火を保ち続ける。
で、必要に応じて薪を追加して空気を送り込めば、また炎が上がる。
ずっと薪を投入し続けて燃え盛る炎を維持するより、薪の量は断然、少なくて済む。
…そういうことなんじゃないかと思う。
誰も解答を教えてはくれないが、この答えは、自分なりに納得できた。
だが、そんなことは正直、どうでもよかった。
俺はもうその時、すっかり焚き火に没入していた。
ゆらゆらと静かに、時にパチッと薪の
なんで火って、こんな長時間見つめてても飽きないんだろうな…。不思議。
一応、暇つぶし用の文庫本やPSPも持ってきていたが、それらに触る気には全くならなかった。
だが、一個だけ思い出して、俺はバックパックを
取り出したるは毎度おなじみ、MAXコーヒー。通称「マッ缶」。食後のデザート代わりに持ってきてたんだった。
プルトップを開けて、一口飲む。
練乳の甘みの中にコーヒーの香り(この順番、重要な)、そして今日は焚き火の煙の
食後のマッ缶をおいしく落ち着いて飲めることを、とりあえず今日のデイキャンプの到達目標にしていたが、どうやら目標達成だ。うむ、満足。ていうかマッ缶、アウトドアにもよく合うな。
…ふと思いついて、熾火の状態になった焚き火台の炭の中に、マッ缶を直接、ゴスッと差し込んでみた。
マッ缶の黄色と黒のデザインが、熾火の当たってるところから少しずつじわじわと、黒く
程なくして、飲み口から
慌てて、持ってきていた軍手を鍋つかみのように使い、缶を引っ張りだした。
あちっあちっ!
俺猫舌だけど熱いものを持つのも苦手なんだよ。こういうのなんていうの?猫手?っていうの?知らん。こんな手を借りなきゃいけないほど忙しい日々は送りたくないもんだな。
全体が
ふぅふぅと、缶に口が付けられるくらいまで冷ましてから、一口すする。
うううめぇ…あったけぇ…!!
秋の晴天、この時の俺は、なんか、
そんなこんなで焚き火と