エントマは俺の嫁 ~異論は認めぬ~   作:雄愚衛門

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今回はモモンガ様との会話成分多め!
予想以上に長くなったのでちょっと分けます。


お供面接編
選別


「アバ・ドン様、頂いた用紙への記入、全てのシモベが滞り無く終了しました」

 

 アルベドが恭しく礼をし、紙の束を渡してきた。

 

「なかなか早かったですね。メッセージを使うにしても、もう少しかかると思ったのですが……」

「防衛網の構築と共に連絡網も形成しておりましたので、それを利用して転移魔法で用紙を配布致しました」

「ほう」

 

 既にそういう準備も整ってたのか。アルベドはアインズさんが絡むとすごい事になるけど、守護者総括というだけあって優秀な人だなぁ。タブラさんも大満足だ。

 

そういやデミウルゴスも『黙示録』(アポカリプス)の話をした時には既に準備万端だったよな……。満面の笑みで「ご心配なく、あくまで予測していただけですので」って言ってたが、ここまでくるとこえーよ!?部下達がバラすとは到底思えんし、本当に予測してたのだろう。恐ろしや……。

 

「それと、こちらの用紙は行き先までシモベ達に運ばせますが……」

「お気遣いはありがたいのですが、自分でやろうと思います。直接アインズさんの所へ行きますから」

「畏まりました」

 

アルベドから紙の束を受け取る。昔の俺ならひいひい言う重さだが、今なら楽勝です。

きちんと揃えて提出されてるが、この付箋は何だろう。

 

「そちらに貼ってる付箋は種族別に分けて貼り付けてます。差し出がましいようですが、検証がしやすいかと思い、整頓しました」

「それはそれは、ありがとうございます。アルベドさん」

 

気が利くなぁ。こういう事してくれると本当に助かるね。

 

「見事な手際、感心しました。これはアインズさんの計画において必須となるものですからね。貴方の働き振りは、私がよぉーく伝えておきます」

「くふー!も、勿体無き御言葉です。これからも入用の際は何なりとお命じ下さいませ」

「ええ、その時には遠慮なく」

 

 アルベドは暫し頭を垂れ、また他の仕事をしに戻っていった。

 

優秀なのは間違いないのだが、アルベドはヤンデレを超越したナニかになりつつある。俺がモモンガさんと仲良くしすぎて後ろからブスリなんてことにならないよう、話をする時はなるたけモモンガさんを話題に出すように気をつけている。タブラさんはどんな設定をねじ込んだのやら。

 

まあそれはともかく、助かった。まさかこんなに早く集まるとはな、これ(・・)。じゃあモモンガさんの所へ持っていくか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アバさん。その紙の束は何ですか?」

「ふっふっふ……これはですね……」

 

丁度執務室で外の世界に関する報告書を確認してたモモンガさんに、アルベドから受け取った書類の山を見せる。

 

「外の仕事で重要になりそうな質問を纏めた用紙作って、みんなに書かせました!」

「おお!こ、これは……アバさん、ありがとうございます!」

 

モモンガさんが席を立って、紙束に興味を示してくれた。そう、これら全てナザリックの配下達に書かせたアンケートなのだ。エントマちゃんやルプーに食堂で聞いた話を更に掘り下げたような質問がこの紙には書かれている。他にも、部下の性格を把握するために、細々とした性格診断的な質問も付けといた。

 

「モモンガさんの同行者に、誰が向いているか、これ参考にして話し合いましょう」

「正に今の俺に必要な物です!早速見てみましょう」

「アルベドさんが整頓してくれてるのでかなり見やすいですよ」

「あ、本当だ。うん、後でアルベドにも礼を言っておきます」

 

やったぜアルベド、明日はホームランだ。

 

机の上に紙をザッと広げてみる。机がでかいからこれぐらい余裕だね。お、種族や特技に絞って整理してある。こいつはやりやすいぞ。

 

さぁ、モモンガさんに随伴する部下を決める重要な会議だ。慎重に取り組もう。

 

 念の為、アンケートに虚偽を書いてないかも気にしたいところだが、考えたらキリが無い。一応、"嘘偽り無く思ったままを書いて下さい"って前書きに入れといたけど、じっくり話し合いたいところだな。

 

ここからはスーパー会議タイム。適当に椅子を置いて、モモンガさんの向かいに座る。立派な執務室に俺が座ると浮くなぁ。モモンガさんは割と似合ってるけど、俺の場合、場違い感が……。

 

「そういや、モモンガさんの中で候補は決まってるんですか?」

「はい。色々考えた結果、ナーベラルに頼もうかと」

「プレアデスの娘ですか、良いですね。パッと見、人間種にしか見えませんし。確かナーベラルさんはエレメンタリスト。魔法職だけど……ああ、モモンガさんは戦士化するからその方が良いのか」

「はい。カムフラージュになるのと、様々な実験も兼ねてます。それに、彼女はドッペルゲンガーと言っても、あの姿を保つだけの設定です。他には、アルベド辺りも考えたんですが、彼女は人間への忌避感が強くて……」

「あー、やっぱそうなんだ。俺、食堂でエントマさんやルプスレギナさんから話を聞いたんですよ。大半はそんな感じで、少なからず人間を軽視するのはデフォみたいです」

「そっか……」

 

 モモンガさんが頭を押さえて唸る。やっぱり……という呟きも聞こえたので、想定してた事だったのだろう。まぁ、こればっかりはAOGの宿命と言わざるを得まい。

 

「うーんと、とりあえず第一候補のナーベラルさんの用紙を見てみましょうか」

「そうですね」

 

ナーベラル・ガンマ。ポニーテールの黒髪黒目メイドさんだ。見た目的には何ら問題は無い。えーっと……人間関係の質問は……。

 

 

氏名:ナーベラル・ガンマ

 

 

Q15:貴方にとって人間とはどういう存在ですか?

 

A:何の価値もないゴミです

 

Q16:もし、アインズさんに人間と友好に接するよう命じられたら、我慢出来ますか?

 

A:至高の御方の御命令とあらば、どうにか、どうにか耐え抜いてみせます。

 

 

Q30:外へ出るに当たっての意気込みがあれば、何かお願いします

 

 A:アインズ様に群がる 虫ケ ゴミ屑のような人間共を薙ぎ払ってみせます

 

 

「こ……これは」

「アバさん。"どうにか耐え抜いてみせます"の所、筆圧が強すぎて所々穴空いてますよ……」

「ほんとだ……そもそもどうにかしなきゃ我慢出来ないんじゃ厳しいかも……」

「うーん……」

「後このQ30の所、多分虫ケラって書こうとして訂正してますね。なんでわざわざ?」

「……アバさんに気を使ったとか」

「ああ、俺が虫好きなのはバレバレでしたか」

「そもそも隠す気も無いですしね」

「あはは……。それにしても、ナーベラルを引き連れると思わぬリスクを招くかも」

「そうですね……人間の扱いはもう仕方ないですけど、きちんと我慢出来る人が好ましいです。ただ、能力的に彼女の力は必要になると思いますし、候補として考えておきましょう」

「了解です。じゃあ、ナーベラルさんは"△"っと……。よし、他の人も見てみましょう」

「はい。では見た目が人間種に近い部下を優先で……」

「ほいほい」

 

 俺は別途用意していた名簿に記号を記入する。〇、△、✕の三段階評価で外への適性を評価しているのだが、これは余り必要なかったかもなぁ。使ってるペンは、一見ただの羽根ペンだが、書き心地は旧ボールペンと遜色無く、インクも無限に出続けるというオシャレアイテムだ。

 

記入後、とりあえず用紙を何枚か抜き取って二人で確認する。こういう時副腕のある俺は何かと便利だ。人間種に近いとなると、選ぶ部下もかなり限定されてくるので、ささっとピックアップする。

 

「こんなもんですかね?」

「パーフェクトです」

 

ゲーム時代なら"グッジョブ!"のアイコンを出してそうな雰囲気だ。さぁ、まずはプレアデスの面々から行ってみようか。まずは、ユリ・アルファ。夜会巻きに眼鏡姿と、大人びた外見のプレアデス副リーダーだ。

 

 

氏名:ユリ・アルファ

 

 

Q15:貴方にとって人間とはどういう存在ですか?

 

A:価値があるならば、手段の一つに成り得ると思います。

 

Q16:もし、アインズさんに人間と友好に接するよう命じられたら、我慢出来ますか?

 

A:至高の御方の意のままに

 

 

Q30:外へ出るに当たっての意気込みがあれば、何かお願いします

 

A:ナザリック地下大墳墓に有益な結果を持ち帰り、アインズ様、アバ・ドン様の糧となるよう精進して参ります。

 

 

「モモンガさん、ユリさんはどうです?アライメントが善寄りですが、アンケの結果は中々良い感じです」

 

 アライメント善よりな部下は、俺達の行動に忌避感を抱くリスクがあるので、控えるつもりだったのだが、アンケートの回答や、直接話を聞いて考慮するのも悪くないかもしれんな。

 

「悪くないです。ただ、ユリは武器的にちょっと特殊だから……」

「あー、やまいこさんとほぼ同じなんだ」

「でも、やりようはありますね。ナーベラルよりは安定してるし、任せられるとは思いますよ」

「じゃあ、ユリさんは暫定候補という事で"〇"にしときますか」

「はい」

「モモンガさん、ナザリックのみんなには近い内に直接話を聞いておきます。機会を見て、コミュニケーション取るようにして、性格を把握しておきますので」

「ありがとうございます。是非お願いしますね。匙加減はアバさんにお任せしますよ」

「ういっす」

 

頼られるというのは嬉しいものだ。プレアデスの面々は、エントマちゃんの姉にも当たる訳だから一杯交流しとかなきゃね。それを差し置いても部下との交流はこれからも大事にしようっと。

 

「あ。でも最終候補までに絞った部下達は俺も話が聞きたいですね」

「じゃあ候補に残った相手は俺とモモンガさんで面接ってことで」

「わかりましたー」

 

というわけで、面接も行うことになりました。あ、ちょっと楽しいかもこれ。

 

さて、ユリは武器的要素を除けば問題なさげ。かなり有力候補だな。

 

「次はルプスレギナさんです」

「どれどれ……」

 

ルプスレギナ・ベータ。赤い三つ編みに褐色肌の活発なメイド。食堂で会った限りだと中々の食いしん坊だ。

 

 

氏名:ルプスレギナ・ベータ

 

 

Q3:趣味はありますか?

 

A:人間が絶望と苦痛に表情を歪ませるのを観察するのが好きです。自分の手でそこまで持っていけたら尚良しです。

 

 

Q15:貴方にとって人間とはどういう存在ですか?

 

A:使い捨ての玩具です!でも、捨てるまではそこそこ大切にします!

 

Q16:もし、アインズさんに人間と友好に接するよう命じられたら、我慢出来ますか?

 

A:余裕です。そいつが不幸になる事は祈りますが、暖かく見守ります。

 

 

Q30:外へ出るに当たっての意気込みがあれば、何かお願いします

 

A:お役に立てるよう頑張ります!後、嘆き苦しむ人間が一杯出ると良いですね!

 

 

「これ最後が余計だよ!?」

「俺、食堂で話しましたけど、概ねこの通りですね……」

「…………まぁ、ナーベラルよりかは融通が利きそうか?」

「確かに、能力的にもバランス良いですし、回復もいけます」

「じゃあルプーさんは"〇"で良いですか、モモンガさん」

「OKです」

 

えーっと、ルプーは"〇"っと。

 

よし、この調子で他の部下も査定を続けよう。プレアデスの面々が終わったら次は守護者もだな。まさか元研究職の俺が人事の仕事をする事になるとはな……。面接もする予定だから完全に人事部だ。




ナーベラル「」

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