デレマス二次   作:(^q^)!

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二話

 目覚めはスッキリしていた。良い布団なので当然だろう。ふかふかしているので眠り心地は最高である。あとは柄がどうにかなれば言うこと無しだ。

 

 そそくさと布団から出ると、シャワーを浴びた。頭を洗いながら考える。マジで違う世界来ちゃったのかなあ、と。

状況を考えるともうそれ以外考えられないというか、考え付かない。あるいは自分で見出した答えなのでそれに固執しているのかもわからないが、もう自分にはそう言う風にしか考えられなかった。

 

 だとすると、友達はどうなっているのだろう。親はどうなっているのだろう。大学は変わっていなかったが、歴史が違う影響で授業も違うかもしれない。言語は同じだったし文字も一緒である。

でもサムズアップが違う意味だったり、言い回しが異なったりしたらどうしよう。ウイルスに耐性があるんだろうか。重力は一緒なんだろうか。大気中の成分は同じなんだろうか。

 

 あれやこれやと考えがまとまらない。結局土曜日の午前中は悶々としながら、駅前のレンタルビデオショップでゲーム機とゲームを買って、そのゲームをやりながら過ごした。

 

 買ってきたゲームハードはプレイステーション3。名前は変わっていなかった。ソフトは『駆動戦士クアンタムVSクアンタムネクストリームフルコーン』という前の世界でやりこんでいた対戦ゲームである。

機体などの名称やキャラクターが変わっていたが、おおむね内容に変わりはなかった。

原作の内容も変わっていないのだろうか。パッと見シリーズの変遷はさして変わっていないように見える。

 

 ゲームシステムなどの面も特に変わっていないようだった。ゲーム史などは調べていないが同じような発展をしたのだろうか。午後にゲームのソフトをもう一度詳しく調べたり、レンタルビデオショップに行ってみようか。

 

 お昼ご飯を食べた後、インターネットを巡回していると気が付いたことがあった。アイドルが多い。というかプロダクションがメディアの中で大きな力を持っているようで、アイドルがかなりプッシュされやすい状況にあるようだ。

テレビに出る人物は大半が何かの個性を持ったアイドルという風に紹介されている場合が多い。アイドルらしいアイドルも一定数いるようだが、特徴的なモノが無いと業界で突出するのは難しいように思えた。

 

 これも歴史や男女比からくるものなのだろうか。アイドルがここまで立場を得る歴史ってなんだよという自分に対するツッコミを入れつつ、まあ関係ないしいいかとスルーした。

 

 そんなことより! 重要なことがわかった! 

なんとゲームや原作には互換性があるようで、かつてプレイしていたゲームや見ていたアニメや読んでいた漫画っぽいものがあるのだ。昨日は悲しみのあまり適当に流してしまったが、よくよく見るとかなりの数のモノがそれに該当しているように見える。

しかし、サイトを巡っている内にネタバレを読んでしまった作品もあったが内容は様々であった。ほとんど同じ内容のものもあったが、がらりと違った内容になっているものもあった。

技術についてもあまり変わっていないようだった。ジェスチャーも概ね一緒であるようで、幾つもの危惧が杞憂であったことがわかった。そうとわかれば話は早い。さっさとゲーム買ったりDVDをレンタルしなくては!

 

 昨日と同じようにササッと着替えて財布をもって外に出た。少し曇っていたが雨の心配は多分ないだろう。

 

 ゲームをいくつか物色するなら池袋まで足を運んだ方が良い。電気屋がいくつかあるので品揃えが豊富なのだ。

定期をかざしてスッと改札を通る。この瞬間は何だか自分がテクノロジーを使いこなしている気分になれるから好きだ。心なしかドヤ顔しつつフフーンという気分で階段を降りた。

次の電車まで五分ほどだった。やっぱり周りからチラチラ見られているような気がする。なんだ? 別に視線に敏感であった覚えはないし、視線を向けられるような覚えもない。ズボンのチャックも空いてないし、服だって裏表逆なわけじゃない。

自意識過剰かとも思ったが、視線を向けるとあからさまに目線をそらすので何かあるはずだ。

 

 何だろう。髪がぼさぼさとか? いや一応整えたしそれは大丈夫なはずだ。服が寝巻に見えるとか? ちょっとしわしわしてるしそれはあるかもしれない。しかしちょっと買い物行くだけなのにアイロン掛けした服を用意するというのは現実的ではない。

 

 電車も来た事であるし無駄なことは考えなくてもいいだろう。イヤホンを耳に差し込み、スマホから曲を再生する。やはりいい曲だ。これを世の中の誰も知らないのだろうか。

もしかしたら同じような経緯で同じ状況になっている人がいるかもしれない。

そういう人を探すのもいいかもしれないが、探し方がさっぱり思いつかない。別の世界から来た! とか別の世界の記憶がある! とか宣言した時点で人を探すことも人と友好を結ぶことも困難になるんじゃないだろうか。

 

 電車に揺られていると一昨日の夕方の事を思い出した。そういえばあの通路を通った後にいろいろな違和感を感じた覚えがある。もしかしてあの事象が今の現状につながっていたりするのだろうか。だとしたらファンタジーである。

そんな馬鹿なと思うが、事実今、そんな馬鹿な状況になっている。今日の帰りにあの通路にもう一度寄ってみる事にしよう。

 

 一先ず池袋に着き、駅前の電気店に入る。ゲームが売っているスペースは少し上の階にあるのでエレベーターに乗った。

ゲームを一日に二度も買いに来るという事実に先ほど気が付き、もしかして:馬鹿 と思いつつもソフトを物色する。『アーマーフロムコアFA』、『ライト&ダークソウル』、『真・濃男♰無双~漢女対戦★三国志演義~』、『ポケットモンスターアロンサファイア』の四本のソフトと、3DSを買った。どのゲームからやろうか。

全部最初からやらなくてはならないので時間がかかりそうだがやりがいはあるだろう。

 

「ねーねー! お兄さんもポケモンやるの?」

 

「……え?」

 

 明日に広がるだろう良き未来に思いを馳せているといきなり声をかけられた。目の前にいたのはちょっと小さい感じの女の子だった。

年齢のほどは小学生くらいだろうか。少女の見た目は、金髪で服装とかがお洒落な感じであり、ゲーム売り場にいるよりはショッピングとかをしている方がお似合いな気がしなくもない。

 

「それポケモンだよね? アタシもやってるんだ♪」

 

 元気に笑う少女は生きているという感じがした。それに比べて自分はどうだろう。

今もなお、この状況は夢か何かでは無いかと頭の片隅で強くそう願っている自分がいる。夢であることの証左の為に相違点を粗探しし、夢であるならばと適当に過ごす。

 

 だって信じられるはずもない。ここが現実だなんてそんなことを信じられるはずがない。

そうであるならば元々の世界ってなんだ。そっちこそが夢で実はこっちが現実だった、なんて笑えない現実が真実味を帯びてきてしまう。そんなのは嫌なんだ。

だって自分にとっては元々の世界が現実なのだから。

 

「おにーさーん? 聞いてるー?」

 

「え? あ、な、なんだっけ?」

 

「もー、好きなポケモンは何って話だよ。お兄さん♪」

 

 少女が笑った。誰かを情熱で動かすことのできる力を持ったいい笑顔である。

 

「あ、ああ、俺はこのルチャブルとゴルーグってポケモンが好きでね」

 

「へー、アタシはヘラクロスが好きなんだ☆」

 

 何かが楽しいのか、ニコニコ笑っている彼女との会話は一言一言がここが現実であることを知らしめしてきた。話すたびにこれが夢であるはずがないと強く強く告げられる。

 

 もはやここで過ごすしかないのだろうか。いや、深く考えるのは家に帰ってからにしよう。心の整理が必要だろう多分。

 

「今度ポケモンバトルしようねっ♪」

 

「ああ、ゴロンダの強さは言葉じゃわかりづらいから実践して見せよう」

 

「オッケー☆ また遊べるように連絡先交換しようよっ♪ あ、お姉ちゃんが待ってるからじゃあねー!」

 

 去って行く少女の後ろ姿はどこからそんな活力が湧いて出てくるのか疑問に思うくらいに躍動的で、すげえなあと思いながら家に帰る事にした。

 

 しかし、女性から連絡先の交換などを求めるのか……。

ネットであらかじめ知っていたとはいえ衝撃的だな。……あれ? あの子って小学生くらいだよね? だとするとかなりおませってことになるのか? 

いやもしかするとここではあのくらいから異性に積極的なのは当然なのかも……なんていうのは考えすぎか。単純に性別に関するなんやかんやなんて考えてもいないのだろう。

遊びたいから遊ぶための手段を構築しておくなんて言う簡単で合理的な手段に対して邪推を混ぜるからややこしくなるのだ。

 

 考えながら歩いているとピコンという音と共にスマホに通知があった。少女からだった。名前を教え忘れていたという旨のメールだった。

 

 少女の名前は城ヶ崎莉嘉というらしかった。こちらの名前を送った後にお互いの趣味などを教え合った。

……そういえばなぜこのスマホは使えるのだろう。このスマホも元々の世界由来のもののはずだ。通信技術が変わっていないとしても周波数とかいろいろと変更点があるのではないだろうか。というか契約している会社は一緒なんだろうか。

ラインなどのアプリがそのまま使えているということは大丈夫なのだろうが、何故スマホが使えるのかという疑問は解消しない。まるっきり同じモデルが発売されているというのも考えづらい。

 

 やはり一度しっかりと確認や考察なんかをした方が良いだろう。それをすることであるいは悲しい現実が判明するかもしれないが、それでも、もう逃げるわけにはいかないだろう。

 

 帰る途中、駅で一昨日の通路を調べることにした。わざわざ遠回りをして副都心線へ行ってみたが通路に特に変わりもなく、通ってみた感じも特に何も感じなかった。

やっぱり気のせいだったのだろうか。首をひねりつつ電車に乗って家まで帰った。

 

 家に帰ってから早速調べ始めた。が、分かったことは昨日と大差なかった。せいぜい、大企業の名前が一緒のものがあったり、聞いたことのないものがあったりする程度だろうか。どれも世界が違うことに比べたら誤差と言っていいだろう。

 

 逆に、世界が違うのになぜ共通点があるのかが気になる。

企業名が一緒であったり、物の名前が一緒であったりと疑問は尽きない。元の世界でさえ、日本で「本」と呼ぶものをアメリカでは「ブック」と呼ぶのだ。言語とはこれほどに差異が出るのに、何故名称が一緒なんだ?

 

 考えてもきりがない。疑問だけが浮かび、解決しないままに沈んでいく。万策尽きたとばかりにごろんとカーペットに寝転がる。わけがわからぬ。もう無理。

 

 ゲームを起動すると後は早かった。もう現実なんて知るか。勝手にしたらいい。適当にしてればなるようになるだろう。

 

「神の怒りって入手方法変わってないのか……あれ? でもなんかちょっと違うな……」

 

 土曜の夜は更けていった。寝たのは日曜になって少し経ってからだった。

 

 

 

「~~♪」

 

 軽快な鼻歌は彼女の気分を周囲に知らしめていた。顔からもうかがえるご機嫌ですという彼女の状態は、隣にいる姉にとって気がかりなことの一つであった。

 

 ちょっと電気屋に寄り、自分がレジに並んでいる少しの間にふらっと妹がいなくなってしまったことに気が付いた時には愕然としたものである。

妹とはぐれてしまったのは時間にして三十分無いくらいであったが心臓が口から飛び出してしまうのではないかというほどバクバクしっぱなしであった。

しかも自分はそんな状態であったというのに、肝心の妹は合流した時にはもうこの様子で、今にもどこかに飛び立っていくのではないかというくらいにご機嫌だった。何があったのか何度か聞くが、

 

「ん~、秘密~☆」

 

 この調子である。幸せオーラを振りまきながらこんな風に言うものだから余計に気になる。

 

「莉嘉~、お姉ちゃん気になるから教えてほしいな~?」

 

 この手は最後に取っておきたかったがやむを得ないだろう。姉の威厳と引き換えに情報を得るのだ。

 

「うーん。そこまで言うならしょうがないな~♪」

 

「うんうんお願~い★」

 

「実は~」

 

 はよ言え。

 

「男の人とライン交換しちゃったんだ~☆」

 

 城ヶ崎美嘉が妹より異性関連が遅れている姉という不名誉な称号返上の為ギャルを目指し、カリスマギャルと呼ばれるのはそう遠くない話である。

 

 しかし何よりも、城ヶ崎美嘉はこの日、姉の威厳を一つ失ったがそれを知るのは美嘉本人のみであった。

 




莉嘉ちゃんのところ書くのムズイわ

作中に出てくるゲームは家で目についたものを採用しました。

最後の部分がコピペしそこなってたみたいなんで入れときました

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