東方羅戦録〜世界を失った男が思うのは〜   作:黒尾の狼牙

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前回のあらすじ
黎人、火焔の能力を使う。
霊「燃える頭……ハッ落ち葉集めずに焼き芋が食べれる」
黎「俺の髪を何だと思ってんだ!!!」


56 波乱は終わらず

「ガ…ハァ……」

 

体を斬られ、その場で座り込む鵞羅。傷口は深く、内部まで入っている。そして、暫く経ち……

 

「ぐああああ!!!」

 

全身が炎に包まれた。そのまま鵞羅は倒れこみ、全く立ち上がれなくなった。

 

「ハァッ……ハァッ……」

 

倒れている鵞羅を見て一気に脱力した黎人。やはり『火』よりも体力を消費しやすく、疲れやすい。『火焔』を解いた後かなりの量の汗を流していた。

 

だが、これで鵞羅は倒した。自分の親を倒したこの男を負かすことが出来た。黎人の望みは叶ったのだ。

 

(これで…終わり)

 

黎人は鵞羅との雪辱戦が終わったことを確信した。

 

 

 

 

 

 

 

 

『今こいつを殺せば、俺の復讐は果たされる』

 

 

 

 

 

突如浮かび上がった思考。黎人はそれを取り払うように頭を振った。自分の額に手をつけ、一体何なんだと考え込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「黎人!!」

 

声をかけられて慌てて平静を装い振り向くと、そちらも終わったのであろう。霊夢達が黎人の方へ駆け寄ってくる。

 

 

 

 

「終わったのね。そっちも」

 

口を開けたのは、霊夢だった。

後ろには魔理沙、妖夢、咲夜、そして…

 

「来てたんだな、惣一」

「はい。少々危うかったですが…」

 

惣一が来ていた。

 

霊夢達の周りには、ガチュリスの死骸であろうものが散らばっていた。彼女らもかなり激戦だったわけだ。

 

「やったな黎人!これで幻想郷を救った訳だぜ」

 

魔理沙が嬉しそうに言っている。実際はまだ救ったと限られた訳では無いのだが…

 

(ま、いいか)

 

もやもやしたままで終わるのも気味が悪いので何も言わないでおく。

 

 

 

 

「お前ら」

 

黎人が声をかけた。突然のことで何事だろうかと誰もが黎人の方を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

「礼を言わせてくれ。お前らが手伝ってくれたお陰であの男を倒す事が出来た。もし来てくれなかったら、勝てたかどうか分からねぇ。本当にありがとな」

 

黎人が頭を下げる。彼がここまでの結果を出せたのは、ガチュリスと戦った霊夢達や、自分が来るまでにもちこたえてくれた刃燗のお陰だ。そう思い、礼を述べずにはいられなかった。

 

「気にすんなって。お前が頑張るから、私達も手伝いたくなるだけだぜ」

「ちょっと、何で私も入ってるみたいな」

「あれ?お前が一番黎人のことを心配してたんじゃないのぜ?」

「そうなのか?」

「ちょ、違っ……魔理沙ーーー!!!!」

 

霊夢が声を上げるが、誰一人として笑みを欠かすものは居なかった。

 

 

 

 

 

 

 

「さて、この男のことですが…」

 

惣一が鵞羅の方を見て言う。意識はあるようだが全く動けずに倒れ込んでいた。

 

「霊夢さんが言うには、裏でこの男に指令を出してる人がいるかもしれないと…それは、間違いないですね?」

 

問いかけるが、鵞羅は答えようとしない。黙ることを貫き通そうとしているようだ。

 

 

 

「そういう男はちゃんと話そうとしないわよ。拷問でもしない限りね」

 

発想は怖いが咲夜の言う通りだろう。鵞羅のような男はプライドが高くなかなか口を割ろうとしないと…

 

「……分かりました。気乗りはしませんが、守矢神社で話を聞くとしましょう」

 

惣一は守矢神社に連れて行こうと鵞羅に近づいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それは困る」

 

 

 

「!!!」

 

異様な殺気を感じ、惣一は前に進もうとする足を止め、後ろに下がった。

すると惣一の居た場所に、まるで刃物で斬られたかのような跡がついた。

暫くして鵞羅の方を向くと

 

 

 

 

 

 

黒色のマスクをした細身の男が鵞羅の近くに立っていた。

 

 

 

 

 

 

「…………」

 

黎人は刀を抜いて攻撃態勢を取りながら、その男を見ていた。

 

服は全体的に黒色で、動きやすくする為か衣装は薄く軽そうである。草履を履いているのも動きやすくする為だと感じた。黒い髪は長く、目にかからないように後ろに束ねてある。解けば恐らく肩までかかるだろう。腰には妖夢の持つものより長い刀があり、若干細い。

 

 

 

「…………」

 

その男の目が黎人たちを見つめた。その目は敵を警戒して観察する目であり、その目を見て黎人はこの男がかなりの手練であることを悟った。

 

 

《ヒュオオオオオ……》

 

 

沈黙すること暫し、風が吹き、霊夢達も戦闘の準備が整ったようだ。その男の強さは、鵞羅とは比べものにならないと悟った。

 

 

 

やがて、この沈黙は一瞬で破られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………………」

 

「喋れ!!!!」

 

黎人の盛大なツッコミで

 

 

 

 

 

「どんくらい無言で待たせる気だ!!コッチはいつ喋んのかとソワソワしてんだよ!!!テメェが登場してから400字は超えたぞ!!!!」

 

興奮しているのかメタ発言までしてしまう。

 

 

 

「落ち着いて下さい黎人さん」

「落ち着いていられるか!颯爽と登場して来て黙りこくりやがって」

 

妖夢の制止の声も届かない様子だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「その黒い布のマスク…貴方はひょっとして、『菅谷 シュバル(すがや しゅばる)』ですか?」

 

惣一はその男を見て呟いた。その事に魔理沙が反応した。

 

 

「誰だ、ソイツ?」

「『菅谷 シュバル』。外の世界では厄介な殺し屋で、全身を黒い服で纏い、標的に気づかれることなく首を斬り落とす、異様な技術を持っていました。GARDでは要注意人物として行先を追っていたんですが……突如姿を消したらしいです」

 

この男の異様な殺気を感じたのはこの場にいる全員だが、1人だけ違うものを感じ取っていた。

 

 

 

(あの刀…何であんなに長いんだろう…あれだと扱いづらいのに)

 

妖夢は刀の長さに違和感を感じていた。長ければ長いほど腕の負担は大きくなり、扱いも難しくなる。剣の長さは大体60センチ、長くて1メートルだ。だが、シュバルの持っている刀は1メートル20センチはある。

 

 

 

 

 

「そんな奴が何でこんなところにいるんだよ」

 

黎人は聞いた。何故ここにいるのか、と。行方不明の男が突然現れるとなると、いい予感はしない

 

「身構えるな。別にお前らと戦うつもりはない」

 

返ってきたのは戦う気は無いという言葉。だが、1度刀を振った男が言っても説得力は無い。

 

「じゃあ何のために来たんだ」

 

黎人が睨みつつ話した時、シュバルは返答する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………」

「だから何でそこで黙るんだよ!!」

 

ことはなく沈黙を貫き通した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「シュ…バル。お前」

 

鵞羅が口を開いた。意識が漸くまともになってきたところで気付いたようだ。

 

 

「情けないな……そこまでボコスコにやられるとはな」

 

シュバルに貶された。鵞羅にとってはそれが怒りの頂点へと登らせる言葉である。

 

 

 

 

「ふざけんな…まだ終わってねぇ。もう油断なんかしねぇ。全力でぶっ殺してやる…」

 

立ち上がって黎人たちの方に歩き出す。まだ戦う気力があることに驚いたが、すぐ構え直した。

そして、鵞羅がゆっくりと歩き出し……

 

 

 

 

 

 

 

その首元をシュバルが打った。

 

 

 

 

 

打たれた鵞羅はそのまま気を失い、倒れた。全く動く気配が無い。

 

 

 

「いや、終わりだ。お前は負けたんだ。此処は退く。お前の処分はそこで下される」

 

シュバルはそのまま立ち去ろうとした。

 

「おい、どこ行く気だ!!逃がさねぇぞ」

 

それを魔理沙が追おうとした。

 

 

 

 

 

 

 

「待て、魔理沙!!!」

 

一瞬、危機を感じた黎人は魔理沙を押さえて後ろに下がった。すると…

 

 

 

 

 

彼らの立っていた地面に切れ跡が残った。

 

 

 

 

 

「察したか、流石は『五行の男』」

「何だその意味不明な二つ名…じゃねぇ!何だこれは」

 

二つ名にツッコミかけて思い直し、何をしたのかと聞いた。距離は20メートルは離れている。なのに、攻撃が届いたのだから。

 

 

 

 

「そこから先は俺の攻撃範囲だ」

 

 

シュバルがいう姿は見る人を凍り付かせた。まるで、首元に刃物を突きつけられたかのように。

 

 

 

「騒ぎを起こして、増援が来たら厄介。大人しく引き下がろう。」

 

手元に黒い球体を持ったかと思うと、鵞羅ごとシュバルは消えた。

 

 

 

 

その場に残ったものは呆気にとられていた。

 

 

「一体…何なんだ、アイツら」

黎人の声もどこか恐怖している感じがした。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「う…ぐふ……あ」

「気づいたか」

 

館の中に戻り、シュバルは鵞羅を下ろした。内装は黒く、何があるのかはよく分からない。鵞羅を下ろした後、かけていたスーツを羽織った。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ずいぶん情けないわね。そこまで怪我を負っているなんて」

 

すると扉が開いて、赤いドレスを身につけた長髪の女性が現れた。

 

 

「……リーフか」

「2週間も出たっきり帰ってこないから、手こずっているのかと思っていたけど…まさか負けてくるなんてね。」

 

うずくまっている鵞羅を見下ろしてリーフは言った

 

「いや、寧ろ2週間は速かった。あの神の使いが1ヶ月と言っていたのが既に嘘だと気づいて慌てて来たら、既に負けていた。一杯喰わされた」

 

シュバルはそれに対し、負けるのが予測より速かったと言った。彼は鵞羅にあまり期待していなかったらしい。最も、黎人に負けるとは思っていなかったが

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーくそっくそっ……

ーーーあの野郎に…俺が……

 

 

 

 

 

 

「クソォォォォォ!!!黎人ォ!!ぶっ殺してやる!!!!!」

 

突然鵞羅が叫び上げた。黎人に負けたという事実が、彼は受け入れ難かった。

 

 

 

「煩いぞ。静かにしろ」

 

それを、シュバルが抑えようとする。

 

 

 

 

「直ぐに救護班を呼べ!この傷をとっとと治療してもう一回あの場に戻る!!

 

次は、ぜってぇ、殺す!!!」

 

 

 

だがその言葉は耳に入らず、怒りが抑えきれないようだ。

 

 

 

「無理だな。お前は2度と勝つことは無い」

「テメェの意見なんか聞いてねぇんだよ!!いいから俺の言う通りに……」

 

 

 

 

 

 

 

「随分偉くなったものだな。薗田 鵞羅」

 

暴走一歩手前。たった1人の言葉に鵞羅は口を閉ざした。再び扉が開き、中からは茶色のコートに身を包み、身長は2メートルはあるかのような、赤色の髪の巨大な男が現れた。

 

彼は、この組織の主

 

 

 

 

 

 

 

「ダイ…ガン……」

 

 

 

「さぁ、結論を聞こうか」

 

 

 

 

名を、ダイガンと呼ぶ

 




敵勢力が出せました。彼らが一体何でこの後どうなるのか、是非楽しみにしてて下さい。

〜NGシーン〜

「さて、この男のことですが…」

惣一が鵞羅の方を見て言う。意識はあるようだが全く動けずに倒れ込んでいた。

「霊夢さんが言うには、裏でこの男に指令を出してる人がいるかもしれないと…それは、間違いないですね?」

問いかけるが、鵞羅は答えようとしない。黙ることを貫き通そうとしているようだ。




「そういう男はちゃんと話そうとしないわよ。拷問でもしない限りね」

発想は怖いが咲夜の言う通りだろう。鵞羅のような男はプライドが高くなかなか口を割ろうとしないと…




「それもそうです…」

「何だったら私がやってもいいわよ。拷問する為の道具なら紅魔館にたくさんあるから、三角木馬にムチにロウソクに…」
「何でそんなにあるんですか!!」





黎「この小説は咲夜をどうしたいんだ」
霊「どSキャラにしたいんじゃない?」

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