東方羅戦録〜世界を失った男が思うのは〜   作:黒尾の狼牙

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狼牙でございま〜す
♪お魚くわえたドラ猫
あ、どうでもいい?

てな訳で(どういう訳で?)今回から修行編です
2回に分けて投稿します
先ずは第1弾、ゆっくりしていってね


47 修行①

前回のあらすじ

黎人がチキン戦法を使用

黎「しょうがねぇだろ!チキンいうな!!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ーーシュー…

 

んだよウルセェな…まだねみぃんだよ

 

ーーシュー…

 

寝させてくれ頼むからあと5分…

 

ーーシュー…

 

あぁもう何なんだよ

んあ?見慣れねぇのが枕元にあるな

えーと…dynamite…

……え?

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ーードゴォォォン!!!

 

黎人が眠っている部屋で大爆発が起きた。

 

「だだ、大丈夫ですか?彼…」

「んー?さぁね」

 

その様子を惣一と恐らく主犯であろうにとりが見ていた。惣一は焦り、にとりは平然としている。

 

ーーガラガラガラ…

襖が開く。

 

「殺す気か!!!!」

「え〜?まっさか〜」

「寧ろよく死にませんでしたね…」

 

そこからボロボロになっている黎人が現れた。惣一の言う通りよく生きていたものだ。ダイナマイトで体が持つかどうかさえ怪しいのに…

 

「でもね〜いつまでたっても起きないからああするしか無かったんだよ」

「は?今4時なんだけど」

 

時計を見るとまだ4時、外もまだ暗い時刻だ

 

「いえ、これぐらいで起きておかないとキツイんですよ。最初起こそうと思っても中々起きないですし…そしたらにとりさんが来てこれを仕込んだらしいです」

「…ああ、そうかい」

 

どうやら黎人の認識と惣一の認識は違ったようだ。

 

 

「…早苗達は?」

「まだ寝ています。6時ぐらいに起きるんじゃないでしょうか?」

「…今ので起きた、て可能性は?」

 

ダイナマイトの爆音があったのだ。起き上がっても不思議じゃない

 

「大丈夫!あの爆弾は必要以上に音を発しないから」

「何だそのオーバーテクノロジー」

 

その心配はないようだ。ご都合主義は正義これ大事

 

「そうと決まれば、早く準備しましょう」

「あ〜待ってくれ。昨日もらった作業着を着るから」

 

黎人はそう言って部屋に戻った。

 

 

「いよいよ大変になるね」

「そうですね」

 

にとりと惣一が考えているのは、黎人の今後である。鵞羅に勝てるほどの力がつくかどうか、というのは完全に黎人次第だ。頼まれた以上惣一には責任があり、プレッシャーがかかる。

 

「ま、いざとなったら手伝うよ。困った時はお互い様さ」

「ありがとうございます」

 

惣一は本当に素晴らしい友…いや、盟友を得たものだと思った。何しろ惣一にとって、妖怪は頼りな仲間になっているのだから。

 

 

 

「あ、そうだ。早速ですが、一ついいですか?」

「ん?いいよ、何だい?」

 

突如思い出したように惣一は机の引き出しから紙を取り出し、にとりに渡した。見るとそれは、設計図だった。

 

「よろしかったら、それを作って頂けないですか?」

「ほう…中々作り甲斐のある代物だ…だけど、作れたとしても、使いこなすのは難しそうだよ?」

 

にとりはその設計図を見て感心しているようだ。彼女は様々な物を作っているので大抵の代物は作れるのだが、設計図に書いてあるものは見た事もなかった。惣一がGARDで培っていた、機械に対する知識ゆえなのか…

 

だがそれは並大抵の人妖では扱えそうにない。

 

「根拠は無いですが…それはきっと、黎人さんを助けるだろう、と思います」

 

だが、惣一は確信していた。今設計図に書かれてあるものは必ず、黎人が使いこなすものだと…

 

「よし!分かったよ」

 

了承が得られたようだ。

 

「おい、準備が出来たぞ!」

 

襖から声が聞こえる。どうやら準備が整ったようだ。

 

「それでは、宜しくお願いします」

「おお、任せておけ!」

 

にとりは胸を叩き、引き受けたと返す。そして彼女は、彼女のラボへと帰っていった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

作業着は黒がベースのジャージだった。材質がいいのか、とても動きやすい。惣一が言うには、このジャージは保温性、保湿性に長けているとのこと。

 

「で?朝っぱらから何をするんだ?…まさか牛乳配達じゃないだろうな?」

「?いえ、それはしませんよ」

 

某漫画の修行を思い出したので尋ねてみた。ところが、惣一は頭に?マークが浮かべる。…漫画は読まないのだろうか。

とはいえそれならラッキーだ。さすがにあんなに重そうなものを運びながら走り回れる自信は無い。そう安堵する黎人だった。

 

 

 

「これから、畑を耕すのを手伝ってもらいます」

「それはあるんかい!!!!!」

 

思わず声を荒げた黎人だった。

 

 

「この畑を耕してください」

「手で耕すとかねぇよな」

「無いですよそんな人外な行動」

惣一、世の中には平気でこなす人物もいるんだぞ(二次元)

 

「広さは大体…30反です」

「…反、て何だ?」

「あぁすいません。えー1反あたり約1000㎡ですから…30000㎡ぐらいです」

「30000…えーと…」

「…まぁ、田んぼ30枚ぐらいと思って下さい」

 

決して狭くない。軽く1軒は家が建つ。相当根気がいる。

 

「それでは、私は別の作業をやってますので頑張ってください」

 

惣一は何処かに行った。

 

「さて、頑張るか」

 

黎人も気合を入れる。与えられた時間は限りある出来る限りのことをやらなければ、手遅れになる。今目の前にある仕事に取り掛かった。

 

 

………………………………………………

 

 

 

「ぐあああ…手が…てか腰が……」

「大丈夫ですか?」

 

暫くして惣一が様子を見に行ってみると、耕し終えた畑とぶっ倒れている黎人がいた。作業というのは身体にもの凄く負担がかかる。初心者がやればそんなものだろう。

 

(それにしても…)

 

だが、それにしては早い。半分くらいが終わる時間と思って見に来たのだが、黎人は全て終わっていた。やはり才能というのは間違い無く有るだろう。

 

「ハァッハァッ…ていうか、何を、やって、たんだ?」

「私は、少し設備をですね」

 

惣一は何かやっていたようだ。

 

「設備、て何を?」

「それは後で分かります。それよりも、そろそろ早苗さん達が起きている頃でしょうし、一旦神社に帰りましょう」

 

惣一らは守矢神社に帰った。

 

 

 

「おはようございます」

 

守矢神社に戻ると早苗が起きていた。正確にいうと早苗達が起きていた。

 

「朝ごはんが出来ましたので、食べましょう」

 

どうやら朝食のようだ。

「そうでしたか。行ってくだされば、手伝いましたのに」

 

まぁ惣一らしい答えだろう。義理とか言いながらそれ以上のことをしてそうなイメージを黎人は持っていた。

 

「いえ…惣一さんはいいです」

「……?」

 

早苗は何かためらっているようだが何のことか黎人は分からない。いずれ分かることになるのだが…

 

 

 

 

「どうだい?農作業は疲れただろう」

「…あぁ、体がいかれるかと思ったぜ」

 

朝食中、神奈子が愉快な顔をして話しかける。黎人にしてみると少し意外である。昨日あの策で負けさせたのに、何故こうも平然と話しかけられるのか。

 

勿論これは黎人の心配しすぎである。神奈子曰く『昨日の敵は今日の友とか言うだろ』らしい。

 

「まぁそうだろうな。何回もやってないと慣れっこないよ。惣一なんか一日中やったってヘッチャラなんだよ。本当にやって早苗を怒らせたんだからね」

「あれは…忘れたいですね」

 

どうも惣一のトラウマになっているらしい。顔色が青くなっている。一体何があったんだろうか。

 

「さて、それでは次に行きましょう」

 

朝食が終わり神奈子たちがのんびりし始め、惣一らは次のステップに進む。

 

「それでは失礼しますね」

「分かりました。頑張ってください」

 

早苗に声をかけ、守矢神社を後にした。

 

 

 

 

 

 

「…ハァッ」

不意にため息をつく。分かってはいた。黎人が修行に入ってから惣一は一向に自分に構ってくれない。食事の時もその他でも、惣一は黎人の修行に付き合っている。全く面白くない。

 

「……少しは私にも構ってくださいよ」

 

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「それでは次はここに入ります」

「…マンホールとかここで初めて見たぞ」

 

守矢神社近くに不自然にあるマンホール。そこを開けて中に入ってみたら…

 

 

 

なんということでしょう。そこにあるのは立派なトレーニングジムではありませんか。

 

「これから昼までの暫くの間筋力トレーニングをしてもらいます」

「…お前は山をどうしたいんだ」

 

畑といいジムといい、惣一の持っていきたい方向性が見えない。ていうかよく許可したな管理者

 

「大抵のものは揃えてありますので、使ってみてください。筋力は全ての動きの基礎になりますから」

「まぁ、分かった」

 

 

 

少年トレーニング中…

 

 

 

「ハァッハァッ…キツッ」

「お疲れ様です」

 

5時間ぐらいは続いただろうか。黎人はぶっ倒れている。当然のことだ。

 

「よろしかったら、どうぞ」

 

惣一から何か容器を貰った。

 

「…?」

「自家製のジュースです。水分もしっかり取ってください」

「あぁ、悪いな」

 

黎人は貰ってそれを飲んだ。

 

 

 

 

 

ーーゴクッ

 

 

 

 

突如、黎人の意識が止まった。

 

 

(何だ…これは……口に入った瞬間に苦味と粘り気が舌に広がり、飲み干す時さえドロドロと流れ込む。後味もそのまま口の中に残り続けて…ていうか……)

 

 

 

 

 

「マッッッッッズゥゥゥゥゥ!!!!!?」

 

黎人は思わず逃げたした。

 

ーーダバダバダバダバ……

 

 

「……?一体何が」

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「ん?これは何だ?」

神奈子がキッチンにてメモを見つけた。。それはこう書かれていた

 

 

 

 

野菜ジュースの材料

昆布、ワカメ、紫蘇

 

ミキサーにてこれをシロップと一緒に混ぜ合わせる

 

 

 

 

 

「……」

何だこのメチャクチャなレシピ。ていうかこれは…

「…惣一か」

 

惣一はとんでもない代物を作る。機械とか野菜とかは凄く上手なのだが、料理は余りにも酷いものが出来上がる。何より彼は、「味オンチ」なのだ。最初彼がここに来た時のことを思い出し、少し疲労が漂った。

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

 

 

「グハッハッ…ハ……ハァァ…」

 

浄水器で口直しに水を飲み干した。ていうか吐きかけた。朝から波乱万丈。何から何まで大慌てで走りまくった。しかも半分は修行とは関係ないところで体力もろもろ浪費した。

 

 

 

ーー持つんだろうな、俺

 




ワカメと昆布とシソで作った野菜ジュース…飲んでみたいですか?
私は絶対飲みたくありません
惣一君はこれを平然と飲んでいます
彼も化け物なんです



次回第二弾をお届けします
午後から夜まで、て感じです
次回も是非お楽しみに

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