東方羅戦録〜世界を失った男が思うのは〜   作:黒尾の狼牙

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いいえケフィアです
黎「ナニイッテンダ!フザケルナ!!」

そんな訳で逝ってみましょう
黎「おいコラァそれはあかんだ…」
ゆっくりして逝ってね
黎「無視すんなやゴラー!!」


43 切り札

前回のあらすじ

鵞羅つおい

霊「ていうかそんな能力持ってるのにドスを持つ意味あるの?」

鵞「決まってるだろう。カッコいいからだ!」

黎「アホだこいつ」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

人里の近くの森にて

突如何かが現れる

 

「少し遠くに出過ぎたか」

 

その者は何かを探すように周りを見渡す

すると、ある一点を見て呟く

 

「…あそこか」

 

その後『それ』は遠くに飛んで行った

 

 

 

 

「まだ死ぬなよ、斐川 黎人」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

地面は妙な色になっていた

森の中だから普通は地面は緑色になる

そうで無くとも大体は土の色、つまり黄土色になるはず

だが、今の色は

 

 

 

焦げ茶色

錆び付いた鉄のような色になっていた

足を踏み出すとパラパラとヒビが入った

 

 

 

「ほう…奇妙な技だな。だが、これが何だ?足場変えようが何もかわんねぇぞ」

 

地面以外変わったところが無いのを見て鵞羅は言った

足場が変わっても鵞羅にとっては大差ない

動き続ければ慣れるし、何より邪魔なら動かずに戦えばいい

 

 

「言っただろ。木偶人間の戦場、てな」

 

 

 

だが、黎人は表情を変えない

地面が変わるのは序の口

本命は…

 

 

 

ーーボゴッ!!

 

 

突如、地面から何かが現れた

黒い、長腕のような物が

やがてそれは見る見るうちに地面から我が身を露わにする

そして、その全てが地上に現れた

 

「………」

 

「木製の……人形?」

 

 

その姿は、人間の形をしているが

目は虚、口はツギハギ

人間のそれとは全く違う

 

暫くすると、別の場所から同じような人形が現れた

目測で数えるとこ、8体

それは、鵞羅の方を向き

ゆっくりと歩き出す

 

 

「なるほど、『木偶人間』か……大層な出来だな。だが…」

 

鵞羅は右手を突き出し

風を乱射

すかさず後者にも放出

木偶人間は、木っ端微塵になる

 

 

「数で押し切ろう、て戦略か?呆れるな。こんな烏合の勢、何体かかろうが同じことだ」

 

 

鵞羅は黎人に向かう

 

 

 

 

 

 

 

 

「忘れたか?『木』の能力」

 

すると、さっき切り刻んだ筈の木偶人間がまた現れた

 

「な…⁉︎」

 

「『木』は回復の能力がある。こいつらは倒されてもすぐ復活する」

 

再びその木偶人間は鵞羅の方に歩き出した

 

「クソ!!」

 

鵞羅はまた風で切り刻もうとする

 

「ああ、それから…」

 

突如、地面から何かが絡みついた

 

「な……⁉︎」

 

「お前が霊力、魔力のどちらかを出した時、その分は地面に吸収されて新たな木偶人間が作られるからな」

 

それは、別の木偶人間だった

地面から湧き出て、鵞羅の足を掴む

その手は、大木の様に硬かった

 

「クっ…!!」

 

そして、足を掴んでない木偶人間が、鵞羅に襲いかかった

 

「どわ!チッ…ヌアアア!!!」

 

鵞羅は片足が塞がった状態でドスや斬の風を使い木偶人間を切り裂く

 

「鬱陶しいんだよ‼︎」

 

そして、足を掴んでいる木偶人間に左手を突き出して一刀両断

その木偶人間は掴んでいた手が切れてしまった

 

 

だが、戦っている最中は霊力を出し続けてる訳で

次々と木偶人間は生み出された

 

 

「この…いつまでこんなのやってる気だ!!」

 

「いや、もう終わらせる」

 

 

突如、黎人は手を地面につけた

 

 

 

「木符『木霊讃称』」

 

黎人の手から、緑色の光が地面を伝って広がっていく

その光は、15ぐらいはいる木偶人間に集まった

そして、

 

 

 

 

木偶人間は緑色に光り始める

 

 

 

 

(……まさか!)

 

 

 

 

察する鵞羅

だが遅かった

既にその木偶人間が緑色の光になり、そのまま広がり始めたのだから

 

 

 

その光に、鵞羅はただただ飲み込まれた

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「ぬおおおお!!!」

 

木偶人間の爆発によりその衝撃で刃燗達にも被害がある

とは言っても強風に巻き込まれるだけだから、大したことはない

 

「スゲェ…やっぱりアニキはやってくれるぜ」

 

歓喜する刃燗

あの不利の状態からここまで持ってこれたのだから

 

 

 

 

しかし、彼は、「木」を使う事による大きな落とし穴がある事を知らない

それを知っているのは、使っている黎人と

 

 

 

刃燗と同じ様にその戦いを見ていた霊夢だった

 

 

 

「…………黎人」

 

彼女は、黎人の安否が気になっていた

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

土煙が舞い上がり

黎人はその様子を見つめていた

それは、観察ではなく、警戒

あの程度で倒れる筈はない

そして、この土煙が上がっている中、取りうる行動は……

 

 

 

 

 

突然、黎人に向かって何かが突っ込み始めた

 

 

 

 

 

 

だが動揺はしない

予想の範囲内だ

黎人は柄でドスを防いだ

 

 

 

「くそ……」

 

 

 

不意を突いたはずが、防がれてしまった

鵞羅は舌を打つ

黎人はそれを払い飛ばす

 

「終わりだ…鵞羅」

 

黎人はそのまま鞭を降った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーボチャ

 

 

黎人の口から血が溢れた

 

 

「……⁉︎ガハッ…」

 

 

突如の事で驚く黎人

鞭の軌道は途中で地面に突いた

 

「な……⁉︎」

「……!!」

 

 

刃燗は何が起きたのか分からずに動揺しており

霊夢は顔を歪ませ、黎人の方を向く

鵞羅は一瞬驚きの表情を見せたが

直ぐにその表情は笑みへと変わる

 

 

 

「終わりだ……黎人!!!」

 

 

 

鵞羅は左手を突き出して風を放つ

 

その風は黎人の懐を捕えた

 

 

 

 

「ガ……」

 

咄嗟に横に回避して真っ二つは避けたものの

腹に大きな傷を負ってしまった

 

 

 

 

 

 

これは、黎人の誤算だった

彼は、使ったことが無い為知らなかった

『木』のスペルカードの発動は

副作用の発生を早めると言うことを

 

 

 

 

 

 

「く……」

 

黎人は腹に光を流すが

それは回復しなかった

 

 

「は!!回復しなくなったな!回復制限があんのかそれともさっきの吐血が原因なのか、そんなのは知らねぇが、お前の頼みの綱は切れた、て訳だ!!」

 

 

そして、鵞羅は左手を突き出した

 

 

「チェックメイトだ……俺をここまで苦しめた礼に、楽に殺してやるよ!!」

 

 

 

その手から風が吹き荒れた

 

 

 

 

 

 

「アニキィィィィ!!!」

 

刃燗が急いで駆ける

だがそれは間に合うはずが無い

 

 

 

「く!!!」

 

霊夢は札を風に向けて投げる

だが札は真っ二つに切れてしまった

風はスピードを緩めることなく

黎人に近づく

 

 

 

「く……そ………」

 

黎人はもう、動くだけの体力はなかった

 

(ここまで……なのか…?…嫌だ、まだ……死にたく…)

 

その風は黎人の目の前まで来た

 

 

「黎人ぉーーーーー!!!」

 

 

霊夢の悲痛な声が響き渡った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーギィィン!!!!

 

突如、その風は真っ二つに切られた

 

「…な⁉︎」

 

鵞羅は何が起こったのか理解できずに声をあげた

 

 

これは、黎人も霊夢も刃燗も、何もやってない

急に軌道上に現れた

黒いローブにフードを被った

謎の人物だ

 

 

「テメェ……誰だ!!」

 

 

鵞羅は声を荒げる

突然邪魔され、気分が悪くなったのだろう

だが、その人物は平然とした声で言う

 

「やれやれ……まさか僕を忘れたのか?」

 

すると、鵞羅は思い出した

以前黎人を殺そうとした時に攻撃を防いだ人物

 

 

 

「テメェ、あの時の…」

 

 

 

ローブの人物はそうだ、というように頷きさらに続けた

 

 

 

「僕の名前は……

 

 

エルサ・トレスだ」




漸く名前が出せました
エルサ・トレス君です!!
エ「あぁ、宜しく」
とは言っても色々と謎にしてるから
この小説のNO1ナゾ人物になるかな?
エ「何でそうなるんだ」
いやだってそのフード
エ「コレはお気に入りだ。脱ぐつもりは無い」
あ、ハイ…


次回はエルサ君の戦闘が始まります
黎人の栄光なんて無かったんや
黎「ナニイッテンダ!フザケルナ!!」
次回もお楽しみに

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