東方羅戦録〜世界を失った男が思うのは〜   作:黒尾の狼牙

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本編は今年初かな?
(学校休みの時にやっとかないと…)
ほい、じゃあちゃっちゃといきましょう
今回もまた波乱です
それでは、ゆっくりしていってね


42 苦戦

前回のあらすじ

蛾羅が強い

蛾「この疾風は、あらゆるものを切り裂く」

黎「中2全開かよ」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ハッアァ…クッ」

 

黎人は起き上がる

血が止まらない

まともに動けない

既に戦闘不能に近かった

 

「ずいぶん苦しそうだな。ま、当然だが」

 

鵞羅はドスを突き出した

 

「そういやあの父親と母親が居ないんだっけな。だったら会わせてやろうか。地獄でな」

 

鵞羅はドスを振り被る

 

黎人は形態を変える

それは「金」

右手に剣を持ち、ドスを受け止めた

 

 

「片手一本で戦うつもりか?馬鹿が」

 

 

だがその破れかぶれは通用しない

受け切れるはずもなく

 

ーーズバッ!!

 

ドスを左肩に受けてしまう

 

 

「……くそ」

 

 

形態を変える

今度は「水」

後ろに下がり、発泡する

 

 

「うっとしいわ!!!」

 

 

斬の風が吹き弾幕を消す

威力が無さ過ぎる

あっという間に相殺された

 

 

「なら…!」

 

 

再び引き金に手をかける

そしてスペルを発動する

 

「水符『ウォーターキャノン』」

 

水の極太レーザーが現れる

 

「何…⁉︎」

 

鵞羅が風を吹かせる

だが、効果はない

鵞羅ごと巻き込み、レーザーが通り抜ける

 

 

 

「はっあぁ……くそッ!!」

 

その場に脚を崩してしまう

片腕を失ったことで踏ん張りが全く効かない

両手でやったことを片手でやるのには無理がある

もう既に右腕も悲鳴をあげていた

 

 

 

 

「やれやれ……」

 

 

 

 

突如声が聞こえた

見ると白色の光で球型に展開されている

 

「諦めの悪いやつだ。既に勝敗は決してるんだ。とっとと死ねよ」

 

展開された光は消えた

ウォーターキャノンを防ぐ際に使ったのだろう

そして、黎人に向かって歩き出した

 

 

 

 

ーーサクッ

 

すると鵞羅の足元に針がささる

一体何事かと針が飛んできた方を向くと

 

 

「アニキ!!!」

 

霊夢と刃燗がいた

 

「黎人!左腕は…」

 

霊夢が失っている左腕について訊くと

 

「 あぁ、そりゃ斬り落としたからな、俺が」

 

その答えは鵞羅から帰ってきた

 

 

「テメェ!!」

「刃燗!」

 

その言葉に怒る刃燗

黎人の声かけに気付かずに突っ込む

 

 

「加勢が来たところで同じことだ」

 

鵞羅が刃燗に向かってドスを振り被る

 

 

刃燗はその軌道を屈んで回避

 

「オラァ!!」

 

そして鵞羅の腹に向けて拳を入れる

 

 

ーードカッ!

 

 

「グッ…チッ」

 

鵞羅は一瞬よろけたが、すぐさま復帰

左手で刃燗を払おうとした

 

 

「ぬおっと」

 

だが、刃燗は後ろに下がって払い手を回避

その後直ぐに距離を詰め

 

 

「どうりゃあああ!!」

 

 

顔面に右フックを打ち込んだ

 

 

 

「グオ…」

「まだまだぁ!」

 

刃燗は追撃を仕掛けるように拳を入れる

だが…

 

 

 

「調子に乗るな!!!」

 

 

鵞羅が突き出された右手を掴み

 

「オラァ!!」

 

 

後方に投げ出す

それは背負い投げの感覚だ

 

ーードゴォォォン

 

投げられた刃燗は木に当たり

そのまま倒れこんだ

 

 

「この動きは……どうやらボクシングか。厄介な戦い方するじゃねぇか」

 

パンチの仕方及びステップより刃燗の戦闘スタイルを解析した

 

「だが、そんなのは俺には通用しない」

 

鵞羅が左手を突き出した

 

「……!避けろ刃燗!!」

「…!!?」

 

黎人の声かけ及び感じとった危機感より

この場に居てはまずいと踏んだ刃燗

横に飛んでその場を離れた

 

ーーズバァン!!

 

すると、刃燗が寄りかかっていた木が真っ二つに切られた

 

「ハッ避けたか!だが無駄だ」

 

避けられた刃燗に右手を突き出す

 

「うあ!」

 

刃燗は刻まれた

 

「終わりだ」

 

鵞羅が左手に力を入れる

 

が…

 

 

「……‼︎なんだ、コリャ」

 

 

突如鵞羅の周りにカラフルなお札が展開された

 

 

霊夢は右手に札を

左手にお祓い棒を持つ

力を込める

札に光が宿る

それは見る者を魅了し

立ち塞がるものを滅ぼし

異変を解決に幾度も導いた

彼女の『切り札』

 

 

「夢想封印!!」

 

 

 

やがて鵞羅の周りにカラフルな球が

十の陰陽玉が回り続ける

それは徐々に光を発して

その光は蛾羅を包み込んだ

 

 

 

 

 

 

「流石っすねアネゴ」

 

刃燗はそう言って霊夢に近づこうとした

 

「まだよ」

 

だが、霊夢はそれを留めた

 

「あれぐらいで倒れるんだったら、黎人が倒れる筈がないわよ。それに、勝ちを確信するのは、敵が倒れたのを確認してからよ」

 

そう言いながら、霊夢は札を出した

 

 

やがて煙が上がり、中の様子が見えるようになった

そこには

 

 

「このアマァ…」

 

 

傷を負った鵞羅が立っていた

 

 

「やっぱりタフだったわね。見た目がそんな感じだったし」

 

 

霊夢は挑発するように呟く

 

 

「ゴチャゴチャと…ルッセェンだよ!!!」

 

そう言って、鵞羅は右手を突き出した

そして斬の風が吹き荒れる

 

「甘い!!」

 

だが、霊夢は目の前に結界を出して防御

金属同士の弾く音が鳴り響く

 

「結界…?小癪な!!!」

 

今度は左手を突き出した

さっきと同じ様に風が吹く

それを霊夢は結界で防ぐ

 

 

 

訳では無く飛んで回避

 

 

 

するとその場にあった結界だけが切り裂かれた

 

「何…だと」

 

鵞羅が空を見上げると

霊夢は蛾羅に向かって急降下

そして

 

 

「はあアァァァ」

 

 

右手に霊力を集中

すると青い霊力の塊が陰陽玉の形になっていく

そのまま鵞羅に右手を突き込んだ

 

 

 

「ぐあああああああああ!!!」

 

鵞羅はそのまま倒れこみ

その場で大きな爆発が起きた

 

 

 

 

 

「ガハッア…くそッ」

 

鵞羅が立ち上がろうとした瞬間

首元にお祓い棒が突き出された

 

「もう無理よ。あんたの能力は大体分かったわ」

 

霊夢は鵞羅を見下ろして呟く

 

「恐らく『斬の風を吹かせる程度の能力』。手を突き出して斬属性の風を出して相手を切り刻む、てとこかしら」

 

鵞羅は霊夢を睨み続ける

 

「でもその出す手にも決まりはある。右手からは早く、威力があまり無い風を連射可能で出す。左手からは遅く、敵を真っ二つに切り裂くほどの威力を1発だけ放つ。だから、止めをさす時や不意を突く時は左手を、敵に確実に攻撃を当てる時は右手を突き出すと使い分けている」

 

「馬鹿な…テメェに当てる前には、1発ずつしか放ってないはずだろ」

 

「充分よ。解析するには不十分かもしれないけど、推測するには充分すぎる」

 

霊夢は右手に札を持った

 

「だから右手を出した時は結界を出して防げば良いし、左手を出した時は回避してその後追撃するだけよ。さて、話が長くなったわね。あんたの能力は見切ったわ。あんたに勝ち目は無い。大人しく降参しなさい」

 

霊夢は降参を促した

 

 

 

「俺の能力を見切ったから、俺に勝ち目は無い…?」

 

 

その時、鵞羅の左手は地面についていた

 

 

「舐めんじゃねぇぞ!クソアマが!!!」

 

 

すると地面が真っ二つに斬れ、霊夢はバランスを崩してしまう

 

「な…しまっ」

 

態勢を立て直そうとする余り、左足が切れ目に挟まってしまった

抜け出そうとするも、引っかかってゆけ出せない

そして、鵞羅はその場から離れた

 

「俺の能力を見抜いたから俺に勝てると思ったら、大間違いだ!!」

 

すると、鵞羅の手にはスペルカードが握られていた

 

「な…?」

 

「ハッくたばりな!!斬雨『斬時雨』!」

 

そして、スペル発動

突如、何かが降り注ぐ音がした

上を見ると、銀色の何かが落ちてくる

 

「あいつの能力…まさか、斬属性の雨!?」

 

霊夢の勘は当たっていた

それは斬の雨

標的を切り刻み続ける、鵞羅のスペルカード

 

「く、うぁ、ああああ!!!」

 

その場から離れることも叶わず、

霊夢は降り注ぐ雨をくらい続けた

 

 

「霊夢!!!」

「アネゴ!!!」

 

 

容赦無く雨は降り注ぐ

結界で防ごうとしたが、持久力が無く、直ぐに結界は消えた

そのまま雨は霊夢の体を、刻み続けた

 

 

 

 

 

「う…うぅ、くっ」

 

雨が降り終わった

そこには、満身創痍の霊夢が立っていた

 

 

「苦しそうだな。それにしても、よく生き延びた」

 

 

鵞羅は霊夢に声をかける

 

 

「さて、俺をコケにした罰を受けてもらおうか。その身体でな」

 

 

ドスを手に持ち、霊夢に近づく

 

 

 

「ヤメロォォォ!!!」

 

 

 

その後ろを刃燗が抑える

 

「テメェから先に死にてぇか」

 

その手をあっさりと払い、刃燗を殴る

刃燗は倒れこみ、それを鵞羅は踏みつけた

 

「ぐあ、ああああ!!」

 

ミシッミシッと音がする

蛾羅は更に体重をかけた

 

「楽になれ。すぐ終わる」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

ダメだ

このままじゃ、あの時と同じ

何も変わらず、終わってしまう…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『アレ』を使うしかねぇか

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

鵞羅の後ろの方に人が立つ気配がした

だが、予想はつく

この場で立ち上がれそうな人物は一人しか居ない

 

「お前か…今更何が出来る」

 

刃燗から足を離し後ろを向くと、黎人が立っていた

 

「万策つきたと…誰か言ったか?」

 

 

黎人はそう言って形態を変えた

 

目の色は、緑に

手には緑色の鞭が握られていた

そして、胸の五芒星は、『木』の部分を光らせた

 

 

「ハッ新しい能力か。だが片腕失ったテメェには…?」

 

鵞羅は目の前の事態に驚愕している

それもそうだろう

 

 

 

 

 

 

 

左腕に光が宿り

その光が手の形になって

左腕が完全復帰したのだから

 

 

「な…なぜ、左腕が…くそッ!」

 

 

苛立ちが募ったのか、右手を突き出して斬の風を発射

だが、黎人の持つ鞭の柄に吸収された

今度は左手の強力な方の風を放出

しかし、それも吸収される

 

 

 

「ば…馬鹿な…こんなことが…」

 

 

 

それは危機の時にこそ

弾幕を使う相手にこそ

奇妙な能力を使う相手にこそ

有効な能力

 

 

 

「木は回復と吸収に特化した能力。テメェの攻撃は、通用しねぇ」

 

そして、鞭を持たない左手で

 

「本当は使いたく無かったんだがな」

 

スペルカードを持っていた

それは、現時点の彼の切り札

 

 

「木符『木偶人間の戦場』」

 

やがて、辺り一面が錆び付いた




久々の「木」登場
本人は使いたがらなかったんですが、止むを得なかった、というところです
さてさて、「木」のスペルカードはどのようなものなのか
次回も楽しみにしてて下さい

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