東方羅戦録〜世界を失った男が思うのは〜   作:黒尾の狼牙

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はい、長らくお待たせしてすいませんでした…


おそらく、本小説で今年の投稿は最後になると思います
それでは、今年最後の小説


ゆっくりしていってね


41 嘲笑

前回のあらすじ

蜂に追いかけ回された黎人たち

蜂「「「「「野郎ぶっ殺してやらぁ!!」」」」」

黎・魔「シャ、シャベッターーーーー!!?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

博麗神社の石階段を上がる者がいた

それは人里の守護者、慧音だ

驥獣を倒したことに関して、黎人に礼を言いに来たのだろう

やがて、石階段を登りきった

 

「失礼する。黎人はいるか?」

 

慧音の声かけに

 

「はい?」

 

やたらと訛りのある返事が返ってきた

 

「アニキならまだ帰ってきてやせんよ」

 

答えたのは刄燗だった

参道の掃除をしている途中だったようだ

 

「そうか…いや、騒ぎを収めたようでな、お礼を言おうとしただけだ」

 

慧音はそう言って石段を下りて行こうとした

 

「ちょっと待ちなさい」

 

そこを霊夢が呼び止めた

 

「その騒ぎを収めた、てどれくらい前の話よ」

 

霊夢の言葉にハッとする慧音

幾ら何でも時間がかかりすぎていた

 

「それは…大体1刻ほど前だ」

 

1刻、即ち一時間前だ

騒ぎを収めたならば、30分あれば余裕で帰れる

これは明らかに異常であった

 

「そう、とりあえず黎人には伝えるわ」

 

そうして、霊夢は慧音を帰らせた

 

「さて、刄燗…少し出るわよ」

「そうっすね」

 

霊夢と刄燗は準備を整えた

 

「あのバカを、探しに」

 

 

やがて、博麗神社から、2人が飛び出た

 

 

 

 

 

「ところで、どうやって飛ぶんですか?」

「知らない」

「えー…」

 

 

色々と不安はあるが…

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

ーー文字通りのゴミが、目障りだ

ーーガキを守ったか、バカが‼︎殺す順番が変わっただけだろうが

ーーアバよ、クソガキィ‼︎

 

 

その顔を、俺は決して忘れない

お前は…お前だけは…

 

 

 

絶対許さねぇ…‼︎

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

金髪の男は懐からドスを取り出した

そしてゆっくりと足を進める

 

「…まぁよく倒せたな。今回は少しばかり強力な驥獣を送り込んだ、て言ってたがな。お前がそいつを倒したせいで俺がここに送り込まれた、て訳よ」

 

やがて、その男は足を止めた

 

「で、その五行を司る程度の能力とやらか?それで邪魔するお前が邪魔なんだと。てなわけで、俺に殺されるんだな」

 

男はドスを構えた

 

「……言いたいことは、それだけか」

 

黎人は心の中で怒りが満ちていくのが分かる

冷静を装うものの、抑えきれずにいる

手に力が入り、目はその男を睨んでいた

 

「あ?何言ってんだテメェ」

 

男が問いかけるのと同時

 

 

黎人は『金』となり斬りかかった

 

ーーガギィィン‼︎

 

 

男はドスで防ぐ

黎人は剣に力を込めた

 

 

「…ウザッテェ‼︎」

 

その男は黎人を蹴り飛ばした

 

ーーズザザァ……

 

 

地面に足をつけ、数メートル離れて止まる

 

 

「いきなりどうした?殺気溢れてんなぁ」

 

「テメェは、過去に殺した奴を覚えないタイプか」

 

「ア?いきなり何を…」

 

 

その男は黎人の顔を見て言葉を止めた

跳ね上がった髪

睨め付けるような目つき

そして、左目の傷

 

 

「あー……お前、あの時のガキか」

 

その言葉を聞き、黎人は更に力が入った

 

 

「間違いねぇ。その傷、俺がつけたんだもんなぁ」

 

男はドスを下ろした

 

「しかしまぁ、まさかこんなところで生きてたとはな。あの世界が滅び、あっちにいる奴は皆殺しになったはずだがな。運がいいな、昔も今も」

 

黎人は『火』に変わる

 

「で、つまりはあの親の仇か?大層な理由だ。身体がデカくなっても中身はガキだな。

 

俺を倒したところで、あいつらはもう」

 

「黙れぇぇぇ!!!」

 

 

黎人は斬りかかった

その先を聞きたくはなかった

その男の御託など、耳に入れる気もない

 

 

ーーギン!ギギギン!!ギャン!ギン!!

 

 

目にも止まらない速さで斬りかかった

ドスで防がれたり、避けられたりするばかり

だが、黎人は斬りかかるのをやめなかった

 

 

「分かってんだよ!これは唯の自己満足だ!テメェを倒したって何かが戻ってくる訳じゃねぇ!」

 

ーーギャン‼︎ギャリン!!

 

「だが、それで済ませるほど、俺は人間は出来てねぇ…テメェをここで倒すことしか頭にねぇ‼︎」

 

ーーギュアン!!!

 

「父を‼︎母を‼︎そして全てを!奪ったテメェを、俺は許せねぇ!!!」

 

 

 

 

ーーゴオォォォ……

 

「テメェは‼︎俺が‼︎ぶっ殺す!!!」

 

 

火符「熱線ロード」

 

炎の槍が男に伸びる

やがて届きそうになる

が……

 

「クソウゼェ!!!」

 

突然風が吹き

炎の槍の勢いが止まり

そのまま霧散した

 

「甘ったるいな…こんな攻撃で俺を殺せると考えてんのか?拍子抜けもいいとこだぜ」

 

その男は挑発するように言葉をかける

 

「……チィッ!」

 

黎人は男に斬りかかる

 

ーーギィィ……ン

 

その剣も再び防がれた

 

「お前が?俺を?笑わせんな。テメェごときが俺を殺せるわけねぇだろ」

 

「ウルセェってんだ!!」

 

男の言葉に黎人の怒りのボルテージが上がる

 

「何言っても分かんねぇか…

 

 

 

 

 

だったら、分からせてやろうじゃねぇか」

 

 

 

 

 

急に雰囲気が変わる

その男は、ドスを持ってない左手を突き出した

 

 

 

 

「まさかとは思うが、これを忘れたわけじゃねぇよな?」

 

「!!!」

 

 

ドスを弾き、後方に大きく飛ぶ黎人

 

「無駄だ」

 

 

だが、その男の手から何かが飛び出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーズバッ!!

 

 

 

 

 

 

 

その音は、何かを切り裂いた音

いや、正確には、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『切り落とした』音

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぐあああああああああぁぁぁ!!!!!!」

 

 

黎人の断末魔が響き渡る

黎人はそのまま

 

 

切り落とされた左腕を押さえていた

 

 

 

 

 

「良い声出すじゃねぇか。まさか『切り裂かれる』のは初めてか?」

 

男の足元に、黎人の左腕が転がる

それに向かって右手を突き出すと

 

 

 

左腕は塵となって消えた

 

 

 

 

「俺の能力は…『斬の風を発生させる程度の能力』だ。さっきのはあの炎の槍にこれをぶつけて相殺させたんだよ」

 

 

黎人はそのまま立ち上がる

そこで

 

 

 

 

「……!まずい、限界が…」

 

 

『火』による大幅なスタミナ浪費が、黎人の身体を軋ませた

その黎人を男は蹴り上げる

 

 

「ヒャハハハハハ!!!!」

 

声高々に笑う

人をあざ笑うかのように

怒る獣を見下ろすかのように

 

 

「最後に!俺の名を教えておこうか!!!

 

 

 

 

 

薗田 鵞羅(そのだ がら)だ‼︎

 

 

 

 

 

地獄でその名を語り継げ!!!」

 

 




鵞羅さん再登場
アイエエエ!?ナンデ!?ナンデ!?となる方が多いと思いますが
何故か生きてました
どうして生きてたかは今後明らかにしていきます

左腕をバッサリと斬り落とされた黎人
この後どうなるのか?乞うご期待

それでは皆様、良いお年を〜

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