東方羅戦録〜世界を失った男が思うのは〜   作:黒尾の狼牙

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どうも、ゆっくり狼牙です。
今回な、な、何と新キャラがちょびっと登場です。
まぁ、登場というには謎だらけですが…
それでは、ゆっくりしていってね。


25 この世界に何を望む

前回のあらすじ

紫が話し始める。

紫「話をしよう…あれは今から36万」

霊「そんなネタはいらない。」

紫「………」

 

 

 

 

〜12話のつづき〜

「面白く無いから…ですって?」

 

紫は目の前の男を睨んだ。

しかし、その男…ディルは少しも動揺しない。

 

「当たり前じゃ無いですか。あの程度、私が始末したところで何になりますか?なるほど異変そのものはすぐ終わるでしょう。しかし、人間たちの問題はその世界の人間が始末するべきです。私が出る必要は無い。いや、どんな結末であろうと手を出すべきでは無い。『掟』が揺るがなければそれでいいんですよ。」

 

紫はこの男が気に食わなかった。

神の使者、ましてや神の子でありながら、

好奇心旺盛且つ楽観主義

世界の管理者という大義名分があるのに、常に自分の興味でしか動かない。

 

「人間たちの問題は人間たちで、ね。それで世界を一つ見殺しにしたわけ?」

 

紫は尋ねた。

この掴み所が無い男に。

 

「一つ、あなたは勘違いをしています。」

 

ディルは指を上に突き刺した。

 

「私の役割は、世界を守ることでは無く、世界の掟を守らせること…世界が滅びようと、私には関係ありません。

掟を破った人物を始末さえすれば、それで良いんですよ。」

 

やはりダメだ。

この男は、情が目に入っていない。

見えているのは、掟を守らせるための手段のみ。

これ以上話しても無駄だろう。

 

「もういいわ。他人に迷惑をかけて、平然としていられる奴とは、もう付き合いきれないわ。」

 

紫は扉に向かった。

 

 

 

 

「迷惑ですか?『全てを受け入れる』なら、問題は無いでしょう。第一…

 

 

 

 

あの世界の移民が、2人から3人に増えただけでしょうに」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜現在〜

 

「…と、いうことよ。」

 

紫は、ディルと話してきた様子を全て話した。

 

「毎度毎度ムカツく奴だな。アイツ」

 

黎人が顔を顰めた。

初めてあった時のことを思い出しているのだろう。

 

「ねぇ、紫…そいつ、結局何者なの?」

 

霊夢は、ディルの正体を聞いた。

 

「そうね…ディル・キリシアン。彼は神の三児の1人よ。彼は別名『神の異端児』と呼ばれているわ。3人の中でとても自分勝手で、興味深いものにしか動こうとしない奴よ。」

 

「神の三児?」

 

紫の説明に魔理沙が首を傾げる。

 

「神、その中で上に立つ人物の子供のことよ。確か、ディルは長男だったわね。その3人は小さい時から異端の才能を持っていたのよ。若くありながら、既に重大な任務を持っているわ。」

 

紫は一呼吸おき、黎人を見た。

 

「それで、あなたはどうする?一応言っておくと、あの男はロクでもない奴よ。その男が渡したその能力…そのまま使うつもり?」

 

黎人は目を閉じた。

 

 

 

これまでの生活を思い返した。

博麗神社で霊夢と会ったこと

人里で店長に雇ってもらったこと

魔理沙に吹き飛ばされたこと

紅魔館で一悶着あったこと

永遠亭で治療してもらったこと

白玉楼で妖夢と戦ったこと…

 

 

 

 

ゆっくりと目を開ける。

やはり、自分のやりたいことは変わらなかった。

 

 

「…確かにそいつの好き勝手になるのは嫌だが…それでこの能力を手放すことはしないさ。俺は、幻想郷のみんなを守る。そして、俺の世界を滅ぼした奴をぶっ飛ばす。そして…

 

 

好き放題言いやがるディルも、ぶん殴ってやるさ‼︎」

 

紫は驚いた。

まさかのディルに宣戦布告。

しかも、今のは絶対聞こえた筈

 

「ちょ、ちょっと黎…」

「まーまー、気にすんな、て」

 

慌てる紫を魔理沙が制した。

 

「別に戦争するみたいなことじゃないだろ。ただの喧嘩じゃないか。それに、私も一言そいつに言っておきたいしな。」

 

魔理沙が笑いながら同意した。

 

「ハァッ面倒ごとを…まぁ良いわ。私も俄然やる気が出たわ。」

 

呆れながらも、霊夢も同意のようだ。

 

 

「恐れ知らずね。神の三児に喧嘩をうるなんて…」

 

幽々子は扇子で口を隠して笑っていた。

 

「あ、あの…これって私も、何か言った方が良いのでしょうか?」

 

妖夢は完全に置いてけぼりだった。

 

 

 

 

「ふぅ、どうやら無駄な忠告だったようね。それじゃあ、覚悟しておきなさい。アイツの事だから、この状況を笑って見ているはずよ。ギャフンと言わせる気なら、目にものを見せなさい。」

 

紫の言葉に黎人たちは頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

「さて、どうしたものか。」

 

黎人、霊夢、魔理沙が帰った後、紫は考え事をしていた。

勢いで言ったものの、かなりとんでもないことになってしまっている。

 

「紫、考え事?」

 

後ろから幽々子が話しかけた。

 

「えぇ、とんでもないことになったしね。」

「ふふ、みんな若いわよねぇ。」

 

紫が愚痴り、幽々子が笑っている。

 

「それで、黎人のことは…」

 

幽々子が真剣な顔で口を開く。

 

「…そうね。彼一人じゃ、本来の目的をこなす方も大変でしょう。」

 

本来の目的

黎人の世界を滅ぼした人物を倒すこと

能力は目覚めたものの、勝てる保証は無い。

 

「やはり、あの子達に協力してもらうしか無さそうね…惣一と、魏音に」

 

 

 

 

 

 

 

「さて、調整はバッチリでしょうか。」

 

とある一室で、機械を弄っている男がいた。

 

ーーバチバチ

 

機械から火花が出た。

 

「よし、これなら大丈夫ですね。」

 

そう言って白い作業服を脱いだ男は…

 

黒い防弾チョッキの洗濯を始めた。

 

 

 

 

 

 

夜、誰も居ない商店街にて、

屋根の上で寝転がっている男がいた。

 

《ワン‼︎ワン‼︎》

 

道路で野良犬がその男に向かって吠えた。

 

「…ウルセェよ。夜風に当たっただけだ。」

 

途端、犬が吠えるのを止めた。

 

その男はゆっくりと起き上がった。

 

 

「さて、帰るか。」

 

男は立ち上がってその場を離れた。




如何でしたか?

神の三児についてですが…
取り敢えず最高権力者だと思って下さい。
後2人は結構後に出します。

さて、最後の謎の2人ですが…
この小説を書こうと思った時、黎人とこの2人をレギュラーにしようと決めていました。
いかんせん黎人の設定が重くてなかなか登場出来ませんでした。
2章では彼らが登場します。


次で1章はラストです。
戦闘は無いです。
東方のキャラを沢山出すつもりです。

次回までゆっくり待っててね。

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