東方羅戦録〜世界を失った男が思うのは〜   作:黒尾の狼牙

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どうも、ゆっくり狼牙です。
かき氷食べました。(宇治金時)
最近抹茶が好みなんですよね。
そんなことよりおうどん食べたい。
黎「いやどっちだよ。」
それではゆっくりしていってね。


21 戦う理由

前回のあらすじ

驥獣を倒した黎人を霊夢がブッ飛ばす。

レ「これまた派手にやったわね…」(in 蚊帳の外)

咲「驥獣の時よりも力がこもってません?」(in 蚊帳の外)

霊「外でゴチャゴチャうるさいわよ‼︎」

 

 

 

 

「さて、覚悟はよろしくて?」

「よくない…です。」

 

ここは永遠亭。

永琳の前で傷だらけの黎人が冷や汗をかいて座っていた。

なぜそうなっているかというと、

 

「勝手に外に出た挙句、怪我人を連れて、更に貴方はボロボロになって帰ってきたんだもの…どう『落とし前』つけてもらおうかしら?」

 

…ということである。

 

勿論言い訳はあるが、それは爆弾発言であると分かるため、黎人は黙っている。

 

「まぁとりあえず、怪我を治さないとね…この薬を飲んで寝なさい。他の患者の手当てもしないといけないしね。」

 

永琳は、黎人に瓶を渡し、部屋を出て行った。

 

(なんか、あっさりだったな。)

 

あっさり許してくれたことに対して驚きはしたが、怪我を治すため薬を飲んで横になった。

 

 

 

 

 

すると、

 

 

 

 

 

ーービリビリビリビリ

 

「ぐあああああぁぁぁ‼︎」

 

身体中に激痛が走り出した。

 

 

 

 

 

「あの声は一体何なの…?」

 

治療を受けている霊夢が尋ねると、

 

「薬よ。1時間で完治する優れた薬品。その間激痛に苦しむけどね。」

 

澄まし顔で永琳が答える。

やはりタダでは許してくれなかったようだ。

 

「報われないわね、アイツ…」

 

流石のレミリアも、同情したようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

約8時間後

 

「酷い目にあった…」

 

目が覚めた黎人はげっそりしている。

1時間も激痛に耐えたのだ。無理もない。

 

「失礼しまーーす。」

 

扉から兎の耳をしたブレザーの少女が入ってきた。

 

「あんたは…?」

「私は鈴仙・優曇華院・イナバ(れいせん・うどんげいん・いなば)よ。鈴仙でいいわ。師匠から貴方の様子を見るように言われたの。」

 

(師匠…永琳のことか)

 

「凄い事したらしいわね。治療途中で抜け出すとか…そんなことしたら生きた心地しなくなるわよ。」

「…善処する。」

 

確かにその通りだ。

あんな薬飲まされてはたまったもんじゃない。

ここではおとなしくしとこうと心に決める。

 

「あんたなんかまだ良い方よ…私なんか薬の処置を間違えてしまって、とんでもない薬飲まされたんだから。子供になってしまう薬や動物になる薬。酷い時には下痢が1日続く薬まで飲まされたわよ…もう、私の身体がおかしくなりそうで夜も眠れないわ…」

「………」

 

大変だなこいつも…と同情してしまった。

 

 

 

「調子どう?黎人ーー…」

 

扉から霊夢と咲夜が入ってきた。

咲夜は左目に眼帯をしている。

ふと、黎人は気になることがあった。

 

「…?レミリアは?」

「お嬢様はもう帰られたわよ。今外は朝だし。私はその後ここに寄ったの。」

 

咲夜が説明した。

外を見ると日が照っている。

吸血鬼なら帰らないと色々不味いだろう。

 

 

「あんたが寝てる間にみんな帰っちゃったってわけ。あんだけ寝ればそうなるわよ。」

 

霊夢が呆れ顔で言ってると

 

「正確には黎人と霊夢以外が帰ったんだけどね。」

 

咲夜が訂正を行う。

 

「ちょっ、変な事言わないでよ///」

「黎人が寝ている間、ずっと様子を見てたじゃない。結構心配してたみたいよ。」

「咲夜っ‼︎」

 

(…そうか…心配かけたのか。)

咲夜の説明で、黎人は霊夢に申し訳なく思い、

 

「…ありがとな、霊夢。」

 

感謝の言葉を言った。

 

「〜〜〜‼︎べ、別にいいわよ。///勝手に心配しただけだし…」

 

霊夢はそのまま顔を背けた。

それを見た黎人は…

 

(……?なんか不味いこと言ったか?)

 

頓珍漢なことを考えていた。

 

(…鈍い)

 

咲夜はその様子に呆れるばかりだった……

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、もう大丈夫よ。後は安静にしてなさいね。」

 

永琳から薬を貰い、博麗神社に帰る黎人と霊夢。

因みに数刻前に咲夜は帰った。

 

「それじゃあ気をつけて下さいね。帰り道はここを真っ直ぐです。」

 

鈴仙から帰り道を教えて貰い、黎人達は永遠亭から出た。

 

「世話になった。またな〜」

 

黎人は感謝の言葉を言って、出た。

 

 

 

 

 

 

 

「そういえば黎人。」

 

霊夢が気になったことを聞き始める。

 

「あの後パチュリーから何を聞いたの?その紋章について」

 

言われてみれば、紅魔館に行ってから霊夢とは話せてなかった。

そうなると、黎人の能力すら聞いてなかった。

 

 

 

黎人は霊夢にパチュリーから聞いたことを話した。

「五行を司る能力」の事、紅魔館で「木」を目覚めさせたこと、更に「木」のデメリットの事を話した。

 

「そう…じゃあ、『水』も?」

 

霊夢は、「水」にもデメリットがあるかどうかたずねた。

 

「あぁ、あの拳銃はどうやら、6発しか弾幕が放てないみたいだ。後部を引っ張れば補充はできるが…結構時間がかかる。使うときはなるべく外さないようにしないとな。」

 

なんで黎人がそれを知っているのか…

それは、先ほど鈴仙と話している時に、拳銃は6発しか弾がこめないことを話され、ひょっとしてと試したところ、6発しか打てなかったことから察したのだ。

 

「とはいえ、他の能力で補うことはできる。最近考えたんだが、これは5つ揃って始めて強さを発揮するものじゃないかと思ってな…そう懸念するもんじゃない。」

 

霊夢は、黎人にどうしても聞きたいことがあった。

 

「黎人…どうして闘おうとするの?ただ単に恨みで闘ってるんだったら、やめたほうがいいわよ。わざわざ命をかけてまでやる必要はー」

「違うな。」

 

霊夢の言葉を黎人は遮った。

 

「確かに最初はそうだったさ…俺らの世界を好き勝手にさせられるのがムカついたからな…だがな、今戦う理由はそんなんじゃない。守りたいからだよ。」

 

霊夢は黎人の顔を見た。

守りたいの言葉を聞いて

 

「お前もそうだろ?突然行方不明になった俺を探そうと心配だった。他人を心配する事に理由はいらないさ。守ることも一緒だ。おれが守りたいから戦う。それでいいんだよ。」

 

霊夢は立ち止まった。

 

「綺麗事に聞こえるかもしれねぇが、俺はお前を守りたい。お前だけじゃない。魔理沙や紅魔館の連中、もっと言えば幻想郷の奴らを守りたいんだ。そう思えば…何も考える必要なんて無いさ。」

 

黎人は霊夢の方を向き、止まった。

 

「そうね…守るのに理由はいらない…か。無駄な心配だったわね。」

 

顔を上げた霊夢は笑っていた。

もう大丈夫か、と黎人は前に振り向き歩き出した。

 

 

 

 

ーーズボオ‼︎

 

「ぬおおおお⁉︎」

 

すると、黎人は落とし穴に引っかかった。

 

「ちょっ、黎人⁉︎」

 

霊夢が穴の方に近寄り声をかけるが、穴を覗くと、底が見えない。

 

「ヤーイ引っかかった引っかかった。」

 

すると、前の方からピンク色の服をした兎の耳の少女ーー因幡 てゐ(いなば てゐ)が歩いてきた。

 

「全てを守るなんて物凄く上を目指すのはいいけど、たまには下を見ないと、こういう風に足元すくわれちゃうよ♡こんな間抜けにすくわれちゃ、助けられるのは耐えられないよ。」

 

霊夢が呆れて、てゐに近づこうとした瞬間

 

 

目の前に黎人が飛び出てきた。

 

 

「ちょ、黎人?」

 

黎人は「火」の姿になっている。

落とし穴脱出の際に変化したんだろう。

 

 

すっと黎人はてゐを睨み、

 

「ーーーーコロォス!!!」

 

大声で叫んだ。

 

 

 

 

 

迷いの竹林で、断末魔が木霊したという噂が、人里に広まるのはしばらく後の話である。

 




如何でしたか?
どうしてもギャグ方面に行っちゃいますね…本当はシリアスや恋愛など、色々な要素を入れたいんですが…

黎「野郎ぶっ殺してやらぁ!!!」

…はい、黎人君はてゐを締め上げるのに必死なようですね。

ちょっと解説

「水」は攻撃回数が6回と極端に低いです。
弾をこめる…いわゆるリロードは結構時間がかかります。
あまり戦闘向きじゃないかも。
どちらかというと探索や調査に使えそうな能力ですね。



さて、残りは「金」のみになりました。
これは、能力が能力だけにあの人を出そうかなと思っています。
一章終わりまで後僅か
是非お付き合い下さい。

それでは、次回までゆっくり待っててね。

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