東方羅戦録〜世界を失った男が思うのは〜   作:黒尾の狼牙

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どうも、ゆっくり狼牙です。
いよいよ20話突破。ここまで長かった…
でも、物語の半分もいってないんですよね…
もっと頑張ります。
それでは、ゆっくりしていってね。


20 「水」の力

前回のあらすじ

黎人登場

レ「あれ?いつの間にか蚊帳の外…」

咲「仕方がないです。これも全てゆっくり狼牙って奴の仕業なんだ。」

そうなったのは私の責任だ…

だが私は謝らない。

黎「ダメだこりゃ。」

 

 

 

時刻は遡る。

 

「ぬああああ‼︎」

迷いの竹林で走り回る人物がいた。

何を隠そう、斐川黎人だ。

さっきから同じ所を行ったり来たりしている。

竹林そのものからは出ることはできるが、その先が見覚えのない場所の為もう一度竹林に入り直す。

さっきからこれの繰り返しだ。

 

更に、もっと黎人をイラつかせるのは…

 

「こんな所に人間か…久々のご馳走になりそうじゃな。」

「邪魔だどけ‼︎」

(ピチューーン)

 

こんな感じで妖怪や妖精が襲ってくる。

勿論黎人は瞬殺できるが、さっきから何回もやっているため流石に鬱陶しい。

 

「今宵は実にいい夜だ。こんなところで巡りグボア‼︎」

「ほう…貴様中々の霊力だ。退屈しないで済みそゴホア‼︎」

「恨むんだな、我と会うことになった運命ゲボォ‼︎」

「スイマセーン。道を尋ねたいんでガハァ‼︎」

 

セリフも聞く余地はないと言わんばかりに、あるものは「火」で切り裂き、あるものは「土」で叩き潰し、あるものは「木」で薙ぎはらう。

 

ーーこっちは命がかかってんだ‼︎

 

どうでもいいけど最後のは違わない?by狼牙

 

 

 

 

 

「ハァッハァッハァッハァ…」

 

走り続けて1時間。

さっきから全然道が分からない。

体力も限界だ。とりあえず座って休む。

 

「どうすりゃ良いんだよ…」

 

対策法が見つからない。

時間はどんどん進んでいく。

遅くなればなるほど、霊夢の仕置きはよりとんでもないものになる。

もう、黎人の顔からは絶望しか無かった。

 

 

前から気配を感じる。

黎人は戦闘を避けるため、その場から離れた。

 

「ねー、あの噂聞いた?」

 

聞く限り妖精だろうか。

黎人はそのまま隠れて過ごそうとする。

 

「人里で妖怪を殺した奴がいるんだって。」

「気づいた時には妖怪の首を落としている、て話でしょ?怖いなーそれ。」

 

…妖怪を殺す?

(まさか、…驥獣か?)

黎人はその話に耳を傾けた。

 

「でも今、博麗の巫女がそいつと戦っているらしいよ。」

「あぁー…それだったらもうそいつ助からないね。」

 

ーー霊夢?

 

黎人の表情が変わった。

 

 

 

ーーまさか、アイツ驥獣と⁈

 

黎人は立ち上がった。

 

 

ーーそうだ、ここで立ち止まってる訳にはいかない。

ーー俺が…アイツを助け出す‼︎

 

 

すると、黎人の身体に異変が起きた。

自分の身体を見ると、胸に「水」が現れた。

その時

 

 

(…‼︎なんだ…まるで、ここら辺りに存在している人間が、認識できる感覚は。)

 

黎人の頭の中で、自分の周辺にいる人間や妖怪がどこにいるのかが、分かるような気がした。

 

(もしかして。)

 

黎人が力を入れると、更に広範囲の認識ができた。

 

 

これこそが「水」の能力だ。

自分の周辺や、遠くにいる人や妖怪の居場所がイメージできるのだ。

 

 

そして、人里の近くで、4つの存在を発見した。

 

(…これは、驥獣か‼︎)

 

戦っている場所の方向がわかれば、あとは十分だ。

黎人は「火」になり、その方向に走り出す。

 

(間に合ってくれ…!)

 

 

 

 

 

 

「行ったか…世話のかかる奴だな。」

 

竹林の中で、黎人の様子を伺った人物がいた。

黒いローブを被っているため、姿は分からない。

ふと、空を見上げた。

 

 

「これで良いんですよね。ディル様…」

 

その人物はスーッと消えて行った。

 

 

 

 

 

 

そして、今に至る。

黎人は「水」となり、感覚を集中させる。

ここら一体なので、さっきの様に霊力を注ぎ込む必要は無い。

 

 

咲夜の後ろに、反応があった。

 

 

「そこか‼︎」

 

黎人は青い片手銃を向け発泡。

その先からは、弾丸の様な水が発射された。

 

「キシャアァァ⁉︎」

 

手負いの咲夜を攻撃しようとした驥獣は、攻撃を喰らい姿を現わす。

 

「あ、アイツ。なんで」

「これを使えば相手の位置が分かる。透明化なんて意味がない。」

 

霊夢に説明している間も黎人は目を離さない。

 

驥獣は黒く光った。

 

 

(…?)

 

黎人は構わず発砲するが、その水は無効化された。

 

(これは…まさか)

 

黎人が考え事をしている中、驥獣は黎人に突っ込んだ。

 

「幻符『殺人ドール』」

 

突然驥獣の周りにナイフが現れ、驥獣を突く。

 

「キュアアアァァ…」

 

無効化されるかとは思ったが、そんな事は無く驥獣にダメージを与える。

 

「やっぱり…『物理』は無効化出来ないみたいね。」

 

「火」の攻撃をただただ受けている様子を見て、咲夜はひょっとして…と思ったが、的中だったようだ。

 

 

黎人は片手銃の後部を引っ張った。

 

ーーギュウウウン…

 

銃口に空気が溜まっていく。

青い光が銃口に溜まった。

 

「喰らっておけ…さっきみたいな能力で作った『弾幕の』水じゃなく、空気中にあった水蒸気で作った『本物の』水だ。さらに、さっきまでの威力じゃねぇぞ!」

 

銃口を驥獣に向け、発砲。

 

すると、高速で驥獣に当たった。

 

 

「キュア…アアアァァァ‼︎」

 

驥獣はそのまま浄化した。

 

 

 

 

 

消え去った驥獣を確認して、咲夜やレミリアの方を見る。

酷い傷だ。咲夜に至っては目まで怪我している。

直ぐに永遠亭に行く必要があるな…と思った。

そして、霊夢の方に近づく。

霊夢も無傷では無い。

先ほどの驥獣にやられた跡がある。

 

「霊夢…とりあえず、その怪我を治さないと…」

 

黎人が声を掛けた瞬間、霊夢は顔を見上げ、

 

 

驚異の笑顔を浮かべていた。

 

黎人は思い出した。

ーーそういや、俺帰って無かったんだった。

 

「ねぇ、黎人。」

 

霊夢の声かけに冷や汗を流している。

笑顔を浮かべてはいるが、目は笑っていない。

どう見たって、怒っている。

 

「あんたどこに行ってたのかしら?こんな遅くまで…心配して探してたらあっさりと助けに来ちゃって…。わざとなの?私はあんたを心配してたのに、無傷で平然としてるじゃない。何?私は弄ばれたのかしら?」

「いや、あの霊夢⁈」

 

フフフという感じで、スペルカードを取り出した。

さっきまでの脱力感が嘘のようだった。

 

「ちょっ、話せば分かーー」

「問答無用‼︎くたばれ夢想封印ーー‼︎」

 

ピチューーン‼︎

 

驥獣を倒した黎人は、霊夢に倒された。

 




如何でしたか?
最後カッコよく決まりませんでしたね。これが狼牙クオリティーです。w

ちょっと説明入ります。

まず「水」についてなんですが、周囲一体の存在が全てわかります。(ただし、生物のみ)
霊力を注ぎ込めば、索敵範囲は広がります。
スターの能力みたいなものと考えたほうが良いと思います。



そして片手銃ですが、中からは水の弾幕が発射されます。この時点では、そこそこの威力と速さを出します。
更に後部を引っ張ると、空気中の水蒸気を集めて水を作って発砲します。
この時の威力と速さは倍増され、とても強い攻撃になります。

「水」のデメリットはまた後で話しますね…

最後に、途中で出てきた謎の人物ですが、ディルの使いです。
黎人のサポートを影でやっております。
その姿は結構後に明らかになります。
首を長くして待ってて下さい。


次回はもう一回永遠亭に行きます。
負傷者の治療が目的です。
是非楽しみにしてて下さい。

次回までゆっくり待っててね。

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