今回は3千字弱です。
長く書こうとすると、結構ネタに詰まりますね…
それでは、ゆっくりしていってね。
前回のあらすじ
あいつ(黎人)は最初から話を聞かなかった…
私のいうとおりにしていればな…
まぁ、いい奴だったよ。
黎「まじでやめろ‼︎」
紅魔館の地下通路
2人が追いかけっこをしていた。もちろんそんな可愛らしいものではない。
「うおおおおお‼︎」
命がかかった追いかけっこだ。代わりたいなんて思わない。
「あはははは、待て待てー」
弾幕を放ちながら、嬉々と追いかけているのはフラン。黎人は必死で逃げている。「火」の速度で、弾幕には当たらない。
(あのモケーレムベンベ…今度会ったら覚えてろ。)
こうなってしまう原因となる人物(吸血鬼)をただ恨み続ける黎人だった。
「逃げてばっかりでつまらないよ、黎人。もっと楽しもうよ。」
フランはそう言うと、長い杖のようなものを取り出した。
(…一体何をする気なんだ?)
黎人が警戒する中、フランはスペルを発動する。
「禁忌『レーヴァテイン』」
杖の先端から赤いエネルギーが放出される。それは、巨大な剣のようだった。とりあえずわかることは…
(あれ喰らったら…死ぬな。)
「いっくよ〜〜〜〜」
フランはそのレーヴァテインを上に掲げ、思いっきり振り下ろす。
真横に避けた黎人は、自分の横を見て震える。なにしろ、壁や床などがバッサリと切られているのだから。
「今度は外さないよ〜〜」
再びフランはレーヴァテインを構えた。
(…逃げてる場合じゃねぇな。)
黎人は覚悟を決めた。両手に小刀を持つ。
フランがレーヴァテインを横に振った。黎人はそれを避けるためにジャンプしてかわす。
ーーガン‼︎
「ここ地下通路だよ?」
「…ウッセェ‼︎」
カッコ悪いことこの上ない。天井に頭を盛大に打ってしまい、その場で悶える黎人。穴があったら入りたいと思っている。
考えてみれば今までの戦闘は外だったのだ。今は館内、それも廊下である。狭いここでは、「火」の跳躍はほぼ意味をなさない。
頭の痛みがひいたのか、黎人は立ち上がり、再び構え始めた。
「案外楽しめそう。もっと面白くしようかな?」
フランはスペルを発動する。
「禁忌『フォーオブアカイント』」
するとどうだろう。フランが四人に増えたのだ。
「オイオイ冗談じゃねぇぞ…一人でも恐ろしいのに。」
黎人は青ざめた。驥獣や魔理沙は、戦闘としては普通に戦えた。(勿論、スペックなどは規格外だが)
フランはめちゃくちゃなのだ。闘い方も、性格も。こんな状況で笑っている目の前の悪魔を見てると、苦笑いしか出ない。
「「「「いっくよ〜」」」」
四人のフランが一気に襲いかかった。前から横から、後ろから。弾幕やレーヴァテインを使い、黎人を翻弄する。
だが、黎人は全てをかわしている。生まれ持っての反射神経及び「火」の速度で全方位からの攻撃をかわしていた。
「わぁ、すごいすごい。4対1でここまで粘るなんて。」
「お気に召されたようで、何よりだな‼︎」
レーヴァテインを後転して避ける際、二本の小刀で両脇にいたフランに炎の斬撃を放つ。喰らったフランはそのまま消えてしまった。残りのフランは2体。
「まだ終わらねえ。」
黎人はスペルカードを発動する。
「火符『熱線ロッド』‼︎」
双剣をフランに目掛けて振ると、剣先から火の、槍のような弾幕が高速で伸びていく。一本は避けられたが、もう片方はフランに的中した。分身が消え、フランが1人になった。
「とっておきがこんな感じで終わってしまうなんて、残念だなぁ。」
「そりゃお気の毒だな。で?まだやんのか?」
「勿論、とっておきはまだあるんだもん。」
「…おまえは『とっておき』の意味が分かってないようだな。」
フランは嬉々として答えた。続行のようである。
フランはそのまま浮かぶ。そして、スペルを発動した。
「禁弾『スターボウブレイク』」
フランから色とりどりの弾幕が展開された。それを避けようとした時…
黎人は膝から崩れ落ちる。
(……⁈)
回避に出遅れた黎人は弾幕に直撃した。壁に衝突した黎人は今更になって、自分の体の異変に気付く。
尋常でないほどの汗、過度な呼吸、そしてかなりの疲労感。
いつから、と黎人が思っていた時、フランが口を開く。
「黎人は、四人のフランと闘っていた時から、物凄く汗をかいてたよ。あんな動きしてたんだもん。疲れて当然だよ。」
迂闊だった。長時間「火」の状態で闘ったことがないから気づかなかった。「火」の長期対戦は最もまずい。普通の運動より倍の体力を浪費することになるのだから。その限界はたった5分。それも長くての話だ。3分経過した時点で疲労は出ていたのだが、目の前の敵に集中しすぎて、それに気づかなかった。
「楽しかったよ。黎人。もう…」
フランが手を突き出し、
「オワリニシテアゲル」
狂気の笑顔でそう呟いた。
「まだ終わっちゃいねぇぞ。」
残った力を振り絞って、形態を変えた。それは、『土』である。棍をもって攻撃に備える。
「ムダダヨ…ドンナモノモスグ…『コワレル』カラ」
フランは差し出した右手の指を曲げた。
「ギュットシテ…」
黎人は自分の体が妙になっていく気がした。まるで歪んでいるかのような。
「ドカーーーン!!!!」
その後、地下通路で巨大な爆発が起きた。
「ハァッ結局ダメね…」
水晶で黎人たちの戦いを観ていたレミリアが溜息をついた。
「咲夜ー死体とフランの回収をしといてー…」
「かしこまりました。」
レミリアの命令に従い、咲夜はその場から消えた。彼女は「時を操る程度の能力」を持つ。時を止めて移動したり、時間を遅めたりすることが可能なのだ。
「お嬢様…」
美鈴が心配そうに呟いた。
「怪物を倒すくらいならもしや…と思ったけど、過度な期待だったようね。」
「マタ…ダレモ…イナイ」
振り返った時は遅かった。目の前には悲惨な部屋の状況と、黎人とかいってた遊び相手が転がっている。いつもそうだ。面白いおもちゃがあれば、遊びつくし、最後に壊してしまう。そこに快楽を覚えるフランだったが、終わった後いつも後悔する。壊れたものは2度と戻らない。そうしていつも1人になってしまう。レミリアも紅魔館のみんなも、こんな自分を避けてしまう。
「ワタシナンテーー」
「妹様」
咲夜が現れた。
「お遊びの時間はこれまでです。部屋に戻りましょう。」
咲夜はフランに帰るよう勧めた。
ーークソッ
ーー死ぬのかよ、俺
地下通路の中、黎人は意識だけあった。「土」の力だったせいか、被害は最小限に済んだ。だが、あくまで最小限なだけで、被害は尋常で無い。内部から爆発することは、いくら「土」の防御力でも無傷ではいられない。それどころか、血は止まらず、どんどんと意識が薄れていく。
ーーちきしょう
ーー死にたくねぇ死にたくねえ…
ーー死んで…たまるかよ
ーーこんなところで…何一つ救えてねぇまま
ーー動けよ、俺の体
ーー頼む、動いてくれ
ーーここで
ーーー終わるわけには、いかねぇんだ。
強き感情は人の身体を奮い立たせる。そう、例えば、
力、とか
倒れてる黎人の胸の紋章の上に文字が浮かんだ。
それはこう書かれていた。
ーーーーー「木」ーーーーー
如何でしたか?
やはりフランの戦いは容易では無いですね。
フランのキャラが少しおかしいかも…
さてさて、「火」はスピード、ジャンプ力には長けているんですが、膨大にスタミナを消費するというデメリットがあります。
なんか使い勝手が悪そうですが、その方が書きやすいんですよね。
いよいよ3つ目「木」が出ました。
どんな能力かは次回分かります。
それでは次回まで、ゆっくり待っててね。