東方羅戦録〜世界を失った男が思うのは〜   作:黒尾の狼牙

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初めまして。ゆっくり狼牙です。
初めての投稿なのでおかしなところがたくさんあると思いますが、お許しいただけると幸いです。
それでは本編スタート


第0章 終わりと始まり
1 異変は突然に


もし…突然住むべき世界を失ったら、あなたはどうなるだろうか。信じてきたものが全て失われた時、人はどうなるだろうか。

 

これは、数々の物を失った戦士らが、それでも生き、何かを得ようと戦いを繰り広げる物語……

 

 

 

 

アパートの一室に1人の少年がいる。名前は斐川黎人。高校生だ。顔立ちは平凡だが、左目にはナイフで切られた跡がある。この傷はある事件で付けられたものだ。同時に家族を失った。既に彼は、大きな物を失った後だった。

 

悲しくあっても死ぬわけにはいかない。そんな事をする勇気も意欲も無い。彼は1人で何もする事なく暮らしていた。

 

ーーーだから、この日を境に自分の日常が変わるなんて思ってもいなかった

 

 

 

今日の高校はとっくに終わり、今アパートで本を読んでいる。読んでるのは、ライトノベル。友人に勧められて読み始め、すごく面白かったので今も読み続けている。何しろ、誰もいないこの部屋で、暇つぶしにはちょうど良かった。

 

「フワァァァ…」

 

だが3時間も本を読み続けるのはとても体力を使う。更に頭を使い続けると眠くなるのは、人間として当たり前かもしれない。時計を見ると、18時。もうすぐ夜になろうとしている。さて、今から何をして時間を潰そうか……

 

「…散歩でもするか。」

 

黎人は読んでいた小説を片付け、外に出た。

 

 

街のはずれにある公園。そのベンチに座り、黎人は考え事をしていた。黎人にとって、この場所は思い出が詰まっている。ここは、両親とよく行っていたあの…

 

「何考えてんだろうな、俺…」

 

何処と無く落ち込んだ表情を見せる。分かっている。あの両親はもういない。いくら探そうが、見つかるわけではない。どれだけ待とうが、帰ってはこない。死んだ者が帰るなんて、夢物語にしてもあり得ない。こんな無意味な事をして、こんな風に気づいて、何年続いてるんだろうか。

 

「…帰るか」

 

時間は19時。帰って夕食を食べないといけない。黎人はその足を自宅に向け、歩き出す。

 

その家に向かっていた途中だった。

 

「ぎゃあああ‼︎」

 

遠くの方で悲鳴が聞こえる。まるで、恐怖に怯えてるように……

一体何事か?彼は悲鳴がした方へ駆けていく。

 

 

 

悲鳴があった場所。そこには無残な姿となった死体があった。いや、それだけじゃない。黎人は物陰に隠れながら、目の前にいる異形な姿をした物を見ていた。

 

黒い体に、異常な骨格。そして…

 

「ウオオオオ…」

 

人が出すとは思えない声。動物でも無い。表現するならば、まさに「化け物」だろう。その怪物は、捉えた人間を食っている。人の千切れた肉が鮮明に見えており、グロテスクに思える。正直見ていられない、と黎人は思った。隙を見て、逃げ出そうと思い、後ろに構える。

 

《…バキ》

 

突如鳴り響く音。それを聞いて黎人は酷く後悔する。前の怪物に気をとられ、足元にある木の枝を見逃していた。怪物はその音に気づき、ゆっくりと振り返る。

 

(…見つかったか)

 

黎人は舌打ちをするが、もう遅い。怪物はゆっくりと黎人に近づく。黎人も後ろに下がるが、振り返ろうとはしない。振り返った瞬間に、その怪物は一気に自分を食いにかかる。正に自殺行為だ。

 

そして、怪物は、黎人に向かって駆け出した。

 

「グオオオ‼︎」

 

飛びかかるように、怪物は黎人に襲いかかる。怪物が目の前に来た瞬間、黎人は裏拳をかました。空手歴3年。まさかここで役に立つなど思ってなかった。だが、怪物は少しも怯んでおらず、逆に黎人を払い飛ばす。

 

壁に衝突した黎人は体を動かすことは出来ない。重症である。怪物は勝ちを確信したように黎人に近づく。

 

(ヤバい。こいつは俺を食おうとしている。逃げないと……ッ‼︎クソッまともに立てねぇ。マズイ。もう目の前に…)

 

《パァンパァン‼︎》

 

「グオオオ‼︎」

 

黎人に牙を向けた瞬間、発砲音と怪物のうめき声が聞こえた。突然のことに呆気にとられていると、

 

「大丈夫か‼︎」

 

後ろから声をかけられた。振り返ると、黒色の防弾チョッキを着た集団が怪物に対抗していた。

 

「ここは危ない‼︎早く避難しろ‼︎」

 

その内の一人に逃げることを促された。

 

(こいつらは…警察だろうか。いや、それどころじゃない。逃げろと言われたのなら、とりあえず逃げればいい。下手に協力しようとしてはいけない。…逆に、邪魔になる)

 

心の中でそう思いながら、黎人は走り続けた。まるで自分に言い聞かせるように…

 

 

どれくらい遠くに逃げただろうか。少なくとも自分がいた街にはもういない。だが、この地獄のような光景はどこまでも続いている。しかも先ほどの傷から血が出すぎている。身体は既に言うことを聞かず、もう意識を保つことで精一杯だ。

 

「なんなんだよこれは…一体何が起きてんだよ…」

 

正直キツイなんてものではない。逃げても逃げても逃げられない。ひょっとすると、この光景は永遠に続いているんじゃないか?そんな思考が黎人の脳内に浮かび続ける。冗談じゃない、と思った。こんなのが続くのは、吐き気しかしてこない。

 

《ドスゥゥゥン!!》

 

大きな足音が聞こえた。その音に構わず黎人は走り続けてはいるが、その足音はだんだんと大きくなっていく。遂にその音源が近づいた時、黎人は目を疑った。

 

トカゲのような顔つき、そして巨大な翼。これはまるで…

 

「ドラゴン…だと」

 

あり得ない話である。ドラゴンは伝記上の生物。現実に存在するはずがない。

 

そしてその龍が空に飛び上がり、その大きな口から炎を出した。

 

「ぐあああああぁぁぁ…」

 

炎は黎人が居た場所を飲み込む。その後、黎人はそこにいなかった。

 

 

 

数刻後、その世界は全て焼け野原となる。人間の姿など見当たらない。そうして、斐川黎人がかつていた世界は、崩壊された。

 




如何でしたか?
早速危機的な状況になってしまいました。
果たしてどうなるのでしょうか。
黎「だが、あらすじで次に何が起こるのかみんな察しがついてると思うが」
ちょっ、そういうのはなるべく言わないで。
それでは次回もゆっくりしていってね。
黎「感想書いてくれるとこいつが発狂して喜ぶからな」
ちょ、発狂はしないよ。

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