ぼっちではありません、エリートです。   作:サンダーボルト

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期待されまくっていた二人の出会い、こんなもので如何でしょうかね…?物足りなくても怒らないで…。


魔王と怪物の会遇

雪ノ下さんのお姉さん。通称姉ノ下さん。そのうち会う事があるかもしれない可能性も無きにしも非ずくらいにしか思っていませんでしたが、こんなところで遭遇するとは予想外でした。

 

 

「こんなところでどうしたの?―――あ、デートか!デートだな!このこのっ!」

 

「……」

 

 

実に楽しそうに雪ノ下さんを肘で突っついている姉ノ下さん。反対に冷めきった表情で鬱陶しそうにしている雪ノ下さん。あの雪ノ下さんをああしてからかえる人はそうはいません。というか今初めて見ました。恐いものを知らないんでしょうかね?それとも、雪ノ下さんが恐くないのでしょうか。

 

 

「ねぇねぇ、あのモノクルっ子って雪乃ちゃんの彼氏?彼氏?雪乃ちゃんああいうのがタイプなんだ!」

 

「……彼氏ではないわ。同級生よ」

 

「まったまたぁ!別に照れなくてもいいのにっ!」

 

「………」

 

 

あのゴーゴン張りの眼光を真正面から受けてなお、姉ノ下さんは面白そうにニヤニヤと笑っている。これが姉の貫禄というやつですかね。

 

しかしまあ性格が悪い。雪ノ下さんの反応を見れば我々がカップルでない事など分かる筈なのに、姉ノ下さんはうりうりと雪ノ下さんにちょっかいをかけている。分かっていてやってますね、あれは。

 

改めて見ると、姉妹とはいえ似ている所と似ていない所がありますね。顔や声や色白な肌はそっくりですが、プロポーションは姉ノ下さんの方が上手のようです。有り体に言ってしまえばおっぱいが大きい。雪ノ下さんが絶壁なら姉ノ下さんは双丘とでも言いましょうか。我ながら下種な例えですが、事実ですから仕方がない。

 

それに性格も全く違う。クールビューティーで表情があまり変わらない雪ノ下さんと違い、姉ノ下さんはころころと表情を変えて笑っている。もし二人のうち、どちらかに道を聞くかとしたら確実に姉ノ下さんを選ぶでしょうね。美人であるがゆえに話しかけるのには勇気がいりますが、一度話してしまえば自然と会話が続く。そんな空気を形成している事から彼女のコミュニケーション能力の高さがうかがい知れます。

 

……なのに、何故でしょうね。姉ノ下さんとあまり仲良くなりたくないと思っている私がいる。その原因は恐らく、彼女を一目見た時から感じている違和感でしょうか。姉ノ下さんは雪ノ下さんをからかうのを止めて、私に笑顔を向けてきた。

 

 

「雪乃ちゃんの姉の陽乃です。雪乃ちゃんと仲良くしてあげてね」

 

「同級生の比企谷です。こちらこそ、雪ノ下雪乃さんにはいつもお世話になっております」

 

 

気さくにピースサインをしながらの自己紹介に、私も頭を下げて名乗り返す。……ああ、そうか。この人、雪ノ下さんの姉にしては人当たりが良すぎるんでしょう。なんせ数年放置した換気扇の汚れ並みに頑固な性格をしている雪ノ下さんのお姉さんですよ?いじめられて、人ごと世界を変えるなんてとんでもない発想を生みだす性格を育てた家庭なら、姉ノ下さんの性格も半世紀くらい放置されていた換気扇の汚れの如くどぎついに違いない。川崎さんの件の時の雪ノ下さんの反応からみて、家庭やお姉さんの事は少なくとも彼女にとっては誰かに話しにくいのでしょう。

 

なのに出てきたのは人当たりの良いお姉さん。自慢とまではいかなくても、普通に話す事に抵抗があるとは思えません。ならばあれは偽物。あの見た目通りの人間ではないのでしょう。

 

私がこうやって思案している間に、姉ノ下さんは私の全身をざっと流し見た。ほんの一瞬の出来事でしたが、私の体に寒気が走る。

 

 

「比企谷君ね。うん、覚えた!よろしくね♪」

 

 

そして、姉ノ下さんが笑うと共に寒気が引いていく。……やれやれ、どうにもやりにくいタイプのようだ。如才ない振る舞いの中に、ほんの僅かだけ本性を覗かせる。変化に気づいたとしても、もう愛想の良さが戻っているから大抵の人間は気のせいだと思い込んでしまう。嘘を吐くとき、少しだけ本当の事を交えることで嘘だとばれにくくなるように。

 

とりあえず気を落ち着けるために、いつものように携帯をいじくる。姉ノ下さんはそんな私を気にすることなく、雪ノ下さんの抱えているぬいぐるみに目を付けた。

 

 

「あ、それ。パンダのパンさんじゃない?いいなー、ふわっふわだなぁ。もしかして、彼氏さんからのプレゼント?」

 

「違います、私があげました」

 

「違わないじゃーん!君もムキになっちゃってぇ。雪乃ちゃんを泣かせたりしたらお姉ちゃん許さないぞっ!」

 

 

姉ノ下さんは人差し指を立てると、それを私の頬にぐりぐりと押し当ててきた。ついでにおっぱいも押し当ててきた。これ多分、偶然を装ってわざと当ててますよね。どうやら予想以上に分厚い面の皮……いや、強化外骨格とでも言いましょうか。携帯いじくってる不愛想な男にこうもスキンシップを図れるとはね。どれだけの場数を踏んできたのかは知りませんが、こうも男の理想を再現できるとは。流石、隠しきれていないエリートが垂れ流しになっているほどの人は違いますね。

 

 

「姉さん、もういいかしら。用が無いなら私達はもう行くけれど」

 

 

助け舟を出してくれたのかどうか分かりませんが、雪ノ下さんが姉ノ下さんに向けて言った。まあ、姉ノ下さんがそれに従うわけもなし。いい加減頬が痛いんですけど。

 

 

「ほれほれー言っちゃえよー!二人はいつから付き合ってるんですかー?」

 

「だから彼氏じゃないんですって…」

 

「またまたー!」

 

 

聞く耳を持ちませんねこの人。うりうりと執拗にフィンガードリルを続ける姉ノ下さんに苛立ったのか、雪ノ下さんの目つきが険しくなった。

 

 

「……いい加減にして頂戴」

 

 

おおよそ、身内にかけるには冷たすぎる声音。これには姉ノ下さんも悪ふざけを止める他なく、すっと私から離れて力なく笑った。

 

 

「あ……ごめんね、雪乃ちゃん。お姉ちゃん、ちょっと調子に乗り過ぎたね…」

 

 

……違和感が、消えた?これは…もしかして本気でへこんでいるのですかね…。やはり妹は特別なのでしょう。その気持ちはよく分かります。

 

 

「どうやら機嫌を損ねてしまわれたようですね。ここは私にメルアドを教えて帰った方がよろしいのでは?」

 

「……へ?メルアド?」

 

「……何故、どさくさに紛れて姉さんの連絡先を知ろうとしているのかしら」

 

 

雪ノ下さんの顔がこちらへ向いた。不機嫌さがありありと表れている視線を受け流すと、姉ノ下さんがくすくすと笑いながら私に耳打ちをする。

 

 

「ごめんね?雪乃ちゃん、繊細な性格の子だから。……だから、比企谷君がちゃんと気をつけてあげてね」

 

「嫌です」

 

 

笑顔から一転、虚を突かれたような表情で固まる姉ノ下さん。さっきからやられっぱなしなので、少し仕返しでもしておきましょうか。

 

 

「これまで、あなたの言葉にこう返した人はどれくらいいるのでしょうかね。まあ、エリートには通用しませんよ。あなたも同じエリートなら、分かるでしょう?」

 

「…………へぇ」

 

 

雪ノ下さんに聞こえないように小さな声で囁くと、姉ノ下さんが笑った。これまでとは質の違う笑顔。例えるなら、新しいおもちゃを見つけて喜んでいる子供のようです。

 

 

「その薄ら寒い小芝居を止めて下さるなら、是非ともメル友になりたいものですね」

 

「………あっはははは!比企谷君すっごい面白ーい!」

 

 

姉ノ下さんは快活に笑って私の背中を遠慮なしにぱんぱん叩く。初対面の人間に馴れ馴れし過ぎやしませんかね…。それを成せるのが姉ノ下さんなんでしょうけど。雪ノ下さんは我々が何を話していたのかは聞こえていないので、姉ノ下さんの態度に怪訝な目を向けるのみです。

 

 

「あ、そうだ比企谷君。よかったらお茶しない?お姉ちゃんとしては雪乃ちゃんの彼氏にふさわしいか、よく知っておかないといけないのです」

 

 

そう言って、むん、と胸を張って私に軽くウインクをしてきた。狙ってますねェ、男のハート。残念ながら、エリートのハートは撃ち抜けませんけど。

 

 

「お茶よりもメルアドを教えてくれる方がいいんですけど…」

 

「またそれ?もぉー、雪乃ちゃんがいるのにがっつくのは駄目だぞ?それにお姉ちゃんのメールアドレスは高いよ?いくら雪乃ちゃんの彼氏でも、タダでは教えてあげられないなー?」

 

「……彼氏ではないと言っているでしょう。比企谷君も、しつこくメルアドを聞き出そうとするのは止めなさい。訴えられるわよ」

 

 

刺々しさの増した雪ノ下さんの声を無視して、意地悪くニヤニヤと笑う姉ノ下さん。さあ、どうする?という心の声が聞こえてきそうですね。仕方がない、切り札を出しましょうか。

 

 

「無論、タダではありません。あなたにも相応のメリットがあります」

 

「ふーん、どんな?」

 

 

姉ノ下さんの品定めをするように細められた目に向けて、私は携帯の画面を見せつけた。それを見た姉ノ下さんの目があっけにとられて丸くなる。そんな姉ノ下さんの反応が余程珍しかったのか、雪ノ下さんも携帯の画面を覗きこむ。そして、その顔がみるみるうちに赤くなっていった。

 

 

「な、なんでこれが…!?」

 

「比企谷君!今すぐアドレス交換しよう!そしてその写メお姉ちゃんにもちょうだい!!」

 

「姉さん!?」

 

 

私が了承するより早く、姉ノ下さんは私の携帯をひったくってアドレス登録をし始めた。雪ノ下さんがなんとか阻止しようと携帯を奪おうとしていますが、軽やかな動きで避けながらボタンを凄まじい速さで押しまくっています。ひょっとしたら、私より打つの早いかもしれません。

 

それにしても、ここまで効果覿面とは驚きましたね。やはり破壊力は抜群のようですね―――ゆきにゃん写メ。

 

あの時撮っておいた写真がこんなところで役に立つとは、流石のエリートも予想できませんでした。消さないでおいて良かった。

 

 

「はい、登録したよ!早く、早くちょうだい!」

 

「ひ、比企谷君!送ったらどうなるか、分かって…」

 

「送信しました」

 

 

姉ノ下さんから携帯を受け取り、迫る雪ノ下さんの手が携帯へ触れる前にさっさとあの写メを送ってあげました。自分の携帯を見て幸せそうにほっこりしている姉ノ下さんとは反対に、この世の終わりのように絶望した雪ノ下さんがこちらを睨んでくる。流石にちょっと悪い事しましたかね…。

 

まあいいか。さて、登録名は……ゆきのんのお姉ちゃんだからはるのんにしておきましょうか。ん、いや、はるるんも良いかもしれない……でもやっぱりはるのんにしよう。

 

電話帳に登録し終ると、雪ノ下姉妹が言い争いを始めていました。といっても、雪ノ下さんの言葉を姉ノ下さんが受け流しているだけなんですが。

 

 

「…しつこいわ姉さん。ただの同級生だと言っているでしょう」

 

「だって、雪乃ちゃんが誰かとおでかけしてるの初めて見て、その相手が可愛い雪乃ちゃんの写メを持ってたんなら彼氏だって思うじゃない?それが嬉しくて」

 

 

まだその話続けてたんですか。雪ノ下さんも一々噛みついてないで聞き流せばいいものを。どうせ事実無根なんですから、そのうち飽きますよ。

 

 

「青春は一度きりなんだし、楽しまなきゃね!あ、でもハメ外しちゃ駄目だぞ?」

 

 

ハメどころか箍とか頭のネジが外れてる人とメル友なんですけどね。私が考えている事などつゆ知らず、姉ノ下さんは腰に片手を当て、前にかがんでもう片方の手の人差し指を立てながら注意した。そして、そのまま雪ノ下さんの耳元へ顔を近づけ、私にもギリギリ聞こえる位の小さな声で呟いた。

 

 

「一人暮らしの事だって、お母さんまだ怒ってるんだからね」

 

 

お母さん。あの音痴のガキ大将も震えあがる単語を聞いて、雪ノ下さんの体が強張った。一瞬の間を置いて、雪ノ下さんは腕に抱えたままのパンさんのぬいぐるみを強く抱いた。

 

 

「……別に、姉さんには関係のないことよ」

 

 

姉ノ下さんの顔と抱きしめているぬいぐるみの中間辺りに目をやり、雪ノ下さんは喋っていた。ふーむ、いつも人の目を真っすぐ見て喋っている雪ノ下さんが、叱られている子供のように地面を見ながら喋っている光景は珍しい。それほどまでに、母親の存在が大きいのでしょうか。

 

……それにあの顔には覚えがあります。川崎太志君との相談の時に、家庭の事情はどこにでもある、と呟いていた陰鬱な顔。ラウンジバーで、私が彼女を追いだすために言った言葉に打ちのめされた時の顔。

 

 

「意外ですね。あなた、家出少女だったんですか。まあ家庭環境が嫌で家出するなんてよくあることですから、そこまで深刻に考えなくてもいいのでは?」

 

 

現にうちの妹も家出しましたし。雪ノ下家の話だから何か壮大に思えますが、普通によくあることですよね。気休め程度のフォローでも効果はあったようで、雪ノ下さんの俯き気味の顔が少しだけ仰向いた。

 

 

「ふふ、そうだね。よくある事だもんね。お姉ちゃん、お節介が過ぎたね、ごめんごめん」

 

 

誤魔化すように笑みを浮かべると、姉ノ下さんは私に向き直る。

 

 

「比企谷君。雪乃ちゃんの彼氏になったら改めてお茶、行こうね?」

 

「そうですね。その時はドーナツでもご馳走して頂きましょうか。そのほうがお話もはずみますから。ねェ、陽乃さん(・・・・)?」

 

「……やっぱり君って面白いなぁ♪じゃあ、またね!」

 

 

刹那、本性を見せた笑みは一瞬で仮面の中に隠れた。そして華やかな笑顔の仮面を被ったまま、姉ノ下さん改め、陽乃さんは手を振りながら去っていった。

 

……はあ、疲れた。まったく、誕生日プレゼントを買いに来ただけだというのに、どうしてこう面倒に巻き込まれてしまうのでしょう。これもエリートの性なんでしょうか。どっと疲れが出てきたので近くのベンチに座ると、雪ノ下さんも隣に座った。

 

 

「……いやはや、凄いお姉さんをお持ちのようで」

 

 

半ば尊敬、半ば同情で思わず呟くと、雪ノ下さんは静かに頷いた。

 

 

「姉に会った人は皆そう言うわね」

 

「でしょうねェ…」

 

「ええ。容姿端麗、成績最高、文武両道、多芸多才、そのうえ温厚篤実…。およそ人間としてあれほど完璧な存在もいないでしょう。誰もがあの人をそうやって褒めそやすわ。……あなたも、私をだしにしてまで連絡先を知ろうとしていたものね」

 

「そうですね。一番凄いのは、そういう人間であるかのように振舞い続けられる精神力でしょうかね。同じエリートとして敬意を表しますよ」

 

「………え?」

 

 

はい?何ですかその反応は。先程まで冷たい目で私を見ていた雪ノ下さんでしたが、急にぽかんとした表情になりました。

 

 

「何です?まさかエリートがあれしきの外面を見抜けないとでも?やはりあなたは凡人止まりですね。エリートの事を何も分かっていない」

 

「……よく分かったわね。私の家のことは知っているでしょうけど、仕事柄、長女である姉は挨拶回りやパーティーに連れまわされていたのよ。……その結果できたのが、あの仮面よ」

 

 

私の発言に噛みつきもせず、素直に感心しているようです。それほどまでに、陽乃さんの仮面に気づける人は少ないのでしょうか。まあ当然ですよね。陽乃さんもエリートですから、凡人に分かるような被り方はしないのでしょう。

 

 

「……腐った目でも、いえ腐った目だからこそ見抜けることも、あるのね…」

 

「薄汚いものを見抜く自信ならありますよ。なんせ、薄汚い人間見続けて腐りましたから」

 

 

陽乃さんもきっと同じでしょう。いえ、私以上に汚いものを見続けているはず。なのに私のように目が腐っていないのは、あの仮面が隠しているから。とてもじゃありませんが、私にはできない芸当です。

 

 

「それに連絡先だって、私的にはあった方が良いと思いますが」

 

「…どうして?」

 

「きっとあの人、これから事あるごとに絡んでくるでしょうから」

 

 

その未来が容易に想像できるのか、雪ノ下さんはこめかみを押さえて盛大に溜息を吐いた。むしろ絡んでくるどころか、自分から問題持って来たり引っ掻き回したりまで想像できます。

 

正直、一度目を付けられたのなら逃げる事は困難でしょう。だってエリートだもの。ああいう人を上から押さえつけようとするのは無謀ですから、わざわざメル友という関係になったんですもの。

 

前に、坂本さんが言っていたことを思い出す。あの頭空っぽの馬鹿が、珍しく真剣な話をしていた時を。

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

『コラァァァァ陸奥ゥゥゥゥゥ!!!お前、あの商談ばどういうつもりじゃ!!』

 

『それはわしの台詞じゃき!貴様こそ、何故あそこで止めたんじゃ!』

 

『……すいません、反省会ならよそでやって頂けませんか?』

 

『粘ればもっと値切れたきに!もっとわしらが得できたはずじゃ!』

 

『……いかん。いかんぜよ陸奥、その考えはいかん』

 

『……何がじゃ?』

 

『商いっちゅーもんは与えて与えられるもんじゃき。自分らが得することばかり考えておったら、それは商いとは呼ばんぜよ。そんな考えでおったら、いつの日か誰とも商いできなくなるぜよ』

 

『……じゃが』

 

『商いは一人でやれるもんじゃないきに、相手の得する分の事も考えるぜよ。八(ピー)子、お前も聞いちょれ。与えて与えられる、利用し利用される関係っちゅーもんを覚えるぜよ。押さえつけて思い通りにしようとするんじゃなか。妥協して、使って使われるぜよ。相手が切れ者なら尚更じゃ。これが一番、得するやり方ぜよ。覚えておくきに、陸奥、八(ピー)子』

 

『……うん。分かったきに』

 

『あなたはその前に私の名前を覚えてください』

 

 

 

~~~~~~~~

 

 

 

お互いを利用し、利用される。対等な関係を築いた上のその関係が、お互いにとって一番得だと陽乃さんも理解している。別れ際、下の名前で呼んでもそれを咎めなかったのがその証拠です。私を自分と対等の立場と認め、私の意図を察した。

 

アドレスを交換したら写真が貰えたように、何かを用意すればそれ相応のメリットもあると。

 

敵対するより健全な関係ですね。私は陽乃さんを敵に回したくはないし、陽乃さんも私が厄介な存在であることは分かっているはず。だからこそ、彼女はこの条件を飲みました。いらない怪我をしたくないから。

 

………まあ、逆に言えば提案を飲んだ時点で、そのうち我々がちょっかいかけられる事は確定してしまっているんですけどね。はぁ、気が重い…。




土佐弁ってこんな感じなのだろうか。変なところあったら教えてください。

次回はまたまた、銀魂キャラ登場予定…。

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