特型駆逐艦、綾波(偽)と申します。   作:刹那・F・セイエイ

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川内ロイミュード「見れば見るほど、変わった子だね……この子って」


番外編:歯車の忍者・後編

「仮面ライダー……か。その名で呼ばれたのは今日が初めてだ」

「それじゃあ、私はその名で呼んだ第一号ってことかな?」

「そうなるかな?艦娘や深海棲艦を模したロイミュードも、ある意味新鮮で面白くはあるが」

 

 「そのうち、ロイミュードが新たな生物として君臨してたりしてな」と笑いながら談笑に応じてくれる()に若干の安心感を覚え、そして自分の反応にふと首をかしげてしまう。今、なんで私綾波のことを()と呼んだんだ?艦娘である以上、れっきとした女の子のはずだ。にもかかわらず、目の前の艦娘からは――良くも悪くも――女の子らしさを感じさせないでいる。つまり、()と呼んだ所以は外見(肉体)ではなく、中身(精神)にあるということか。それがわかると、ちょっとだけイタズラをしたくなった。

 もし、この子が本当に女の子だというのなら、ソッチの気でもない限り無反応なはずだ。もっとも、私はロイミュードなのでソッチもアッチもないわけだが。そんなどうでもいいことを考えつつ、私は綾波に対しどこで覚えたのかも覚えてない拙いアプローチで揺さぶってみることにした。まずは……これだ。

 

「お、おい……何する気だ……」

「ああ、いや、こうしたら喜んでくれるんじゃないかなー、って思って」

「金剛じゃないけどさ、時間と場所を弁えてくれ……」

「だったら、時間も場所も弁えてるね」

 

 「ムードがねーよ」と愚痴る綾波を無視し、硬いベッドへと押し倒す。確かに、綾波の言う通りこんなところではムードなんてかけらもない。だが、私としては先程から引っかかる疑念を解消したいだけなので、ムードなんてなくたってもいい。ただの答え合わせだ、何も気にする必要はない。

 

「悪く思わないでよ、これも勉強のためなんだから」

「何の勉強だよ、教科書もノートも持たずに……」

「人間と艦娘、その両方を勉強したいなら綾波に肩入れしてみろ、って言われたからね。()()()()()に」

「まったく、はた迷惑な奴だな。そいつは」

 

 まったくだ、と同意しそうになる自分を抑え、今更ながら綾波の身体チェック。ベルトなし、ミニカーなし、これで準備は整った。あとはアプローチで揺さぶって……

 

「時間です、至急お戻りください」

「た、助かった……」

 

 ちっ、邪魔が入ったか。どうやら、アプローチ作戦は失敗らしい。日を改めるとしよう。

 

「まぁ、今のところ川内は捕虜扱いで拘束させてもらうよ。もっとも、俺にしてみれば()()なんだが……」

「ヒトのこと兵器みたいに言ってくれて……」

艦娘(フネ)なんだから、立派な兵器じゃないか」

 

 自分だって艦娘(フネ)のくせに、何言ってんだ?と突っ込みたい衝動を抑え、狭い小部屋を出ていく綾波を見送る。部屋の外で「悪いな、見張りなんか頼んで」と談笑する綾波の声を聴きつつ、私は目を閉じる。

 

「わかんないもんだね、()()()()()()()()




神通ロイミュード「遅いですね……」

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