特型駆逐艦、綾波(偽)と申します。   作:刹那・F・セイエイ

96 / 121
川内ロイミュード「到着ー……って、何この要塞……」


番外編:歯車の忍者・中編

「さて、近海まで来てみたはいいけど、ここからどう行こうかなぁ……」

 

 うちの菊月が妙に肩入れする綾波とやらに会いに来たはいいが、半ば要塞と化した島を見てどう行こうかと悩んでいると、どこからともなく数台のミニカーが現れ、こちらに襲い掛かってくる。どうやら、これを撃退しない限り、島へは入れそうにないらしい。若干の面倒臭さを感じつつ、空中を走るミニカーを迎撃しようとすると、六人の艦娘たち――確か、長良型とか言った――にそれを阻止されることとなる。

 

「ご同行願います、抵抗はなさらないでください」

 

 右手にグリップした主砲を構えて威嚇する艦娘――彼女がネームシップの長良だというのはあとで知った――の誘導に従い、島まで案内される。艤装をすべて取り上げられ、バイラルコアの入ったアタッシュケースは艤装とともにあちら側に渡った。後ろ手に縛られてはいるが、この程度の拘束ならロイミュードである私なら造作もなく破って抜け出すこともできる。だが、それをしてはここまで来た意味がない。私は綾波(仮面ライダー)に会いに来たのだ。こんなところでヘマをやらかすわけにはいかない。

 しばらく無言のまま連れまわされ、どこか狭く小さい部屋へと入れられる。島に入れたのはいいが、肝心の手土産(バイラルコア)が手元にないのでは何のためにここまで来たのかわからない。せっかくロイミュードにもっと興味を持ってもらおうと持ってきたのに……と愚痴りたくなる自分を叱咤し、とりあえず周囲を散策してここから出られないか試してみることにする。出入口は正面にある鉄製の扉一つで、あるものといえばベッドとトイレ、そして洗面台がひとつ。あとは……窓代わりの鉄格子からの月明かりだけ。これは厳しいな……

 

「捕らわれた川内がいるのは、ここで間違いないのか?」

「はい、こちらで間違いありません。ですが、面会は三笠提督の許可がないと……」

「もう取ってる」

「………5分です、それ以上は通報します」

 

 外で何やら言い争いが起こっていたようだが、ここへ入ろうとしていた艦娘が「わかった」とだけ答え、中へ入ってくる。………どうやら、こちらから出向かずども来てくれたようだ。脱獄する手間が省けたというものだ。なぜなら、その「入ってきた艦娘」というのが、今回ここへ来た理由である綾波だったからだ。わざわざ出向いてくれるとはご苦労なことだ。

 

「こうして相対するのは初めて、になるのかな?仮面ライダー」




※遅ればせながら報告※
海鷹様より「俺、綾波になりました。」と「番外編:鎮守府の日常・後編」に挿絵を描いていただきました。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。