特型駆逐艦、綾波(偽)と申します。   作:刹那・F・セイエイ

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綾波(偽)の投稿が一か月以上も遅れたのは、ネタ切れが原因で、それは作者がプロットを組まなかったせいだから、つまり、展開が先詰まりになったせい……全部私のせいだ!!あっはっはっは!!鳴神くん、全部私のせいだ!!


俺、演習します。

「雲龍、索敵隊発艦。敵艦隊の位置を探って」

「了解。索敵隊発艦、敵艦隊の位置を探ります」

 

 演習が始まって早速やったことは、索敵隊の発艦であった。加賀さんたち弓道空母の艦載機の発艦方法についてはアニメ艦これで見てきたから知っているものの、雲龍のような陰陽空母に関しては描写がなかったためさっぱりわからなかったのだ。索敵隊の発艦を命じたはいいが、どうやって飛ばすのか気になって見ていると、小脇に抱えていた巻物を空中に展開し、飛行機型の紙を置いて次々に発艦させている姿が見えた。どうやら、陰陽空母はこうやって発艦させるらしい。初めて見たが、なかなか面白い発艦方法だ。そして索敵隊を発艦させて数分後、敵艦隊発見の報告を受ける。敵艦隊は、どうやら輪形陣で攻めてくるらしい。

 

「敵は輪形陣か……ならばこちらは、複縦陣で対応する。ついてこい」

「了解、第一次攻撃隊、発艦します」

「全主砲、徹甲弾装填。いつでも行けます」

「夜じゃないけど、綾波と一緒に戦えるんだもん、全力で頑張っちゃうよ」

「綾波ちゃんと共闘するの久々だから、なんかワクワクしちゃうね」

「姉さん、わかったから落ち着いて。後ろから撃たれたい?」

 

 旗艦の俺の指示に対し、残る五人が個性豊かに応えを返してそれぞれに行動を始める。雲龍は攻撃隊を発艦させ、土佐は弾着観測射撃のために水偵を飛ばし、川内は夕立と春雨を引き連れて敵艦隊を引っ掻き回しに行った。ちなみに俺は、制空権を奪いつつ、土佐とともに徹甲弾を敵艦隊にばらまく役だ。さすがに雲龍だけでは心許ないだろうと思い、弓を構えて攻撃隊を発艦させようとして、ふとあることを思い出す。それは、本土で一度だけ見た飛龍と蒼龍の発艦方法だ。

 以前、本土の鎮守府において、艦隊行動のイロハを覚えようと参加したときのことだ。索敵隊を発艦させようとした飛龍と蒼龍が、肩に装備していた飛行甲板を上空にぶん投げ、その飛行甲板めがけて矢を放ったのだ。これにはさすがの俺も驚き、何をしているのかと聞いてみると「こういう発艦方法もある」とそっけなく返ってきたのが印象的だった。ちなみに、この方法を加賀さんに聞いてみたところ「高連度の艦載機を召喚できるのはいいが、飛行甲板が削れるからあまり使いたくない」と返ってきた。だが、高連度の艦載機を召喚できるのなら、使わない手はない。

 まず、飛行甲板をぶん投げて攻撃隊が発艦するための道を作り、立体画像(ホログラム)よろしく浮かび上がる鳥居めがけて矢を放つ。その放たれた矢は、鳥居を潜り、飛行甲板の上を火花を散らしながら駆け抜けて艦載機へと姿を変える。なるほど、こんな発艦方法もあるのか。だが、感心している場合ではない、今重要なのは制空権の奪取だ。そうして雲龍隊と共に制空権争いを始めて十数分、完全に制空権を我が物とした。これで砲撃途中に急降下爆撃を食らうということはないだろう。さぁ、ここからは俺たちのステージだ。

 

「砲撃戦用意、目標、加賀型航空母艦一番艦、加賀」

「了解、目標、加賀型航空母艦一番艦、加賀。全主砲、斉射。始め!!」

 

 土佐のその号令と同時に、41サンチ連装砲から次々に徹甲弾が吐き出され、加賀さんめがけて飛んでいく。その後、無数の徹甲弾に貫かれ、大破判定を食らった加賀さんだったが、こちらも雲龍が大和姉妹の放った徹甲弾の雨を浴びて大破判定を食らう。これで互いに正規空母を失った形となる。だが、俺は転んでもただで起きてやるつもりはない。それにこちらにもいい考えが……と考えていると、横合いから急に砲弾が飛んできたため、咄嗟に近くにいた五月雨を盾にして回避する。悪く思わないでくれよ、近くにいたそっちが悪いんだ。気絶した五月雨に気付いたのか、吹雪がこちらに突っ込んでくるが、その動きが急に周囲の空間ごと遅くなる。また重加速(どんより)か……今回来たのはレ級eliteロイミュードか川内ロイミュードか、どちらにせよ、演習は中止にせざるを得なくなったようだ。

 だが、俺もどんよりに巻き込まれていてはどうしようもできない。さて、どうすれば……と考えていると、赤いスポーツカー風のミニカー――シフトカー――が手元に収まり、どんよりの空間から抜け出すことができる。だが、シフトカーだけあってもどうしようもないんだが……と悩んでいると、いったいいつ造ったのかは知らないが、海上を爆走するトライドロンが近付いてくるのが見える。どんよりの空間で動ける以上、運転しているのはおそらくベルトさんだろう。

 

『綾波、変身するんだ』

「わかってるよ、ベルトさん。変身!!」

 

 運転席に転がしてあったシフトブレスを左腕に装着し、ベルトさん――ドライブドライバー――を腰に装着して変身する準備は整った。右手に握っていたシフトカーを変形させて左腕のシフトブレスに装着、シフトカーを奥へ押し込むようにしてぐいと持ち上げて変身は完了だ。

 

『drive type speed!!』

 

 魔進チェイサーのとき同様、アーマーは装着されなかったが、なぜかシフトスピードのタイヤを斜め掛けにするという奇妙な格好になってしまった。アーマーが装着されなかったのは仕様なのか、それとも何かが足りないのか。どちらにせよ、ロイミュードに対抗できる力は手に入ったようだ。とりあえず、今回の演習に乱入したロイミュードにはひとっ走り付き合ってもらおう。だが、ひとりで走るより、誰かと走ったほうがずっと楽しい。さて、誰と走ろうか……と考えていると、運転席にシフトブレスとともに転がしてあったブレイバックルを見て、ひとっ走り付き合ってもらう相手が決まった。テンリュウにしよう。

 シフトカーを握って自由に動けるようになったテンリュウにブレイバックルを渡し、変身したテンリュウを助手席に乗せて今回のどんよりの原因のロイミュードを探す。………どうやら、犯人はレ級eliteで間違いないようだ。あいつ、性懲りもなくまた来やがって。だが、今回は単独で来たわけではないらしく、ル級改flagshipのロイミュードとタ級flagshipのロイミュードを配下に従えているようだ。川内ロイミュードは見当たらないが、どこから来るかわからない以上、油断は禁物だ。

 

「ル級とタ級は任せた、俺はレ級を叩く」

「オレに二体叩けってか?買い被りすぎだろ」

「あっ、キングフォームは使えないんでそのつもりで」

 

 「おいコラ!!」と突っ込むテンリュウを無視して、レ級eliteロイミュードにトライドロンごと突っ込んでいく。トライドロンに跳ね飛ばされたレ級eliteロイミュードを無視してタ級flagshipロイミュードに攻撃を仕掛ける。やっぱり、各個撃破に切り替えよう。そのほうがやりやすい。テンリュウは既にル級改flagshipロイミュードに攻撃を仕掛けている、ならば、こちらはタ級flagshipロイミュードを相手にさせてもらおう。相手にするとは言ったが、全力を出すとは言ってない。とっとと片付けて、レ級eliteロイミュードを叩きにいこう。

 

「来い、ハンドル剣!!」

 

 正直、このハンドル剣って言うネーミングセンスはどうかと思うが、それはどっかの警部補のネーミングセンスが悪いのがいけないわけで……と、まぁ、誰かさんに対するツッコミは置いといて、タ級flagshipロイミュードに攻撃を仕掛ける。すると、タ級flagshipロイミュードは、連度不足なのか装甲が薄いからか、あっけなく倒されてしまった。俺の知ってるタ級flagshipと違うんですが……

 

『綾波、それはともかくとして、残り一体のロイミュードをどうやって倒すつもりだ?』

「テンリュウと合同で倒す、見た感じ、あいつはハートや魔進チェイサーほどの実力は持ってなさそうだ」

 

 っていうか、マジメに戦ったら、俺なんか相手にならないだろうなぁ……とあの二人との実力差に軽くヘコみつつ、俺はレ級eliteロイミュードに攻撃を仕掛ける。そこへ、いつル級改flagshipロイミュードを倒したのかは不明だが、テンリュウの様子を見る限り、余裕綽々だったのは想像に難くないだろう。とにかく、スピードロップで一気に片付けてしまうか。

 

『hissats fullthrottle speed!!』

 

 スピードロップと同時に放たれたテンリュウのライトニングブラストと共に、周囲を超高速で旋回するトライドロンを足場にピンボールのバンパーに弾かれるボールよろしくガンガンレ級eliteロイミュードに容赦なくライダーキックをぶちかまし続ける。そして、とどめの一撃でレ級eliteロイミュードが爆散するものの、コアに関しては乱入してきた新たなロイミュード――テンリュウは那珂ちゃんロイミュード、俺は神通ロイミュード――に妨害されて破壊し損ねてしまう。だが、この乱入でひとつだけわかったことがある。

 

「川内型のロイミュードが全員揃ってるとはな……」




ストックがやばいことになっとる……もっと頑張らんと……

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