テンリュウの偏食癖が発覚した次の日、俺は
――珍しいですね、こんなに早起きするなんて。そんなに気がかりですか?――
「いや、気がかりっていうか、腑に落ちないっていうか、昨日一日雲龍たちに探してもらったのに、菊月も長月も見つからないのが不思議でならないんだ。雲龍たちの索敵が十分だったとは言い難いが、それでも足跡のひとつは辿れたはずだ」
別に雲龍たちの技量を疑っているわけではないが、期待していた分、どうしても拍子抜けしてしまう。やはり、自分の足で探し回るしかないのか。そんなことを考えつつ、耳が痛くなりそうな静寂の中、俺はL.ホークのホルスターを装備してドックへと向かい、海へと出ようとする。すると、支援物資を持ってきたのであろうハイパーズと第六駆逐隊がすでに待機しており、どこか退屈そうにしているのが見える。第六駆逐隊はやはり子供なだけあってか、艤装を放り出してドックでゴロゴロしており、それをハイパーズから注意されている姿が見える。そんなに遠征任務は嫌なのだろうか?っていうか、仮にも軍人がそんなことでどうすんの?
「遠征任務なんて退屈なだけよ、全然エレファントじゃないわ」
「じゃあ、どんな任務ならマジメに取り組んだんだ?」
「決まってるじゃない、空母や戦艦の護衛任務よ。それこそ、この一人前のレディにふさわしいビッグな――」
「
「さすがに、これ以上は勘弁してあげて。この子もかわいそうよ」
「………それもそうですね……今回は大井さんの顔に免じて許してやるけど、今度やったらただじゃ済まさないからな」
「はい、ごめんなさい……」
どうやら、暁も反省しているらしく、涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにして反省の色を見せる。とりあえず、暁は菊月と長月の捜索を手伝うことを罰則としよう。響たちは知らない、そっちはそっちで勝手にやってくれ。艤装を手早く装着し、海に出る準備は整った。暁もまた、艤装を装着し、帽子の位置を整えて準備万端なようだ。テンリュウには悪いが、今日は一日構ってる暇はないんだ。悪く思わないでくれ。
「行きましょう。菊月と長月が待ってるはずよ」
「ああ、そうだな」
待ってろ、菊月、長月。絶対見つけ出して連れ戻すからな。
暁「一人前のレディになるには、どうしたらいいの?」