特型駆逐艦、綾波(偽)と申します。   作:刹那・F・セイエイ

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超久々の農業のお話。


俺、久々に畑に行きます。

「申し訳ありません、うちの吹雪が本当にご迷惑をおかけしました」

「いやいや、ずいぶんとやんちゃな子ですね」

 

 先の吹雪襲撃騒動の後、事情を聞きつけた信濃提督が飛んで俺のところに現れ、申し訳なさそうな表情を浮かべて必死に頭を下げてきた。どうやら、吹雪が伊19にやらかしたことを謝りに来たらしい。信濃提督曰く、自分たちの鎮守府でも普段からああだったため、こっちでもやらかさないかと冷や冷やしていたそうだが、まさかこんなに早くやらかすとは思ってもみなかったそうで、「この執着心には呆れるのを通り越して感心する」とは信濃提督の弁だ。

 

「申し訳ありません、まさかこんなに早くやらかすとは思ってもみなかったもので……」

「ま、まぁ……とりあえず、三笠提督に危害がなかっただけ良しとしましょう」

 

 今回被害にあったのが伊19だったからよかったようなものの、もしこれが三笠提督だったなら親睦を深めることもできずに絶縁になっていた恐れもあったのだ。伊19には悪いが、今回は大人の付き合いのための人身御供になってもらった。天城姉さんや土佐なら、L.ホークに頼ることなく自慢の腕力で吹雪の首をへし折っていただろうし、雲龍型でも同じ結末だったであろうことは想像に難くない。もっとも、薄い胸部装甲を持つ葛城に飛びついたかははなはだ疑問ではあるが……

 その後、入渠施設で一波乱あったが、何とか解決し、朝ごはんの時間となった。今日のメニューは、何かの焼き魚とほうれん草のおひたし。だが、ここでひとつ問題が起きた。どうやら、テンリュウは魚が苦手らしく、先ほどから焼き魚を無視してひたすらおひたしばかりつついている。苦手なものがあれば言ってくれればよかったのに……そうすれば、料理長も応えてくれたはずだ。料理長に別口で何か作ってもらおうかと思い、頼みに行こうとすると、龍田がこれ幸いとばかりにテンリュウにほうれん草のおひたしを差し出して焼き魚と交換している姿が見えた。どうやら、龍田はほうれん草が苦手らしく、誰かに食べてほしかったのだろう。妖精さん、哀れなり。

 

「いってくれればおさかなださなかったです……」

 

「テンリュウはともかく、龍田は対策を考える必要がありそうだな」

 

 今後の課題点が浮き彫りになったところで朝食が終わり、今日は何をしようかと考える。久々に畑で精を出そうかと思い至り、今日の任務は畑仕事に決まった。さて、どれだけの量のお米や野菜が収穫できるのだろうか、と考えつつ、俺はライドチェイサー――畑までの足を要請したらなぜかこれが来た、しかもブレイクガンナー付きで――を駆って畑へと向かう。どうやら、暇を持て余していたらしい陽炎と不知火がすでに野菜の収穫を始めており、こちらの存在に気が付いて片手を挙げて応えてくれる。

 

「綾波さん、おはようございます」

「今日も大収穫だよ」

「だいぶ野菜も余ってきたな、テンリュウの鎮守府への支援物資に入れてみるか?」

 

 もっとも、余っているのは野菜だけではなく、お米と小麦も余っているのだが、これで捨てる以外の選択肢が見つかった。よかったよかった。その後、今日一日は畑仕事で潰れたのだが、前線基地の設備や平成ライダーのバイクに――特に、後者はテンリュウが――驚いていたのは、別の話。




(・ワ・)「おさかな、だせないです……」

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