特型駆逐艦、綾波(偽)と申します。   作:刹那・F・セイエイ

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コラボ編、スタート。


綾波、他鎮守府交流編
俺、騒動に巻き込まれます。


 長月を無事保護した次の日、今日からテンリュウたちと演習を通じて親睦を深める予定だったのだが、それは最悪とも言えるかたちで始まってしまった。ありていに言えば、向こうの吹雪が伊19に対して交流(スキンシップ)という名の痴漢(セクハラ)をやらかしたのである。そのせいで朝っぱらからL.ホークの銃声で叩き起こされたのだが、こればかりは文句を言っても仕方あるまい。何せ被害を被っているのだ、あくまでも正当防衛でしかない。銃声の方角だけを頼りに、伊19の私室を探す。慌てて出てきたため、パジャマ姿の上からL.ホークのホルスターを装備しているという変な格好ではあるが、今は伊19をどうにかすることのほうが大事だ。

 

「おい、伊19!!いったい何があった!!」

「あ……あやな…みさん……」

 

 見ると、真っ青な顔をして両手で弾薬(たま)の切れたL.ホークを握り締めてガタガタと震える伊19を包む衣服はなく、脱がされたのかと思ったが脱がされた形跡は見当たらず、おそらく伊19は裸で寝るのが主流なのだろう。その白い肌を返り血で赤く所々染めた伊19の傍らには、無数の銃弾、いや、砲弾で蜂の巣にされた今回の戦犯である吹雪が何が起こったのかわからないというような表情を張り付けてガタガタと全身を震わせて横たわっている。とにかく、この吹雪を何とかしなければ……

 

「伊8、伊168!!修復材(バケツ)用意!!吹雪入渠させて!!」

ja(わかった)

「ええ」

「伊58と伊401は入渠の済んだ吹雪の監視!!またやらかされたらかなわん」

「わかったでち」

「綾波さん、伊19は?」

 

 伊401の質問に対し「俺が面倒見る」とだけ答え、なんとか伊19とふたりっきりになる状況を作る。これなら、伊19も幾分か話しやすいだろう。俺はとりあえず伊19の私室のドアを閉めて伊19をなだめすかして落ち着かせ、なんとか話せる状態にまで持っていく。彼女の言い分によると、事の次第はこうだ。

 いつも通りに寝て、いつも通りに起きようとすると、普段と違う慣れない感覚が自分の上にあったのがわかり、眠い目をこすってそれが何かを確かめると、そこに獲物を捕らえた肉食獣よろしく両目をギラつかせた吹雪が馬乗りになって豊満な胸部装甲を揉みしだいてきたという。それだけならまだよかったのだろうが、あろうことか吹雪はそのまま舌なめずりして顔をその揉みしだいていた胸部装甲の間に挟んできたらしい。これにはさすがの伊19も我慢できず、ベッドサイドに転がしておいたL.ホークを咄嗟に掴んで吹雪にありったけの砲弾を叩き込んだとのことだ。哀れだが吹雪、今回はお前を擁護できない。

 

「綾波さん、伊19は汚れたのー……」

「汚れたって大袈裟な……」

「綾波さん、着替えさせてほしいのー……」

「俺に伊19の胸部装甲やヴァイタルパートを触れと?まぁ、いいけどさ……」

 

 その後は騒ぎを聞いて駆け付けたテンリュウに事情を説明するのに大変だったことだけは併記しておく。




伊19「怖かったの……」

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