特型駆逐艦、綾波(偽)と申します。   作:刹那・F・セイエイ

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遅刻した、すまぬ。


俺、長月を保護します。

 とりあえずどこかの鎮守府所属の長月を助け、近くの島で休みつつ長月の所属していた鎮守府の詳細を聞いてみることにした。場所については聞き覚えがなかったが、どうやら長月はケッコンカッコカリを控えていたらしく、自分がいなくなったせいでご破算になったであろうことを申し訳なく思っているようだ。ちなみに、自分があんな場所にいた理由については自分でもよく分かっていないとのことだ。姿をくらました理由については当の本人もよくわかってはいないようだが、これで少なくとも自らの意志で消えたという線はなくなっただろう。

 

「私も、なぜあんな場所にいたのかは皆目見当もつかない。だが、何かに呼ばれたような気がするんだが、それが何か思い出せないんだ」

 

 つまり、知らないうちにこんな所へ来て、知らないうちに艦隊の戦力を削る作戦、といったところだろうか。おおむね間違っているが、だいたいあってはいるだろう。菊月と長月の捜索は雲龍たちには続けてもらっている。だが、何も入ってこない以上、何の進展もないのだろう。そうして数時間はその島でダラダラと時間を潰していたが、雲龍たちの艦載機の限界を考え、今日の捜索はこれで中止となった。

 長月ひとりを見つけたため、とりあえず保護するために前線基地へと戻る。この長月の鎮守府の場所については仁淀か三笠提督に調べてもらい、その後、安全に送る方法を考えることにしよう。なんとか、会敵することもなく無事に前線基地へと変えることができ、若干フラフラな長月を迎えに来てくれた天龍姉妹に預けて任せ、仁淀からほかの鎮守府と演習になることを聞かされる。ちなみに、なぜ今になって言ってきたかというと、どうやらその報告が入ってきたのが俺が出て行ったあとらしく、前線基地中を駆け巡って探し回ったが見つからなかったため報告が遅れたとのことだ。………仁淀には、少し悪いことをしたな。

 

「ああ、そうだ。その鎮守府の艦隊、もうそろそろこちらへ来るそうなのでお迎えに上がってはいかがでしょう?」

「そうだな、迎えに行くとするか。ってか、なんでそれ三笠提督に言わずに俺に回すんだ?」

「ああ、すみません。ですが、三笠提督の許可はすでに取り付けております」

 

 つまり、提督公認ってわけか。それならしばらくはこちらに滞在することになるのだろう。さて、迎えに行くとしますか。そうして待つこと一時間近く、その件の鎮守府の艦隊が到着したようだ。信濃提督を筆頭に、艦隊旗艦を務める天龍――雰囲気から察して、さしずめ「テンリュウ」といったところか――に五月雨に大和、そして俺の知っているほうと違う吹雪と利根ねーさんと加賀さんの七人が隊列を組んで鎮守府へと来たようだ。とりあえず、今日は遅い。ゆっくり休んで、明日に備えてもらおう。そう思い、俺は来てくれたばかりのテンリュウ艦隊を客室へと案内し、その日の一日が終わった。




次回から、本格的に交流開始。

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