特型駆逐艦、綾波(偽)と申します。   作:刹那・F・セイエイ

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本格的な捜索、スタート。


俺、菊月と長月を探します。

 三笠提督を案内して一日経ち、この前線基地の本格的な始動が始まろうとしていた。だが、俺としては基地が完全始動する前に、どうしてもやっておかなければならないことがある。それは菊月と長月の捜索である。基地が完全稼働してしまえば、自由に行動できなくなる。すなわち、如月たちとの約束を違えることになる。そんなことは絶対にしないし、するつもりもない。姉妹たちが首を長くして帰りを待っているんだ、絶対に探して連れて帰る。それが俺の今やるべきことだ、ゆえに今回はひとりでやらせてもらおう。

 

「悪いな、綾波、アヤナミ。俺のわがままに付き合わせて」

 

――かまいませんよ、むしろ、探さないなんて言い出したら二度と口を利かないつもりでしたから――

 

『――約束したんでしょう?絶対探して連れて帰るって。だったら、最後までやり遂げてください――』

 

「わかった、とにかく全力でやってみる……とはいうものの、どこを探すんだ?一応、雲龍たちにも協力してもらってはいるが……」

 

 そう、ある種の問題点はそこだ。どこをどう探せばいいのか、それがわからねば体力と燃料を無駄に消耗するだけで動き回る意味がない。当たりさえつけることができれば、そこを中心に索敵(クリアリング)もできるのだが、まだ雲龍たちからの情報は入ってきていない。しばらくは、近場の島々をちょくちょく探し回りつつ、使えそうかどうか調べていこう。もし使えるようなら、マーキングして開拓、こうして少しずつ勢力圏を拡大していく。地味だが、人探しはこんなものだろう。

 その後も、ふたつほど使えそうな島があったのでマーキングしつつ、菊月と長月の捜索を続けていると、雲龍から連絡が入る。どうやら、天城の偵察隊が長月らしい駆逐艦を発見したとのことだ。そのポイントを連絡してもらい、俺はその場所へ急ぐ。もしかすると、如月たちの探している長月かもしれない。そう思ったのだが、そこにいたのは残念ながら如月たちとは縁のないほうの長月だった。左手を見て確認したため、ほぼ間違いないだろう。

 

「なんだ?私に何か用か?」

「ああ、「菊月と長月を探してくれ」って頼まれたんだが、どうやら俺の探している長月ではないらしいが……前はどこかの基地に所属していた、とかあるか?」

「何!?私を鎮守府に帰してくれるのか!?」

「ああ、帰してやるよ。帰りを待ってる人がいるんだろ?」

 

 どうやら、探していた長月ではないものの、どこかの鎮守府からいなくなったらしい長月を無事保護することができた。ちなみに、菊月は見つからなかったが、それでも今回の捜索は有意義であったと言える。さて、前線基地に帰るとしますか。だが、それにしても……

 

「いつまで自由に動けるかな……?」




とりあえず、どこかの鎮守府所属の長月発見。

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