特型駆逐艦、綾波(偽)と申します。   作:刹那・F・セイエイ

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昨日の、今日のは待って。


俺、テンション上がります。

 鎮守府から前線基地に戻ってきて次の日、俺は積まれていた段ボール箱の中から「あるもの」を取り出す。買ってからずっと段ボール箱に詰め込まれていたので、ようやく封を切ることができる。これでようやく「変身」ができる。俺と同じく「変身」を願った彼のように、とはいかないのかもしれないが……それでも、変身できるというのは俺としては嬉しい限りだ。綾波たちがどう思っているかは知らないが、ようやく変身できるのだ、そこはわかってほしいものだ。そして、その取り出した「あるもの」、もとい「ディケイドライバー」を腰に巻いて「変身」する。

 

《KAMEN RIDE》

 

「変身!!」

 

《DECADE》

 

 うん、いい音だ。やはり変身するのだ、こうでなくては。さて、次は……とライダーベルトを探していると、工廠の妖精さんが何かを期待するような目でこちらを見ていたため、なんだよ、とそちらを向くと、どうやらこのライダーベルトを改造したいらしく、楽しみで楽しみで仕方がないそうだ。ちなみに、各バイクやトライドロンは各ライダーベルトの改造が終わり次第、開発に取り掛かるとのこと。ライダーといえばバイクなので、そこは外さないでほしい。

 

「まったく、朝から騒がしいのね。まだ05:00よ?」

「何言ってるんです、もう05:00でしょう?ここは日の出が早いんです、それに早く慣れていただかないと」

 

 そう、前線基地の朝は早い。三笠提督にはそれに早く慣れていただかないと、提督が寝坊して艦隊業務が滞るというなんとも情けない事態になりかねない。もっとも、そのときはそのときで、また俺が提督業をやってみせればいいだけの話だが、せっかく着任したのだ、バリバリ働いてくれなければ俺たちが困る。さて、今日は何をしようか。三笠提督が着任したとはいえ、やることはほぼ今までと変わらないのだろう。遠征で資材を集め、デイリーの建造で艦娘を造り、開発でびっくりドッキリメカを乱発する。今日もそんな毎日だろう。

 

――はたしてこの変化が、いいほうに転ぶのやら、悪いほうに転ぶのやら……綾波、不安で仕方がないです――

 

『――不安なのはわかります、問題が山積みなのもわかってます。ですが、私たちには託された「願い」がある、それを忘れたわけじゃないでしょう?――』

 

「わかってるよ、如月たち睦月型駆逐艦から託された願い、反故にするようじゃ特型駆逐艦の名折れ。なんとしても探し出して見せるさ」

 

 前線基地のこともそうだが、まずは九月コンビの捜索を最優先させよう。約束したのだ、如月たちと。だからこそ、意地でも見つけねばならない。戦友(とも)との約束を果たすためにも、俺の矜持のためにも。




次回、新提督をご案内。

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