特型駆逐艦、綾波(偽)と申します。   作:刹那・F・セイエイ

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(このエピソードは)私の趣味だ、いいだろう?


俺、買い物します。

 朝食を済ませて外出許可証を貰い、引率役の妙高さん――服装から見て、おそらく改二――の運転で移動すること数十分、ようやく今回の目的地が見えてきた。妙高曰く「ここへ来れば、合法なものならなんでも揃っていて、わざわざほかのところへ行く必要性が全く感じられない」とのことで、なんとなく某オンラインショップを彷彿とさせる。なお、このお店はオンラインショップから派生した店舗のようで、特徴的なアルファベットのロゴがでかでかと主張しているのがわかる。っていうか、あのロゴどっかで見たことある気がするんだが……

 

――大きいですね、ここ。大きすぎて、迷わないか心配です――

 

「そこは、パンフ兼地図があるから大丈夫だろ。いざとなれば、案内所に駆け込めばいいわけだし」

 

――それもそうですね、あとはお金が足りるかが問題です。今日一日だけの予算ではないんですから、計画的に行きましょう――

 

「2,000円もあれば、困ることはないとは思うが、使い過ぎには注意しないとな」

「はしゃぐのも構いませんが、お金の使い過ぎと、帰る時間を忘れないよう注意してくださいね」

 

 妙高さんの忠告に対し、三人で仲良く「はーい」と返事し、目の前のデカい建物へと駆けて行く。さぁ、ショータイム……じゃなくて、ショッピングタイムだ。そして、最初に行く目的地はもう決まっている。パンフ兼地図を片手に、その目的の場所を探すこと十分近く、俺はようやくそこへとたどり着いた。もっとも、着いたはいいが目的の品が全部売り切れてない、などということになっていなければいいのだが、さすがにそれはないと信じたい。

 お目当ての品があるかどうか一抹の不安を感じつつ、俺は商品棚を探していくのだが、すぐにそれが杞憂だとわかる。アークルからマッハドライバー炎までのすべての変身ベルトと関連アイテムが一堂に会し、壁一面を埋め尽くさんばかりに鎮座していた。神通さんに頼みづらかった理由はこれで、頼むには少々気恥ずかしかったのだ。それに、間違って買ってこられてもさすがに困る。そうなると、自分で買いに行くほかなかったのだ。

 

――おもちゃ買うんでしたら、単4電池も相当必要ですよ?――

 

「それもそうか、あとで買わんとな」

 

 単4電池何本必要になるんだ?と考えつつ、俺は商品を抱えてレジへと向かう。その後あれこれと追加したため、60円越えの大出費になったのだが、後悔は全くしていない。そして、買ったばかりの変身ベルトの詰まった段ボール箱を抱えて妙高のところへ行って、運転席で退屈そうに待っていた妙高さんが抱えた段ボール箱を見て目を丸くしていたのが愉快だった。時間を見ると、ちょうどお昼時だったので、待たせてばかりいた妙高さんにお詫びの意味も兼ねてお昼を奢ることにする。せっかく引率を引き受けてくれたというのに、アッシー君扱いではさすがに失礼というものだろう。

 

「そんなに気にしなくてもいいんですよ?」

「気にするっていうより、私からのささやかなお礼です」

 

 せっかくこの町で一番の規模を誇るデパートに来たというのに、運転席でこもりきりというのは辛かろう。午後からは妙高さんにも付き合ってもらってあれこれ見て回るというのもいいだろう。午前中は買いたいものの都合上、個人行動だったため、午後からは妙高さんも含めてみんなで見て回ろう。やっぱり、ひとりよりみんなでいたほうが楽しい。

 その後、みんなでお洒落なレストランで昼食を取り、どこか懐かしい雰囲気のする駄菓子屋でたんまりお菓子を買い込み、ゲームセンターのシューティングゲームでスコアを競い合ってはしゃぎ、夕方頃に鎮守府へと帰ることになった。ちなみに、陽炎が買ったのは多種多様なゲーム機とソフト、不知火が買ったのは映画のビデオディスクで、不知火が80円だったのだが、陽炎は120円を超えていたため、さすがに妙高さんに怒られていたようだ。

 

「いいじゃん、あれこれいっぱい買っても……」

「不知火や綾波さんの言えたことではありませんが、陽炎はもう少し値段を見て買い物すべきです」

 

 不知火にまで怒られ、どこかヘコんでいるような感じのする陽炎。だが、これで当分あれこれと買う必要はなさそうだ。テレビは妖精さんに頼めばいいか、と思い、俺は個人行動時にこっそり買っておいた髪留めをいつ妙高さんに渡そうかで悩んでいた。彼女のことだ、多少気に入らなくともそれをおくびに出すことなく受け取ってくれるだろう。彼女はそういう人だ。そうして沈みゆく夕日を眺めつつ鎮守府へと戻り、段ボール箱の山を抱えて前線基地に行く予定だった第三水雷戦隊に移送を頼み、夕食を取ってお風呂に入って旅行一日目が終わる。

 さて、明日は何しようか……




ゴースト?いえ、(まだ)知らない子ですね。(赤城並みの感想)

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