特型駆逐艦、綾波(偽)と申します。   作:刹那・F・セイエイ

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不知火「あーあ、知ーらぬい」


俺、赤城さんに詰め寄られます。

 加賀さんが標的艦となってから一夜明け、前線基地全体にはなんともいえないお通夜ムードが漂っていた。特に、相棒(パートナー)であった赤城と実の妹である土佐の落ち込みようは激しく、昨夜から引きこもって出てこないとのことだ。赤城のシスコンを叩き直す意味も含めての行動だったのだが、どうやら逆効果どころかいらん被害が増えたらしい。この始末どうつけようか……雲龍型はただ新型の航空爆弾の性能実験を果たしただけで、何の落ち度もない。天城姉さんに至っては「知らん、自分で何とかしろ」とでも言わんばかりに無視を決め込んでいる。

 

――どうするんですか……これ。真相を知ったとしても、許してくれるような感じではなさそうですよ?――

 

「そう言われてもなぁ……確かにこれにかこつけてクラスター爆弾の性能実験を頼んだのは俺ではあるけど、それとこれとはまた話が別だろ?」

 

――そもそも、こんなこと考え出したのはあなたでしょう?赤城さんが突撃してきたとしても、綾波知りませんからね?――

 

 確かに、ご尤もな意見だな。塞ぎ込んでいるであろう赤城になんと声をかけようかと考え、すぐにその必要がないとわかる。怒り心頭、といった感じで赤城が飛行甲板を抱えてこちらに突撃してくるのが見え、俺はベッドの下に隠れる。ベッドの下に隠れて一分後、私室のドアが蹴破られて吼えまくっている赤城が周囲を探し回っているのが見える。どっかのステルスアクションなら、見つからずに帰るまで隠れていればいいのだが、赤城の場合そうはいかないだろう。なんてことを考えていると、何かが滑り込んでくる音が聞こえてきて、それが何か確かめ……って、対人用の手榴弾かよ!!やべぇ!!

 

「やはり、そこにいましたか……加賀さんの仇!!」

 

 ダメだ、これ話聞いてくれる雰囲気じゃない。そう頭の隅で考えつつ、俺は振り回される飛行甲板を間一髪で避け続けていると、赤城がだんだんイライラしてきたのか、腰の拳銃を抜いて綾波の両脚を撃ち抜いてくる。たかが拳銃くらい、どうってこと……と思っていると、撃ち抜かれた両脚に不自然なまでの貫通痕が残っているのが見え、赤城の拳銃を見る。………まさか、よりによって支援したL.ホークで攻撃されるとは思ってもみなかった。腿が焼け付くように痛い、だが、赤城はそれを知ってか知らずか、セーラー服の首元を引っ掴んで締め上げる。

 

「なんで加賀さんを標的艦にしたんですか!?別に加賀さんでなくともよかったでしょう!?」

「あなたは天城さんを選んだ、ゆえにこの結末が訪れた。ただそれだけです」

「ふざけないで!!私の加賀さんを返して!!返せっ!!返せっ!!返せっ!!返せっ!!返せぇぇぇっ!!」

 

 首根っこ捉まれたまま殴られるのって、結構苦しいし痛いんですが……と見当違いなことを考えていると、赤城が突然飛行甲板で脳天に殴りかかってくる。これ避けんとまずい、と感じてサッ、と避けると赤城はそれが気に入らなかったのか、ますます怒り出す。

 どうやら、話し合いの前に怒りを静める必要がありそうだ。




加賀「来世は護衛艦に……」

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