「鎮守府に来てほしい?なんでまた?」
「姉さんが鎮守府に来てくれれば、私は必ずや強くなれる。姉さんがいてくれれば、私は私でいられる。姉さんが――」
「待ちなさい、赤城。さっきから聞いてたら姉さん、姉さん、って、私ばっかり持ち上げてるけど、今の
姉をここから連れ出そうとなんとか説得しようと必死にアピールするが、それを姉に突っ込まれて答えに窮する。確かに、加賀さんは私の大事なパートナーだが、それとこれとは話が別だ。姉と他人、どっちを取るかは明白なのに、それをなぜわかってくれないのだ?姉さんだって、こんな何もないようなところで悶々としているより、鎮守府で華々しく活躍したほうがいいに決まってる。そうだ、こんなところにいるのがいけないんだ。早く連れ出さなければ……
新型艤装のライセンス生産の契約はもう終わったのだ、あとは姉を連れ出せば
「はい、天城。………面白いこと?………うん……ええ……わかったわ、すぐ行くから」
「姉さん、今からどこに?」
「軍港、そこからなら、あなたの望んだ結末が見られるわ」
望んだ結末?何の話だ?ただ私は、ただ姉と一緒にいたいだけだ。それに対してペナルティが課せられるようないわれはないと思う。姉妹と一緒にいたいという気持ちが間違いなら、この姉に対する感情もまた、間違いということになるだろう。私の望んだ結末は、みんなで笑って過ごせる鎮守府だけだ。それ以外に何も望むことはない、いや、望んではいけない。姉が帰ってきただけでも喜ばしいことだというのに、これ以上望んだら罰が当たるというものだ。
それにしても、姉さんの言った「あなたの望んだ結末」というものが気になる。瑞鶴には姉がいる、だが、私にはいない。嫉妬と言われればそこまでだが、やはり姉がいてくれないと締まらない。やはり、姉さんは私と共に来るべきだ。こんなところにいては、せっかくの才能も錆びついて使えなくなる。それでは何の意味もないのだ、早く姉を助けねば、姉はこの環境に慣れて堕落してしまう。そして、赤城は気付くことがなかった。この決定が理由となり、自分にとっての大切な人を失うことになるなど……
次回、衝撃の展開。