「珍しいですね、あなたが寝過ごすなんて」
「すみません、疲れているようなので起こさなかったんですが……余計なお世話でしたか?」
「いえいえ、おかげでぐっすりと眠れました、ありがとうございます」
どうやら、起こさなかった犯人は仁淀だったらしい。生真面目な彼女にしては珍しく、ずっとほったらかしにしていたようだ。彼女なりの気遣いだろうか。そう考えていると、突然食堂の電気が消えたため、俺たちは不安になって周囲を見渡す。だが、停電になった要因が見当たらず、俺たちは困惑する。犯人誰だよ、と思っていると、妖精さんが「電源系統の切り替えのために一時的にブレーカーを落とした」と連絡してくれたのだが、もう少し早く言え。
「どうやら、復旧したようです」
復旧早いな、と感心し、俺は本土へ行ったときのための資金をどう稼ごうかで悩む。この島でお金がいらなかったため、その辺は無頓着でいたのだが、本土へ行くとなれば話は別だ。本土へ行けば、お金を消費するイベントが目白押し、金のない奴に用はないとばかりにあっちこっちでお金を要求してくる。だが、お金を稼ごうにも、売るものが……と思って、売るものがあることに気づく。それは、先日妖精さんが変圧器を造る際に量産したハズレの山こと全自動お掃除ロボットである。
神通さんに話を聞く限り、掃除は箒で掃いてするものと相場は決まっており、全自動のお掃除ロボットが代わりにするなどということは前代未聞だという。だが、これを民間人相手に売れば、かなり資金が稼げるだろう。人間に代わり掃除をしてくれるロボット、これはかなり売れそうな予感がする。そのことを仁淀に伝えると、なぜか納得そうに頷いて同意する。
「お金がないと、本土へ行っても何もできませんからね。しばらくはこの全自動お掃除ロボットを量産して民間人相手に売りましょう」
「ええ、そうですね。しばらくはこの方法で資金繰りしましょう」
無事、資金繰りの方法も決まって今後の活動方針をみんなで考えていると、一航戦と五航戦がアタッシュケースを抱えてこちらへ向かってきていると妖精さんから報告が入る。一航戦と五航戦がこちらに来るのはいいが、何の用だ?昨日帰った神通さんの件と照らし合わせて、おそらくは20.3サンチ砲のライセンス契約料を抱えてここまで来たのだろう。だが、ふと気づくと時間的にもう寝る頃になっていたことにはじめて気づき、一航戦と五航戦を迎え入れるなり、慌ただしくお風呂に入る。
はるばる来てくれた彼女たちには泊まっていってもらおう、そう考えて俺は一航戦と五航戦を客室へと案内し、自室へと戻る。
ヤバい、全然眠くない……
赤城「次回、番外編です」