特型駆逐艦、綾波(偽)と申します。   作:刹那・F・セイエイ

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なぜか神通「さん」とさん付けで呼びたくなる神通さんの不思議な魅力。


番外編:華の二水戦の矜持・中編

「なんか、久しぶりの支援を受けた感じですね」

「確か、16日ぶりでしたね。人数も増えて何かと入用でしょうから、いろいろと持ってきました」

 

 人数も増え、何かと日用品は入用だろうと思い、タオルや歯ブラシなどの日用品やこの島では手に入らないであろうお肉などの食料、交渉の際に提示した条件にあった資材を綾波に手渡し、そのまま帰ろうとすると、なぜか綾波が引き止める。こちらとしては、用が済んだのでとっとと帰りたいのだが……などと考えていると、どうやら綾波のほうも渡したいものがあるらしく、今帰られたらそれができなくなるとのことだ。渡したいもの、とは何だ?ヤバいものでなければいいが……

 

「拳銃型20.3サンチ砲、L.ホークです。重巡洋艦に搭載されている20.3サンチ砲を拳銃型に改修することで規格を統一化、さらにその効果で艦種を問わずに大口径の砲を駆逐艦にも装備できるようになりました。私は例外的に二挺拳銃ですが、できれば一挺で運用するのが望ましいですね」

「なるほど、規格を統一化することで整備性や生産性の向上にも期待が持てるということですね。私達艦娘は工業製品だった軍艦(フネ)の頃の意匠が強く出てますからね、規格統一で生産ラインを一本化、なおかつ構造の単純化で整備性を格段にアップさせるなど、メリットは多いです」

 

 規格の違い、というのは工業製品ならどれでもありうる話で、同じ口径の弾薬でも規格違いを理由に使い物にならないなんてことは枚挙に暇がない。特に艦娘の艤装などはそれが顕著によく表れており、私の14サンチ単装砲は左腕に固定装備、北上と大井は右手にグリップと、同じ14サンチ砲にもかかわらず装備方法の違いのせいで整備性の劣悪化を招いている。それなら、初期投資が多少かさんででも統一された規格の装備を配備したほうが現場としては助かるのではなかろうか。デザインもいい、ロマンもいい、だが使い物にならなければ意味がない。

 今のところ、20.3サンチ砲以外の拳銃型の砲はなさそうだが、開発が進むにつれて戦艦クラスの超大型の主砲も片手で撃てるような装備が出てくることもあるのだろう。話の流れで聞いたオート・メラーラは速射性を生かして機関拳銃(マシンピストル)になるのだろう。弾薬の消費が心配だが、そこは射手の腕次第、といったところか。無暗矢鱈にトリガーハッピーでもしない限り、弾薬が底をついてピンチになることはないはずだ。もっとも、そんなバカがうちの鎮守府にいるとは思えないが……

 

「設計データは同梱した資料の中に入っています、先行量産した拳銃型20.3サンチ砲、有効にお使いください」

「ありがとうございます、これで戦力増強につながるでしょう」

 

 支援に来たつもりが、意外な掘り出し物をもらった。ちなみに、今回渡された20.3サンチ砲の数は50挺、一挺ずつ渡せば艦隊のほとんどに行き渡る数だ。ありがたい、有効に使わせてもらおう。だが、その前に……

 

「お夕食、お呼ばれしてもよろしいでしょうか?」




「おとなしい子ほど武勲艦」という艦これの謎の規則性っていったい……

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