仁淀にこっぴどく絞られてから一夜明けた次の日、俺と綾波は新しく見つけた基地の処遇に悩んでいた。新しく見つけた基地の妖精さんは、なんとか説得はできたもののいまだに艦娘不信の思想が根強く、一朝一夕でなんとかなる問題ではなさそうだ。あれだけの大きな基地だ、本格的に稼働ができてこちらの前線基地と連携が取れれば周辺海域にあるであろう島の探索や防衛に役立つ。マップのアプリを更新して初めて気づいたのだが、どうやらこの島は孤島ではないらしく、周辺にそれなりの大きさの島がいくつか点在していた。
――まさか、孤島ではなく諸島だったとは思いませんでした――
「ああ、俺もだ。こんなにも島が点在しているとはな、ってか、なんで気がつかなかったんだ俺ら」
「それを綾波に聞きます?」とボヤく綾波をスルーし、俺は食堂へと向かう。二日ぶりに何が食えるのか、と期待していると、うどんが出てきた。どうやら、料理長が久々に作ってみたかったらしく、何やら満足げな料理長の姿が見える。よほど作りたかったのだろう。
「たまにはうどんってのも、悪くはないな」
――ですね、たまにはこういうのも悪くはないですね――
時折話しかけてくる陽炎と不知火に相槌を打ちつつうどんをすする。今日はお米の収穫日だそうで、朝食が終わり次第田んぼへ向かってほしいとのことだったが、その前にやっておきたいことが俺にはひとつあった。艦種も形式も問わない艦娘用の新規格の艤装の開発、それを急いでやっておきたかった。たとえば、14サンチ単装砲ひとつとっても、川内型は左腕に固定、ハイパーズは右手にグリップと、同規格にもかかわらず互換性のなさを露呈している。深海棲艦の砲なら規格違いで使えないのはわかるが、同じ艦娘の砲や魚雷が互換性がないのでは致命的である。
まずは新規格の主砲からか、と思い、新艤装のデザインを考える。ユニバーサル規格で設計する以上、特定の艦娘だけが使えるデザインではいけない。艦種を選ばず、普遍的につけるデザイン、あるとするなら艦娘の主砲を応用した拳銃くらいなものだろう。L.ホークなどどうだろうか。あれなら、口径も大きいし、ユニバーサル規格艤装のフラッグシップにはふさわしいといえる。綾波って、二挺拳銃とか似合いそうだよな、少なくとも、刃物よりは似合いそうだ。
「けんじゅうがたのしんぎそうですか?」
「ゆにばーさるきかくですか」
「こうけいは、なんせんちくらいをかんがえてますか?」
「20.3サンチ砲、デザインはL.ホークで」
「りょうかいなのです」
妖精さんに新艤装の製作を任せ、俺は陽炎たちの待つ田んぼへと向かう。できたトロッコがどんな活躍を見せてくれるのか、そして、この島で採れたお米はどんな味がするのか、今から楽しみだ。
大口径の拳銃を両手にグリップした綾波、カッコいい……