「け、蹴ったな……大将であるボクの顔を蹴ったな……」
「大将だろうが元帥だろうが、そんなもの関係ありません。嫌がる女性に対して執拗にセクハラを繰り返す、それだけで万死に値します」
おそらく、自分は大将だから何をしても許されるとでも思っていたのだろうが、強姦は階級も立場も関係なくやっちゃいけない事案であることを知らないのか?問題とならないと本気で思っているのなら、そいつは根っからの楽天家か、親の七光りで提督となったボンボンに違いない。前者の場合は、事の重大性を理解していないという意味で、後者は親の権威を使って不祥事をもみ消せるという意味で面倒なタイプだ。どちらにせよ、提督である資格はない。ここで退場してもらおう。
「駆逐艦のくせに生意気なことを言って……せっかくボクが優しく愛してやろうと思っていたのに、もうやめだ。お前が泣こうが喚こうが関係ない、心が折れてボクに服従したくなるまで犯して、犯して、犯しまくってやる!!」
「やっと本性を露わにしましたね、人間のクズ。未熟な幼い身体を使って薄汚れた汚い欲望を吐き出そうなど、そんな奴はクズで十分です!!」
綾波のその言葉に怒りが臨界点を突破したのか、ロリコン提督は綾波をソファーに押し付けてセーラー服の襟に両手をかけ、セーラー服を真っ二つに引き裂く。その勢いのままセーラー服の下に隠されていた
「さぁ、次は下だ。お前の人生がどうなろうがボクの知ったことではないから、ボクの好き勝手にやらせてもらうよ」
クズ男はそう言ってスカートを引き裂いて捨て、綾波の聖域、それをを守る鉄壁の装甲に対して容赦なく蹴りを入れ、鉄壁の装甲越しに
「青葉、見ちゃいました」
「な、なんだ君は!?ボクと綾波ちゃんのラブラブタイムを邪魔するな!!」
「ラブラブ?これが?よほど目と心の腐ったバカでなければ、どう見ても嫌がる少女を強姦しようとしている風にしか見えないんですけどねぇ!!」
どうやら、青葉もまた相当怒りを溜め込んでいたのか、左肩にゴツいビデオカメラを担ぎ、右手にアナログ式のカメラを握って証拠を撮りつつクズ男を追い詰める。「それにね、あなたの罪状は全部上がってるんですよ?」と怒りを通り越した冷徹な目で男を見やりつつ、その罪状を次々に暴露する。
「艦娘を道具扱いして壊れるまで酷使するのは当然のこと、駆逐艦娘を奴隷扱いして好き放題凌辱し、飽きたら飽きたで生きたまま溶鉱炉に投げ捨てて必死に助けを求めて泣き叫ぶ姿を眺めて愉悦に浸り、挙句の果てには正常な判断はおろか、自分のことすら理解できなくなった駆逐艦娘をごく一部のマニアに売り払って金稼ぎですか、いいご身分ですねぇ、大将様ぁ!!」
その後も青葉の罵詈雑言は止まらず、クズ男の「わ、わかった!!いくらでも払う、いくら払えばいい!?」とみっともなく見当違いな命乞いに対しても「金で人の心と命が買えると思うな!!この犬畜生以下のクズ野郎が!!」と吐き捨てて一蹴し、駆けつけた憲兵隊にクズ男の身柄を引き渡したのち、憲兵隊が気を利かせて置いていってくれたのであろうバスタオルを綾波に渡してくる。
「すみません、あの男の行動は監視していたのですが、まさかこの鎮守府に来ていたとは思わず、救助が遅れました。本当に申し訳ありません」
「いえ、構いませんよ。青葉さんに落ち度はありませんから」
本当に申し訳なさそうな表情を浮かべて謝る青葉さんに対し、俺はなんとかフォローをして……としたところで、いつの間にか身体の制御権が戻っていることに気付く。おそらく、綾波は今回のことがショックで誰とも関わりたくないのだろう。こればかりはどうしようもない、しばらくはそっとしておいてあげよう。
「綾波!!無事か!?」
「なんとか、最悪の事態だけは防げたようです」
………ここのみんなは、いい人たちばかりだな。あのクズい北上と大井はそうでもないが、そのほとんどが今回の一件で俺たちへの支持を決定したらしい。その後、お詫びの品として新調した制服・下着一式とこの鎮守府への自由入港権をもらい、なんとビッグ7率いる連合艦隊が護衛について前線基地に送ってもらえるというとんだ大盤振る舞いを披露してくれた。
なお、例のクズ男は自身の悪事を暴露されたことが原因で部下の艦娘たちに両手両足を砕かれ、生きたまま溶鉱炉に投げ捨てられて殺されるという因果応報な末路を迎えたという。
のちに青葉は、鎮守府で英雄扱いされたとかなんとか。